【petit-tetu】上越街歩き

■はじめに
 年度末は仕事の予測がしづらく、有給を取るにしてもあまり早い時期に申請することが難しい。よって旅行は週末が中心となり、海外などは行きにくくなってしまう。
 かといって、4月までどこに行かないというわけにもいかない。そこで時刻表を片手にあれこれ探し、「ほくほく十日町雪祭り」号という存在に行き当たった。その内容に惹かれ、取り急ぎ指定席を押さえておいた。
 単なる臨時特急では面白くないが、この臨時特急では「在来線特急で清水トンネルを通り抜けることができる」のである。以前は特急「とき」でいくらでも経験できたことであるが、昭和57年に上越新幹線が開通して以降、この区間を昼間に通るのは各駅停車ばかりになってしまった。当該新幹線開通時に小学生だった私は、当然のことながら特急「とき」でこの区間を乗車したことはない。何度も乗車したことのある区間であるが、「特急で」となるとまた別問題である。

@十日町駅にて

■2015.2.21
 当該列車は大宮発10時54分と遅いため、9時過ぎに家を出た。どうせなら上野駅から出発してくれた方が旅情が掻き立てられるのであるが、大宮発なのは何か事情でもあるのだろうか。
 大宮まで京浜東北線で行くのは時間がかかるので、せっかくなので上野からは東北本線で行くことにした。10時08分の列車は14番線発であり、上野駅でも最も旅情のある櫛形ホームのところである。
 ホームへ行ってみると、隣りの13番線に人だかりがある。調べるまでもなく気付いたが、来月廃止となる寝台特急「北斗星」がそろそろ入線する時刻なのである。

@ご苦労様です

 入線してきた北斗星と入れ違いに、小金井行の各駅停車は出発した。
 予定通り、大宮で乗り換え。「ほくほく十日町雪祭り」号が入線しているホームへ行ってみると、「鐡ご専門」の方でごった返していた。地味な臨時特急かと思っていたが、意外にこの手の人が多いようである。

@なんとか撮影

 車内に入ってみたが、もちろん雪祭りに行く普通の観光客もいるものの、いかにもなマニアの人も多いようであった。その手の(鐡な)会話が、あちらこちらから聞こえてくる。
 定刻に大宮を出発。私の隣りは空いているが、座席のほとんどは塞がっており、乗車率は95%といったところであろうか。
 埼玉は内陸県であり大宮は大都会なので、これといった「地の物」がない。あれこれ調べて、駅弁の「大宮弁当」でも買おうと思っていたが、駅弁売場に置いていなかった。結局近場にあった店で買ったが、せっかくなので「駅弁」と名付けられたものにしている。

@美味でした

 水上付近から雪が増え、国境にあるトンネル(清水トンネル)を超えると、当然の如く雪国であった。この区間を乗車すると「関東は晴れ、上越は雪」ということが多いが、今日は上越側も快晴である。

@快晴

 臨時列車であるためか、それなりに長時間の運転停車(乗降扱いをしない駅での停車)が何か所かであり、少し遅れた14時32分に終着の十日町に到着した。
 十日町雪祭りには数年前に一度来たことがあるが、その時は雪も降っており、足早にいくつかの雪像を見ただけの記憶しかない。今日は晴れていて完全防寒の格好では暑いくらいであり、道路上の雪も皆無で歩きやすく、かなり前回とはイメージが異なっていた。

@流行の関係で「妖怪ウォッチ」が多し

 市内をあれこれ歩き回り、スーパーで夜用の食材を買いあさってから、17時過ぎに駅に戻った。今日の宿は上越線の塩沢駅に近いため、これから「ほくほく線」の各駅停車で戻ることとなる。
 この第三セクター路線は関東から北陸への大動脈の一部を担っていたが、来月(平成27年3月)に北陸新幹線が開通すると、ローカル列車だけの路線となってしまう。今日はお祭りであるため2両編成の車内は満員であるが、今後が気になるところである。

@打開策はあるのか

 列車を乗り継ぎ、塩沢駅から25分ほど歩いて宿へ向かい、新潟食材と安酒で酔いどれてから就寝。

■2015.2.22
 今日は、まず鉄道文学ネタを少し拾い(最近あまり筆が進んでいないが、鉄道と文学の関係を著したページがあり(「鉄道文学散歩」参照)、今日は川端康成の『雪国』に関するネタを集める予定)、あとは些細な鐡ネタとして上越新幹線のガーラ湯沢への支線に乗ることにしている。私は随分前にJRのほとんどの路線に完乗しているが、新幹線の車両等を使用している博多南線とガーラ湯沢への支線だけは乗車したことがないのである。それに乗るためにわざわざ出向くのは気が引けるが、今日ならば「ついで」で済ませることができる。
 7時36分発の列車で越後湯沢まで行き、そこで乗り換えて8時29分に土樽に降り立った。

@『雪国』と関係がある駅です

 ほんの10分強の滞在で折り返しの列車に乗車。駅に券売機がなかったため、車掌に「車内でガーラ湯沢まで買えますか」と聞くと、「発券はできるのですが…、今日は強風のため営業していません」とのこと。外は晴れており、強風どころか「そよ風」もないくらいである。腑に落ちないが、車掌が携帯で再確認したところ「やはり、終日営業していません」ということだったので、「じゃぁ、越後湯沢でいいです」と言って補充券を打ち出してもらった。
 しかし、こんな無風状態で「強風が」というのも、解せないところである。越後湯沢駅の新幹線改札で訊いてみたところ、「本日は強風で営業しておりません」とのことであった。
 仕方なく、まずは徒歩で当初の目的である川端康成ゆかりの地を歩いたりしていた。

@ゆかりの神社は雪に埋もれていて近づけず

 あちこち歩いていると、なんとガーラ湯沢へ行く新幹線が走っているのが見えるではないか。腑に落ちないままとりあえずガーラ湯沢駅へ行ってみると、案の定列車はすべて定刻である。つまり、車掌も駅員も、私がスキーへ行くものと勘違いして、それで「(スキー場としての)ガーラ湯沢は営業していません」と言ったのである。
 最近はスキー用品一式をレンタルする人が多く、見た目でスキー客がそうでないかは見分けられないであろうが、少なくとも私は「車内で切符を買おうとしていた」のであるから、その人に対して「営業していません」はないのではないだろうか。仮に私がスキー客であったとしても、代替スキー場はガーラ湯沢駅で案内していたわけで、つまりガーラ湯沢駅までは行く必要があるのである。いずれにせよ、本人が「行きたい」というのであるから、普通に切符を売ればいいだけのことである。

@なんとか乗車(ガーラ湯沢にて)

 10時23分に出発した新幹線は、わずか3分で越後湯沢に到着した。
 さて、もう後は東京に帰るだけであるが、在来線の次の出発は12時00分であり、それまでは特にすることもない。
 この辺りは有名な蕎麦屋がたくさんあるのでそれにでも入ろうかと思ったが、ほとんどは11時からの営業開始である。コンコースをぶらぶらしていると、温かいモツ煮があったので、誘惑に負けてしまい昼前のこんな時間から酔いどれることにしてしまった。ほどよく酔ってからは、コンコース内にある「つなんポーク」なる肉を使った丼物をテイクアウトして、件の列車に乗り込んだ。

@意外に当たり(もちもちして美味)

 

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