惜別「石勝線夕張支線」

■はじめに
 石勝線の夕張支線も、3月いっぱいで廃止となる。紙幅の関係で詳細な経緯は省くが、地方自治体が協力して廃止への道のりを整備した例である。
 さて、その乗り納めをしようと思ったが、廃止直前は「ご専門」の方で混雑して殺伐とするのが最近の例である。JR北海道も準備万端で、廃止直前の2週間は8往復に増やし、列車の編成も2〜3両にするという。しかし、1両ガラガラの列車に乗ってこそ「廃止間際のローカル線」である。
 そいう言うわけで、3月後半は対象外である。さらに3月前半も「青春18きっぷ」の利用可能期間であるため、札幌などから同じ目的の人が多く訪ねてくるかもしれない。…ということで2月の週末に設定したが、それでも「普通に訪問」したのでは、ある程度の混雑は避けられないであろう。
 時刻表とにらめっこして思い至ったのが、夕張を朝7時08分と8時25分に出発する列車である。札幌や千歳からアクセスする列車の最初の夕張到着は12時26分であるため、要するに上記の列車に乗るためには夕張に泊まるしかないのである。言い換えれば、これらの列車は「地元民が乗る」ものであり、さらに土日であれば通勤通学の人も少ないであろうから、それなりの閑散具合が期待できる(スキー客も乗るかもしれないが、日曜の早朝には移動しないであろう)。ということで、まずは土曜夜の夕張のホテルを押さえておいた。
 続いては、夕張へのアクセスである。土曜日に新千歳空港に到着してから普通に石勝線で夕張に向かえば、上記にある通り12時26分に夕張に着くが、それでは味気ない(これまで何回かやってきた手法である)。ということで、JRで北広島まで移動してそこから夕張バスでアクセスすることにした。昔の夕張鉄道のルートとは少し違うが、なんとなくそれに近いものである。

@夕張駅にて

■2019.2.23
 予算削減のため成田からLCCで飛び、8時30分過ぎに新千歳空港へ。8時45分発の快速エアポートに乗り込んだが、残念なロングシートであったので、千歳でわざと下車して後続の各駅停車に乗り換えた。が、こちらもロングシートであった(南無)。

@千歳で追分行を発見

 北広島で下車し、夕張行の急行バスが発着する「北広島東共栄」バス停に向かった(時間が余り過ぎていたため、途中でスーパーに寄ったりして時間を潰した)。
 次に乗るべきは、11時13分発の夕張バスである。定刻より2分ほど遅れてやってきた。

@バス旅(晴れてきた)

 1日に4往復のみ(土日祝は3往復のみ)のバスであるが、車内は意外に多くの乗客であった。と言っても、両手の数には届かないが。
 室蘭本線の由仁駅を経由して、夕張方面へ。1時間弱のバス旅を経て、12時10分頃に本社バスターミナルに到着した。
 当初の旅程ではここから市内バスに乗り換える予定であったが、急いで市内に行ったところで特に見るものもない。ということで、歩いて行くことにした。
 しばらく歩くと「鹿ノ谷駅」という道路標識が見えてきたので、寄り道をすることにした。

@鹿ノ谷駅

 ふとホームの方を見ると、夕張行が出発するところであった(間一髪で間に合わず)。しかし、終点の夕張は次の駅(しかも近い)であり、すぐに折り返してくるダイヤとなっている。ということで、それを待つことにした。
 ホームや駅舎内を探索しているうちに出発時刻が迫ってきたので、跨線橋に登って他の「撮り鉄」さんと一緒にディーゼルカーの到着を待ち続けた。

@少し遅れてやって来た

 同駅を離れてからまたひたすら歩き続け、13時過ぎに夕張駅へ。その後は旧い映画館版のある街中を歩き、チェックイン開始直後の14時にはいったんホテルに投宿した。
 冷えた体を温めつつこの旅行記を書いたりしてから、16時00分発の無料シャトルバスで駅近くまで移動してきた。というのも、16時40分発の列車で南清水沢まで移動して大型スーパーに行くためである。夕張駅近くにコンビニもあるが、せっかく北海道に来ているのにコンビニ食材では気分が盛り上がらない。
 駅近くにはTVスタッフも待ち構えており、廃止寸前の様子を収めようとしている。私も列車を待ったが、アナウンスがあり、なんと鹿ノ谷と夕張の間で民家からの落雪があって運行を中止しているというではないか。さらに、列車が新夕張で待機している間に、乗客の一人が線路上を歩き始めたという「トンデモ」な追加情報もあり、到着がかなり遅れるという。

@待ち人(列車)来たらず

 私は南清水沢に40分くらい滞在してから路線バスで戻ることにしていたため、遅延が20分くらいならなんとかなりそうであったが、17時近くになってもまだ新夕張を発車していないということで、諦めることにした。コンビニ決定である。
 実は北広島でスーパーに寄った際に、原料が北海道尽くしの納豆が半額であったので買っており「地のものゼロ」は回避できるが、しかしコンビニでは味気ない。悔しいので、北海道マークや「北海道産」であることだけを根拠にあれこれ買いまくった。

@セイコーマートだから可能

 無料シャトルバスでホテルに戻り、コンビニ食材で酔ってから就寝。

■2019.2.24
 6時半頃にホテルを出て、15分ほど歩いて夕張駅へと向かった。廃線になったからといって駅などの施設が急に消えることはないが、ここから発着するのが今日で最後と思うと感慨一入である。

@さようなら

 駅の反対側に陣取って、6時58分に到着する列車を待ち構えた。落雪や「乱入」もなく、今日は定刻であった。

@やって来ました

 折り返し運転の準備が終わってドアが開いたので車内に入った。定刻の7時08分に出発。
 私の予想通りで、車内の乗客は私を含めても4人だけである。地元民1人と、旅行客が2人。残り1人は手ぶらだが撮影などもしているので、単純往復で夕張に戻る旅行客であろう。

@これでこそローカル線

 昨日寄り道をした鹿ノ谷を過ぎ、清水沢や南清水沢に停まる毎に乗客は増えて、両手くらいにはなった。新夕張到着は7時31分。読んで字のごとく「あっという間」で、もう終わりである。名残惜しいが、そのうち代替バスにでも乗りに来ようと思う。
 そのまま乗り通し、追分に8時07分に到着した。今日は暇を持て余しているため苫小牧に行く予定であるが、追分ですぐに乗り継いでもさらに時間が余ってしまうため、途中下車をして鉄道資料館に行くことにしている(冬季閉鎖中であることは重々承知の上)。
 しばし歩き、件の施設に到着した。車両にはカバーが掛かっていたが、貨車だけ野ざらしだったので、最低限の収穫はあった。

@雪があって中に入れないため、変な角度で撮影

 追分駅に戻って待合室で時間を潰してから、9時56分発の苫小牧行に乗り込んだ。北海道には良く来るし、石勝線も「常連」であるが、室蘭本線のこの区間に乗るのは本当に久々である(前回がいつなのか思い出せない)。
 出発してしばらくすると、列車は徐行し始めた(昨年の地震による影響)。5〜10分遅れるというが、私はまったく問題ない。逆にこれくらいの速度の方が、まったりして良い気分になる。
 室蘭本線はその歴史から、数往復の列車しか走らなくなった現在も複線である。夕張が栄えていた頃は、ここを大量の貨物列車が走っていたに違いない。

@歴史を物語る複線

 10時40分過ぎに苫小牧に到着した。ここで2時間半近く時間があるため、アカシア公園にあるミニSLと科学センターにあるSLを見てから、港にある市場まで散策をし、そして新千歳空港へ行くだけである。

@SL

 

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