カリフォルニアのそよ風

■はじめに
 さて、毎年恒例になってきた「海外での年越し」である。海外旅行に行き始める前(約8年前)までは、湯治温泉宿や、特定のテーマに沿った民宿(「日本最北」や「本州最北」など)で年越しをしていたが、ここ数年はずっと海外である。長期休暇が取り易いためであるが、おかげで年末年始のテレビ特番とはずいぶんご無沙汰である。
 この時期に欧州に行っても「寒い」「日が短い」となるため、南半球であれこれ検討したが、どうにも「これ」といった目的地がない。アフリカも考えたが、タンザニアやケニアは情報量が少なくて断念。そこで「北半球でもできるだけ南」ということでメキシコを検討したが、チワワ高原鉄道の事前入手ルートが難しくてこれも断念。ということで、米国に落ち着いてしまった。日の長さは日本と変わらないくらいであるが、欧州よりは多少はマシであろう。
 旅程の中心となるのは、サンフランシスコからシカゴまで横断する、アムトラックの「カリフォルニア・ゼファー」号である(表題は列車名の直訳)。2泊3日の行程であるが、座席車での2泊は体にこたえるため、途中のデンバーで下車して分断することにした。私も、「丸く」なってきたようである(以前なら「同じ列車に通しで乗る」ことに固執したであろう)。

【旅程】
1日目:夜、羽田空港からサンフランシスコへ(日付変更線の関係で、当日の昼に到着)。サンフランシスコ市内にある鉄道博物館に訪問(サンフランシスコ泊)。
2日目:サクラメントに日帰り旅行(目的はカリフォルニア州鉄道博物館)(サンフランシスコ泊。年越し)。
3日目:元旦の朝、連絡バス経由でカリフォルニア・ゼファー号に乗車(車内泊)。
4日目:夜、デンバー到着(デンバー泊)。
5日目:デンバー市内観光(交通博物館含む)をしてから、夜に再度カリフォルニア・ゼファー号に乗車(車内泊)。
6日目:午後、シカゴ到着(シカゴ泊)。
7日目:午前、シカゴ空港出発(機内泊。翌日成田着)。

@エミリービル駅にて

■2018.12.30
 定刻より少し早い11時35分に到着したが、イミグレーションが遅くて空港の外に出られたのは12時半頃であった。まずはBART(市内高速鉄道)乗り場へ行き、自動券売機で切符(カード)を購入してホームへと向かった。まずはこれから鐡の開始である。

@デザインはいまいち

 市内までは約30分。トンネルの多い鉄道であった。
 エンバーカデロで下車し、港付近を適当に徒歩観光してから、まずは鉄道博物館である。といっても、明日訪問するサクラメントにある本格的な鉄道博物館とは違って、こちらは狭いスペースに展示物がちらほらとあるだけのものであり、メインは売店ともいえるような小さい規模である。

@ちょうどトラムが通りかかった

 少ない展示物を見てから、次に向かうべきはケーブルカー博物館である。サンフランシスコ名物の坂道を歩き、中華街を抜け、程よく汗をかき始めた頃にやっとたどり着いた。
 こちらの施設は、ケーブルを稼働させる施設(バカでかいモーターがケーブルを回している)に、旧い車両や歴史的展示物をいくつか置いて売店を併設させたものである。

@こちらの方が見ごたえあり

 うなっているモーターを見てみると、「1892年製」とある。改修はされているのであろうが、よく動いているものである。
 その後は、ベイエリア(ピア39)方面まで歩いて行ってあれこれと徒歩観光をし、いつも通りのパターンでスーパーで惣菜とビールを買って部屋に戻って一献した。

■2018.12.31
 念のため6時15分頃にホテルを出て、歩いて25分くらいのところにあるトランスベイ・バスターミナルに向かった。迷うことなく到着したため、20分ほど近場を適当に散策した。
 乗るべき連絡バスは7時10分発であるが、それが来る前に別系統の7時05分発(このターミナル始発)があるため、そちらに乗り込んだ。

@今日はバスから

 7時08分、バスは出発した。早くターミナルに来た特典として、席は最前列である。
 昨日港から写真を撮った橋を渡り、バスは7時26分にエメリービル駅に到着した。出発予定時刻である7時52分まではまだまだ余裕があるし、しかもETA(おそらくestimated time of arrivalのこと)は8時02分になっている。することもなく、駅周辺を散策した。
 ちなみに、対向のサンノゼ方面に行く列車は30分ほど遅れている。電光掲示板にある遅延理由を直訳すると「橋が開いたため」ということで、つまり途中に可動式鉄橋(昇開橋)があるということであろう。

@小さい駅

 これから乗るのは、サクラメント行のアムトラックである。サクラメントからオークランドやサンノゼ方面に行く列車であるが、ここエメリービルからサクラメントまでは明日に乗車する区間と重複している。「乗り鉄」という意味ではサンノゼ方面に行きたいところであるが、デンバーまでの切符(半年くらい前に定価の1/3くらいで安く買っている)を入手してしばらく放置し、旅行直前になって鉄道博物館の場所を調べたら、なんと沿線のサクラメントであった。ということで、今日は博物館を優先させてサクラメントまでの往復をすることにしている。
 出発予定時刻の電光掲示板は8時02分から01分、00分、7時58分と減っていったが、そのうち8時01分、03分と増えてしまった。それが04分になり、本当に入線してきた。

@見たことがない新型機関車

 結局、定刻から15分遅れの8時07分に出発した。
 市内の景色は普通であったが、しばらくすると左手に海(のような湾)が見えてきた。景色としては綺麗であるが、今日は風が強く、所々で波しぶきが路盤にまで飛んできている。そのうちに路盤もろとも侵食してしまいそうな勢いであった。

@波高し

 その後も、次々と現れてくる工場や自動車用の橋などを眺め続けた。マルティネズ駅に近づいていくと、左手に大きな橋があり、中央部分が浮いているように見える。「あの橋が遅延の原因っぽいな」と思っていると、その旨(橋の説明と、船が通過した直後であるため遅延すること)のアナウンスがあった。

@日本にも以前は佐賀県などにあった形式(こんなに大きくないですが)

 マルティネズを出発して橋に近づいていくと、まだ作業の途中ということで10分ほど停車をした。その後、やっと出発。
 この旧い鉄道橋は一般道の橋とハイウェイの橋に挟まれているが、新しい道路用の2本の橋はかなり高い位置に設置されている(そのままでも大きな船が通れるように)。鉄道用も架け替えればそうなるのであろうが、架け替えるだけの設備投資ができないのであろう。
 時差ボケもあって時折ウトウトとしたが、9時52分にサクラメントに到着した。あれだけ出発が遅れ、橋の作業で停車したにも関わらず、たったの3分遅れである(それだけ、元のダイヤ設定に余裕があるのであろう)。

@駅は壁画が印象的

 さて、まずは歩いて5分程度のところにあるカリフォルニア州鉄道博物館である。年末の31日まで開館していることはネットで確認しているが、「人が少なくて臨時閉館だったらどうしよう」と思って近づいていくと、予想外に家族連れがたくさん集まっていた。
 12ドル支払って中に入り、まずは展示車両などの見学である。

@意外にたくさんあり

 SLや旧い車両の展示というのはどこにでもある展示方法であるが、一つ感銘を受けたのが、一番奥に展示されていた寝台車両であった。当時の雰囲気を再現するためにSLの音を鳴らしたりするのはよくある演出であるが、この車両は、なんと車両自体が前後左右に不規則に揺れるのである。油圧か何かで動かしているのであろうが、本当に走行しているような感覚であった。

@その車両

 それ以外に印象的であったのが、高速鉄道のコーナーにあったシミュレーションであった。見る人が見れば「あっ」と気づくであろうが、まさしくJR東日本のE5系である。シミュレーションが稼働するのは12時からということであったが、資料を見てみると、映像は小山から宇都宮までの間を使用しているとのこと。

@こんな場所で出会うとは

 なお、カリフォルニア州の高速鉄道については、まだ正式な決定はされていない。車両展示のコーナーにはドイツのシーメンスが高速鉄道のモックアップを展示してあり、JR東日本のこれも含めると、まさに「宣伝合戦」のようでもある。
 博物館には1時間少し滞在し、次は市内散策であるが、その前に博物館のすぐ近くにあるウォーターフロントへ行った。というのも、車両が数点展示されているからである。

@その例

 それらを見て、すぐ近くにあるオールド・サクラメントを観光してからは、市内をあれこれ適当に徒歩観光してから駅まで戻ってきた。
 さて、戻りの列車は14時10分発のオークランド行である。客車部分は4両だけであり、往路より1両短くなっていた。

@先頭は見慣れたアムトラック機関車

 日が差すのを覚悟で、往路とは逆側に座る。定刻に出発したが、エミリービル到着は定刻から11分遅れの16時00分であった(定刻に出発して橋の作業にも引っ掛からなかったのに)。
 バスでトランスベイに移動し、そこから歩いて昨日と同じスーパーへ行って食材を揃え(翌日のアムトラック車内分も含めて)、ホテルに戻って、あとはいつもと同じパターンである。
 なお、今晩はサンフランシスコ名物の「カウントダウン花火」があるようであるが、時差ボケの関係で起きているのもしんどいし、ベイエリアまで歩いて25分くらいかかるので、それは諦めて寝ることにした(戦争が始まったかのような爆音で、0時に起きてしまったが)。

■2019.1.1
 6時半過ぎにホテルをチェックアウトして、連絡バスに乗るためベイエリア(ピア39)へと向かった。

@初日の出(橋の向こうにあるはず)

 連絡バスは昨日と同じトランスベイからでも乗車できるし、そちらの方が7時50分発であるため時間に余裕ができるが、始発から乗ってみたかったのである。
 それにしても、7時15分発は早すぎである(ネット予約時に「違う場所のことか?」とかなり混乱した)。実際には7時16分に出発し、次の停留所であるフィナンシャル・ディストリクトには7時23分に着いてしまい、運転手が「出発は40分だから、コーヒーを買う人はあの店へどうぞ」と案内するくらいであった。もっと遅い出発時間で充分であろう。

@時間ができたので適当に散策(すぐ近くにケーブルカー乗り場あり)

 同停留所を出発し、トランスベイを経由して、エミリービル駅には8時10分に到着した。出発まで1時間もあるが、何もすることがない。
 以前はここでチェックイン手続きもあったが、今はほとんどの人がEチケットである。バス到着は列車出発の30分前で充分であろうし、となればピア39を8時00分発、フィナンシャルを10分発、トランスベイを20分発で充分ではないかと思う。
 8時45分過ぎ、案内アナウンスがあってカリフォルニア・ゼファー号が入線してきた。

@後ろから撮影

 編成は2両の機関車を先頭に、荷物車1両、寝台3両、ダイニング1両、展望車(+売店)1両、コーチ(座席車)4両である。最後尾に乗ろうとしたところ、入口にいた車掌から「デンバーは1両前」と言われたので、後ろから2両目に乗り込んだ。座席は自由(適当に座って、後で車掌が行先の紙を座席上に貼る)である。ということで、日の当たらない左側の窓側に陣取った。
 定刻の9時10分に出発。サクラメントまでは昨日と同じ景色であるが、今日は風がないため湾の波は高くない。

@途中で見つけたSL

 11時12分、サクラメントに戻ってきた。意外に多く乗ってきて、出発時に5〜6人くらいしかいなくて閑散としていた車内も20人くらいになった(それでもまだ空いているが)。
 同駅を11時27分に出発。12時を過ぎると小さなトンネルをいくつか抜け、景色も自然(木々)が中心になっていった。
 いったんスイッチバックをして、コーファックスには12時55分に到着した。

@駅前の様子

 同駅出発後も、森林の連続である(松が多い)。ゆっくり左右に蛇行していくが、アナウンスで「右側に景色が」とあったので、空いている右側の席に移動した。
 14時過ぎた頃、自席(左側)に戻る。路盤にもちらほらと残雪が見え始め、じきにほとんどが雪になっていった。

@寒そう

 14時40分頃、人影がちらほらと見え始めた。どうやらスキー場(+その他の施設)があるようである。沿線で雪遊びをしている人が、こちらに向かって手を振っていた。
 そこを過ぎると明らかに下り勾配になり、長いトンネルを抜けて、左手に大きな湖が見え始め、弧を描くようにして走り続け、15時07分にトラッキーに到着した。雪はもうほとんどない。
 同駅を定刻から33分遅れの15時11分に出発。景色は荒野の連続になっていった。

@もう雪はない

 その後は景色が岩山っぽくなり、16時06分にリノに到着した。もうネバダ州である(「カリフォルニア・ゼファー」であるのに、カリフォルニア州は最初だけ)。同駅出発後、17時を過ぎると日が沈み、半過ぎには景色が見えなくなった。よって、自席で夕食を始めた。
 18時54分、ウィネマッカに到着した。ホームに降りてみると、再度また雪の世界である(酔いも一気に醒めそう)。同駅出発時刻は、いつの間にか定刻の19時08分であった。

@ネバダの冬

■2019.1.2
 停車の雰囲気で目を覚ます。アナログ時計は2時15分を示しているが、時差が1時間生じているため実際は3時15分である(時計を調整する)。時刻表によれば、ソルトレークシティ(ユタ州)である。停車時間は意外に長く、定刻から10分遅れの3時40分に出発した。
 7時を過ぎてから、やっと明るくなり始めた。展望室へ行き、朝日の風景を見る。こういった景色が見たくて、この列車に乗ったとも言える(メインは後述の岩山群)。

@まずは前菜的に

 階下にある売店で買った2ドルのコーヒーを啜りながら、荒涼とした景色を見続けた。そのうち、砂漠のオアシスのような感じで急にガソリンスタンドが現れ、8時06分にグリーンリバーに到着した。久々に人家を見た気がする。
 同駅出発後は、だんだんと岩山の起伏が激しくなっていった。

@険しい

 久々に大きな町が近づいてきて、9時57分にグランド・ジャンクションに到着した。30分ほど停車するようなので、ホームに降りて新鮮な空気を吸った。
 同駅を10時25分に出発。コロラド川が右側に沿うため、また右側の空いている席に移動してそれを見続けた。

@相変わらず険しい

 車内アナウンスでは、遅延の理由として「信号トラブル」という気持ち悪いことを述べている。正面衝突だけはやめてほしいが。
 再度雪が多くなり、12時27分にグレンウッド・スプリングスに到着した。ここでもホームを少しだけ散策し、38分に出発(定刻より28分遅れ)。
 同駅を出発してからは、コロラド川が左側に沿うようになる。それに伴う渓谷もより険しくなり、「第二の見所」といった感じであった。コロラド川が「小川」のような細さになり(凍っているせいもあるが)、トンネルに「入りそうで入らない」状態が続いた(おかげで景色は良いままであった)。

@しかし景色を見る人は少ない

 峠のような区間を過ぎると平原のようになったが、今回は「雪景色の平原」である。
 とある場所で、列車は停止した(この時点で13時16分)。車内アナウンスでは「姉妹列車(対向の「カリフォルニア・ゼファー」のこと)との行き違いだが、信号トラブルなどで30分遅れている。しかし、デンバー到着は予定通り」とのこと。最後の一文は謎であるが、信じるしかない。
 しばらく待っても当然動く気配もないため、トイレに行った。すると列車が通過する気配を感じたが、まさかの「貨物列車による追い抜き」であった(この時点で13時37分)。謎の運用であるが、何か理由があるのであろう。
 暇なので、印刷してきた時刻表を見てみた。デンバーからフレイザー・ウィンターパークまで、シカゴから来る「姉妹列車」ならば2時間2分、それに対して私が乗っている側は2時間48分となっている。事前知識によれば、この区間は大きく弧を描いてデンバーに向けて山岳から下る区間であり、上りの方が所要時間が短いことはあり得ない。ということは、かなり「余裕を持たせた時刻設定」であり、30分くらいの遅延なら予定通りに着くのであろう。
 結局待つこと1時間弱、14時09分になって姉妹列車とすれ違い、やっと動き出した。

@1時間足止めを食らった場所(景色が良いので許す)

 さて、30分どころか1時間以上の遅延になってしまったが、なるようになれである。
 コロラド川は、右側になったり左側になったりしている。車内アナウンスがあり、おそらく「カリフォルニア・ゼファー」の所以を説明しているようであるが、私の車両のスピーカーの調子が悪く、ほとんど聞き取れなかった(「…ということで我々はそう呼んでいる」という部分しか聞こえず)。

@ゼファーの詳細わからず

 平原であった景色は、また渓谷のようになっていった。路盤は相変わらず左右に蛇行している。ふと崖を見ると、崖の側面に鹿が何匹かへばりついている(落ちそうである)。なお機関車が何度も汽笛を鳴らしているが、それが踏切での警告だけでなく「鹿避け」でもあることがわかった(蛇行のおかげで、汽笛により逃げる鹿を目撃)。

@こちら側からも撮影

 またまた平原のようになり、速度も上がり、またまたまた渓谷のようになり、そして町が近づいてきて16時37分にグランビーに到着した。同駅を3分後に出発したが、この時点で定刻より1時間28分の遅れである(ただし、前述した上下線での時刻差と勾配を考えると、1時間くらいは挽回してくれるかもしれない)。
 続いてのフレイザー・ウィンターパークには17時08分。「新鮮な空気を吸う人はホームへどうぞ。でも寒いから上着を忘れずに」というアナウンスに従って、ホームに降りた。

@確かに寒い

 この駅でかなりの乗客も増え、私の隣りにも男性が座った(約9割程度の乗車率)。デンバーまで2時間程度ということもあり、手頃な移動手段になっているのであろう。
 車内アナウンスで「この列車で最長となる10分間のトンネルがあるが、そこ中では車内移動しないこと」「それを過ぎると、左手にデンバー市内の景色が広がること」が告げられた。あの遅延がなければ明るい時間帯にここを過ぎることができたが、仕方がない。
 件の区間に差し掛かると、左手にデンバーの夜景が見えてきた。デジカメで綺麗に撮影することは不可能であるが、これも「アリ」かな、と思った。

@残念な絵ですが

 デンバーは頭端式のホームであるため、バックで入線することになっている。デンバー市内に入り、19時11分にいったん停止し、そこからゆっくりバックして、19時25分にデンバー・ユニオン・ステーションに到着した。定刻より47分の遅れである(合格点としよう)。
 スーパーとコンビニで安食材と酒を揃えて、予約済みのホテルに投宿した。

■2019.1.3
 さて、今日はデンバー観光である。観光となれば鉄道関係であるが、コロラド鉄道博物館は公共交通機関では行くことができないため、割愛である(タクシーを使ってまで行くほどでもない)。そこであれこれネットで検索し、フォーニー交通博物館という施設へ行くことにしている。クラシックカー中心の展示施設のようであるが、ウェブ情報によればSLもあるようである。
 まずは、バスと電車の一日券の購入である。それから事前にネットで調べた最寄りバス停に行き、9時30分発の48番系統に乗り込んだ。

@あれに乗る

 9時50分頃には施設最寄りバス停に到着。しばし時間調整し、10時開館の施設へ(入口がバス停側になく、大通り側にあったので少し戸惑ってしまったが)。
 ウェブを見た限りではSLが少しあるくらいのようであったので、「それでも適当に見て、ついでに車の展示を見ても、滞在時間は30分くらいか」と思っていたが、予想外にたくさんの鉄道関係展示があった(市電を含めれば10両以上の車両があった)ため、1時間コースの見学となった。

@予想外に「豊作」

 それもそのはず、施設の入口付近の鉄道の引込線があったように、ここはどうやら旧鉄道施設のようなのである。よって、巨大なSLや旧い客車がたくさん展示されているのである。
 さらに車以外にも、バイクや飛行機、馬車や耕運機、さらには三輪車や乳母車まで、車輪が付くものは何でもあるようで、なかなか興味深い展示内容であった。

@鉄道関係をもう一枚

 同じ系統のバスで市街地に戻り、次は鉄道乗車である。朝に買った一日券は鉄道とも共通であるため、特に目的はないが特定の路線の終着駅まで乗ることにしている。
 ということで、F系統に乗り込んだ。市内では見ての通り「路面電車」という感じであったが、専用線に入るとかなりの高速運行であった。ほぼほぼ高速道路に沿って走り、駅に停まる毎に乗客も減り、終着駅で降りたのは私を含めて2人だけであった。

@目的なしで来ました

 さて、この後はE系統でユニオン・ステーションに行って空港連絡鉄道に乗り継ごうとしていたが、路線図を見るとR系統でショートカットができるようであるし、R系統の方が先に出発するため、そちらで移動することにした。
 1両だけのR系統でショートカットをして、ペオリアで空港連絡鉄道(A系統)に乗り換えた。こちらは、路面電車ではなくて普通の電車っぽい規格である。

@次はこれ

 先月までは空港線は別料金であったが、今月(つまり一昨日)から一日券でも乗れるようになった(その代わり、一日券の料金が上がった)ため、目的もなく空港まで行って戻ってきた。2両編成の電車であったが、戻りなどは立ち客もいて、今後はもっと整備されそうでもあった(空港駅もまだ工事中であった)。
 ということで、ただ乗るだけの鉄道旅を終えてからは、市内にあるクアーズ・フィールド(野球場)や議事堂などを徒歩観光して、ホテルに行って荷物を受け取ってユニオン・ステーションに向かった。
 この時点で18時少し前であり、「さすがに早すぎたかな」と思いトイレに行ってその後は待合室にいたが、昨日の経験からすると「トラブルがなければ30分くらい早着する可能性がある」ことに気付いて再度18時10分頃にホームに行ってみると、やはり入線していた(本来は18時38分着予定)。

@今日は「トラブルなし」であった模様

 いそいそとホームへと向かったが、出発までまだ1時間程度あることもあり、私より先に待っていたのは3人だけであった。車掌から席を割り当てられたが、最後尾の車両としては1人目で、座席番号は1であった。「できれば左側が良いな」と思って車内に入ると(右側は日が差すため)、なんと最後尾の左側であった。最後尾=後ろの窓から後方も見渡すことができるため、個人的には最良の席である(乗り心地という意味では、車両の端より中心が良いのは承知であるが)。

@こちらから見て右側の席

 自席に陣取り、さっそく夕食である。定刻の1分前に汽笛が鳴り、19時10分ぴったりに出発した。頭端式ホームということもあり、なんだか昔の上野駅のようである。上野発の「八甲田」で旅立った大昔のことを思い出した(座席は今日の方が数段上であるが)。

■2019.1.4
 2時42分、今日も停車の雰囲気に気付いて起きた。そして今日も時差の関係で、実際の時刻は3時42分である。運転停車(客扱いしない停車)のようであり、貨物と行き違ってから出発した。
 4時55分、オマハに到着した。意外に多くの乗客が乗り降りしている(特にコーチ車両)。一時的な下車が許される駅であったため、私もホーム上で体をほぐした。

@寒いですが

 同駅を5時16分に出発。7時頃になってやっと明るくなってきたので、気分転換で展望車に移動した。クレストンには7時04分着。黄色い作業着を着た数人が展望車に直接乗り込んできた(一般車両には乗れないため?)。

@展望車での夜明け

 続いてのオセオーラは7時42分発で、定刻からの遅れはたったの2分。今日は順調のようである。
 その後は自席に戻って、平原的な風景を眺め続けた。昨日はひたすら岩山と渓谷が続いたが、今日はひたすら平原である。これはこれで壮大な眺めであるが(日本ではお目に掛かれない広大なもの)、しかし、やはり地味でもある。
 最後尾のドアは汚れているため撮影には向かないが、行違う列車を撮影するには最適である。

@記録用として

 9時08分、オタムワに到着した。喫煙タイム(人によっては)があるため、私もホームに降りた。遠く駅舎の向こうにはSLがあるが、そこまで行って撮影するわけにもいかない(合図の汽笛が鳴ったらすぐに戻れる位置にいること+ただしドアの近くではたばこを吸わないこと、がアナウンスで告げられている)。
 9時14分に同駅を出発。ここまでを通して売店利用が1回のみ(しかもコーヒーだけ)であるため、売店の品で早めのブランチを頂くことにした。展望室階下の売店で買ったのは、米国っぽく「アンガス牛のチーズバーガー」とコーヒーである。

@牧場の牛を見ながら頂く

 その後も、ひたすら平原である。退屈ではないが(先述したが日本では見られない景色であるため)、いかんせん旅行記に記載するような「起伏」がない。つまり、見所がないのである。とにかく、平原か畑である。
 10時28分、バーリントンに到着した。今度はSLが目の前にあった(ただし後ろ姿であったため、写真は駅名標付近にあった謎の車両に)。

@謎車両

 同駅を35分に出発。スマホで確認したので間違いないと思うが、1分の早発である(その程度は気にしないのであろう)。
 さて、「見所がない」などと書いたが、同駅出発後にアナウンスがあり「ミシシッピ川を渡るとイリノイ州」ということであった。左手を見ると、可動式鉄橋があるではないか。いきなりの見所である。

@失礼しました(しかも手振れ)

 ゆっくりと(「恐る恐る」という感じで)列車は鉄橋を渡った。思い出したように最後尾に移動して、その様子を撮影した。

@こういう時のための最後尾窓

 車掌がやってきて、人が座っていない席のカバーを片付け始めた(理由は後で知る)。
 続いての駅はゲイルズバーグで、11時17分着。時刻表には11時41分発とあるのでどうするのかと思ったが、車内アナウンスではすでに「ファイナルコール」と言っている。よくよく時刻表を見たら「D」マークがあり、注釈を直訳すると「下車のみの停車。時刻表より早く出発することあり」ということであった。この先の停車駅はすべてDマークであるため、車掌も片付けに入ったのである。

@出発時にSL発見

 12時12分にプリンストン到着。このまま行けば、今日は早着しそうである。
 13時を過ぎると複々線になり、近郊列車用の小さい駅も現れ始めた。じきに左手にシカゴの超高層ビル群が見え始め、終着はもう間もなくである。
 13時50分にもなるとノロノロ運転となり、さて到着かと思ったら、どうやらシカゴでもバックで入線するようであり、先頭の機関車はシカゴ・ユニオン・ステーションでない方面に向かっていった。

@左手がユニオン・ステーション(列車は右へ)

 いったん南下し、係員が最後尾のドアを開けて無線連絡を開始し、バックの準備が整った。ということで、最後尾の恩恵が最後にまたやって来た(特等席である)。ドア近くまで近づいていったのでは何か言われそうであるが、自席にいながらにして後方が見放題である(しかしどうしてもピントが係員に合ってしまうため、写真はなし)。
 ゆっくりゆっくりとバックして、14時17分に到着した(定刻より33分早着)。もしかしたら、全体的に「何事もなければ定刻より30分程度早く」着くような時刻設定にしているのかもしれない。

@無事到着(係員が去った後)

 さて、面倒な手順を経てバックで入線したのは、もしかしたら「このまま明日の出発に備える」ためかと思っていた。しかし、対面のホームに停車していた「イリノイ・ゼファー」(クインシー行)は、普通に機関車を先頭にして入線していた。謎である。

 ということで、デンバーで二分した旅行であったが、その景色は全く異なるものであった。寝台で豪華に「通し」で乗るのであれば2泊3日も面白そうであるが、コーチ席でこの路線を楽しみたいのであれば、山岳区間だけでも充分であるかもしれない。もちろん、最終的な判断は皆さんにお任せいたしますが。

@シカゴ・ユニオン・ステーション全景

 

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