超久々に韓国ぶらり散歩

■はじめに
 コロナも開けて、この春には久々にオーストラリアへ海外旅行をした。それに続いて、今回は韓国である。木曜が勤め先の休日であったので、木〜土の3日間で旅程を組み、航空券はだいぶ前に特典航空券で押さえておいた。ANA便で手配してあるが、復路はコードシェアのアシアナである。
 韓国内の鐡ネタはだいぶ拾い終わっているが、今回は以下のような(地味ネタを含む)ところを訪問する予定である。

・果川科学館(屋外にある鉄道車両展示)
・花郎台鉄道公園と森の道(再訪)
・大田にある護国鉄道記念館
・残り少なくなった客車のセマウル号に乗車
・水仁線跡と保存車両
・蘇莱鉄橋と蘇莱歴史館
・月尾海列車(再訪・見るだけ)と仁川開港博物館

@花郎台鉄道公園にて

■2023.6.1
 最寄駅の始発に乗って羽田へ。ラウンジではいつものカレー以外に「12種の野菜カレー」なるものがあったのでそれをオーダーして、ソーセージをアテに赤ワインを呑んでまったりとしてから搭乗口へ向かった(早朝から呑み過ぎ)。8時40分発のANA便に搭乗。
 当然の如くエコノミー席であるが、プレミアムエコノミー席が解放されていたので、オンラインチェックイン時にそこを押さえてある。

@少し広い(最前列)

 しばらくして離陸。ラウンジで食べ過ぎたため機内食の焼き肉弁当は食べきれなかったが、日系の機内食を久々に楽しんだ。
 11時少し前に金浦空港に到着。事前にQ-codeは登録してあり、入国はスムーズであった(入国スタンプはシールに変更されていた)。
 入国後は地下鉄駅へ向かい、久々にT-moneyカードを使って改札を通り、まずは9号線に乗車した。
 途中駅でしばらく停車したので「あれ?」と思ってホームを見ると、なんとExpress(急行)が向かいのホームから先に出発して行った。地下鉄に急行があるとは知らなった。

@赤い丸は急行停車駅

 かなり乗車してから4号線に乗り換えて、大公園で下車した。地上に出てすぐ目の前にあるのが、巨大な果川科学館である。入口で4,000ウォン(10ウォン=約1円)の入場券を買い、中へ入って行った。
 しかし、今日は科学系の展示物を見に来たわけではない。建物を通過してすぐ外の中庭に出て、鉄道車両の見学である。

@まずはこれ

 機関車とセマウル号の客車が1両ずつあるが、機関車の側面はスケルトンになっており、エンジン部分が見えるようになっている。客車の横には階段が付いていたが、残念ながら中に入ることはできなかった。
 そしてその横にあるのが、風変りなSF風の車両である。

@謎車両

 事前に調べた限りでは「韓国型標準電車の試作車」という普通の車両であったが、いつの間にか改装されたようである。当然、先頭部分などはハリボテである。
 車両の中はSci-Art Loungeということであったが、こちらも閉鎖中であった。
 車両を確認した後は、せっかく入場券を払っているので建物内の見学である。科学系の展示から恐竜の化石など、あれこれと見学した。館内は小学生が多いが、学校行事などで来ているのであろう。

@展示の一例

 駅に戻り、4号線に乗車。三角地で6号線に乗り換えて、花郎台までやって来た。かなり長時間乗車したが、韓国の公共交通機関は安いので、たったの1,650ウォンである。
 地上に出ると廃線跡のレールがあり(歩けるように整備されている)、そこを10分ほど歩くと花郎台鉄道公園である。ここは訪問済みであるが(拙文「兵どもが夢の跡」参照)、その際に駅舎が展示館に改装中であり、それが完成しているかもしれないと思って再度やって来たのである。
 早速公園内へ。小さいSLやプラハ市電は前回と同じであるが、ムグンファ号の客車が増えていた。

@こうして撮影すると現役の駅のよう

 なおこの車両群は、時計の博物館として機能しているようである。
 ホームの先にあった広電の路面電車を撮影し(表紙写真)、続いて駅舎へ。前回訪問時は工事中であったが、無事に開館していた。

@これが目当て

 ドアを通って最初の部屋が、京春線に関する歴史の展示である(オールハングルなので解読できず)。続いての部屋には鉄道関連の小物などの展示物があり、そして最後の部屋には古い鉄道用の座席が置いてあって車内を模している展示であった。何より無料なのが嬉しい(観光スタンプもあったし)。

@展示の一例

 その後は駅に戻ったが、廃線跡は駅から公園側だけではなくて、反対側にも伸びている。前回はスルーしてしまったが、今回は少し歩いてみることにした。
 こちら側も、遊歩道として歩けるように整備されている。多くの人が歩いており、散策スペースとして活用されているようであった。

@こんなところも

 駅に戻り、6号線と2号線を乗り継いで江南へ。日系のビジネスホテルに投宿した。

■2023.6.2
 ホテルの無料朝食(日系だが韓国なのでプルコギ等もあり)を頂いてから、地下鉄で移動。反対側の列車は超満員であるが、よく考えたら今日は平日でラッシュの時間帯であった。
 2号線から1号線に乗り換えて、永登浦に到着。今日はここからKORAILの長距離列車に乗ることになる。

@駅構内

 ホームに降りてみると、観光列車であるG-Trainが出発直前であった。この列車には5年以上前に乗ったことがあるが、韓国には他にもS-Trainなど数種類の観光列車があるので、ネタに尽きてきたらそれらに乗るのも一手であろう。
 しばらくして入線してきたITXセマウル号に乗車して、8時58分に出発した。
 朝食を食べ過ぎたのと、ソウル近郊は町並みが続くだけなので、うっかりすると寝てしまいそうになる。しかしこの列車は釜山行の長距離列車であるから、注意しなければならない。
 いくつもの駅に停まっていくが、乗降が結構多い。やはり、長距離移動はKTXであり、この列車は中短距離を担っているのであろう(釜山まで乗り通す人はほぼ皆無と思われる)。

@沿線風景

 天安を過ぎると、やっと木々が多い長閑な風景になって行った。寝ないように必死に景色を見続けていると、10時20分過ぎくらいからまたマンションなどが多くなってきて、定刻より2分遅れた10時39分に大田に到着した。久々の大田訪問である。

@到着時のITX

 ここからはまず、地下鉄に乗って顕忠院へ行くことにしている。地下に降りて移動していると、なんだか鉄道関係の展示に偶然出くわした。とりあえず、それを見る。

@偶然

 地下鉄に乗ろうとしたが、なぜか入口が見つからない(上記の展示自体、地下鉄駅へ行く動線上にはなかったことが判明)。あれこれ探し、ハングルで「チハチョル」(地下鉄)と書いてある案内を発見して、やっと見つけることができた。
 T-moneyカードで改札を通り、地下鉄に乗車。顕忠院へ向かった。結構長時間乗車して、やっと到着。
 ここは顕忠院(国軍墓地)への最寄駅であるが、距離は駅から3キロほどある。路線バスも多く走っているようだが、急ぐ旅ではないので(雨も降っていないし、暑すぎることもない)、歩き始めた。

@歩けばこその収穫もあり(謎の公園)

 駅から30分ほど歩き、やっと顕忠院の入口に到着した。付近は乗用車やバスで大混雑であり、やはりここは車で来る場所のようである。入口の左右では、超巨大な馬の像がお出迎えである。
 さて、私の目的地は護国鉄道記念館である。山ほど情報があった果川科学館とは違い(そこはそこで車両が大きく変わっていたが)、こちらの記念館の情報は日本語サイトでは2つくらいしかなかった。
 訪問する人のために敷地図を紹介すると、左上にある@が護国鉄道記念館である。

@見難いですが

 敷地内に入り、広大な墓地のところで左に曲がり、10分強歩くとやっと到着である。かなり立派なSL(ミカ3)と客車2両があり、その手前には腕木式信号機もある。

@護国鉄道記念館

 記念館という名の通り、ただ単に車両が係留されているだけではなく、内部が見学できるようになっている。車両側面に立派な階段があり、まずはSLの運転台へ。そのまま通路が客車まで続いており、内部に入れるようになっている。
 車内は、立派な鉄道博物館となっていた。まずは戦中戦後の資料などである。

@展示物その1

 車内はクーラーも効いているし、ハングルだけであるがビデオも上映されている。
 次のゾーンに入ると、名前がたくさん壁に記載されていたので、これは恐らく鉄道関連で亡くなった方々の名前であろう。そしてその次(の車両)の展示は、近年の鉄道関係であった。意外に立派な資料館であり、もっと知名度があってもいいと思われる。

@近代鉄道関係

 歩き疲れたので敷地内にあった東屋でしばらく休んでから、駅へと歩いて戻った。
 地下鉄に乗って大田駅に戻り、少し時間があったので駅近くにある巨大な市場を散策。駅に戻ってから15時06分発のムグンファ号に乗り込んだ。

@右手にいるのはSR

 同駅を出発。それにしても、ずっと床がゴロゴロしているような違和感があるし、車両の揺れも大きい。夜行列車であれば確実に寝られないくらいである。朝に乗ったのと同じ路線であるから、いかにITXの車両が優れているかの証左でもある。
 このまま乗り続ければソウル市内に帰ることができるが、16時53分に天安で下車した。ここから、客車のセマウル号に乗り換えるためである。天安は長項線が分岐する駅であり、この路線には客車のセマウル号がまだ残っているのである。
 乗り換え時間を駅付近で適当に過ごし、やって来たセマウル号に乗車した。

@こんな車両

 客車のセマウル号と言っても、ステンレス車両の丸窓タイプは2018年に引退しているので、この車両は「ムグンファ号の客車をセマウル号用に改造して、塗装はITXに似せたもの」という、かなり中途半端なものである。しかし、乗ったことがなかったので、敢えてこれを組み入れた次第である。同駅を出発。
 列車は少し遅れており、定刻から8分遅れの17時30分に永登浦に到着した。地下鉄を乗り継いで江南に戻り、海苔巻きやフライドチキン(ポパイス)や酒をいろいろな店で買って、ホテルに戻った。

@韓国っぽく

■2023.6.3
 8時過ぎまでゆっくりしてからチェックアウトをして、今日も江南から地下鉄に乗車。2号線から4号線に乗り換え、途中からは地上を走り、1時間と少しで古桟に到着した。
 今日の最初の目的は水仁線跡である。この路線の廃線跡は各所で見られるが、この駅付近が一番アクセスが楽で、車両(註:水仁線で使われたものではない)があるから訪問した次第である。
 駅前を出るとすぐに廃線のレールがあり、それに沿って歩いていくとムグンファ号で使われていた車両が見えてきた。

@廃線跡

 見ての通り線路の幅が狭いナローゲージであり、右側にある車両は走ることができない幅である。この車両は、今はカフェとして利用されている模様。
 廃線跡の確認はすぐに終わって、駅に戻る。これから蘇莱浦口へ向かうが、途中の烏耳島までは4号線と水仁・盆唐線が並走している。私は後者に乗る必要があるが、壁にある時刻表を見たら1時間に2本しかない。ということで、再度廃線跡散策である。

@駅名標もあった

 しかし思い直して、駅に戻ってすぐにやって来た4号線に乗り込んだ。というのも、仁川方面は人口密度が高いはずであり、それでいて1時間に2本だけはありえない。ということは、烏耳島から仁川方面への区間運行があるはずである。
 烏耳島に到着すると、向かいのホームに空の列車がやってきてそれが仁川行となった。作戦成功である。
 大きな川を渡ってから、蘇莱浦口に到着。ハマグリの露天商がいる道を歩いて橋の方に向かって行くと、左手にSLが見えてきた。歪んでいるのでハリボテかと思って近づいてみると、本物のSLであった。

@SLがあったとは

 振り向くと、SLがあったのは蘇莱歴史館の敷地内であった(ここは後で訪問する)。
 海が近いので、川沿いにはエビやカニの大きなオブジェがあったりするし、ウミネコがあちこちで飛んでいる。そんな中、目的地である蘇莱鉄橋へと向かった。ここももちろん、水仁線跡である。
 とりあえず渡って写真を撮って戻ってきたが、橋の全体像は外からでないとわからないので、橋を見渡せる広場に移動してから撮影である。

@全体像

 続いては、蘇莱歴史館である。入館料はたったの500ウォンであるためコインで支払おうとすると、何やらあれこれ言ってくる。どうやら、クレジットカードしか受け付けていないそうである。もちろんそれで支払ったが、たったの50円でカードを切ったのは初めてである。
 歴史館という名であるが、館内(2階から見ていく)は駅舎を模した入口になっており、鉄道建設の歴史や模型などもあり、ほとんど「鉄道博物館」と言っても良いような展示内容であった。

@鉄道ばかり

 ルート通りに進んで1階に行くと、塩田に関する展示もあったが、やはりこのフロアでも一番目立つのは鉄道であり、旧い車両がそのまま展示されているのである。塗装が安っぽいのでハリボテ風に見えるが本物の車両であり、中にも入ることができるようになっている。

@実質、鉄道博物館

 展示物を見終わってからは駅に戻り、水仁・盆唐線に乗って仁川へと移動した。
 ここでの目的は、まずは月尾海列車である。これについては「月尾銀河レール」という名称で計画が頓挫していた時代(2014年)に訪問したことがあるが(拙文「ぶらり韓国Part2」参照)、それが2019年に開通したものである。開通を知った当初は「だったら乗ってみよう」と思っていたが、なんと乗車料金が8,000ウォン! 地下鉄や近郊列車に1時間以上乗っても2,000ウォンを越えない韓国で、まさかの価格設定である。お金がないわけではないが(財布には20万ウォン以上ある)、しかしそこまでして乗る気にはなれない。よって、見るだけである。

@見るだけ

 ちなみに乗り場には並んでいる人もいたので、これは公共交通機関というよりは、ちょっとしたアトラクションなのであろう。にしても、超スローな走行速度であった。
 中華街へ行って賑やかな道を歩き、やって来たのは開港博物館である。ここは日本の銀行であった建物で、中にある展示物の一部に、韓国初の鉄道である京仁鉄道関連の展示があるため訪問した次第である。
 たったの500ウォンを払い(今回はコインで支払い可能)、内部へ。鉄道関係は1部屋だけであったが、信号機や時刻表、タブレットや模型などが展示されていた。

@展示品

 見学を終えた後は、再度中華街をぶらぶらして、その後は仁川駅から近郊路線や空港連絡鉄道を乗り継いで仁川空港にやって来た。
 この時点でまだ15時前であり、出発まで3時間半以上もある。以前であればカウンターが開いていなくてチェックインができないが、今はセルフで手続きができるため、預入荷物がなければもう出国可能である。ということで、アシアナのラウンジでまったりすることにした。
 ラウンジではこの旅行記でも書こうと思ったが、ビールはもちろんあるし、そしてチキンもある。ということで、今日は呑んでしまうことにした。

@締めはチキンで

 

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