【大人鐡F】えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」編

■はじめに
 さて、恒例の大人鐡であるが、2回連続の第三セクター鉄道であり、しかも隣り合っている会社である。北陸新幹線の開業によっていずれも第三セクター化したが、観光列車のコンセプト(車両・料理・観光案内)については、かなり内容が異なっている。その辺りに興味のある方は、前回の「一万三千尺物語」編を先に読まれて比較されてもいいであろう。
 ネット予約はできないため、運行再開のニュースを知ってすぐに電話連絡を入れたところ、無事に席を確保できた。しばらくして送られてきた案内書に従って送金し、出発の1週間前には最終案内と切符などが郵送されてきた。金額は17,500円であり、まだ7回目であるが、現在のところの最高額である(この理由らしきものは、あくまで想像だが旅行記内で記述する)。

@疫病退散(妙高高原駅にて)

■2020.7.11
 件の観光列車は上越妙高駅を10時19分に出発するため、東京を7時52分に出発する新幹線に乗れば充分に間に合う。しかし、この「大人鐡」シリーズでは、観光列車と大人グルメ以外はいつも以上にケチることとしている。ということで、高崎までは各駅停車で向かい、新幹線利用は高崎−上越妙高だけにすることにした。

@高崎で軽く朝食を(釜めしでは多すぎるので)

 高崎から長野まで「あさま」に乗り、「はくたか」に乗り換えて9時54分に上越妙高に到着した。
 えちごトキめき鉄道の改札に移動し、受付手続き(もちろん検温も)を済ませた。
 しばし駅構内をウィンドウショッピングして、10時10分頃にホームへ。しばらくして、雪月花が入線してきた。

@やってきました

 入口で手指消毒をして、車内へ。私の席は明るい黄色が中心の1号車である。お一人様なので、本来であれば右側のカウンター席になるはずであるが、コロナ対策でかなり間引いているとのこと。ということで、私は左側のロング席(通常は2人席)を1人で使うこととなっている。

@こんな車内

 1号車先頭にある共有の展望席や、2号車などを探索して、自席に戻ってきた。
 なおこの車両であるが、完全な新造車である。たいていの観光列車は、コストの問題から「古くなった車両の大改造」で製造されているが、これに関してはそれに当て嵌まらない。JRならまだしも、第三セクター(たいてい資金がない)でここまで思い切った投資をするのは、かなりの気構えが必要であっただろう。なお、これは勝手な推測であるが、乗車料金が高いのは設備投資分も入っているからではないか、と思う。
(大人鐡の第1回目で、条件として「車両がかなり改造されていること」を挙げていたため、厳密には条件から逸れるが、いいこととしよう)

@今日のランチ席

 定刻の10時19分に出発。すぐに「あれ、ディーゼルカーだ」と気付いた(元は信越本線であるため、電化されている区間である)。一瞬悩んだが、実はこれはこの鉄道会社全体に言えることなのである(電化設備はあるのに、ディーゼルカーを走らせている)。気になる方は、「交流」「直流」「コスト」などで検索してみましょう。
 しばらく走ってからスイッチバックで後戻りをして、10時35分に二本木に到着した。

@即席売店もあり

 ここで、車掌による「ミニ観光案内」の開始である。明治時代に普請された駅舎のことや、構内に展示されている鉄道関係物品の説明などがあれこれ続いた。駅構内にも売店がある。新発売のカレーに「お味は普通です」とあるのが、正直すぎて面白い。
 何回か来たことのある二本木駅であるが、下車したことはなかったし、詳しい説明もあったため、新鮮な感じであった。

@あえてこんな写真を掲載

 車内に戻ると、机上には三段組みのフレンチ料理が置かれていた。
 さて、その前に食前酒である。出発後に希望を聞かれていたが(3つから選ぶ)、当然、雪月花オリジナルのスパークリングワインを選んである。
 10時56分に二本木を出発すると、それがやって来た。

@いただきます

 さて、メインの料理である。さすがに繊細な作りであり、メニューを見ながらあれこれつまんでいった。牛肉などが美味しいのは当たり前であるが、パンに挟んである「きのこのディップ」が個人的には意外なインパクトがあった。
(フレンチとあるが、特に2番目の重などは、目を瞑って食べたら和食と勘違いするかもしれないと思った。地の食材を使っているからであろうか)

@こんな内容

 車内では、観光アナウンスが続けられている。梅雨のためしばらく隠れていた妙高山も、今日はギリギリ顔を出しているとのこと。最前部にある展望室に移動して、しばし外を眺めた。

@なんとか見える

 すぐに自席に戻る。しかし、こんな手の込んだ料理を並べてしまっては、酒を呑まないわけにはいかない(スパークリングなど、4口くらいで平らげてしまっている)。2号車にあるカウンターに行って、並んである見本から1本の地酒を注文し、自席まで運んでもらった。

@これをちびりちびりとやる

 妙高高原に向かうにつれて、だんだんと山深くなっていく。前回の「あいの風とやま鉄道」では観光要素が少なかったため、車内アナウンスでも企業のことや映画の逸話などをあれこれからめてかなり苦心されていたような感じがしたが、今日は「山あり」「海あり」「鉄道遺産あり」「名物駅あり」で、終着の糸魚川にも普通に観光要素があるから、そういう面では恵まれていると言えよう。

@川が蛇行する

 11時16分、妙高高原に到着した。ここで折り返すが、理由は前回の富山と同じ(その先に県境があり、別の第三セクター鉄道となるため)である。車内アナウンスでは、線路下の堀にいる鯉と、駅前にある売店のことが説明され、追加として、つい先日デビューしたばかりの「しなの鉄道」の新車も入線してくるとのことであり、「鉄道に興味のある方はそちらも」とのことであった。
 まず下車して、鯉を見てから急いで駅スタンプを押し、売店をさっと見てからホームに戻り、その車両を待ち構えた。

@こういう車両でした

 薄曇りでなんとか持ちこたえていたが、ここでパラパラと雨が降り始めた。
 11時30分に妙高高原を出発。三段重を頂き続けていると、スープ(新たまねぎ)がやってきた。

@優しい味

 始発駅であった上越妙高を過ぎ、しばらくして直江津に到着した。ここでは、駅弁の「立ち売り」がこの列車用に復活していた(購入する人もちらほら)。
 同駅を出発して、配膳されたのがデザートとコーヒーである。煮苺は優しく、キャラメルソースは濃厚であった。

@締めの品

 海が見える区間が多くなるため、所々でスロー走行をしていった。1号車最前部は展望席となっているが、今はコロナ対策で運転席に繋がるガラス窓も解放されているため、さらに見通しが良くなっていた。

@天気は残念ですが

 12時46分、トンネル内にある駅として有名な筒石に到着した。ここでも、車掌によるミニ観光案内があった。さすがに全部の階段を上がって地上にまで行く時間はないため、途中までである。

@そこから先は目視で

 階段を下りて車内に戻り、12時56分に出発した。
 トンネルを出てしばらくすると、お土産が配布された。コーヒー(4種入り)とカステラであり、そして今回は「運行再開記念」として特別にお箸も含まれていた。

@お土産一式(中身を開けて撮影すればよかった…)

 雨が酷くなってきた中、13時16分に終着の糸魚川に到着した。豪華な車内でのひと時も、これで終了である。
 今日の宿泊先は新潟市であるが、すぐに引き返すのではもったいないため、1時間ほどここに滞在することにしている。まずは、訪問済みではあるが「ジオステーション」にあるキハ52系である。

@今日は室内にあるため、撮影しにくい

 その他の鉄道関係資料も、再度確認した(前回訪問時になかった展示物は、雪月花の「ローレル賞受賞」関係であった)。その後は雨が一瞬小雨になったので、海際までも歩いて行ってみたりした。駅近くの小さな店で「翡翠(ひすい)バーガー」なるものに半額シールが貼ってあったので、それも夜用に買ってみた。
 さて、あとは新潟駅付近にある安ホテル(コロナダンピングでたったの2,700円)に泊まるため、ひたすら移動するだけである。まずは、14時21分発の列車で直江津に向かった。

@ひたすら

 直江津からJRに乗り、長岡乗換で新潟へ。駅から25分ほど歩いて、古町にあるホテルに投宿した。

■2020.7.12
 さて、今回の旅行ではJR東日本の「週末パス」を利用している。この切符では、いくつかの第三セクター鉄道も利用できるため、復路は会津鉄道経由で戻ることにしている。大人鐡とは何ら関係ないが、参考程度で書いておきたい。
 かなり早起きして、新潟5時17分発の列車で新津に向かった。ここから先は、久々に乗車する磐越西線である。
 寂しい駅前を散策してから駅に戻り、6時00分発の会津若松行に乗り込んだ。磐越西線=ボロ気動車のイメージであったが、いつの間にか最新車両になっていた。

@「らしく」ない感じ

 定刻に出発。長閑な景色を、のんびりと眺め続けた。
 津川で長時間停車(行き違いのため)があったため、駅スタンプを押して車内に戻った。気づくと、2両編成の中にいる乗客は私一人だけになっていた。

@ホーム上も寂しい

 津川出発後も、同様の田舎景色である。無人駅が多いが、嘱託らしきおばさんが、駅の掃除をしたり切符の受け取りをしたりしていた。
 徐々に乗客も増え、喜多方でどーんと増え、8時47分に会津若松に到着した。まだ朝だが、もしかして駅弁でも、と思って売店に行ってみたが、駅弁のワゴンすらなかった。ということで、会津田島に期待は持ち越しである。
 続いて乗るのは、9時32分発の会津田島行である。

@晴れ間も出てきた

 定刻に出発し、2駅だけJR只見線を走行し、西若松から会津鉄道に入っていった。
 切符の関係(青春18きっぷなど)で、只見線などは意外によく乗りに来るが、会津鉄道は本当に久々で前回がいつなのか思い出せないくらいである。大昔に「塔のへつり」に行ったことがあり、その際に利用したのは確実である。
 10時34分、この列車の終着である会津田島に到着した。すぐに特急列車が連絡するが、それには乗らず、しばし街中散策である。

@まずは駅前にあるSLから

 適当にふらふら歩いたが、趣深い古い旅館などもちらほらあり、いかにも会津という感じであった。
 さて、駅弁であるが、今日は残念ながら置いていないようであった。しかし、普通の弁当はあったので、福島らしい「ソースカツ丼」と、さらに地場野菜のアスパラも購入した(散策中に入ったスーパー内にあったものと似た値段であったが、本数は圧倒的にこちらが多かった)。

@肉厚でした

 駅窓口に行き、東武日光までの切符を購入(会津田島から先は、週末パスの対象外であるため。会津若松まで戻ってもいいのであるが、面倒であるため、野岩鉄道などでショートカットしてしまうことにしている)。
 しばらくして、折り返し下今市行となる列車が入線してきた。

@左にいるのはトロッコ列車(会津浪漫)

 11時43分、会津田島を出発した。
 さて、想定していた鐡ネタも以上で終わりであるため、旅行記もここで終わるはずであったが、予想外に拾ったものがあるため紹介したい。
 まずは、「あと少しで下今市」という時点での、対向列車との行き違いである。ただの列車ではなく、やって来たのはSL「大樹」であった。

@まさか

 下今市に到着し、すぐに東武日光行に乗り換え、13時57分に到着した。さて、ここから先はJR日光駅に移動して、週末パス利用者に戻って帰るだけである。
 東武日光もJR日光も、今まで何度も来ている駅であるが、東武日光駅から外に出てみると、見慣れない路面電車が展示されていることに気付いた(調べたら、つい4か月ほど前に展示されたようである)。これはお初であるため、まずは撮影である。

@いろは坂まで走行していたとの由

 さて、後は本当に戻るだけである。日光線で宇都宮まで行き、そこから先の東北本線はもう飽きるほど乗車しているため、ノートPCでこの旅行記の素案を作成するだけである。

 

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