【大人の社会科見学B】会社線車両基地見学ツアー

■はじめに
 鉄道愛好者向けのツアーに参加するこのシリーズであるが、今回は私鉄や会社線(旅客営業をしていない)の車両基地を訪問するツアーである。ツアーの正式名は「庫マニア KURAMANIA 〜秘密の基地へご案内します」というものである。訪問するのは、小湊鉄道五井機関区・京葉臨海鉄道千葉貨物駅・富士電機専用線の順である。小湊鉄道のツアーは時折行われているようであるが、それ以外の2社はあまり訪問できる機会がないため、申し込んでみた次第である。日帰りであるが、11時20分開始で16時55分終了であるから、実質半日。昼の弁当が付いているとはいえ、25,000円はなかなかのお値段であるが、希少な車両などが見られるということなので、この程度は仕方がないのであろう。私は「鉄道に乗る」旅が中心であり、見学中心のツアーに参加するかどうかは悩んだが、物は試しで参加してみることにした。
 なお庫(くら)とは、機関車などを収納する建物のことであり、大きな庫の場合、建物内の線路は「庫○番線」のように呼ばれたりする。

・過去のシリーズ
【大人の社会科見学@】新幹線車両基地見学ツアー
【大人の社会科見学A】貨物線乗車体験ツアー


@五井機関区にて

■2022.11.13
 最寄駅から五井駅に向かい、改札を出たところで受付をした。配付資料等は特になく、もらったのは首から下げる名札だけである。参加者全員(16人)が揃ったところで、11時15分に出発。

@受付

 歩いて小湊鉄道の機関区へ移動。旧い建物の横には小さいSLが3台あり、これは通常でも見学できる車両である。
 ツアー概要の説明があり、最初の見学は、国鉄から譲り受けた車両であるキハ5800である。市の指定文化財に指定されており、当然もう動かないが、時折イベントなどで公開されている。もちろん、今回も車内に入ることができるようになっている。

@外観


@運転席

 続いては、台車などが置いてある場所へと移動した。手前に置いてあるのはJRから譲り受けたキハ40の台車である。キハ40を譲り受ける際にはいくつか条件を提示したそうだが、そのうちの1つが「コイルバネであること」だという(コイルバネだと現有の車両と同じ整備ができるが、空気バネだと部品の入手等で複雑になるため)。
 ちなみにこの場所で給油もできるが、リッターで2キロしか走らないという。またJRから譲渡された車両の方が、長距離を走るため燃料タンクが大きいとのこと。

@台車など

 その後は別の場所に移動。イベント用に4両の車両が展示され、それぞれに違うヘッドマークが付けられていた。一番端の「懐石料理列車」は、運行が再開されたら「大人鐡シリーズ」(食事付き観光列車の旅)で訪問しなければならないだろう。

@勢ぞろい

 しばし撮影した後、それぞれの車両の「方向幕」(行先を示すもの)が回され、様々な表示が出てきた。珍しい「試運転のヘッドマーク」にも付け替えられて、まず普段ではお目にかかれない組み合わせが出来上がった。

@試運転シリーズ

 また移動して、最後はディーゼルエンジンの始動である。車内の床が開けられた状態になっていてエンジンが見える状態になっており、すぐ目の前でエンジンが始動された。縦置きのエンジン(ピストンが上下移動する)であるため車高が高くなってしまうが、確かに入口でワンステップ上がる必要がある。なお、このエンジンの部品もあと10年くらいしか在庫がないため、そうなるとこの車両自体もそれまでの寿命なのかもしれない。

@見学後に撮影

 さて、小湊鉄道の見学は以上であり、これからは昼食である。どの場所が昼食会場になるのかと思っていたが、なんと車両自体を昼食場所にするということであった。

@ここが昼食会場

 今日の昼食は、里山弁当である。肉巻きや五目玉子など、地元の食材が中心であり、優しい味がする内容であった。

@弁当とメニュー

 昼食後は、バスで京葉臨海鉄道へと移動となる。13時にバス乗り場へ移動すると、すぐにバスがやって来たが、中に乗っていたのは午前の部(先に京葉臨海鉄道や富士電機を見学して、昼食後に小湊鉄道を見学するコース)の参加者であった。バスから降りてきた人をふと見ると、鉄道関係のテレビでおなじみのホリプロの南田マネージャーがいるではないか。後日南田さんのブログを見たら、早速このツアーのことが紹介されていた。
 バスでしばし移動し、京葉臨海鉄道千葉貨物駅へ。構内では、機関車が総出でお迎えである。

@勢ぞろい

 様々な機関車を様々な角度から撮影していると、ガタゴトと音がしたのでそちらを見たら、貨物列車が通過していった。柵も何もないすぐそこを列車が走っているので、不思議な感覚である(もちろん、近くで係員が見守っている)。

@一番左は実際に走行中

 なお今回のツアーでは、機関車の中(運転台)に交代で入れることになっている。候補はKD55(元国鉄DD13)と新車のDD200であり、移動のバス車内で「どちらを見たいか」の希望調査があった。もちろん前者の方がマニアには人気であるが、全員が片方に寄ってしまったら時間が掛かってしまうので、私は一歩引いて新車の方を見学することにしている。
 私の番がやって来たので、真っ赤なDD200の運転席に入った。

@新しい

 引込線等で活躍する機関車にありがちな設計で、運転席は横向きになっており、その状態で前にも後ろにも進めるようになっている。なお、私が座っている反対側には同じように横向きの運転台があるが、京葉では使用していないとのこと(他の機関車と同じ運用にするため。会社によっては、2つの運転台を使い分けることもあるという)。
 続いて案内されたのは検修庫である。待ち構えていたのは、日本に1両しかないレア貨車、通称「銀タキ」と呼ばれているタンク車である。

@輝かしい

 この車両を使ってデモが行われるが、まずは連結器のメンテナンスである。部品を一つひとつ確認しながら分解し、そしてまた確認しながら元に戻していく作業である。

@作業中

 そして続いて、ブレーキのメンテナンス作業である。まずは空気圧を調整して通常のブレーキを作動させ、各所がきちんと作動しているかどうかを確認し、その後は手動ブレーキの確認である。

@手動ブレーキ作動中(チェーンが動く)

 これで京葉臨海鉄道の見学は終了である。バスに乗り、まずは構内のコンテナターミナルを一周し、敷地外に出て行った。
 バスは低速で走っているが、偶然にもそれとほぼ同じ速度で貨物列車も並走してきた。列車はちょうど川を渡ろうとしているが、この橋梁は土木学会による土木遺産に指定されている村田川橋梁である。

@偶然並走

 少し雨も降り始めた中を走り続け、富士電機千葉工場の正門を通って敷地内へと入って行った。
 線路の近くで停車し、そこからは線路上を歩いて見学地へと向かった。歩きにくい線路上であるが、なぜかというと普通のバラスト(敷石)ではなくて、製鉄所で出たスラブを敷き詰めているためであるという。時折、大きな塊があったりする。

@歩きにくい

 奥まった場所まで歩いて、線路がスイッチバックをした一番奥に係留されているのが、ここでのメイン車両であるシキ600である。発電所などで使用される巨大な変圧器を輸送するための車両であり、もちろん国内に存在するのは1両だけである。そしてもちろん、現役ではない。それにしても、巨大な車両である。

@車軸は24もある

 なお同じ引込線内には、シキ280も係留されている(車軸は16)。車両の目的はシキ600と同じであるが、こちらももちろん引退済みである。これはこれで巨大な車両であるが、シキ600を見た後だと小さく見えてしまうのが不思議である。

@大きいです

 なおそれ以外にも、小さな機関車(入替機関車:スイッチャーという)も2両係留されていた。

@こちらは小さい

 まだ見学時間は残されているが、雨が本格的に降って来てしまったので、早めにバス車内に戻ることにした。
 16時半くらいに富士電機を出発(出発前は敷地内を走行して、海外輸出直前の変圧器などを車内から見学した)。16時50分過ぎくらいに五井駅に到着して、ツアーは終了である。
 なお、バス下車時にお土産が配付された。ツアーオリジナルデザインのランチボックスなど、3点セットである。

@こんな内容

 

■ 鐡旅のメニューへ戻る

 「仮営業中」の表紙へ戻る

inserted by FC2 system