【大人鐡41】JR東日本「やまがた秋のワイン号」編(+祝・只見線復活)

■はじめに
 今回乗車する食事付き観光列車は、定期運用されているものではなく、JR東日本が「鉄道開業150年」企画の一環として、お座敷列車「華」を使用して運行するものである。仙山線を中心に10月8日と9日に2往復するものであり、午前出発の便は「食べっしゃ やまがた松島号」(松島行)と「食べっしゃ 仙山号」(仙台行)、夕方出発の便は「やまがた秋のワイン号」と「ほろ酔い山形美酒号」(いずれも山形行)である。前後の予定を勘案して、ワイン号に申し込んだ。高畠ワインとホテル特製のオードブル、そこに乗車記念ワイングラスが付いて、9,800円也。
 観光列車に乗った後は、今月やっと運行を再開した只見線に乗ってくることにした。只見線は2011年の水害で只見から会津川口まで不通となっており、元より閑散区であったことから廃線も危ぶまれたが、地元の協力(上下分離方式での運行)もあり、11年ぶりに運行されるようになったのである。
 当初は「週末パス」を使い、土曜日に仙台まで移動+観光列車に乗車、日曜日に会津若松まで移動+只見線に乗車+浦佐から新幹線料金を追加して帰る、という旅程を考えていたが、せっかくの三連休であるため、3日間有効(ただし新幹線には乗れない)である「秋の乗り放題パス」に切り替え、日曜日は会津若松まで移動+磐越西線の不通区間代行バスに乗車に変更し、月曜祝日に只見線に乗車して帰ってくることにした。こうすることで只見線乗車は会津若松始発の列車となるため、同業者(鉄道好き)も少ないであろう、という目論見もある。

@仙台駅にて

■2022.10.8
 今日はまず、各駅停車を乗り継いで仙台に向かうのみである。
 最寄駅から大宮に向かい、そこから宇都宮行に乗り換えた。その先は、黒磯と新白河と福島と白石で乗り換えて仙台に向かう予定である。そのまま向かったのでは14時過ぎに着いてしまうため、白石で1時間ほど観光をして15時過ぎに到着するようにして、そして16時07分発の観光列車に乗るという算段である。

@ポスターの前で

 しかし、栗橋付近で列車は急停車してしまった(直近を走る列車から異音がしたため安全を確認するという)。結局25分も遅れてしまい、当初予定の乗り継ぎは絶望的となってしまった。
 「だったら白石での観光をなくせばいいや」と思って時刻検索をしてみると、急に乗り継ぎが悪くなり、仙台到着は16時07分(まさに観光列車の出発時間)になってしまうという。大急ぎで様々なパターンを検索し、最安の新幹線料金との組み合わせを考え、那須塩原から新白河まで1,390円「課金」して新幹線を組み入れることにした。こうすれば、15時07分には仙台に到着できる。
 宇都宮到着は、9時21分。「もしかして接続を」と期待していた9時12分発の黒磯行はすでに出発しており、課金確定である。「1,390円もあれば駅弁も買えたのに」と思って駅構内を歩いていると、以前から気になっていた駅弁を発見。自棄で買ってしまうことにした。

@ネタにもなるし

 生姜以外の総菜やご飯にも、各所に生姜が使用されているようである。おかずの分量も多くて、満足できる内容であった。
 9時49分発の黒磯行に乗り、10時35分に到着した那須塩原で下車した。そして券売機に行き、予定外の切符を購入。「週末パス」利用であれば特急券だけで済んだが、「秋の乗り放題パス」の場合は乗車券も買わなければならない。
 さて、ここですぐに新幹線に乗るかというとそうではなく、次の新幹線は11時23分発で50分弱も時間がある。つまり、黒磯から新白河までの区間の運転本数が少ないためであり、「新幹線で時間を稼ぐ」のではなくて「運転本数が少ない部分を新幹線で繋ぐ」方法なのである。

@駅前でぶらぶら

 時間になり、件の新幹線に乗車。三連休初日ということもあり自由席は混雑していたが、無事に窓側席に座ることができた。
 しかし、下車すべき新白河までの所要時間は、たったの10分である。新幹線は隣駅までの特急券は特例で安くなっているが、それでもこうして乗ってみると高いと思う。
 その後は郡山と福島と白石で乗り換え、仙台には15時07分に到着した。
 観光列車の臨時受付は15時10分〜40分ということなので、その足で受付へ。一式を受け取った。

@今日の一式

 乗車券やグリーン券以外に、座席を示した紙が入っていた。ビニール袋は、自分の靴を入れるためのものである(お座敷車両であるため)。
 列車の入線は15時43分ということなので、しばし駅構内をぶらついてから改札を通った。行先案内には「山形ワイン列車」と記載されている。

@団体

 ホームの端で待ち構えていると、予定の時刻に「華」編成が入線してきた。1号車から入線してきてそれが折り返し山形に向かうため、今日は6号車が先頭である(そして私の座席は6号車である)。

@お座敷車両(外面)

 車内に入れるのは15時50分頃と書いてあったのだが、すぐにドアが開いたので早速車内に入ってみた。この車両については、中央本線で臨時快速として運行された際に以前1回だけ乗ったことがあり、今日のこれで2回目である。

@お座敷車両(内部)

 早速指定された自席へ。先頭車両なので一番端であれば展望席状態になるのであるが、残念ながら車両の中間くらいである。しかし、少しくらいは前方が見渡せそうである。
 席上には、ワイン用グラス(プラスチック)とお土産用のグラス(ガラス)があり、さらにパンフレット等が入ったファイル、メニュー、ワインチケット、水のペットボトル、お手拭きが置かれている状態である。お座敷ではあるが、掘り炬燵形式になっているため足は痛くならない。

@自席

 出発前の時点でオードブルが配膳されて、そして1杯目としてスパークリングワインが注がれた。今日はこれ以外にも6種類のワイン(合計7種類)呑めることになっている。

@まずはこれから

 16時07分、横断幕を広げた駅員等に見送られて仙台を出発した。他の号車の様子は分からないが、6号車は12席分満席である。
 さて、後はひたすら呑んで食べるだけである。次のワインに行く前に「やっぱり最初はビールかな」「ワインが少なかったらどうしよう」という思いがあり、仙台駅で東北らしいものを2本ほど買ってしまっている(しかし結果論で言うと、山形鉄道のワイン列車は試飲的な感じであったが、今日はそれぞれ結構な量があり、呑み過ぎてしまった)。

@追加的に

 ツマミであるが、ホテルメトロポリタン仙台特製のオードブルである。重なり合っているのですべては写っていないが、真空サラミの後ろ側に柔らかいお肉のローストがあり、これが個人的にはヒットであった(そういうのを、もっと前面に出しても良さそう)。

@これで呑む

 ワイン6種類は引換券制度になっている(切り離して渡すものと思ってバラバラにしてしまったが、そうではなくて係員がマーカーをする形式であった)。白が2種類、赤が3種類、熟成させた茶色系が1種類である。適当な順番で注文して、「赤ならお肉」のようにして食を進めた。なお、メニューには食べ物とワインの推奨する組み合わせも掲載されていた。

@引換券

 どんどんワインを飲んだが、注がれたワインはどうやって撮影しても同じ絵になってしまうし、これといった撮影チャンスもない。ということで、ブログ的なネタは以上で終了である(途中、面白山信号所というトンネル内で退避をしており、定期列車では体験できないためネタと言えばネタであるが、真っ暗な写真では掲載してもあまり意味はなく…)。
 18時10分、駅員等にお出迎えをされて山形に到着した。これでワイン列車の旅は終了である。

@終わり

■2022.10.9
 今日は磐越西線の代行バスに乗ることにしている。ということで、まずは喜多方を目指しての移動である。
 7時11分発の列車に乗り米沢へ移動して、そこで福島行に乗り継いだ。板谷峠を越えて、福島に到着。
 さて、今日も朝から豪華に駅弁と行きたい。福島(郡山)と言えば「海苔のり弁」が有名であるが、今日は敢えて米沢駅の駅弁である。といっても定番の「牛肉どまん中」ではなくて、山形新幹線30周年記念弁当「やまがた肉三昧どまん中」である。

@肉3種

 1,500円となかなかのお値段であるが、旅行中はお金のことはあまり考えないようにしている。さすがに、美味であった。
 9時36分発の郡山行に乗り込み、郡山で中途半端な時間(約50分)を潰して11時15分発の会津若松行に乗り込んだ。
 平々凡々な車窓(今日は曇っていて磐梯山も良く見えない)を眺めていると、途中の小さい駅で芸能人3人+撮影班が乗り込んできた。旅物の撮影のようである。
 12時30分、会津若松に到着した。喜多方行は13時25分であるため、ここでも中途半端に時間が余っている。最初は芸能人が会津バスの窓口であれこれ聞いている姿(旅番組にありがちな絵)を遠巻きに見たりしていたが、その後は待合所でこの旅行記を書いたりして時間を潰した。駅のあちこちに只見線再開を祝う幟や看板などがたくさんあり、歓迎ムードである。

@こんなものも(キャップアート)

 隣のホームには当初旅程で乗る予定であった13時05分発の只見線(小出行)が停車しているが、2両編成すべての座席が埋まり、通路やデッキに立っている人もいるくらいの大混雑である。これは、明日朝の乗車にして正解であった(とこの時は思った)。
 定刻から5分遅れた13時30分に出発し、喜多方には13時45分に到着した。代行バスの出発は14時20分であり、今日は本当に「中途半端な待ち時間」が多い。
 しばらくすると、喜多方行の代行バスが到着した。あれが折り返し山都(やまと)行になるようである。

@JRバス

 磐越西線は喜多方から野沢までのほとんどの列車が運休となっているが、完全に列車が走れないのは喜多方から山都までであり、山都から野沢までは1日1往復だけ列車が運行している。なぜ1往復だけ鉄道が残っているかの理由は不明であるが、ネットで調べてみると、「信号等の動作確認」「レールの錆落とし」などであるらしい(真偽不明)。
 14時20分に喜多方駅前を出発。意外に乗客がいて20人くらいも乗車しているが、1号車だけで充分である(1号車がJRバス、2号車が会津交通バスの2台体制)。
 時刻表では14時47分着となっていたが、山都駅には14時40分に到着した。怪しげな像が駅近くにあったりするが、こんな機会がなければまず途中下車しない駅であろう。

@少し散策してみる

 駅構内に入り、すでに入線していた2両編成の新津行に乗り込んだ。15時03分に出発。本当かどうかは知らないがしっかりとレールの錆落としをして走行し、野沢には15時21分に到着した。ここからは折り返し15時55分の代行バスで喜多方に戻るため、しばし駅周辺の旧い旅館がある町並みを歩いたり、道の駅に行ったりして時間を潰した。
 駅に戻ると、今度はバス3台体制である。しかし、1号車に3人だけを乗せて定刻に出発した(途中駅から学生が10人くらい乗って来たが、それでも1号車だけで充分であった)。

@2号車と3号車(肌色のバスが増えた)

 喜多方駅には16時48分に到着した。今日は「乗り継ぎが悪い日」の代表例のような日であるが、それを象徴するかのように、次の会津若松行の列車は17時55分発である。どうしたものかと思って近隣情報を調べてみると、国鉄の日中線跡が遊歩道になっており、鉄道車両が置いてある場所まで片道25分くらいで歩けるようである。ということで、そこに向かって散策を始めた。
 しばらくして、SLと小さな機関車が見えてきた。

@鉄道公園のよう

 暗くなり始めた中遊歩道を戻り、17時55分発の列車で会津若松へ。スーパーで半額食材を揃えてから、駅から徒歩20分くらいのところにある安ホテルに投宿した。

■2022.10.10
 5時半前にチェックアウトをして、5時45分頃には会津若松駅に到着した。6時08分発までまだ時間があるが、1両編成の只見線の車両に向かってみると、なんともうほとんどの座席が埋まっているではないか。何とか最後の窓側席(進行方向とは反対側)を押さえたが、結局早朝でも混雑具合は似たような感じであった。

@朝は1両のみ

 定刻に会津若松を出発。只見線再開後初乗車となるが、代行バス時代にも2回ほど乗りに来ているため、会津川口まではそれほど「久々」というわけではない。
 曇り空(時々雨)の中を走り続ける。沿線や駅付近では、1人だけで手を振ってくるおばさんなどがいたりして、地域全体で歓迎ムードである。
 対向列車と行き違いをする会津宮下では停車時間が長かったので、駅前まで出てみたりした。
 続いての長時間停車は、会津川口である(ここから先が再開区間)。停車中に駅売店に行ってみるとおにぎりなどがあったので、それでも買おうとしたら、横に「姫ます寿司」なるものがあるではないか。小ぶりな箱で1,500円もするが、これは買わない手はない。

@車内で頂く

 しっとりとして柔らかい食感であり、優しい味であった。
 さて、満席で立つ人もいた車内であるが、「会津川口で降りる人もいるだろう」という予測を覆して、なんと通路まで超満員になってしまった。超絶「密」であるが、やはり再開後の収支も気になるので、これは嬉しいことである。代行バス時代に2回乗っており、それぞれ旅行記にしているが(拙文「夏休み落穂拾い」及び「【petit-tetu】第三セクター探訪(おまけで只見線)」参照)、前者の時などはバス車内の乗客は私1人だけであったので、それと比較すると大きな違いである。地域の復興になれば、何よりであろう。

@沿線でもお祝いムード

 9時07分、只見に到着した。駅前には新しいインフォメーションセンターが出来たりして、雰囲気が少し変わってきている。
 ここで23分停車するので、しばし散策である。本来なら2時間くらい観光したいところであるが、列車の本数が少なすぎるためそれはままならない。
 9時30分、只見を出発した。この先は小出で上越線に乗り換え、その先は新前橋などで乗り換えを繰り返して自宅に向かうだけであるが、旅行記に含めるまでもないであろう。

@只見駅にて(案山子も歓迎)

 

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