【大人鐡44】近江鉄道「近江の地酒電車」・大阪モノレール「夜景と楽しむ日本酒列車」編

■はじめに
 食事付きの観光列車に乗るこのシリーズであるが、今回は2週にわたって日本酒を楽しめる企画列車に乗ることにしている。
 まず1つ目は、近江鉄道の「近江の地酒電車」である。例年冬に開催されており、昨年度も案内はあったのだが、コロナの影響で運休になってしまった。しかし、今年は無事に運転されることとなったものである。1月末から3月初めの土日、6週にわたって運行されるものであり、10銘柄の純米酒が呑み放題で、2銘柄の大吟醸の試飲ができるという。なお、大吟醸の酒蔵は週ごとに交代となり、私が乗る2月4日は冨田酒造と中澤酒造とのこと。
 列車の内容としてはほぼ変更がないが(特製弁当と一日乗車券が付く)、変更点としては、過年度は5,500円であったが、7,500円に値上がりしてしまったことである。昨今あれこれ値上がりしているので、致し方ないのであろう。なお、オプションで「焼き鯖寿司」(710円)も買えるということなので、そちらも注文しておいた。8,210円を事前に支払い、1週間くらい前に案内や切符が郵送されてきた。
 2つ目は、2月11に運行される大阪モノレールの「夜景と楽しむ日本酒列車」である。大阪モノレールがこの手の列車を走らせるのは意外であり、私も某観光列車情報サイトで偶然に発見したものである。調べてみると、昨年12月に「空飛ぶ夜景列車」としてワインが飲める列車が開催されており、それ自体が7年ぶりのイベント列車開催であったとのこと。いずれにせよ、珍しい企画である。
 日本酒(3合程度)と食事、お土産(枡とカップ酒)が付いて、6,000円也。なおこちらについてもオプションが付けられるため、「さば寿司特選セット」(1,000円)を追加した。ネットのイベント用サイトで申し込み、そこで支払い。利用券は、スマホで提示する形である。
 事前に運行の情報を知っていれば、近江鉄道に乗車するのを2月12日(日)にすることもできたが、大阪モノレールの運行情報を知ったのは1月の中旬であったため、その時点で近江鉄道の方は決済をしてしまっていた。よって、2週にわたって関西方面への移動となる。

@彦根駅にて

■2023.2.4
 どうやって安く行くかを考え、往路は名古屋まで「ぷらっとこだま」+在来線、復路は同様に在来線で名古屋まで行き、そこから高速バスで帰る旅程にした。
 最寄駅から始発列車に乗り、日本橋で降りて歩いて東京駅へ。6時30分発の「こだま」に乗り、名古屋まで移動した。在来線に乗り換えて、米原には10時40分に到着した。
 ここで近江鉄道に乗り換えられるが、次の出発は11時37分である。そこで、飲み物を持ってくるのを忘れていたので駅に近いスーパーに行ってみると、木之元で有名な「サラダパン」があるではないか(サラダと言っても、中身はタクワン)。3時間後には地酒電車に乗るが、空きっ腹に日本酒は危険なので、これを腹に入れておくことにした。

@久々に頂く

 それでもまだ時間が余りまくっている。ということで、続いては駅東口側に出て鉄道総研の新幹線保存場へ行ってみた。車窓からも眺めることができるし、だいぶ前に中に入らせてもらったこともあるが、久々に3両ある新幹線試験車両の様子を見に行った。横には童夢の社屋もあり、無限HONDAの車両などをガラス越しに眺めたりして時間を潰した。

@久々に撮影

 時間潰しも終わり、米原駅へ。地酒電車の出発まで時間があるため、一日券を使って観光をすることにしているが、近江鉄道の沿線は2021年の夏にあちこち観光済みである(拙文「【第三セクター応援鐡旅G】北陸編(おまけで中部編落穂拾い)」の後半部分参照)。そこであれこれ考えて、豊郷小学校旧校舎群を訪問することにした。上記旅行記でも訪問済みであるが、その際はコロナの影響で建物の中に入ることができなかったのである。
 事前に郵送されていた切符で、ホームへと入った。

@一日券も兼ねている

 11時37分に米原を出発。フジテックの大きな工場を眺めたりして、最後にトンネルを過ぎて彦根に到着した。近江鉄道の各列車は、彦根で必ず長時間停車するダイヤになっている。つまり、人の流れはここで区切られているのであろう。
 彦根を出発し、12時11分に豊郷に到着した。駅から10分程度歩いて、小学校に到着した。

@天気も良い

 ここまで(外観撮影まで)は一昨年に実施済みであるが、今日は校舎内に入ることも可能である。しかも、無料であるのが嬉しい。
 校舎内に入り、展示物などを見学。電話室には超絶古い電話機があったり、階段の手すりには兎と亀がいたりして、歴史を充分に感じることができる施設であった。

@どっちが速いか

 なおこの施設は、アニメの聖地としても有名ということである。それに関する展示物もあり、意外に多くの訪問者がいるようであった。
 見学後は滋賀名物の「とび太くん」の撮影を道路脇でしながら駅に戻り、13時28分発の列車で彦根に戻った。

@駅名標もアニメ風(小学校に関連があるアニメとは別物)

 13時45分に彦根に到着し、ホーム上で地酒電車の受付を済ませた(受付と言っても、座席表をもらうだけ)。私の席は前側の車両の一番前であり、これなら景色も良さそうであるし、席への出入りも簡単そうである。
 地酒電車の車両は引込線で準備中であるが(表紙写真)、14時頃になって入線してきた。

@この車両で呑む

 早速車内へ。机の上にはすでに弁当と、日本酒10種が置かれている(入れ物自体は12個あるが、大吟醸2種については出発後に注がれることとなる)。私の場合は鯖寿司も追加注文しているので、それも置かれている。

@私の席

 地酒電車であるから、車内には大きな樽も置かれている(あくまで意匠として)。窓側には暖簾も掛かっており、酒屋風の雰囲気である。

@樽あり

 上述した通り、私の席は一番前である。前方も見渡せるので、往路に関しては最良席である。なお料金表示板に示されている行先も、今日は「地酒電車」である。

@特別表示

 14時10分過ぎに出発後、車内アナウンスがあって全員で乾杯をした。
 さて、まずは弁当である。地元の食材である近江牛や赤こんにゃくなどが入っている、特製弁当である。

@肉がうまい

 純米酒を1番から順に呑みながら、弁当を頂き続けた。しばらくすると、2種類だけの大吟醸が回って来た。

@ラベルを撮影させてもらう

 その後も、ひたすら呑むだけである。カップ自体は小さく、そこに1/3くらい注がれているだけなので、一口で呑めてしまうくらいである。
 この調子で呑み続けては危険なので、腹を膨らませるために鯖寿司も頂くことにした(家呑みならば「締め」で頂くもの)。

@これも美味

 14時48分、八日市に到着して、ここで折り返した。私の席は最後尾となる。
 しばらく走行し(私は呑み続け)、五箇荘に到着した。ここでドアも開き、最初のトイレ休憩である。私はトイレには行かないが(ビール飲み放題だとトイレが必須であるが、日本酒の場合は大丈夫である)、気分転換でホームに出てみた。隣接する新幹線が、轟音を立てて通過していく。

@トイレ休憩

 同駅を出発し、その次のトイレ休憩は尼子であった。
 なお、往路では日本酒のお代わりがなかなか回ってこなかったが、復路の後半になると、注文する人も限られてきた(私を含めて、かなり呑む人だけ)。当初はカップの1/3程度であった量も、係員が「もう並々注いじゃいましょうか」となり、カップ一杯にまで増えて行った。

@酒飲み専用の量

 結構な量を呑んで酔っ払い、16時過ぎに彦根に到着して、地酒電車は終了である。駅から歩いて10分くらいの場所にある安ホテル(旅行支援や「じゃらん」のクーポンを利用してたったの2,648円であり、もちろん旅行支援クーポンも付く)に投宿。

■2023.2.5
 今日は、13時00分発のバスで名古屋から帰るだけである。せっかく彦根にいるので、まずは彦根城観光である。

@朝から

 これで「現存12天守」のうち、丸岡城以外は登った気がする(うろ覚え)。
 さて、名古屋まで各駅停車で移動すると1時間半くらい時間が掛かるため、11時前には彦根を発たなければならない。しかしその前に、旅行支援のクーポンの消化が必要である。コンビニやスーパーでも使用できる地域がある反面、飲食店や土産物店でしか使用できない地域もあり、滋賀の場合は後者である。ということで、地酒とカレーに落ち着いたのであった。

@ひこにゃん連発

 その後は名古屋へ移動し、2週間後に使う切符を名古屋駅で買ったりしてから、高速バスで帰京。

■2023.2.11
 大阪への往復であるが、今回はパック旅行にしてみた。伊丹空港への往復+ホテル1泊で3万円、旅行支援で5,000円と「じゃらん」のクーポンで3,000円割り引かれて、22,000円。これなら及第点であろう。
 値段優先で搭乗便を選んだため、往復とも昼前後の便である。いつもらしからぬ遅い時間に家を出て羽田空港に向かい、13時00分発の便に乗り込んだ。
 14時20分頃に到着。カードラウンジでしばしゆっくりしてから、17時頃にモノレール駅へと向かった。出発まで30分くらいあるが、すでに日本酒列車は入線していた。

@外観はいつも通り

 いつもと変わらないモノレールであるが、行先票は「団体・貸切」となっている。
 早速車内へ。すでに机上には弁当や枡が置かれている。パーティションなどの所謂コロナ対策もなく、席もぎっちり埋まっているが、もう気にしなくてもいいであろう。
(枡の後ろに小さいビニール袋があるが、これはお土産用のワンカップ酒である。これが、最後に少し話題になる)

@私の席

 車内も、テーブル等が置いてある以外はいつものモノレールであるが(広告などもそのまま)、しかし入口には暖簾があったりして、雰囲気は少し異なっている。

@酒屋風に

 出発前から、1本目の日本酒(濁り酒)がテーブルに置かれ、それで乾杯した。17時33分、大阪空港を出発。
 その後も、2種類の日本酒が追加で出てきた。チラシに「3合程度」と書いてあったので、小さい瓶(1合)が3本出てくるのかと思ったが、まさかの4合瓶での提供である(各テーブル内でシェア)。「これだと、早く呑む人だけが多く呑んでしまうのでは」と思ったが、空になったら次の瓶が出てくるということで、一安心である。

@2本目はこんな酒

 テーブルでは見ず知らずの人同士が座っているが、酒の力もあってあれこれと話が盛り上がった。酒を提供する観光列車の話にもなったが、なんと私の向かいに座っていた夫婦は、先週土曜日の近江鉄道にも乗っていたとのこと。これはかなりの奇遇である。
 しばらくすると、万博記念公園に到着した。ここからは支線に入っていく。車内のライトが消されて、夜景を見ることができるようになった。

@太陽の塔

 モノレールなので結構揺れるが、酒を注ぐのはなんとか可能な範囲である。
 しばらくすると、支線の終点である彩都西である。以前ここまで乗ったことはあるが、今日はそのまま引込線に入って反対側のホームに移動する間も乗車可能である。
 日本酒を勢いよく呑み続けたので、今日も鯖寿司をツマミに呑むことにした。2週連続の鯖寿司である。

@今日の鯖寿司

 今日の鯖寿司は、特に後ろ側の段の右側にある焼き鯖が柔らかくて美味であった。
 大阪の夜景が奇麗に見える場所では、一時停止をして車内のライトも消された。これは、通常のモノレール乗車時にはない演出である(私のデジカメでは奇麗に撮影できず)。
 もうこの時点でかなり呑み過ぎであるが、ここで「日本酒の追加です」ということで、なんと大吟醸が各テーブルに運ばれてきたのであった。これは、もう呑まないわけにはいかない。

@最後に大吟醸

 車内では、商品争奪のじゃんけん大会が始まっている。数個の商品があったが、私はほとんど最初の方で負けてしまった。
 しかし、最後の最後(しかも商品は大きな日本酒で、一番の目玉)で、なんと最後まで勝ち残ってしまった。これは大収穫である。

@まさか

 列車はいったん大阪空港まで戻り、トイレ休憩を挟んで、再度万博記念公園へと向かって行った。
 さて、最後に酒屋からプレゼントがあるということだが、当選者は、お土産のワンカップ酒にいる天使が1人多い人、だという。なんと、私のワンカップがそれに該当していた。

@左のカップが私の(右下に1人多い)

 当選記念(?)として、右側の普通のワンカップも、隣の方から頂いてしまった。
 19時28分に万博記念公園に到着して、日本酒列車は終了である。構内のブースで例のワンカップを見せて、酒屋のエプロンのようなものをもらった。
 さて、今日のホテルはパック旅行に付いているが、ここから移動しなくて済むように、茨木駅前のホテルを選んである。しかし、モノレールとJRは接続していないので、モノレールで隣駅の宇野辺へ行き、そこから15分ほど歩いてホテルに投宿した。

■2023.2.12
 今日は12時の飛行機で戻るだけである。遠出はできないため、茨木観光をすることにした。目的地は、茨木神社・東本願寺茨木別院・総持寺・丸また・川端康成文学館である。
 7時半頃にチェックアウトをして、神社や別院を経由して、歩いて総持寺までやってきた。

@久々に

 数年前に西国巡りで来て以来の参拝である。
 続いては「丸また」であるが、上記に記載した目的地のうち、これについてはほとんどの人にとって謎であろう。これは鉄道遺構のことであり、旧いレンガ造りのトンネルのことである。

@こんな感じ

 その足で、すぐ近くにある川端康成文学館に向かった(無料なのがありがたい)。
 さてこの後は、阪急の茨木市駅に向かい、そこから乗り継いで蛍池駅に向かい、そして歩いて伊丹空港へ行き、旅行支援クーポンを消化してから12時の便で帰るだけである。

@珍しい行先票

 

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