とにかく特急に乗るだけの旅 Part1(山陰編)

■はじめに
 なんとも単純なタイトルであるが、内容もそのままであり、とにかく特急に乗るだけの旅である。コロナ禍もあって海外旅行もまだしばらく不可能であるため、新しい旅のテーマとして設定したものである。
 私的には、「旅は安く」が主義であるが、できれば特急に乗りたい。よって、特急乗り放題の切符があるJR北海道やJR四国は、すでに多数乗車済みである。JR東日本やJR九州は「各駅停車の思い出」が多かったが、昨年からJR東日本の「大人の休日倶楽部パス」が使用できる年齢になったため、それを大活用して卒業(?)しており、JR九州についても、昨年度に「みんなの九州きっぷ」が発売されたため、それを利用してあれこれ特急に乗ることができた。
 しかし、それ以外の多くの線区では「各駅停車の思い出」ばかりのところが多い。要するに、JR西日本とJR東海である。よって、ほとんど乗車経験のない特急に乗ることが、この旅のテーマの中心なのである。
 現状を踏まえて、以下の特急に乗ることにした。「しなの」は松本から長野まで乗車したことがあるが、それ例外は私にとって「初物」ばかりである。

・山陰編:スーパーおき
・中部編:(ワイドビュー)ひだ、(ワイドビュー)しなの
・近畿編:くろしお、(ワイドビュー)南紀
・東海編:(ワイドビュー)伊那路、(ワイドビュー)ふじかわ

 今回の標的は、「スーパーおき」(新山口−鳥取)である。昼行特急では、「にちりんシーガイア」「宗谷」に続いて3番目の走行距離(378.1q)を誇る、山陰を代表する特急である。今回は、せっかくなので始発から終着まで乗ることにしている。
 正規料金で乗ろうと思っていたが、秋になってJR西日本が「どこでもきっぷ」なるものを売り出した。JR西日本にしては珍しく、特急乗り放題で1人用もある。ということで、別件で関西に行った際に、2日間用(西日本の旅行会社のみで購入可能)を入手しておいた。
 旅程は、飛行機の値段とも相談して以下となった。

初日:空路で岡山空港へ飛び、岡山から新山口へ(山陽新幹線)、新山口から鳥取へ(スーパーおき)。
2日目:智頭へ移動し(スーパーいなば)、各駅停車に乗り津山経由で姫路へ移動してから、新大阪へ行き(山陽新幹線)、そして小松へ(サンダーバード)。小松空港から羽田へ。


@新山口駅にて

■2021.12.11
 往復とも飛行機でのアクセスであるが、往路をどうするかはあれこれと悩んだ。東海道新幹線には格安設定がないため、まずは飛行機が候補となる。新山口に近いのは山口宇部空港や岩国空港であるが、そこまで行ってしまうと格安の設定がないし、せっかく乗り放題の切符があるのにもったいない。となれば伊丹などが候補となるが、そうすると乗り継ぎが危うくなる。ということで、折衷案として決まったのが岡山空港である。JALで9,190円であるから、及第点である。
 早朝に羽田空港へ。緊急事態宣言中は中止されていたラウンジのビールも復活しており、なによりである。

@朝から

 8時05分の便で岡山に飛び、連絡バスで岡山駅へ移動した。駅構内で買い物をして(内容については後述)、新幹線乗り場へと向かった。
 「どこでもきっぷ」では6回分の指定席も取れるため、念のため11時09分発の「のぞみ」の指定席を押さえていたが、飛行機も遅れず到着したため時間に余裕がある。ということで、10時52分発の「さくら」の自由席に乗ってしまうことにした。
 「さくら」の自由席が混んでいたら次の「のぞみ」を待とうと思っていたが、それほど混んでいなかったので「さくら」に乗車。定刻に岡山を出発した。

@予定変更

 件の切符は、3日間有効のものは22,000円であり、それなりにお得感はあるが、旅行会社専用の2日間有効のものは18,000円であり、かなり乗らないと元は取れない。私のような旅行者(ひたすら乗るだけ)専用切符であろう。

@自由席なら勝手に予定変更可能

 12時03分、新山口に到着した。「スーパーおき」の出発までまだ1時間弱あるため、駅付近を適当に歩いたり、スーパーへ行って買い物をしたりした。

@色々あり

 12時40分頃に駅に戻ってホームに降りると、列車はすでに入線していた。JR西日本のウェブサイト等では「2両編成」となっていたが、今日は3両編成であった(指定席2両+自由席1両)。

@ディーゼル特急

 まだ出発前であるが、予想外に混雑している。乗車率としてはそれほど高くないが、「どうせガラガラだろう」と思っていたのでこれは意外であった。
 さて、今回は「ただ乗るだけ」であるため、車内で特にすることもない。よって、出発を待たずにスーパーで買い揃えた地元食材(山口産えびの唐揚げ、萩産豆アジ、萩みかんチューハイ、地酒等)で一献の開始である。

@昼から

 定刻の13時01分、新山口を出発した。自由席の乗車率は60%くらいである。
 キハ47系の墓場のような転車台を右手に見遣り、路盤は山陽本線から離れて行った。山口線は「SLやまぐち」号などで乗ったことはあるが、特急で乗り通すのは今回が初めてである。
 山口を過ぎると、路盤は山間の中を走り続けた。山口線に山間を走るイメージがあまりなかったので、意外である(SL乗車時は、座席の背が高くて、あまり外が見えなかった記憶あり)。

@山口線走行中

 さて、スーパー食材を平らげてから締めの一品として頂くのは、岡山駅で買っておいた駅弁「あなごめし」である(駅弁については新山口で買うことも考えたが、岡山でも惹かれる品がいくつかあったので、そちらで買ってしまっている)。

@一面あなご尽くし

 あなごめしを頂き終わり、アルコールの影響もあって少しウトウトとして、目が覚めると益田であった。14時36分着。ここから先は山陰本線である。
 益田から先は時折左手に日本海が見えるようになるため、山陰本線らしい景色が眺められる区間となる。これは、寝ている場合ではない。

@雲多めですが

 快走し続けているため途中で降りたりすることはできないが、14時56分に到着した三保三隅で行き違いの特急列車を待つための停車時間があったので、少しだけ降りてみることにした。

@気分転換

 同駅を出発後も、時折左手には海が広がっていった。
 15時15分に出発した浜田でさらに乗客が増え、私の横にも男性が座った。波子(はし)や江津、大田市でも乗ってくる人がいて、自由席はほぼ満席である。
 左手に宍道湖が広がってきて、16時46分に松江に到着した。ここでかなりの乗客が下車し、その半分くらいが新たに乗車してきた。
 同駅を出発すると、日は落ちてしまい、だんだんと景色は見えなくなっていった。18時16分、終着の鳥取に到着した。

@お疲れさまでした

 山陰本線の後半部分はかなり高速で快走したこともあり、5時間以上の乗車時間もあまり気にならないくらいであった。
 いつも通りに、駅近くの安ホテルに投宿。

■2021.12.12
 まだ薄暗い中にホテルチェックアウトして駅に向かい、7時05分発の「スーパーいなば」が入線してくるのを待った。7時少し前、西側より2両編成の列車が入線してきた。

@今日はこれから

 旅のテーマに基づいて、本来ならばこれに乗って岡山まで快走したいところであるが、因美線の智頭−東津山と、芸備線の東津山−佐用がかなり「ご無沙汰」であり、あれこれ悩んだ結果、智頭で下車して東津山経由で姫路に行くことにしている。
 定刻に鳥取を出発。ディーゼルカーは今日も快走し、7時31分に智頭に到着した。乗り継ぐべき津山行の出発まで45分あり、旧街道を散策するのに丁度良い時間である。

@しばし散策

 古い町並みを散策してから駅に戻り、8時16分発の津山行各駅停車に乗り込んだ。
 因美線のこの区間(智頭から東津山)は、智頭急行が開通して以降は完全なローカル路線に成り下がっており、1両編成の列車が数本走るだけになっている。私は乗車済みであるが、前回の乗車がいつなのかは思い出せないくらいである(おそらく30年近く放置状態)。
 10人程度の乗客を乗せて、定刻に智頭を出発した。所々で25キロ制限もあり(おそらく以前の災害の影響)、公共交通機関としての競争力はかなり低い状態である。

@のんびり

 本来の旅程では津山まで行く予定であったが、9時20分に到着した東津山で下車した。というのも、ここ(東津山)からでも姫路方面への芸備線に乗車できるからである。
 下車したのはいいが、特に目的があるわけでもない。ということで、「いなば」繋がりではないが、イナバ化粧品店(超有名ボーカリストの実家)を訪問したり、その近くにあった神社を参拝したりした。
 駅に戻り、10時01分発の芸備線に乗り込んだ。またしても1両編成である。

@この辺りでは定番

 車内は意外に混んでいたため、最前列に陣取って前方を眺めることにした。
 ローカル線ではあるが、沿線の住宅数は多いように思える。もっとインフラが揃っていれば(複線電化とかがあれば)乗客数も増えそうであるが、それ(投資)に見合うまでの需要はないのであろう。
 10時53分、智頭急行との接続駅である佐用に到着した。ここで乗り換えとなり、またしても1両編成ではあるが、今度は新車である。

@初対面の形式

 11時03分に佐用を出発。のんびりと走り続け、11時32分に到着した播磨新宮でまたしても乗り換え。先ほどと同じ車両であるが、今度は2両編成である。11時33分に出発し、12時03分に姫路に到着した。
 久々の芸備線(津山以西は除く)であったが、やはり地味なイメージであった。五能線や宗谷本線などは、たまに「乗りに行くか」と腰を上げる気になるが、なかなかそうはなりにくい線区である。
 姫路でしばし時間があるため、駅弁などを購入(詳細後述)。12時58分発の「さくら」の指定席は押さえていたが、12時53分発の「のぞみ」に乗ってしまった。一路新大阪へ。
 新大阪駅構内の売店で酒を買い揃え、「サンダーバード」が入線するのを待った。

@やって来ました

 数えきれないくらい来ている新大阪駅であるが、これから関東へ帰るというのに北陸方面行の特急に乗るというのは、変な感触である。
 13時46分、新大阪を出発した。大阪−京都間は新快速で飽きるほど乗車しているが、特急で走り抜けるといつもと違う気分である。車内はかなり混雑しており、私の隣にも乗客が座っている。
 さて、今日も乗っているだけであり、目的はない。ということで、姫路で買った駅弁で一献である。

@今日の駅弁

 2日連続で「あなごめし」である。姫路の駅弁業者のラインアップの中で、一番歴史がある駅弁であるとの由。あなごの数は昨日よりかなり少ないが、その代わりに副菜が色々あるし、そもそも値段が違う(昨日は1,350円で、今日は1,000円)。
 京都を過ぎてしばらくすると、右手に琵琶湖が広がってくる。湖西線に乗るのも久々である。

@景色はうまく撮影できず

 アルコールの影響でしばしウトウトとして、目が覚めるともう敦賀であった。ここから先は、仕事も含めてもう何度も乗っている区間である。
 福井や芦原温泉、加賀温泉と停まり、定刻より2分遅れた16時13分に小松に到着した。ひたすら特急に乗る旅もここで終了であり、ここから先は、連絡バスに乗って小松空港に行き、18時05分の便で羽田空港に帰るだけである。

@新幹線開業迫る

 

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