北陸地方の様子を確かめに行く旅

■はじめに
 特に北陸地方に行くつもりはなかったが、JRから「北陸応援フリーきっぷ」なるものが2月15日から3月11日までの限定で販売された。大人の休日倶楽部の会員であれば「北陸フリーきっぷ」(22,410円)が使えるが、それとほぼ同様の内容で、たったの2万円である。ということで、応援(現地にお金を落とす)という意味で、行ってみることにした。
 目的は、途中から代行バスで運行中である「のと鉄道」に乗ることと、北陸新幹線延伸開業によって特急列車が走らなくなる金沢から敦賀までの区間について、「サンダーバード」号と「しらさぎ」号に乗り納めをしてくることである。
 災害後の復興状況を確認するための旅「…の様子を確かめに行く旅」は、過去に以下のように実施してきている。
JR北海道の様子を確かめに行く旅 2018年1月
JR九州の様子を確かめに行く旅 2018年3月
JR四国の様子を確かめに行く旅 2018年7月
JR北海道の様子を確かめに行く旅part2 2018年8月
JR東日本(特に北東北)の様子を確かめに行く旅 2022年12月


@能登中島駅にて

■2024.3.2
 今日は私にしては珍しくゆっくりとした出発であり、東京発8時12分の「かがやき」号である。定期券で都内に移動し、件の切符で改札を通った。
 なお「はじめに」で、この切符が大人の休日倶楽部の北陸フリーきっぷと「ほぼ同様」と書いたが、唯一の違いは復路が「はくたか号の自由席」しか乗れないという点である。

@ただし安い

 東京駅に到着。まだ朝であるが駅弁屋を覗いてみたが、これといったものもなく退散してしまった。
 菓子類なども何も買わずに、ホームへ。8時12分発であるのに、車内の清掃が終わったのは出発の2分前であった。乗るだけで精一杯である。
 定刻に出発したが、車内誌も北陸新幹線延伸開業ムードである。

@祝

 ぼんやりと車内を過ごし(しかし、宴会モードの騒がしい団体が近くにいたためうたた寝はできなかったが)、金沢には10時49分に到着した。
 在来線のホームに移動したが、撮影隊がたくさんいる。金沢駅に関西からの在来線特急が来るのもあと2週間だけであるから、それ目当てで来ているのであろう。

@連結前

 これから乗る「能登かがり火」号は3両編成であり、自由席は1両だけである。出発の20分くらい前から並んでみたが、結局列の一番前であり、「混んでいたらどうしよう」というのは杞憂に終わった。
 しばらくして、11時21分発となる「能登かがり火」号が入線してきた。

@短編成

 接続する特急列車が遅れたため、定刻から6分遅れの11時27分に金沢を出発した。自由席の乗車率は50%強程度である。
 実は金沢駅でも駅弁を見てみたが、惹かれるものがなかった(「輪島朝市弁当」があれば買おうと思っていたが、今日はなかった)。ということで、駅スーパーで見つけた「能登っぽい」おにぎりが、今日の昼食である。

@能登へ行くからには

 今日の天候は目まぐるしく、雪・晴れ・吹雪とどんどん変わっていく。そんな景色を見続けているうちに、12時18分頃に七尾に到着した。
 沿線風景を見ている限りは、震災の影響もそれほど大きくないのかと思っていたが、七尾駅のホームはガタガタであった。復旧には、もうしばらく時間が掛かりそうである。

@こんな状態

 七尾では1時間半以上時間があるため散策する予定であったが、運悪く横殴りの吹雪である。仕方なく、駅前にある商業施設に避難した。
 入ってみると「屋台村」というのがあって、地場の野菜を使ったカレーや海鮮丼などが売っている。これを事前に知っていればおにぎりはスルーしたのに、と思うが、さすがに2回目の昼食は無理である。
(なお旅行から戻った日の夕方に、ニュースの特集でこの屋台村を見た。せめて出発前に知っていれば、と思う)

@見るだけ

 屋台村以外の商業施設もぶらぶら見て回ったが、10分も持たない。そこで外に出てみると、まさかの青空であったため、散策の開始である。
 「七尾の町は以前と変わらないな」と思って歩いていたが、所々に少しだけであるが倒壊した民家がある。実は私は阪神大震災の時に西宮市にいたので「震災経験者」であるが、その時にも感じていたことであるが、必ずしも古い家だからといって倒壊するわけではない。地盤など、様々な要因が関係する。七尾の町についても、「うだつ」があるような古い家でも残っているものも数多くあった。
 再度雪が降り始めた中、あれこれと歩いて回った。

@ここは営業休止中(能登食祭市場)

 散策を続けて駅に戻ってくると、またしても青空である。のと鉄道の出発までまだ20分以上あるが、もうどこにも行く場所がないので、駅員から一日乗車券を購入した。2月末までは800円のフリー切符(生活応援フリーきっぷ)があったが、この通常の一日券でも充分お得である。

@1,000円

 しばらくすると、この後に14時05分発の列車となる編成が入線して来た。意外にも2両編成であるが、やはり隣の和倉温泉までの需要が多いからであろうか。

@2両

 定刻に七尾を出発。乗客は、2両合わせて40人くらいもいる。収支的には良いことかもしれないが、残念ながら和倉温泉までは路線としてはJRとの共用区間である。案の定、和倉温泉で半分くらい下車してしまった。
 それにしても、和倉温泉のホームは七尾以上にダメージが大きかったようで、大規模補修中であった。

@こんな状態

 同駅を出発してからは、25年くらい前にバイクツーリングの途中に野宿をしたことがある笠師保を過ぎ、代行バスに乗り継ぐ能登中島には14時28分に到着した。駅構内には郵便車両が係留されているが、以前に「のと里山里海」号に乗った際に中を見させてもらったことがある。

@ここで乗り換え

 代行バスに乗り換えて、14時40分に出発した。しばらくして道路が海岸沿いに出ると、左手に改修中の路盤があり、所々で作業員が工事をしている。来月(4月)の運転再開を目指しているということで、大変そうである。

@改修中

 15時15分、穴水に到着した。折り返しのバスまで40分あるが、「駅の隣にある道の駅にでも行ってあれこれ買うか」と思っていたところ、休業中であった。そもそも、道の駅の建屋自体に黄色い「注意」の札が貼られてしまっている。
 仕方ないのですぐに歩き出して近場にある神社に行ってみたが、酷い崩れようであった。

@再建望む

 住宅街についても、七尾とは比較にならないくらい多くの家屋が倒壊していた。
 それにしても寒く、道路にある標識では「2℃」となっている。そこで、地元のスーパーに避難して夜用食材を買うことにした。適当にお金を落とすことも重要である。
 夜用の刺身(タラやヒラマサ)を買ったりしてから、駅に戻って来た。中止となってしまった「かきまつり」のポスターが悲しげである。
 しばらくしてやって来た代行バスに乗り、15時55分に穴水を出発した。

@バスで戻る

 能登中島から来る際は10人くらい乗っていたが、復路は私を含めてもたったの3人である。しかも、そのうちの1人は地元の人ということで、次の能登鹿島で降りてしまった。
 能登鹿島は桜で有名な駅であり(愛称「能登さくら駅」)、宮本輝の短編小説の舞台でもある(これについては、以前に本に少し書いたことがある)。

@桜の季節はまだ先

 吹雪になり始めた中、代行バスは定刻より早い16時23分に能登中島に到着した。接続する列車の出発まで26分もあるが、周囲には何もないからひたすら待つしかない。
 駅構内には、路盤を作業するための特殊車両が係留されていた。この先の路盤で、大掛かりな作業が終われば、この車両でレールを調整していくのであろう。

@待機中

 16時49分発の列車で七尾に戻り、17時18分発のJRに乗り継いだ。道の駅などであれこれ買ったりしようと思っていたのに、結局は1,000円の切符と刺身しか買っていない。「のと里山里海」号が復活したら、2度目の乗車に来ようかとも思う。
 七尾から乗り継いだ列車は金沢行であるが、17時51分に到着した羽咋で下車した。この先は日も暮れて景色も見えなくなるし、安ホテル代といえども能登半島で使った方がいいと思ったからである。
 安ホテルに投宿して、スーパーに行って追加食材を購入。今日は刺身祭りである。

@もちろん酒も大量に購入

■2024.3.3
 今日も寒く、雪がちらついている。7時過ぎにホテルを出て、7時26分発の「能登かがり火」号に乗り継いだ、朝早いこともあり、3両編成のうち2両の指定席はほぼ乗客無し、1両の自由席も数えるくらいの乗客であった。

@羽咋と言えば

 定刻に出発し、金沢へ向かう。新幹線開業後は、この特急が金沢に乗り入れる唯一の在来線特急となる。
 8時05分、金沢に到着した。乗り継ぐのは8時15分発の「サンダーバード」号であるが、自由席の混雑は心配する必要がない。というのも、10分前の8時05分にも同じ特急が出発したばかりだからである。前者は福井など最低限の停車駅で快走し、私が乗る15分発の方は多くの駅に停車するタイプであり、つまり金沢から乗る人は少ないからである。

@金沢から乗るのは今日が最後

 定刻に金沢を出発。出発時点では3割以下の乗車率であったが、次第に増えていき、鯖江で8割以上、そして武生ではほぼ満席となった。この辺りの駅は、新幹線延伸で悪い意味で影響を受けるところである。これまでは乗り換えなしで金沢や大阪に行けていたのに、これからは乗り換えが必須となる。
 ぼんやりと景色を眺めているうちに、9時38分に敦賀に到着した。まだ中には入れないが、巨大な新幹線駅がお出迎えである(しかし、在来線との乗り換えは大変そうである)。

@大きい

 敦賀は仕事で何度となく来た場所であり、特に観光する予定もない。開店直後のスーパーで買い物をしてから、駅に戻った。次に乗り納めをするのは、「しらさぎ」号である。
 それにしても、「サンダーバード」も「しらさぎ」も、敦賀止まりになるのなら改名すればいいのにと思う(リレーなんとか、など)。前者については昔は特急「雷鳥」であり、立山連峰由来である。後者については、山中温泉の白鷺。もう石川県や富山県には行かないのであるから(「サンダーバード」は今は金沢までであるが、「雷鳥」時代は富山まで行っていた)、名と実が合っていない感じがする。

@乗り納め

 列車が入線してくる15分前から自由席の列に並び(またしても列の先頭)、やって来た列車に乗り込み、10時26分に敦賀を出発した。
 左手には、新幹線の高架が続いている。次に北陸方面から敦賀に来る際には、あれに乗ることになるだろう。

@次のお楽しみ

 復路もまたしてもぼんやりと景色を眺め続け、11時48分に金沢に到着した。
 前半に記載した通り、今回の切符は帰る際には「はくたか」号の自由席しか利用できない。金沢で並べば座れないことはないであろうが、日曜の夕方などはかなり混むかもしれない。ということで、解決策として「昼に帰ってしまう」ことにしている。
 金沢到着後数分で接続する「はくたか」号もあったが、それはスルーして、駅にあるスーパーでツマミや酒を買い込んで、12時58分発に乗ることにしている。
 12時35分頃にホームに上がったが、またしても自由席の列の一番前であった。予防線を張り過ぎたようである。
 12時45分頃にドアが開いたので、車内へ。早速一献の開始である。

@豪華に

 せっかく北陸に来ているのであるから、マグロやイクラやウニなどは一切入っていない、地魚とエビやカニ中心の寿司と、地元の焼き魚である。
 定刻に金沢を出発。時折見える日本海を眺めつつ、酒を呑むだけである。
 さて、寿司はツマミ用として買ったものであり、締めにあと1品欲しい。ということで、最後は敦賀で買ってあった、知る人ぞ知る「フジバーグ」である。

@かなりマイナーグルメ

 

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