【大人鐡@】長良川鉄道「ながら」編

■はじめに
 さて、新たな旅のテーマである。聖地巡礼(四国お遍路や西国・坂東札所巡り)を終えた後は、「猫鐡」として猫島を訪問し、「どこかに鐡」としてJAL企画と勝手にコラボしたりしていたが、それらも一段落してしまっている。
 あれこれ考えたが、「今まで避けてきた“お高い観光列車”に乗る旅」をすることにしてみた。今年に入ってからも、旅行先でJR東日本の「TOHOKU EMOTION」やJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」を見かける度に、「もうそろそろ年齢的にあちらに」みたいなことを旅行記に書いてきたが、それを実践することにしたのである。元々が吝嗇家なので、ちょっとした料理程度に大枚をはたくのは性に合わないが、そうしていたらいつまで経っても乗らないまま、である。
 テーマに合う列車として、以下を基準にすることとした。

・観光列車化に合わせて、車両内部や外観をかなり改造している
(いすみ鉄道の「レストラン・キハ」や明智鉄道の「食堂車」など、あまり改造されていない車両は対象外)
・車内で特注の食事が提供される(別料金で申し込めるのも可)
(車両だけが改造されているものは対象外)
・1人で乗車できる(1人用の席があるor1人でも無理なく座れる席があるor相席にならない)
(JR東日本の「TOHOKU EMOTION」や西武鉄道の「旅するレストラン」など、2人以上が原則であるものや、平成筑豊鉄道の「ことこと列車」など、相席が前提のものは対象外)

 またこれは必須ではないが、「大人鐡」というネーミングに因んで、ご当地のお高いグルメ(うなぎや蕎麦など、大人的なグルメ)があれば、それもなるべく頂くこととした。

 条件に当て嵌まる観光列車をあれこれ数えてみると、毎月実施しても1年以上はネタが持ちそうなくらいはある(最近は、この手の観光列車が増えてきているため)。
 記念すべき第一号であるが、少し地味かもしれないが長良川鉄道の「ながら」にすることにした。あの辺りでは関のうなぎが有名であるから、グルメも決定である。
 8月末にウェブで空席を確認して予約センターに電話をして、10月12日発の列車の1人用カウンター席が空いているのを確認して予約。後日送付されてきた資料に基づいて料金(ながら1号ランチプラン:12,500円)を振り込み、10月になると切符等が送られてきた。後は、行くだけである。
 …という手順で開始するはずであったが、10月12日に戦後最大クラスの台風が本州を直撃。当然、ながらはキャンセルとなったため、旅程全体が中止となった。
 さて、代替日である。用事のない週末は11月16日であったが、もうすでに「ながら1号」は売り切れであり、仕方なく逆方向の「ながら2号」にした。郡上八幡発が14時12分であり、ランチとしてはかなり中途半端な時間であるが、個人的には2号の方の料理が気になっていたのと、予約時点ではかなり空いている(2人席を用意してくれる)というので、そういう点では不幸中の幸いであった。

@郡上八幡駅にて

■2019.10.11
 大人鐡ということで、観光列車以外の移動も豪華に行くのかと思われるかもしれないが、逆に「観光列車で散財する分、それ以外はこれまで以上に削る」というスタンスである。ということで、ネット(スマートEX)で予約した8,960円の新幹線である。
 6時16分東京発の「のぞみ」に乗り、名古屋へ。名鉄名古屋から新鵜沼まで名鉄に揺られ、JRの鵜沼から美濃太田へ。まずは、久々の長良川鉄道である。
 3両編成であり、先頭は漫画家のさくらももこによる「GJ8マン」、2両目がチャギントン、3両目は「ながら」車両の指定席運用である。

@こんな車両

 最初はロングシートに座っていたが、出発前からだんだん混んできたため、先頭部分へ移動した。立ちっぱなしになるが、景色を見るには特等席である(それに、観光列車乗車時は料理があるため、外を見るのも疎かになるであろうから、今のうちに景観を見ておく必要がある)。
 9時56分に出発。美濃市付近までは地味な田舎景色であるが、郡上八幡が近づくにつれて長良川が右に左にと寄り添うようになった。

@先頭から

 11時18分、郡上八幡に到着した。ここで3時間弱の時間があるためネット上の地図を散策用に印刷してきたが、偶然にもJRの「さわやかウォーキング」の開催日であった。駅前でその地図を受け取り、その通りのコースを歩くことにした。
 久々の郡上八幡であるが、紅葉の季節は初めてのはずである。よって、多少無理をして山頂にある城まで行ってみた。

@美しい

 13時40分頃に駅に戻る。1番線にはすでに「ながら」が入線しているが、まだ車内に入ることはできない。
 編成は2両であり、1両目の「ながら・もり」は指定席扱いで、整理券は先ほど売り切れたとのことである。そして2両目の「ながら・あゆ」がランチ付きの車両である。隙間から中を覗いて見ると、2人席に1人分の料理箱が置いてあったので、どうやらカウンター席は回避できるようであった。

@これに乗る

 朝の天気予報では晴れ予想であったのに、なぜか小雨がパラついている。しかし、これに乗っている間は食事がメインのため、特に問題はない。
 14時頃にドアがオープン。案内された席は、予想通りに2人席(景色の良い車両右側)であった。

@最初の料理がすでにセットされている状態

 左手にカウンター席が4席分あるが、かなり狭いし、椅子も堅そうであるし、それに横向きでの食事は厳しいであろう。空いている2号にして、この意味では正解であった。
 出発と同時に、すでにセットされていた「冷製の重」をいただく。飛騨牛や鯉や地鶏など、地物の素材があれこれ使用されている。

@ツマミ的に

 なお、出発前に飲み物の注文(別料金)を聞かれたので、地元の冷酒を注文してある。それをちびりちびりとやりながら、井之頭五郎(孤独のグルメ主人公)気分で「いいじゃないか」と独り言である。

@今日のお供

 パンとオリーブ油も出てきたので、それも少しずつ頂く。
 冷製を片付け、続いて出てきたのは「温製の重」である。こちらは、伊勢海老に飛騨牛、そして長良川の鮎であった。

@いいじゃないか、その2

 伊勢海老のミソをつついていると、列車は大矢に到着した。本来の目的はトイレ休憩(長良川鉄道の車両にはトイレがない)であるが、この停車は私にとってもラッキーであった。
 というのも、往路乗車時にこの駅に鉄道資料館があるのを発見したのだが、いかんせん降りている時間がない。よって諦めていたのであるが、まさかのトイレ休憩である。ということで、トイレには行かないが下車をした。

@資料の確認

 しばらくして、同駅を出発。温製と冷酒を片付けると、最後はデザートである。デザートについては、私は味を評価できるほどの経験がないが、私なりに美味しくいただいた。

@お洒落

 冷酒の影響もあり、しばしウトウトとしてしまい、気付くと関であった。ここで2回目のトイレ休憩があるため、私もホームに降りてみた。
 関を出発すると、お土産が配布された。今回は「黒米」である(そのまま炊くのではなくて、白米に少しだけ混ぜるとのこと)。翌12月からは、キャンペーンで「ワイン2本」になるようであり(おそらく閑散期対策)、私としてはそっちの方が惹かれるが、まぁいいであろう。これも面白そうである。

@真空パック

 行き違い列車遅れの関係で、美濃太田には7分ほど遅れて到着した。
 さて、観光列車はもう乗車済みである。冒頭に記載した事情により「ながら2号」になった時点で、当初は日曜日はどこか別の場所に訪問することも考えたが、しかしそうしてしまうと関のうなぎが食べられなくなる。ということで、今日3度目の長良川鉄道にまた乗車して、郡上八幡より先の美濃白鳥に泊まることにしている。
 16時18分発の列車に乗車。この列車は湯の洞温泉口止まりであるため、1つ手前の美濃市で下車。目的は旧名鉄美濃駅舎である。ほぼほぼ日も暮れかかっていたが、なんとか撮影することができた。

@露出調整で誤魔化す

 美濃市発17時18分の列車に乗り、美濃白鳥着は18時42分であった(乗車時点で3人しか乗客がいなかったが、最後は私だけであった)。駅から15分ほど歩いた場所にある4,000円の安宿に投宿し、昼に散在した分、夜は宿の近くにあったスーパーの半額食材を買いそろえた。

■2019.11.17
 始発の列車に乗り、せっかくここまで来たのだから終着駅である北濃まで行ってみた。

@紅葉の季節

 7時10分発の列車で折り返し、関到着は8時55分。ここでしばし一般観光である。
 お寺や資料館(フェザーミュージアムなど)をあれこれ観光。どの写真を載せるか悩んだが、個人的には道端で偶然発見したこの自販機であろうか。

@怖くて買えない

 10時50分頃、街中にあるうなぎの名店へ。すでに20人ほどが並んでいるが、店内は広いので開店直後すぐに入れるはずである。
 11時開店。案の定すぐに座れたが、注文は「並んだ順」である。なお私はセットにはしないで(メロンなどいらないので)、単品で鯉の刺身とお通しと冷酒、そしてうな丼を注文した。
 まずはお通し(たったの100円)と冷酒が配膳された。今日のお通しは「ツバス」ということで、美味である。それをちびちびやっていると鯉の刺身がやってきた。もちろん、これも美味である。

@大人である

 それらが無くなったころ(入店後約30分)、うな丼がやってきた。久々(15年ぶりくらい)にここのうなぎを食べるが、今回も「うなぎなのに表面がパリッとした感じ」であった。

@当たり前のように美味しく頂く

 さて、観光列車と大人のグルメという二大テーマを押さえ、後は帰京するだけであるが、おとなしく戻るだけでは芸がない。ということで、城北線に乗ることにしている。
 城北線について詳述する紙幅はないが、諸般の事情により「非常に使いづらい」形態で運行されており、また値段も高いため、名古屋中心部にありながらたった1両のディーゼルカーが走行しているのである。
 長良川鉄道で美濃太田へ行き、そこからはJRで多治見経由で勝川に到着した。城北線のホームまで行って振り返ると、JRの高架まですぐそこである(しかし、繋がらないのには「大人の理由」がある)。

@あと少し

 しばしホームで待ち、1両のディーゼルカーがやって来たのでそれに乗り込んだ。私以外にも4人ほど乗客がいるが、写真を撮ったりしているので「そういう類の人」である。その人数のまま、定刻の14時33分に出発した。

@鐡ネタで締め

■おわりに
 なお、「ながら2号」のランチプランは来年3月をもって運行が終了するとのことである(設定時刻が悪いからであろうか)。いずれにせよ、初の「大人鐡」を無事に終えられたのでなによりであった。

 

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