【大人鐡29】秋田内陸縦貫鉄道「山のごちそう列車」編

■はじめに
 今回の対象となる列車は秋田内陸縦貫鉄道の「山のごちそう列車」であるが、これに乗るまでにはかなりの紆余曲折があった。

・2020年の晩秋に、2021年1月16日出発の「ごっつお玉手箱列車」を予約
・同列車が緊急事態宣言による運休となったため3月6日出発に振り替え
・その列車が3月14日に延期(理由はもちろんコロナ)
・そしてさらに4月3日に延期
・4月3日出発分もついに運休に

 しかしその後、2020年から新企画として登場した「山のごちそう列車」の2021年分の案内が発表されたため、11月13日分を早速予約した。秋口になってコロナの状況も落ち着いてきて、やっと乗車に辿り着いたのである(なお、その後になって11月27日出発分などを含む「ごっつお玉手箱列車」の案内も発表されたが、どちらも「食事付き観光列車」であることには変わらないので、予約はそのままにすることにした)。
 当日のフリー切符も付いて料金は7,000円、地元の食材を用いた料理が何品か提供されるというものである。

@角館駅にて

■2021.11.13
 まずは新幹線「こまち1」号に乗って角館まで移動であるが、普通に買ったのでは高いため、50%割引の「秋田まで」の切符をICで買ってある(この方がお得。9,000円以下)。
 6時32分に東京を出発。盛岡までは快晴であったが、秋田県内に入ると予報通りに曇ったり雨が降ったりしてきた。9時35分に角館到着。
 一日乗車券がもらえるのは阿仁合駅であるため、角館駅では事前に郵送されてきたリーフレットを見せてホームへと入った。

@まずは普通の列車から

 角館を9時50分に出発。普通の定期列車であるが、車内では観光アナウンスも行われている。車内販売もあり、秋田内陸縦貫鉄道柄のワンカップも発見。「山のごちそう列車」でも車内販売があるということなので、あれは購入必須である。
 もう時期が終わってしまっているが、「田んぼアート」の残り香も見ることができた。

@奇麗な時期に来てみたい

 紅葉の最盛期はもう過ぎているが、所々で赤い木々が賑わっている。阿仁マタギから比立内までは撮影スタッフ(テレビなのか動画コンテンツ作成なのかは不明)が数人乗り込んできて、あれこれと作業をしていった。
 11時22分、阿仁合に到着した。特設の受付で一日乗車券をもらってホームに向かい、待つことしばし、お座敷列車「又鬼(またぎ)」を先頭にした2両編成が入線してきた。

@今日の観光列車(1両目)

 1両目のお座敷車両が観光列車「山のごちそう列車」で、2両目は定期列車(普通列車)である。
 早速車内へ。すでに机上にはメニューなどがセッティングされているが、コロナの影響もあり、左側の4人席は2人(一部3人)、右側の2人席はお1人様用となっていた。
(なお出発後のアナウンスで紹介されたのだが、このイベント後にこの車両自体が刷新されるということで、現在の仕様で乗車できるのは今日が最後であるとのこと)

@見納め

 右側にセッティングされている自席に着席。なお、「お座敷列車」となっているが、胡坐をかいたり正座をしたり必要はなく、足を降ろせる仕様(掘り炬燵タイプ)となっている。
 テーブルには、今日のメニューと1品目の「鯖寿司・赤カブ漬け」が置いてある。

@このような状態

 定刻の11時34分、阿仁合を出発した。車内では観光アナウンスが始まり、直後に車内販売が開始された。冷えたビールはもちろん、秋田内陸縦貫鉄道柄の日本酒も購入である。また、車内販売が期待通りでなかった時用のために、角館駅の売店で地酒も購入してある(結局それも呑むのだが)。

@今日のラインアップ

 出発後にまず配膳されたのが、「馬肉煮つけ」である。実は往路(角館−阿仁合)の車内で観光ビデオが放映されており、そこで紹介されていた馬肉の煮つけに惹かれていたのだが、まさか今日車内で頂けるとは思わなかった。「しまった赤ワインだったか」と思ったが、もちろんビールにも最適であった。しかも、肉が「表面に2〜3枚」などではなく、下までけっこうたくさん入っていたので、酒がどんどん進んでしまった。

@ヘルシーなお肉

 続いて配膳されたのは、小さな入れ物の中に入った「なめこ煮」である。これはもう、日本酒へのスイッチが必須である。

@これで呑む

 11時58分、比立内で急行列車と行き違った。車内アナウンスで、今後はあちらの車両を使った「呑み比べ」の企画があることが紹介されると、車内にいた一部の乗客からは歓声も。私的にも、ちょっと惹かれる内容である。
 同駅出発後に配膳されたのは、ご飯もの(巻き寿司やいなり寿司)である。食事派の人はすぐに食べ始めているが、酒派の私は後回しである。

@ご飯は最後に

 そろそろ次のツマミが欲しいと思い始めたころに配膳されたのが、残りのおかず系一式(ミズと鯖の煮物・なずびの味噌煮・ハタハタの唐揚げ・ポテトサラダ)である。ポテトサラダの正式名称は「幸子さんの甘〜いポテトサラダ」となっているが、確かにかなり甘い味付けであった。

@色々

 上桧木内(かみひのきない)では往路も見た田んぼアートの跡をホーム上から見たりして、同駅を出発後に配膳されたのが最後の甘いもの(秋田枝豆あんの寒天)である。ずんだ餅のような甘いものを予想していたがそうではなく、寒天らしいあっさりとした味(甘味というよりは料理)であった。これより前に配膳されていた熱いお茶と共に、美味しく頂いた。

@しつこくない

 もう予定の品はすべて配膳されたので、後はのんびりと景色を見るだけである。
 しばらくしてまた車内販売が回ってきたので、最後に「本当に甘いもの」を、というわけではないが(私はそもそも甘党ではない)、100円のチーズ饅頭を買ってみた。

@やはり「甘いもの」で締める

 13時03分、角館に到着した。今日の観光列車はこれで終了である。秋田内陸縦貫鉄道では様々な種類の観光列車を企画しているので、そのうちまた来てしまうかもしれない。

 この後の予定であるが、大曲へ行くJRの各駅停車の出発は16時26分である。もちろんその前に新幹線は何本かあるが、今日のホテルは秋田駅前であるため、急いで移動する必要はない。
 ということで、まずは少しだけ武家屋敷を散策してから、13時58分発の阿仁合行に乗り込んだ。目的地は、国鉄角館線時代の終着駅である松葉である。
 14時22分に松葉に到着したが、引込線跡があっただけで、それ以外に「終着駅」っぽい残骸は見つけられなかった。

@昔は終着駅

 同駅発14時48分の列車で角館に戻り、スーパーで夜用食材などを買ってから16時26分発の列車で大曲へ、しばし待ってから秋田行に乗り継ぎ、秋田到着は18時12分であった。駅近くの安ホテルに投宿。

■2021.11.14
 さて、今日の目的地は「由利高原鉄道鳥海山ろく線」である。当初は「第三セクター応援鐡旅」の第一弾として今年の春に訪問する予定であったが、暴風雨による羽越本線運休により断念していたものである(拙文「【第三セクター応援鐡旅@】北東北編」参照)。
 前回のリベンジということで、今回も6時49分発の各駅停車に乗り込んだ。今日は無事に走り、羽後本荘には7時38分に到着した。
 前回訪問時は古かった駅舎であるが、新駅舎が完成したばかりである(現在は駅前広場整備中)。JR側の改札を出て、由利高原鉄道の窓口に行ってフリー切符(830円)を購入した。

@これで移動

 羽後本荘から終点の矢島まで、片道だけでも610円するため、かなりお得な値段設定である。
 改札を通り、すでに入線していた1両編成「おばこ号」の車内へ。車内にあった中吊り広告によると、高校生の通学定期を半額近くに値下げするという。固定客の確保のためとはいえ、なかなかチャレンジングな内容である。

@おばこ号

 7時46分に羽後本荘を出発し、のんびりと走り続け(途中の前郷では日本で3か所のみに減っている「タブレット交換」を行い)、終着の矢島には8時25分に到着した。
 まだ観光案内所が開いていないため(鉄印がもらえないため)、徒歩15分くらいの場所にある旧家を訪問したりして時間を潰し、駅に戻って来てからやっと鉄印の入手である。

@これで東日本制覇

 売店にいた名物おばあちゃん「まつこさん」と少しお話などをして、その後は食べ物などの「消える系」グッズの入手である。事前に調べた通り、カレーと中華麺、おまけでドリップコーヒーも購入した(すべて構内にあるカフェで購入)。

@まとめて1,200円也

 ミッションを終えたので、後は帰るだけである。乗車したのは9時40分発の列車であるが、「おもちゃ列車」と名付けられている車両であり、車内は子どもが遊ぶための「木のプール」などもある特別な車両である。

@外観はこんな感じ

 定刻に矢島を出発。そのまま羽後本荘まで乗り通さず、途中の前郷で下車した。というのも、今日は夕方遅くに庄内空港から飛び立つ飛行機(やはり格安で9,000円以下)で帰る予定であり、時間がたっぷりあるからである。
 前郷到着は10時00分。タブレット交換を見届けてから街歩きに繰り出した。特に下調べはしていなかったが、大正時代普請の旧家や大ケヤキ、船着き場跡など見所は色々とあった。その後は前郷駅には戻らず、地場産の店などを経由して黒沢駅に向かった。駅舎前には大きな特徴のある松の木があり、印象的である。

@芸術的

 11時09分発の列車に乗り、羽後本荘へ(11時24分到着)。ここでも1時間半くらい暇があるため、片道30分弱歩いてへ郷土資料館行ったりして時間を潰した。
 駅に戻り、12時56分発の列車で酒田へ(13時58分到着)。空港行のバスまで2時間以上あるため適当に街中散策でもしようと思っていたが、昼過ぎまで写真にある通り快晴であったのに、ここに来て大雨である。ということで、スーパーでのお買い物タイム以外は、中町のアーケードで発見した無料休憩所で休むことにした(この旅行記を作成)。
 その後は空港バス(車両は路線バス)で庄内空港へ行き、17時45分の便で羽田へ飛び立った。

@お疲れさまでした(まだ晴れていた前郷駅にて)

 

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