【大人鐡30】えちごトキめき鉄道「バル急行」編

■はじめに
 食事付き観光列車に乗車する今回の「大人鐡」であるが、対象となる列車は、えちごトキめき鉄道の「バル急行」である。この鉄道会社の観光列車については、去年の7月に「えちごトキめきリゾート雪月花」に乗車済みであるが(拙文「【大人鐡F】えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」編」参照)、今年の7月に同社がデビューさせた国鉄型車両(455系・413系)を使用して、11月に「バル急行」を4回ほど実施するという。ということで、早速申し込んでみた。
 車内で提供されるのは、地元の店が作るピンチョス(少量の料理を串で刺したもの)であり、ビールやワインなどのアルコールが飲み放題となっている(まさに私向けの内容である)。直江津から糸魚川への往復乗車料金込みで、6,800円也。
 この列車に乗車する11月27日はJR東日本の「大人の休日倶楽部パス」が使える日である(よって、当然使用する)。都心から直江津までの単純往復でも元が取れるが、せっかくだからあれこれ乗り回したい。ということで、月曜日に休みを取り、以下のようなネタも追加することにした。

土曜:廃止間近の「とれいゆつばさ」に乗車(夕刻に「バル急行」に乗車)
日曜:「いなほ」と「つがる」の全区間に乗車
月曜:久々に大湊線に乗車、「くりでんミュージアム」訪問


@糸魚川駅にて

■2021.11.27
 「とれいゆつばさ」に乗るために大宮から新幹線「やまびこ」に乗り込んだが、ほぼ満席に近い状態であった(私の横の座席にも乗客あり)。コロナがなくなったわけではないが、世の中の意識は変わってきているようである。
 9時45分に福島に到着。「とれいゆつばさ」の案内がないので一瞬迷いそうになったが、よく考えたら「新幹線ではあるが、在来線区間だけを走行する」ため、在来線ホームから出発するのであった。いそいそと、5番線へと向かった。

@入線していた

 とれいゆつばさの座席であるが、発売日の10時過ぎにネットで入手を試みたが、すでに窓側は売り切れであった。私が手にできたのは通路側で、しかもお座敷ではない普通の席である。「元はグリーン車の席」で豪華ではあるが、観光列車らしくはない。
 であれば、次の目的は「足湯」の当日利用券である。15号車のカウンターに行ってみたが、残念ながら売り切れであった。

@こういう座席に座りたかった

 取り急ぎ自席に落ち着き、10時02分に福島を出発した。
 以前この列車を何度か見かけた時、車内は結構空いていたが、来年3月での廃止が発表されて以降、急に混み始めている。ということで、お座敷の指定も取れず、足湯にも入れないことが確定したため、急遽思い立ってカウンターに行って「やけ酒」セットの購入である。
(15号車にお座敷のフリースペースがあり、そこはなんとか確保できた)

@やけ酒セット(山形尽くし)

 アルコールを呑んで芋煮を頂いていると、列車は板谷峠に入っていった。ふと外を見ると、雪景色である。雰囲気的には最高である。

@雪見酒

 峠を越えると、雪はなくなっていった(代わりに大雨である)。
 今日は終着の新庄までは行かずに山形で下車し、通常の「つばさ」で折り返すことにしている。定刻の11時19分、山形に到着した。
 さて、いつもは昼ごはんなど「なくてもいい」くらいであるが、今日は予定外に酒を呑んだこともあり、空腹中枢が刺激されてしまっている。
 そこでふと思い出したのが、この「大人鐡」シリーズのサブテーマ「大人グルメ」である。当初は地域特産の高級グルメ(うなぎなど)を頂いていたが、最近はご無沙汰である。ということで、少し奮発して山形牛を頂くことにした。

@上焼き肉ランチ

 12時08分の「つばさ」に乗り込み、関東地方へとんぼ返り(大人の休日倶楽部パスがなければできない旅程である)。
 大宮で「はくたか」に乗り換え、上越妙高には16時15分に到着した。かなり寒いため待合室で暖を取り、16時35分の列車で直江津へ(16時51分着)。スーパーに行ったりして時間調整をしてから駅に戻り、17時25分頃に受け付けを済ませてホームに向かった。

@案内文

 3両編成で、1・2両目がバル急行、3両目は普通の座席として運用されている。
 私の席は2両目であったが、残念ながらロングシートであった。コロナもあってボックス席も1人利用されているので、そちらの方が余裕があって良さそうだが、どうせ外の景色は見えない(呑み続けるだけ)だから、問題ないとしよう。

@自席(まだ準備中)

 スタッフもまだ慣れていないせいか、出発直前まであれこれと準備中である。しばらくして、私の席にもやっと一式(ピンチョス、ドリンクホルダー、食器類、メニュー)がセットされた。

@こんな感じに

 まだ出発前であるしアルコールも配膳されていないが、蓋を開けてみて中身を確認してみた。ローストビーフや生ハムなど、ビールやワインに合いそうなものばかりである。
 ぱっと見はボリュームがなさそうであるが(隙間も空いている)、意外に「高さ」があるため(肉の下に大量のジャガイモがあったりして)、見た目よりはボリュームがあった。

@中身

 定刻の17時46分、直江津を出発した。しばらくしてアルコール一式が来たので、ビールと赤ワインを選択した。
 ここで予定外であったのが、テレビの取材クルーが車内にいたことであった。おっさんの一人旅など絵にならないので本来なら安心なのであるが、私のすぐ近くに絵になりそうな家族連れがいて、その影響で私のショット(近影)もあれこれ撮られ、インタビューまで受けてしまった(採用されませんように)。

@それでも呑む(新潟のビール)

 とにかく、ひたすら呑み続けて、終わったらお代わりである(空き缶交代制)。しばらくすると、係員が白いボックスを持ってきた。覗いてみると柿ピーやあられなどで、取り放題であるという(ツマミの無料追加である)。
 車両だけでなく、壁に古い鉄道路線図があったり、天井にも「国鉄っぽい」中吊り広告などが掲示されたりしていて、昭和の雰囲気である。

@その一例

 ビールのお代わりを繰り返し、ワインは赤の継続である。
 係員が頻繁に、アルコールが入ったお盆を持って「お代わり如何ですか」と往復しているが、ふと見ると、ビールや缶チューハイ以外に違う形状の物(ワンカップ)があるではないか。手に取ってみると新潟の酒であったので、ちゃんぽんでの悪酔いを覚悟でそれも頂くことにした。

@もう自棄で

 梶屋敷を過ぎると、デッドセクション(交流と直流との境目)に関するアナウンスがあった。藤代のデッドセクションなどは知っていたが、ここにもあるとは知らなかった。新しい車両で通過すると分からないが、この車両は古いため、デッドセクションでは主電源が落ちることになる。

@懐かしい

 18時30分、糸魚川に到着した。ここで17分ほど停車してから折り返すこととなる。あまりにも急激に数種類の酒を呑み過ぎたので、ホーム上に出てクールダウンも兼ねてあれこれと撮影などをした(表紙写真含む)。

@ヘッドマーク

 定刻に糸魚川を出発し、デッドセクションを過ぎると、またしても酒・酒の繰り返しである(「どうですか」と言われたら次の缶に行かざるを得ない)。
 しばらくすると、小さな(車内販売サイズの)神社がやって来た。賽銭を入れると、カードがもらえた。私は正真正銘の小銭しか入れなかったが、中には千円札を入れている人もいた。

@もらえたカード

 へろへろ状態で、19時22分に直江津に戻ってきた。千鳥足で駅から10分弱歩き、予約済みの安ホテルに投宿した。

■2021.11.28
 さて、今日と明日は旅行記のテーマとしては「おまけ」であるため、簡単に紹介したい。
 まずは6時15分発の快速で直江津から長岡に向かい、長岡からは新幹線で新潟に向かった(7時49分着)。
 ここから乗るのは、8時22分発の「いなほ1号」である。今日は、ひたすら在来線特急に乗って青森に向かい、浅虫温泉に泊まるだけである。

@ひたすら北上

 定刻に新潟を出発。
 さて、今日はひたすら乗るだけであるため、車内ではすることもない。ということで、新潟駅で駅弁や酒を仕入れてある。
 今日買ったのは、もう最近では「新潟駅弁の代名詞」となりつつある「えび千両ちらし」(1,380円)である。箱から出すとこのような内容であり、ぱっと見は「だし巻き卵弁当」であり、仮にこれだけであれば「ぼったくり価格」である。

@見た目

 しかし、たし巻き卵をそっと外すと、その下にはコハダやエビやイカやウナギがしっかりと並べられている。当然、写真の右側に映っているようなものも必須となってくる。

@「実は」という感じで

 ビール1本で足りるわけもなく、当然強めのチューハイなども買ってある。それらを頂きながら、ちまちまと食べ続けた。その後は、アルコールの影響も手伝ってウトウトするだけである。
 今日の東北地方は移り変わりの激しい天気であり、晴れと雨を繰り返している。笹川流れは残念な雨模様であったが、鳥海山は晴れであった。

@壮大

 12時03分、秋田に到着した。ここまでが今回の旅程の懸念事項であり(羽越本線は風が吹くとすぐに止まる)、後はひたすら青森を目指すだけである。
 駅近くのスーパーで夜用の食材(ハタハタ唐揚げなど)を買い、駅に戻り、続いて乗るのは「つがる3号」である。

@ひたすら北上その2

 12時40分に秋田を出発。ひたすら北上し、青森からは「青い森鉄道」に乗り換えて、浅虫温泉駅近くにある温泉旅館に投宿した。

■2021.11.29
 早朝に温泉へ浸かってから駅に向かい、6時02分の列車で野辺地へ向かった。同駅でJR大湊線に乗り換え、6時34分に出発した。
 北海道であれば「本当に何もないな」という大地を走行する区間がちらほらあるが、本州でこれだけの閑散地を走る線区は少ないであろう。特に、途中の陸奥横浜までは壮大な景色の連続である。

@何もない

 7時37分、終着の大湊に到着した。今日はすぐに折り返すため、駅前近くにあるパン屋で総菜パンと「あんバター」パンを買うだけである。
 同駅発8時08分の快速「しもきた」で南下し、野辺地から東北本線に乗り入れて、八戸には9時49分に到着した。
 10時17分発の新幹線「はやぶさ」に乗り込み、盛岡で11時08分発の「やまびこ」に乗り換え、一ノ関で在来線に乗り継ぎ、12時13分に石越にやって来た。この駅に降り立つのは19年ぶりであるが、くりはら田園鉄道の駅舎は跡形もなくなってしまっていた。しかし念のため敷地の奥まで行ってみると、線路だけは残っていた。

@残り香

 19年前は、なんとなくこの鉄道に乗り、終点からバスに乗り継いで温泉旅館(佐藤旅館)に泊まったのであるが、鉄道は廃止になってしまうし、その後の災害で旅館も営業を休止してしまうし、思い出となる物がすべて消えてしまっている(なお、2020年に日帰り入浴は復活したらしい)。
 12時37分発の市民バス(たったの100円)に乗って若柳中町バス停で降り、5分ほど歩いて若柳駅跡に向かった。この辺りは、「くりはら田園鉄道公園」として整備されており、駅舎内に無料で入ることができ、数両の車両も展示されている。

@古い駅舎

 駅舎内や各ホームに係留されている車両の写真をあれこれ撮ってから、道路向かいにある「くりでんミュージアム」へと向かった(こちらは500円必要。入場券は硬券仕様)。元の整備場の建物を再利用しており、車両や整備用品などがあれこれと展示してあった。資料館の展示も、充実した内容であった(切符に刻印を入れる体験もできる)。
 廃止になってしまったのは残念であるが、これだけしっかりとした展示を残してもらえているのは、まだ幸せな部類かもしれない。動態保存されている車両もあり、それを動かすイベントなどもやっているようである。

@保存状態良し

 その後は近くにあった地場産の店で舞茸を買い、13時53分のバスで石越駅に戻った。あとは、在来線で一ノ関に戻り、新幹線「やまびこ」で関東に戻るだけである。

 

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