とにかく特急に乗るだけの旅 Part3(中部編)+おまけでSLパレオエクスプレス

■はじめに
 これまで乗ったことがない特急に「ただ乗るだけ」というこのシリーズであるが、今回は「(ワイドビュー)ひだ」と「(ワイドビュー)しなの」である。前回(Part2)で少し書いたが、このシリーズは、結局は「格安切符のないJR東海の特急に乗る旅」でもある。高山本線を特急だけで全線乗り通した思い出はないし、「しなの」については松本から長野まで乗車しているが、これはJR東日本の「大人の休日倶楽部パス」の恩恵によるものである。
 事前に予定を考え、三連休の中日に出発することにした(料金を安くするため)。後は行くだけ、と思っていたが、年末になって、秩父鉄道のSL「パレオエクスプレス」で1月8日に「秩父麦酒号」を実施するというニュースが入って来た。これは、「大人鐡」シリーズ(食事付き観光列車の旅)に入れてもいいと思い、早速座席を予約。
 しかし、三連休の旅行を分割して旅行記にするほどでもないので(そもそも、特急に乗るシリーズはネタが少ないこともあり)、まとめて旅行記に仕上げることにした。

【旅程】
三連休初日:日帰りでSL「パレオエクスプレス」の「秩父麦酒」号に乗車。
2日目:北陸新幹線で富山に行き、「ひだ」に乗って名古屋へ。名古屋地下鉄乗り潰しも実施(名古屋泊)。
3日目:地下鉄乗り潰しを終えてから、「しなの」で松本へ。中央本線の各駅停車で帰京。

@三峰口駅(転車台公園)にて

【過去のシリーズ】
とにかく特急に乗るだけの旅 Part1(山陰編)

とにかく特急に乗るだけの旅 Part2(近畿編)

■2022.1.8
 最寄駅から京成曳舟まで移動して、少し歩いて東武鉄道の曳舟駅へ。チケットショップで買ってある株主優待券で改札を通り、区間急行に乗って羽生まで移動した。ここから、秩父鉄道に乗り換えることとなる。
 私事ではあるが、秩父鉄道の羽生から寄居までは、「普通の鉄道」としては最後に乗り残していた区間である(他に未乗車なのは、明日以降に乗る名古屋地下鉄の一部と、新交通システムの一部(埼玉ニューシャトルと山万ユーカリが丘線)だけ)。秩父鉄道自体は何度も乗っているが、いつも西武や東武東上線でのアクセスであった。

@完全制覇へ近づく

 今日は三峰口まで往復するため、一日乗車券を購入してある。秩父鉄道の一日乗車券には紙と電子(スマホ)の2種類あるが、私はたいていこういう場合は紙を選択する。なんだかんだ言って電子機器を信頼していないため(壊れたり充電が切れたりする可能性があるため)、LCCや高速バスの乗車券も必ず紙で打ち出して持っていくアナログタイプである。それに切符の場合は、紙の方が持ち帰れるため記念にもなる。
 しかし、秩父鉄道の場合は、電子切符を選択すると100円安くなるという。現金なもので、今日はそちらにしてある。

@初体験

 定刻の8時58分、羽生を出発した。車内は空いているが、初乗車であるため最前部に陣取って景色を眺め続けたが、いかにも北関東といった感じの長閑な景色であった。
 9時21分に熊谷に到着。ここで下車し、SL指定券の購入である(席自体はネットで事前に押さえてある)。
 いったん改札を出て、すぐ戻ってSL専用の臨時窓口へ。さすがにこれは電子ではなくて、紙であった。

@無事購入

 SLの出発までまだ40分以上もあるため、駅付近を散策したり、コンビニに行って食材を揃えたりした。もちろん、今日は車内で地ビールを注文できるが、出発してすぐには買えないと思えるため、他の酒やツマミを買い揃えるためである。
 駅に戻って改札を再度通り、ホームへ。しばし待っていると、電気機関車を先頭にして客車とSLが入線してきた。

@こちらは後ろ側

 入線すると、先頭部分(SL)では家族連れや鉄道ファンが山になって記念撮影である。このSLは1988年から運転しており、大井川鉄道ほどの歴史はないものの、私鉄としてはかなりの古参である。

@人の切れ目を狙って撮影

 私の座席は2号車である。特別な考えもなく2号車にしたが、1号車にしなくて正解であった。というのも、1号車は床に電源がある車両であるため、「客車」とはいえないような音を出し続けているのである(ほとんど「ディーゼルカー」)。大昔(1980年代)に北海道に行った際、周遊券を利用して夜行急行の客車で夜を過ごしたことがあるが、電源車に当たった日のことを思い出してしまった。
 なお、車内はごく普通のボックス席である。妙に観光用にアレンジしていないところは好感が持てる。

@2号車内

 自席に座ってしばらくすると、地ビール会社の人が今日メニューを配布していった。そのうち注文を聞きに来るのであろうが、当然であるが「飲み比べセット」を注文する気満々である(事前にネットで余所様のブログ等を調べてある)。
 また、ネットで事前注文してあった弁当もやって来た(詳細後述)。

@ビールのメニュー

 定刻の10時10分、汽笛が鳴ってから熊谷を出発した。非常にゆっくりとしたスピードで、住宅街を抜けて行った。車内では、落語家の林家たい平によるアナウンスが流れている。窓は閉まっているが、どことなく煙い香りが漂っている。
 出発してすぐに、持ち込んだ食材と缶チューハイで一献である。
 しばらくして注文伺いが来たので、飲み比べセットを注文。その後、配膳された。

@昼から呑む

 1番目は癖の少ないビール、2番目は女性受けしそうなフルーティーな味わい。3番目は変化球っぽい酸味の強いビールで、4番目はかなりの変化球(シナモンが原因?)であった。
 午前中から、ぽかぽかの車内で呑むビールは格別である。格安のコンビニ唐揚げなども、地ビールがあれば急に上等なツマミになってくる感じがする。
 沿線では、貨物牽引用の機関車なども見ることができた。

@秩父鉄道ならでは

 10時51分、寄居に到着した(ここから先は乗車済の区間)。9分ほど停車するためホームへ降りてみたが、やはり先頭部分は家族連れなどで大賑わいであった。
 ということでそこは避けて、運転台付近を見学。石炭をくべる場面もあった。

@SLならでは

 車内に戻り、11時00分に寄居を出発した。
 しばらくすると酒もなくなったので、ここで駅弁である。「ベジ玉てばこ」(1,200円)という品物であり、深谷産のニンジンやゴボウ、小松菜、もやし、ブロッコリー、トマト、ねぎなどを使用した弁当である。野菜ばかりであるためインパクトは薄いが、呑み過ぎた体にとってはかなりヘルシーではある。

@野菜尽くし

 長瀞以降はだんだんと景色も長閑になり、終着の三峰口には12時50分に到着した。
 改札を出てからはぐるっと迂回して踏切を渡り、裏手にある転車台公園へと向かった。各種メンテナンス(石炭の燃えカスの排出やジョイントへの油差しなど)を見学し、しばし撮影などをして、13時30分頃からやっと方向転換の開始である。

@一大イベントでもある

 方向転換を見届けてから駅に戻り、13時47分発の列車で羽生へと戻った。復路も、株主優待で移動である。

■2022.1.9
 当初は富山空港への朝一便を激安で押さえていたが、コロナもあって減便に。結局、6時28分発の新幹線「はくたか」の35%割引となった。ちなみに、富山駅では新幹線と「ひだ」の乗継割引は適用されないため、これが最安の方法である。
 富山には9時10分に到着し、駅構内であれこれ買い物をしてからホームに向かった。富山から「ひだ」に乗る人は少ないとの予想から、自由席である。

@自由席で充分

 9時45分頃、「ひだ」が入線してきた。3両編成(8・9・10号車)であり、自由席は真ん中の9号車である。よって最前列からの展望は拝めないが、高山で前に4両増結される予定であり、そちらは先頭が自由席なので、後で移動してもいいであろう。

@富山時点では3両

 予想通り車内はガラガラで、自由席車両内は10人もいない。そのままの人数で、定刻の9時53分に富山を出発した。
 さて、このシリーズ(特急に乗るシリーズ)は、出発してしまえば何もすることがないのが玉に瑕である。ということで、富山駅で買っておいた品々で一献である。富山と言えば、まずはビーバー(あられのお菓子)。後は地元らしきチューハイを見つけたのでそれも買っており、ついでに小あじのツマミも追加してある。

@朝から

 「ワイドビュー」を謳うだけあって、ハイデッカーの車両(座席の位置が少し高い)である。ポカポカの車内で、雪景色を見ながらの一献は最高である。
 今日の予定を組むに当たり、唯一の心配は大雪であった(高山本線は雪の影響で止まることがある)。しかし、今日はその心配もない。車内アナウンスによると、猪谷の手前で路盤確認のため徐行区間があるということであるが、遅れは2分だけとのこと。

@天候の心配なし

 件の徐行運転があり、猪谷に到着した(ここまでは特急の乗車経験あり)。すぐに同駅を出発。
 さて、ツマミを平らげた後は、駅弁である。富山と言えば「ますのすし」などが有名であるし、朝の時点では「のどぐろ」を使った寿司も売っていたが、味が1種類というのは飽きてしまうこともある。ということで、何種類もの味を楽しめるものにしてある。

@色々あり(ピントが表紙に合ってしまった)

 その後も雪深い中を走り続け、定刻より少し遅れた11時25分頃に高山に到着した。ホームに降りて一番前の列(自由席)に行ってみると、やはり数人がすでに待っている状態であった。その後ろに並んで車内へ。最前列は無理であったが、2列目は確保することができた。これなら、ある程度前方を眺められそうである。

@連結前(増結分)

 定刻の11時32分、高山を出発した。最初の頃は見事な雪景色であったが、下呂に近づくにつれてだんだんと地味な景色になっていった(雪も減っていった)。それにしても、沿線には鉄道写真を撮るために待ち構えている人もいて、ご苦労なことである。

@ダム発見

 途中の駅や信号所では、特急や各駅停車とも行き違った。驚いたのは、各駅停車の車両がロングシートであったことである(前回の紀勢本線に続き、「高山本線、お前もか」という感じである)。色々な意味で、「次回も特急かな」という思いである。
 美濃太田以降は普通の景色となり、岐阜からはスイッチバックをして、名古屋には14時08分に到着した。
 さて、ここからは「名古屋地下鉄乗り潰し」であるが、乗っても面白くない内容は旅行記にしても面白くないこと確実である。ということで、省略。

@切符のみ紹介

 名古屋の地下鉄は仕事やプライベートでかなり乗っているが、確実に乗っていないであろう桜通線の新瑞橋以東や東山線の名古屋以西などを中心に修行のように乗り続け、17時過ぎにホテルに投宿した。

■2022.1.10
 地下鉄の24時間切符を使い、名港線(20年以上前に仕事で確実に乗っているが、念のため再乗車)などに乗ってから大曽根に向かった。というのも、「ゆとりーとライン」に乗るためである。
 この路線は見た目上はバスであるが、ガイドレールというものに沿って走るため、定義上は鉄道であるという(高架上の部分のみ)。であれば、乗らなければならない。

@バスっぽい(というか確実にバス)ですが

 高架部分の終点である小幡緑地まで往復してから、地下鉄に乗って名古屋に戻って来た。
 あれこれ買い物をしてから、9時30分頃にホームへ。別のホームでは、高山方面に行く「ひだ」が出発したり、紀伊方面から到着した「南紀」がいたりで、「ワイドビュー」尽くしである。
 待つことしばし、9時50分少し前に「しなの」が入線してきた。

@今日はこちらに乗る

 今日は8両編成であり、自由席は後ろの2両である。車内に入ってみると、ハイデッカーではない座席であった(これでは「ワイドビュー」ではない)。
 定刻の10時00分、名古屋を出発した。毎度のことながら出発後はすることがないので、今日も「名古屋尽くし」で一献である。味噌かつに手羽先、昨日と同じシリーズの地元チューハイ、地酒などである。

@昼前から

 何度も乗り慣れた中央本線であるが、特急で各駅を通過していくのは痛快である。ご多分に漏れず、中央本線の各駅停車でのロングシート率が高くなっているため、今後は特急かしら、という思いである。それにしても、速度は速いし、振り子式なので酒が呑み辛い。
 ツマミが終われば、続いて名古屋めしの「ひつまぶし」である。

@名古屋ですから

 中津川を過ぎると、景色もだんだんと長閑になってくる。自由席車内は30%くらいの乗車率であり、昼間の特急としては及第点であろうか。
 ひつまぶしを食べ終えた後は、アルコールの影響もあって少しウトウトとしてしまった。よって、肝心の景色の写真はあまり撮ることができず。

@昨日ほどの絶景はないですが

 12時04分、松本に到着した。今日はここまでである。この先、終着の長野まで乗ってみたいし、そうすれば「三大車窓」の姨捨なども通過するが、先述した通り松本以降は乗車経験があるし、それに長野まで行ってしまうと新幹線で戻るのに散財してしまうため、今日は松本から「余っている青春18きっぷ」でひたすら帰るだけである。
 12時32分の列車に乗り、ひたすら関東へ。小淵沢まではロングシートであったが、そこから先(高尾まで)は久々にボックスシートであった。

@やはり旅はボックスシートで

 

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