東京→大阪、JRのない旅part2

■はじめに
 今回の旅は、約6年半前に実施した「東京→大阪、JRの鉄道を利用しない旅」の焼き増し版であるが、これを実施するに至った理由は「風が吹けば桶屋が」方式である。
 新天皇即位による春の10連休(4月27日〜5月6日)であるが、かなり早めに欧州への航空券の検索を開始したものの、とにかく高額である。出発日を4月30日まで遅らせたらある程度は安くなったが、それでも諸経費込みで20万を超える額である。そこであれこれ試行錯誤し、往路だけを大阪発にしてみると、意外にも安くなった(しかも関空発の欧州行ではなく、29日に伊丹から成田までの1区間を「純粋に追加する」だけなのに、安くなったのである)。迷うことなく、それで決済した。
 さて、問題はその便(伊丹→成田)をどうやって有効活用するかである。連休開始から2日半もあるため、27日にいきなり関西に行ってしまったのでは時間を持て余してしまう。そこで、この旅行を思い至ったのである。
 今回は前回よりも鉄道を増やし(箱根登山鉄道や伊豆箱根鉄道など)、またJRバスも乗らないことによってタイトルの省略化にも成功させている。その気になれば1〜1.5日で移動できるルートであるが、日程に余裕があるため途中で2泊する行程にした。

・1日目
 北千住→代々木上原(メトロ)
 代々木上原→小田原(小田急)
 小田原→小涌谷(箱根登山鉄道)
 小涌谷駅→元箱根港(箱根登山バス)
 元箱根港→本町プラザホテル(東海バス)
 三島田町→大仁(伊豆箱根鉄道)

・2日目
 修善寺駅→土肥フェリーターミナル(東海バス)
 土肥港→清水港(駿河湾フェリー)
 清水港→新清水駅(無料連絡バス)
 新清水→新静岡(静岡鉄道)
 新静岡バスターミナル→静岡空港(しずてつジャストライン)
 静岡空港→掛川駅(乗合タクシー)
 掛川→三ヶ日(天竜浜名湖鉄道)

・3日目
 三ヶ日→新所原(天竜浜名湖鉄道)
 新所原駅→二川駅(徒歩)
 二川駅→豊橋駅(豊鉄バス)
 豊橋→名鉄名古屋(名鉄)
 近鉄名古屋→大阪難波(近鉄)
 なんば→梅田(大阪市営)

@箱根湯本駅にて

■2019.4.27
 前回は東京駅から地下鉄に乗車したが(「東京→大阪」というタイトルに忠実であるため)、今回は北千住である。というのも、普通に地下鉄+小田急で移動したのではつまらないため、「メトロはこね」という特急に乗ることにしたのである。つまらない地下鉄も、ロマンスカーで走るとなれば別物である。
 東武線で北千住へ。「本当にここにロマンスカーが来るのか」と半信半疑になるような場所であるが、足元に「ロマンスカー乗り場」という表示があるので安心である。出発の2分前に、ロマンスカーが入線してきた。

@工事中のホームドアが邪魔

 定刻の8時34分に出発。大手町などの馴染みのある地下鉄駅を経ていくが、特急の車内からそれらを眺めるのはなんだか楽しい。
 代々木上原からは小田急線となる。なお切符であるが、特急券のみネットで購入し、乗車券はICである(箱根登山鉄道までICが使えるため)。
 途中から雨になり、10時34分に到着した箱根湯本では大雨になってしまった。本来ならここで2時間弱散策の予定であったが、30分に予定変更である。

@急坂を下りてくる旧型車両

 庇のある商店街だけを歩いてから駅に戻り、11時11分発の強羅行に乗り込んだ。「どうせなら新型よりボロ車両がいいな」と思っていたが、先ほど撮影したボロ車両がホームで待ち構えていてくれた(表紙写真)。
 定刻に出発。この鉄道は景色の良い場所を走るが、残念ながら今日は靄ってしまっている。しかし、スイッチバックなどの見所はいつも通りである。

@行ったり来たり

 終点の強羅までは行かず、途中の小涌谷で下車。というのも、ここから箱根港方面のバスに乗り継げるからである(バス自体は小田原駅から乗ることができるが、今回は鉄道部分を増やすためこのような旅程にしている)。
 雨が酷いためしばらく駅の待合室で時間調整をし、12時02分発のバスを待ち構えた。

@背後の踏切は、箱根駅伝で有名な場所

 峠道をバスで揺られ、元箱根港方面へ。箱根湯本の散策を端折ったため時間が有り余っているため、1つ手前のバス停(箱根神社入口)で降り、神社まで散策した(神社からの復路にはかなり雨もやんだが、その後また降ってきた)。
 次に乗るべきは、13時25分発の三島駅行バスである。

@まだ本来旅程より2時間前倒し

 定刻に出発。この路線は遠く三島方面を見渡せる景色が楽しめるのだが(気になる方は前回旅行記を参照)、しかし今日は生憎の雨である。
 三島駅までは行かず、本町プラザホテルバス停で下車。というのも、三島田町駅まで徒歩圏内だからである。
 三島田町駅のすぐ近くにスーパーがあったので、ここで夕食用食材をゲット。続いては、伊豆箱根鉄道である。

@あくまで私の行先は大阪

 14時58分発の3両の電車に乗り、今日の宿がある大仁へ(最初は土肥の温泉を探したが、10連休の初日ということもあり撃沈。この地味な温泉に泊まることとなった)。
 宿は駅から歩いて5分ほどの場所にあったが、お湯も良くて、私の安旅にとっては充分な内容であった。

■2019.4.28
 散歩がてらに修善寺駅まで歩き、バス窓口で土肥フェリーターミナルまでの切符を購入した。今日は何より天気が良い。

@晴れ晴れ

 8時20分に修善寺駅を出発(乗客は4人のみ)。土肥フェリーターミナル到着は定刻(9時11分)より2分遅れてしまい、ただでさえ9分しかない乗り継ぎ時間がたったの7分である。急いで船の切符を購入し、目の前に停泊している大型フェリーに乗り込んだ。9時20分に出港。

@続いてはこれに乗船

 今年3月(つまり先月)限りでの撤退話もあった駿河湾フェリーであるが、県が所有することとなって無事に継続が決まった。前回乗船時よりも船内が賑やか(客が多い)であるが、これは連休であるためであろう。
 何より天気が良いし、富士山も綺麗である。

@船内より

 10時30分に清水港に到着し、下船した場所で無料連絡バスを待った。こんな場所、と言っては失礼になるが、外国人観光客などが結構いるのが意外な感じである。連休の混雑も相俟って人も多く、前回のイメージとはずいぶん異なっている。
 しばらくして、無料連絡バスがやってきた。

@これも公共交通機関の一部

 JR清水駅行であるが、途中の新清水駅でも下車することが出来る(下車したのは私だけであったが)。
 さて、続いては静岡鉄道である。なんだか最新型の車両であり、これまた前回のイメージとは大きく異なるものであった。

@新型

 10時54分に出発し、20分強で新静岡に到着した。
 さて、ここで1時間以上暇である。つい半年前に来たばかりの静岡市内であるが、城址や商店街を適当に再度散策した。
 さて、続いて乗るべきは静岡空港行の連絡バスである。前回はこの区間でJRバスを利用してしまったが、今回は空港を拠点とする交通網を乗り継ぐことによって、完全にJRを抜くことに成功している。
 新静岡駅を12時41分に出発し、13時33分に空港に到着した。

@到着時

 さて、またここで2時間弱も暇である。実のところ、新静岡発14時11分のバスでも乗り継げるのであるが、そうなると静岡市内で3時間近くも暇になってしまうため、1本前のバスで移動してきたのである。
 まずはカウンターへ行って掛川への乗合タクシーを予約し(事前予約の必要はないが、カウンターへ行って利用する旨を申請する必要がある)、その後はロビーでスマホとお友達である。
 出発5分前にカウンターに来るように言われていたので15時15分に向かったが、どうやら利用者は私1人だけのようであった(もう1人いたが、その人は浜松行を利用するらしい)。運転手に促されて乗り場に向かったが、なんと「見た目は普通のタクシー」であった。

@つい奥の車に乗ろうとしてしまった

 15時20分に出発。掛川までは一律1,000円であるが、参考(報告?)用なのであろうか、メーターは動いていた。空港を出るとすぐに1,000円を超え、掛川駅到着時のメーターは5,800円であった(もちろん支払ったのは1,000円のみ)。これは私の想像であるが、乗車人数が1人であれ4人であれ、通常額との差額は空港が補填してくれるのではないだろうか。
 北口へ移動し、今日最後の移動手段である天竜浜名湖鉄道である。

@やっと鉄道に

 1両だけのディーゼルカーに乗り込み(労働者らしき外国人多し)、定刻の16時19分に出発した。
 長閑な景色の中を走り続けるが、いかんせん駅間距離が短くて停まってばかりなのが食傷気味である。急行があれば乗ってしまいたい気分である。
 17時59分、今日の宿泊地である三ヶ日に到着した。「瀟洒な駅舎だな」と思ったら、登録有形文化財であるとのこと。

@翌朝撮影

 10分ほど歩き、今日の宿へ。旅程の関係で偶然泊まることになった旅館であり、宿主は「ようこそボロ宿へ」ということであったが、格安の割に2間続きの部屋であり、個人的には古い雰囲気を大いに楽しんだ。

■2019.4.29
 早朝に駅に向かい、5時56分の列車で三ヶ日から新所原へ。前回同様、ここで公共交通機関のリレーが切れてしまうため、徒歩移動となる(県境を跨ぐ路線バスは色々と複雑になるらしく、ほとんど存在しない)。
 前回利用した駅舎併設のうなぎ屋を懐かしく眺めつつ出発し、国道を歩き続けた。

@県境越え

 1時間程度で、JR二川駅に到着した。バス停自体はもっと東側にもあるが(似たような旅をしている人で、「大脇」というバス停を利用している人もいる)、しかし私は、旧街道の街並みを楽しむためにあえて駅まで歩くことにした。
 さて、ここから豊橋駅まではバスである。JRの方が格段に安くて早いが、旅のテーマの都合上、仕方なくバスである。

@これに乗る

 7時26分に出発し、7時55分に豊橋駅前に到着した。
 さて、ここからは名古屋まで名鉄で一直線である(前回は、わざと中部国際空港に行ってそこから船に乗ったりしたが、今回は大阪まで直行である)。
 8時02分発の新鵜沼行。ミューチケットを買ってもいいが、一般座席もロングシートではないため、今回はパスである。

@展望部分は指定席

 定刻に出発。市街地を快走し、8時51分に名鉄名古屋に到着した。
 さて、後は10時00分発の近鉄特急でひとっ走りするだけである。特急券はネット割引で購入済みであるが、乗車券を券売機で買うのは納得がいかない。ということで、駅前地下街に行ってみると、連休だというのにチケットショップが開いていたので、そこで格安切符を手に入れることができた。
 その切符で改札を通り、特急用ホームへ。

@旅の終わりも近づいてきた

 定刻の10時00分に近鉄名古屋を出発し、ひたすら西へ。大阪難波には12時07分に到着した。地下鉄でなんば(大阪)へ移動し、そこで終了である。
 ということで無事に終了したが、今回の旅の「本来の」目的は伊丹空港に行くことである。梅田から阪急列車に乗り蛍池まで移動して、そこから歩いて伊丹空港へ行き、国内旅行であるのにカウンターでパスポートを見せて手続きをして、その後無事に成田行に搭乗した。

 

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