【大人鐡33】長良川鉄道「ごっつぉ〜 こたつ列車」編

■はじめに
 長良川鉄道の観光列車については、この「大人鐡」シリーズの栄えある第1回目として、「ながら」に乗車している(2019年11月。拙文「【大人鐡@】長良川鉄道「ながら」編」参照)。原則として同じ観光列車には乗らないようにしているが、今回の「こたつ列車」の場合、車両は全く違うし(前回は水戸岡氏デザインの改造車であったが、今回は普通の車両に無理やりこたつを設置)、提供される食事内容やイベントも全く違うので、乗車してみることにした。1日フリー切符も付いて、6,800円也。
 どうせ岐阜県まで行くのであるから、別の観光列車にも乗りたい。そこであれこれ探すと、明知鉄道の「食堂車」が運転していた。この「食堂車」については、去年の1月に「じねんじょ列車」に乗っているが、「こたつ列車」に乗る前日の土曜日に「枡酒列車」(日本酒呑み放題)を運転しているようなので、早速予約を入れておいた。
 しかし、である。岐阜県のまん延防止措置により、枡酒列車が運休になってしまったのである。「昼間の運行なら関係ないのでは」と思われるかもしれないが、岐阜県知事は、「昼夜関係なく、認証店・非認証店関係なく、すべて酒類提供禁止」という、理解不能な「令和の禁酒令」を発出しているのである。「酒を呑まなければウイルスに感染しない」という考えは1ミリも理解できないが、こういう無駄な政策に振り回される鉄道会社の人も、本当に大変そうである。
 同日に「じねんじょ列車」も予定されているため、2回目の乗車になってしまうがそちらでもいいかと思ったが、最少催行人員である7人に達せずこちらも運休に。翌日(日曜日)は催行予定ということであったが、その日は「こたつ列車」の日である。仕方ないので、土曜日は名鉄の廃線(廃駅)跡を巡ることにした。

@郡上八幡駅にて

■2022.2.19
 土曜日も観光列車に乗るのであれば新幹線移動であるが、急ぐ必要がなくなったため、高速バスである。7時00分に東京駅を出発するバスで、6時間以上かけて延々と名古屋まで移動した。さらに、JRで岐阜まで移動。今日は、名鉄揖斐線の黒野駅跡を目指すことにしている。
 岐阜駅前には、名鉄岐阜市内線で使用されていた車両が展示されている。この路線は、忠節で揖斐線に接続していた。

@丸窓車両

 私事ではあるが、20年ほど前に仕事の関係で岐阜市内に1年ほど住んでいたことがあり、揖斐線で通勤していたので懐かしい限りである(揖斐線は2005年に全線廃止)。
 バスは1時間に1本程度しかないため、しばし駅付近を散策してから14時35分発の大野バスセンター行に乗り込んだ。
 市内を過ぎ、忠節のバス停を過ぎると、揖斐線の駅にもあった「尻毛(しっけ)」や「又丸(またまる)」という珍名を過ぎていく(実は、私は又丸に住んでいた)。
 グーグルマップでもわかる通り、揖斐線跡はかなり残っているが、道路からは少し離れているのでバス内からはほとんど確認できない。

@又丸駅跡(2007年訪問時)

 1時間弱バスに乗り続け、黒野八幡町バス停で下車した。ここから数分歩くと、黒野レールパークである。名鉄揖斐線跡でその痕跡が残されている施設は、ここくらいである。
(なお、この駅から分岐していた谷汲線の場合は、谷汲駅に駅舎と車両が残されている)

@駅跡

 駅舎も残っているが、コロナの影響で2階にあるジオラマは閉鎖中であるとのこと(ここにも、コロナの謎影響が。人が大勢集まる場所は人数制限が必要と思うが、ガラガラで誰もいない施設なのに入ることができない)。ジオラマはどうでもいいが、その他の鉄道関連備品が展示されているようなので、そのうち再訪が必要であろうか。
 2階には上がれないが、1階には時刻表が掲示されたままであるし、窓口も残っている。

@1階はカフェとして営業中

 折り返しのバスまで時間があるため、しばし廃線跡などを散策した。レールはすべて剥がされているが、路盤はしっかりと残っている。
 揖斐線はこの先の本揖斐まで続いていたが、本揖斐駅周辺は廃止後に更地になってしまっているため、訪問するほどの意味はなさそうである。ということで、今日はもう戻るだけである。

@廃線跡(路盤)散策

 揖斐線のうち先端の黒野から本揖斐までは、一足先の2001年10月に廃止されてしまっている。実は、私が岐阜に住んでいたのは2001年であったため、廃止前に滑り込みで訪問していたのであった。

@ネガフィルム写真

 16時21分のバスで岐阜駅まで戻り、激安宿に投宿した。

■2022.2.20
 7時前にチェックアウトをして、歩いてJR岐阜駅へ。切符を買ってホームに上がり、7時15分発の下呂行の各駅停車に乗り込んだ。
 JR東海では、高山本線や紀勢本線の各駅停車にロングシート車両を増やしているので、私のように各駅停車を大活用する旅行者は要注意であるが、今日は幸運にも、快速にも使用されているクロスシート車両であった。こういう車両なら、下呂までゆっくり乗ってみたいものである。

@博打感覚

 定刻に出発し、長良川鉄道との接続駅である美濃太田には7時56分に到着した。改札を抜けて、長良川鉄道のホームへと移動。
 今日はまず、美濃市方面へ行くことにしている。一日乗車券が付いており、終点の北濃まで行くこともできるが、それをするためには岐阜を朝の5時台に出なくてはいけないため断念(それに、前回乗車時に実施したばかりである)。郡上八幡も何度か観光しているため、今日は近場の美濃市メインである。

@小さなフリー切符

 8時12分発の1両編成の列車に乗り、最前列に座って前方を眺めつつ、美濃市方面へ移動した。美濃市駅では降りず、8時50分に到着した次の梅山という駅で下車した。こちらの駅の方が、道の駅などに近いからである。
 まずは道の駅へ行き(「みのだんご」なるものを朝食代わりに頂き)、その後は「うだつの上がる町並み」を散策した。まだ朝早く開いている店は少なかったが、それが逆に新鮮であった。

@インパクトのある街並み

 町並み散策を終えてからは、美濃駅跡訪問である。ここは過去2回ほど訪れているが、ここまで来てスルーする必要はないであろう。駅舎自体は大正時代の普請であり、登録有形文化財である。

@立派

 「コロナで閉まっていたらどうしよう」という心配は杞憂に終わり、無事に開館していた。早速敷地内へ。ホーム跡には、3両の市電が展示されている(あと1両、先頭部分が短く切断された車両もあり、それを含めると4両)。
 先述した通り岐阜市に住んでいた頃はこの車両で通勤していたので(路線は違うが)、感慨一入である。

@名車たち

 名鉄美濃町線の新関から美濃までは乗車経験がないが(1999年4月に廃止)、1999年に仕事(バイト)で関市に行く機会があったため、関までの区間は1回だけ乗車したことがある。写真一番手前の車両を見ると、当時のことを思い出すことができる。今思えば、貴重な経験であった。

@過去写真より

 10時28分の列車に乗り、関方面へ移動。こたつ列車の出発までまだ時間があるため、関では降りず、次の刃物会館前まで移動した。この駅の近くに「せきてらす」という複合施設が約1年前にオープンしており、そこを訪問するためである(ここの駅名も、来月から「せきてらす前」になるとのこと)。
 その施設を見学し、ついでに訪問済みのフェザーミュージアムや神社やお寺を再訪してから関駅に向かった。

@普通の観光も

 12時頃、関駅にやってきた。まずは、新設された簡易売店へ直行である。というのも、「第三セクター応援鐡旅」シリーズで昨年8月にこの駅を訪問しているが、食べ物などの「消える系」グッズを発見することができなかった。しかし報道によると、昨年11月にカレーを新発売したとあり、さらに関駅に売店機能も整備したとのこと。ということで、カレーとお菓子(ラングドシャ)を購入した。

@遅ればせながら応援

 12時過ぎの時点で、こたつ列車用の列車はすでに入線していた。あれこれ車内で準備としているようで、12時10分くらいにドアが開いた。しかしすぐには中には入れない。というのも、通路がないため(こたつで埋め尽くされているため)、車両の中央部分に座る人から順に案内されるのである。

@見た目は普通

 2人連れや家族連れが案内されていき、3人いる「お1人様」の一番手として私が案内された。ロングシート車両の床部分に、半ば無理やり状態でこたつが設置されており、なかなかのカオス状態である。
 なお、車内にこたつは8個あり、2人連れや家族連れで5つ使用、お1人様が3つで、乗客は合計で13人であった。

@ぎっちり

 一人参加の場合で、相席にはならないようになっている。こたつ上には、すでに釜飯、薬味、おかず、だし汁、お茶がセットされた状態である。
 おかずの蓋を開けると、メニューが入っていた。風呂吹き大根や鰤以外にも、お子様に優しいホワイトソース(飛騨豚チーズ巻き揚げ用)なども入っている。

@今日の一式

 実は旅行出発前に過去の「こたつ列車」の情報を検索したところ、2年前のパンフレットを見付けることができた。それを見ると5,000円であり、かなり値上がりしているのかと思ったが(今回は6,800円)、よく見ると前回は「舞茸」であった釜飯が今回は「鮎」になっているし、途中駅での豚汁ふるまいも増えている。これは、グレードアップと捉えることにしよう。
 動き出す前から、食べ始めた。

@おかずから

 定刻の12時19分、関を出発した。こたつの位置が低いため(通常の列車の床に座っているようなもの)、外の景色はほとんど見えない。よって、食に集中である。
 釜飯も「熱々」状態であるため、こちらも早速頂くことにする。最初は普通に、2回目は薬味をかけて、3回目はだし汁をかけてという感じで、所謂「ひつまぶし」方式である。

@最初は普通に

 あれこれ車内アナウンスもあるが、今日はこたつ列車の最終日とのこと。確かに、晴れていてポカポカ陽気であり、もうそろそろでこたつ不要な時期である。
 ひたすら食べ続け、最後はだし汁である。

@さらさらと頂く

 食べ終えてから、やっとロングシートに座り、外も見ることができるようになった。前回訪問時にもあれこれ見た景色であるが、長良川鉄道は何度も長良川を横切るため、その度に奇麗な川の景色を眺めることができた。

@続いては景勝タイム

 私の席(こたつ)の向かいには誰もいないため、橋を渡る度に右側へ左側へと席を移動して景色を眺め続けた。
 12時49分頃、大矢に到着した。ここで6分ほど停車するが、豚汁がふるまわれることとなる。時間はないがこの駅にある鉄道資料館を少しだけ再訪してから、豚汁を頂いた。

@赤味噌系でした

 同駅を12時55分に出発し、長閑な景色を眺めつつ、13時22分に終点の郡上八幡に到着した。今日はずっと晴れであったが、さすがに山に近いだけあり、小雪が散らばって来た。
 さて、少しくらい観光したいところであるが、13時27分発の列車ですぐに戻らなければならない(それでも、家に着くのは20時頃である)。ということで、ひたすら美濃太田に戻り、各駅停車で名古屋に向かい、「ぷらっとこだま」で押さえた切符で帰るだけである。

@お疲れさまでした

 

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