【大人の社会科見学@】新幹線車両基地見学ツアー

■はじめに
 コロナ禍も2年前とは状況が変わってきており、条件さえ整えば海外にも行けるようになってきているが、それなりに面倒な確認事項もあるし、それに何より以前に比べてまだまだ航空券が高額である。ということで、あともう少しは国内旅行が中心となる。
 私の旅行記では、大人鐡(食事付き観光列車に乗車)などいくつかのシリーズを作成しているが、今回は新たなシリーズとして、鉄道愛好者(マニア)向けのツアーに参加するものを始めることとした。
 これは旅行会社が時折計画して募集しているもので、例えば専用列車で貨物線に乗り入れるものであるとか、車両整備場を見学するもの、などである。これまではこの手のツアーに参加したことはなかったが(意外と参加費がお高いのも理由の一つ)、上記のように海外旅行はまだお預けであるため、参加してみることにしたのである。
 第1回目として、JR東日本が企画した「新幹線車両基地&回送線クルーズ」ツアーに申し込んでみた(募集時のサブタイトルは「集え!「鉄」人たち!9時間乗りっぱなしの入出区ツアー!」である)。東京・小山・那須塩原・利府にある車両センター等に乗り入れるものであり、日帰りと宿泊プランがある。日帰りならば35,000円であるが、東京への戻りが夜遅くなってしまう。そこで、宿泊プランにあった3つのホテルのうち、一番安いところを選択してみた。価格は47,000円であり、日帰りとの差額は12,000円である。自分で手配すれば5,000円くらいのホテルで充分であるのだが、ツアーであるから仕方ないのであろう。
 ツアーは土曜日開催であり、翌日曜日は仙台近郊の鐡ネタを拾ってくることにした。

@東京新幹線車両センターにて

■2022.7.9
 ツアーの出発は上野駅の新幹線ホームである。分刻みで出発する列車がある東京駅ではホームが足りないため、上野から出発するのであろう。
 受付時間は8時30分〜9時50分ということなので、9時15分頃に上野駅の指定された場所に行ってみると、大行列であった。しばし列に並び、資料や復路の切符等の一式を受け取った。

@一式

 出発時刻は10時34分であるが、ホームへの入線時刻は10時10分頃で、ドアが開くのは10時19分頃であるという。時間がたっぷりあるため色々買い集め(詳細後述)、10時過ぎになってから地下の新幹線ホームへと降りて行った。
 指定された時間に列車が入線してきたが、東北新幹線開業40周年として当時のカラーに塗られた車両であった。

@懐かしい色合い

 なお車両の中身自体は、普通のE2系である。今日は9時間近くこれに乗車するが、各席に電源がないのが玉に瑕である。
 車両自体は少し古い設計であり、現在の新幹線車両のように「1列に1窓」ではなく、2列ごとになっている。よって座る列によって景色の見え具合が異なるが、私の席は柱部分が気にならない良いところであった。

@大きな窓

 9時間弱この車両に乗車するといっても、車両センター以外では特にすることもない。ということで、適当に酒を呑みながら各車両センターの様子を眺めるだけである。
 上野駅構内には、所謂「エキナカ」ということで惣菜店などもたくさんあったが、上野や東京で買える「おつまみ」的なものの代表例、ということで、今日は「国技館やきとり」を買ってある。とりあえず、動き出す前から一献である。

@安定の味

 定刻の10時34分、上野を出発した。ホームの先頭部分では、たくさんのJR職員が横断幕を持って見送りをしていた。
 トンネル部分を出るまではいつもと同じであるが、田端付近では路盤がかなり下がってきて、ほとんど在来線と同じ高さになった。新幹線であるのに、ガタンゴトンという音がしているのも相違点である。

@本来の新幹線は高架部分

 しばらくすると、列車は東京新幹線車両センター内の「着発18番線」に停止した。その後は洗浄機を通過し、「庫(くら)1番線」へと移動した。車内では、あれこれと解説アナウンスが流れている(洗浄機で使われている水のことや、車両フロント部分の洗い方など)。
 庫で停車中、隣にはE5系が停車していた。行先票には「はやて709」とあるが、これは架空であり、今日の日付であるとのこと。
 停車時間が長いため、車内では車両センター職員への「質問タイム」が設けられていた。
 敷地内をバックして、またしても洗浄機を通り、着発9番線へ移動した。

@洗浄中

 ここでまた、しばらく停車である。ここの車両センターだけで1時間18分も滞在することになっている。車内ではまた質問タイムとなり、職員にあれこれ聞いている人もいた。私は、ひたすら焼き鳥とコンビニ食材で呑み続けるだけである。

@カードが配付された

 11時58分、やっと動き出した。そのままバックで動き続け、12時04分に上野に戻って来た。しばし停車し、12時14分に上野を再度出発した(この後も10分程度の停車時間が多発するが、これは運転士が移動するためである。10両の車両の内部を歩いて移動するため、時間が掛かるようである)。
 ここで、今日の弁当(特製掛け紙)が配付された。中身は普通の幕の内である。

@ということで掛け紙を掲載

 先ほどは田端の手前から下に降りて行ったが、今回はいつも通りのルートで高架を走り続けていった。
 弁当を食べ終わり、その後はアルコールの影響もあってウトウトとしてしまった。ふと目を覚ますと、もう小山新幹線車両センターの敷地内であった(庫1番線に停車中)。
 そこからバックして、引上線へと入っていく。東北新幹線の車両に乗っているのに、目線が在来線と同じなので、違和感満載である。

@新幹線車内より

 引上線でしばし停車し(運転士の移動)、着発番線へと移動した。隣にいるE5系は「はやて40」と表示されており、しかも行先は「小山」である(もちろん架空の設定)。
 なお、この列車には車内販売がある。アナウンスで「新幹線のあのカチコチのアイス」があると宣伝していたので、つい買ってしまった。

@カチコチ

 着発番線から引上線に移動し、またしても洗浄機を経て庫2番線へ移動した。その後は、小山駅に向かって再度バックで移動である。前後を行ったり来たりする度に10分ほどの時間を要するため、なかなか進まない。
 14時36分、小山に戻って来た。14時46分に同駅を出発。しばらくは、また「いつもの東北新幹線」である。
 15時07分、那須塩原に到着し、3分後にまた動き出して高架から外れて「那須塩原電留線」へと入って行った。敷地内には他の新幹線車両はなく、作業用の車両などがあるだけである。

@こんな感じ

 ここで40分以上も停車するが、手持無沙汰にならないよう、昔に使用されていた地域ごとのチャイムの音声が紹介されたりしていた。15時58分に動き出し、16時04分に那須塩原駅へ。同駅を16時16分に出発し、また「いつもの東北新幹線」となって仙台方面へ疾走していった。
 仙台には17時01分に到着した。ホーム上では駅員等がお迎えしてくれているが、乗客の注目はそれよりも向かいに停まっていた「East-i」(軌道の試験車)であった。
 仙台を出発してしばらくすると、また高架から降りて行き、最後の訪問先である利府の新幹線総合車両センターへと侵入していった。着発番線に停止したが、隣に停車していたE5系は連結部分が外に出ている状態であった。

@こういう状態

 しばし停車した後、その先にある庫11番線へと移動していった。すぐ隣には高速試験車であるALFA-X(アルファエックス)が停車しており、チビッ子たちは少し大騒ぎであった。

@珍しい

 なお、たいていの庫は行き止まりになっているが、ここの庫は通り抜けられるという点が珍しいという。しばらく停車した後、庫を通り抜けて「新車組成庫」まで移動していった。

@庫を抜け出す

 そこからバックし、庫は経由せずに外を経由して着発番線へ移動し、そしてまた庫11番線へと侵入していった。
 しばし停車した後、今度は庫を通り抜けずにバックをして敷地内を移動した。その先に待っていたのは、先ほど仙台駅で見かけていたEast-iである。

@再会

 日も暮れ始めた19時11分に車両センターを出発し、19時20分に仙台に戻って来た。これで、ツアーは終了である。
 駅からほど近いホテルに投宿。「一番安い」ところを選んだと書いたが、宿泊サイトで検索すると定価は16,000円程度(割引プランでも12,500円程度)のクラスである。普段なら泊まらないようなレベルのホテルであるが、やることはいつもと同じ(半額シール付きのスーパー食材+ストロング焼酎)である。

■2022.7.10
 さて、今日は仙台の鐡ネタ拾いである。7時過ぎにチェックアウトをして、地下鉄の駅へ行って土日用の一日券を購入した。今日の移動手段は、これと宮城交通バスの1日券(スマホ切符)である。

@これを活用

 地下鉄で長町南まで移動し、そこからは宮城交通の秋保温泉方面行バスに乗り換えた。40分弱バスに揺られ、8時40分頃に到着した磊々峡(らいらいきょう)で下車した。
 しばらく道路を歩くと遊歩道入口があり、まずはここを散策である。

@斧で割ったような岩(天斧岩)

 なお、秋保温泉に来たのは渓流散策をするためではない。ここには、仙台市内で市電として使用されていた車両が展示されているからである。
 遊歩道散策を終えてから、市電が展示されている場所へ。ここは以前、秋保電気鉄道の駅があった場所であり、本来であれば秋保電鉄の車両があればベストであるが、残念ながら廃止後にすべて解体されてしまっている。しかし、市電の車両があれば「昔ここに駅があったのだな」という気持ちにはなれる。

@中に入ることも可能

 車両の内部まで見て撮影してからは、少し歩いて「秋保・里センター」へ向かった。ここには、秋保電鉄の資料が展示されているためである。
 写真中心で物は少なかったが、秋保電鉄関連の資料を無事に確認することができた。

@ジオラマあり(動きます)

 さらに歩き続け、やってきたのはスーパー「さいち」である。テレビで何度も取り上げられているため知っている人も多いと思うが、「おはぎ」で有名な店である。
 実は私も以前に買ったことがあるが、その時は夕方であり、「ごま」しか残っていなかった。私は特に甘いものが好きというわけではないが、「買えなかった」となると心に突っかかる部分がある。ということで、今日は午前に訪問して確実に買うことにしている。
 無事におはぎを購入し、秋保・里センターに戻って屋外にあったテーブルで美味しく頂いた。

@甘さ控え目

 9時58分のバスに乗り、長町南駅へと戻った。地下鉄に乗り換え、南北線の終着駅である富沢へ。ここから10分ほど歩くと、仙台市電保存館がある。
 建物内には3両の車両以外にも、駅名標などたくさんの展示物があった。無料で見学できるのもありがたい。

@一番古い車両

 見学後は富沢駅まで戻り、地下鉄を乗り継いで青葉山に向かった。というのも、鉄道とは関係ないが「自動車の過去・未来館」というのがあり、そこで旧車とF1エンジンが見学できるからである。
 それらを無事に見学してから、再度地下鉄に乗って大町西公園へ。駅からしばし歩いて、最後の鐡ネタとしてSLの見学である。

@最後はSL

 撮影後は、敢えて地下鉄は使わずに商店街やアーケードを歩いて仙台駅へ向かった。
 実は一番最後に、仙台駅近くにある東北福祉大のキャンパスで実施されていた鉄道関係の展示を見たのだが、「撮影禁止」であったので、残念ながら掲載は不可能である。
 東京への戻りは、15時45分発の新幹線「やまびこ」である。

@動いていない洗浄機

 

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