再度あてもなく台湾

■はじめに
 コロナが開けてからは初めての台湾である。台湾の鉄道ネタについてはかなり拾ってしまっており、サトウキビ鉄道まで手を出している状態であるが、ここ数年訪問できていなかった間に新しい施設が出来たりしているため、それらの訪問をすることにした。もちろん、猫村や駅弁など、再訪や再体験も含まれている。
・国立台湾博物館「鉄道部パーク」(台北)
・台湾高鐵探索館(桃園)
・下淡水渓鉄橋(高雄)
・哈瑪星台湾鐵道館(高雄)
・台中駅鉄道文化園区(台中)

@高鐵探索館にて

■2023.12.15
 始発の列車で羽田に向かい、8時35分の台北(松山)行に搭乗。当然の如くエコノミーであるが、座席はプレミアムエコノミーの解放席であったので広々としていた。
 松山空港に到着後はMRTで台北駅へ。今日は近場の移動だけであるが、明日以降はいくつかの列車を事前予約してあるため、それらをまず発券した。在来線2枚と、高鐵1枚である(もちろん別々の発券機での手続きが必要)。このようにネット予約で発券できるようになったので、便利になったものである(現地での切符手配は、海外旅行の壁であった)。

@明日以降に乗る

 今日はまず、国立博物館の分館的に2020年7月にできた鉄道部パーク(鐵道部園区)に行くことにしている。台北駅の近くではあるが、歩くと数分要する場所にある。土地勘がある人ならば、地下道を利用するのがお勧めかもしれない(特に暑い時期は)。
 日本統治時代に普請された建物であり、瀟洒な佇まいである。

@歴史あり

 正面から中に入り、100元を支払って展示コーナーへと向かった。実車はないが、鉄道関係の資料がたくさん展示されている。模擬ではあるが、車両や駅舎を再現したものなどもある。

@その一例

 2階に上がると、そこも展示コーナーであった。大きなジオラマがあり、13時30分から動くということなので、せっかくであるからそれを見ることにした。

@ジオラマ

 台北駅に戻り、桃園空港MRT乗り場へ。続いて向かうのは、高鐵探索館のある高鐵桃園駅である。高鐵で向かってもいいのだが、今日は時間があるのでMRTで移動である(なお空港MRTは料金が高いため、経費削減にはならない)。
 1時間10分近くも乗車して、高鐵桃園に到着した。しばし歩いて探索館に近付いたが、外見からは展示施設とは思えない感じである。

@普通のビル

 この施設は事前予約が必須であるため、予約終了後の画面を印刷して持って来てある。受付でそれを見せると、片言の日本語(「コレ、案内」みたいに)を混ぜながら対応してくれ、パスポートと引き換えにパンフレットと入構証をもらった。見学施設というよりは、会社訪問的なもののようである。

@一式

 内部は2つのゾーンに分かれていて、意外に広々としている。建設関係の展示が多いが、意外にちゃんとした展示施設である。台湾高鐵の資料以外にも、世界の高速鉄道に関する展示などもあった。

@一例

 ハリボテではあるが高鐵の先頭車両と運転席があり、またこちらの施設にも大きなジオラマがあった。
 しかし、見学しているのは私以外に1組だけであり、閑散としている。受付時にリストを覗き込んだのであるが、私の見学時間帯の予約人数は紙1枚だけ(10人程度)であった。せっかく立派な施設があるのだから、もっと自由に見学できるように解放してもいいのに、とは思う。

@館内

 見学後は駅に戻ってMRTに乗り、終点の老街渓へ。そこから先はまだ工事中であるため、歩いて在来線の中レキ駅へ。券売機で切符を買い、今日の宿がある基隆へと向かった。1時間40分ほど乗車し、日も暮れた中、基隆に到着(とてつもない巨大な新駅舎になっていた)。駅から15分ほど歩いて安ホテルへと向かった。
 基隆と言えば、夜市が有名である(台湾各所で有名であるが)。ここでは、以前にも買ったことがある三明治(サンドイッチ)というホットドッグみたいなのが有名であるが、行ってみたら長蛇の行列であった。よってそれは諦めて香腸などを買い、コンビニで大量のビールとおにぎりを買って戻ることにした。

@大混雑

■2023.1216
 今朝は早朝から大雨である(風も強い)。傘を横に差したりしつつ、駅へと向かった。
 今日はまず猫村再訪のため、猴トンへ向かうことにしている。駅で待ち構えていたのは、韓国の現代ロテム製の新車である。昨日の夕方に乗ったのもこの車両であったが、クロスシートがあるのはいいものの、座席のデザインは良くないし、窓との相性も不揃いである(完全に壁しかない席もある)。いまいち洗練されていない感じがするが、正式外交が少ない台湾としては色々な国と経済で繋がる必要があるのかしら、などと思ってしまう。

@新しいのですが

 7時24分に基隆を出発し、八堵で乗り換えて猴トンには8時08分に到着した。もう何度目かの再訪であるが、今日は残念ながら相変わらず雨風が強く(時に突風)、とても散策できる状態ではない。
 しかし、駅構内や跨線橋内にも数匹の猫がいたため、それらを相手にして時間を潰すことに成功した。

@いらっしゃいませ

 当初予定では8時58分発で移動することにしていたが、散策ができないため、繰り上げて8時36分の列車で移動し始めた。
 しかし終着駅までは行かず、途中の福隆で下車(9時08分着)。というのも、ここは駅弁で有名だからである。
 だがしかし、まだ朝早いためかホーム上には売り子はいなかった。花蓮行(9時45分発)までまだ時間はあるし、ホーム上にいたのでは雨風に晒されてしまう。ということで、途中下車を試みることにした。
 台湾にも途中下車制度はあるが、日本のように「長距離になればなるほど乗車券が安くなる」方式ではないため、この制度はほとんど利用されていなく、あまり知られていないという。切符の行先を示して待合室のベンチを指差して駅員に説明すると、どうやら理解してもらえたようであった。

@台湾初途中下車印(時刻入り)

 無事に途中下車できたため、さて駅弁である。福隆駅付近には複数の弁当屋があり、ネット情報では「どこで買っても似たような内容」ということらしいため、駅前で唯一すでに開店していた店に行って1つ(80元)を買ってきて、待合室内で頂くことにした。
 台湾の駅弁は、排骨がどーんと乗っているだけというのが多いが、ここの駅弁(この店のは初体験であるが)は、おかずが複数あるのが嬉しく、私が一番お気に入りの駅弁なのである。

@キャベツが甘い

 9時45分発の列車に乗り、一路花蓮へ。蘇澳新を出発すると、その後は45分以上もノンストップである(区間快速であるため)。現代ロテムの車両であるが、クロスシート(窓のある部分)を確保できたので、これなら快適である。雨も上がった。
 11時26分、定刻から4分遅れて花蓮に到着した。ここで1時間半以上も時間があるため、花蓮鉄道文化園区へ再訪することにした。
 駅から35分ほど歩き、やっと到着である。

@再訪

 SLなどの車両は見覚えがあるが、屋内展示はだいぶ少なくなったような気がする(うろ覚えであるが)。道路向かいにはタンク車があったが、これはかなり以前には駅近くにあったはずである。
 来た道をそのまま戻り、花蓮駅へ。次に乗るのは13時06分発の自強号である。少し遅れてやってきた車両に乗り込んだが、安心の日本製で、座席のフィット感や窓との相性はまったく問題がない。九州で「白いかもめ」に乗っている気分である。

@自強号

 13時10分に花蓮を出発。今日はもう、これに乗り続けるだけである。在来線特急に4時間近くも乗るのは久々であるため、懐かしい感じもする(酒でも買い込んで酔っ払ってもよかったかもしれない)。
 歩き疲れたこともあり、車内では少しウトウトとした。停車する各駅では乗客の入れ替えがあるが、ほぼ満席に近い状態が続いて行った。
 米どころである池上や関山などに停車していき、台南を出発してしばらくすると海が見えてきた。

@まだ曇り

 台湾に来てこの区間に乗車する際は、大昔のインド製や日本製のボロ客車で編成されている普快車に乗ることにしていたが、残念ながら2020年の12月に廃止されてしまっている。逆に言えば、電化されたこの区間を特急で走り抜けるのは今回が初めてである。以前は窓を全開にして撮影したり最後尾のデッキから撮影したりできたが、もうそれは不可能である。
 海の区間が終わって内陸部に入りいくつものトンネルを抜けると、反対側の海が見えるようになってきた。次第に市街地が増え、新造されたトンネル区間に入り、定刻の17時00分に高雄に到着した。

@新駅舎建設中(背後はまだ絵画)

 高雄駅はまだ新駅舎の普請中であり、出口を探すのに一苦労であった(まだ正面からは出ることができない。その代わり、しばし横に移動されていた旧高雄駅舎が、中央部分に移動されていた)。
 駅から歩いてすぐの安宿に荷物を置き、せっかくであるから六合夜市を散策。しかし特に何も買わずに、コンビニでビールを4本だけ買って安ホテルに戻った。というのも、高雄駅で美味しそうな弁当を2つも買っているため、そのおかずをツマミにすれば充分だからである。

@豪華に

■2023.12.17
 7時半くらいにホテルを出て、駅へ。まずは下淡水渓鉄橋の最寄駅である九曲堂駅に向かうこととなる。
 今回の旅で何度となく切符を買っているが、小さな駅でも自動券売機があり、しかも日本語メニューもある(カードタッチ決済も可能)。昔は田舎の駅などでは、発音に自信がない私は紙に「出発駅→目的駅 全票 1張 区間車」などと書いてそれを提出して買う必要もあったので、これは楽である。

@楽々

 改札を通って地下ホームに移動し、7時56分発の区間車で高雄を後にした。
 これから目指す下淡水渓鉄橋(旧鉄橋湿地教育園区)であるが、訪問することは実は昨日決めたのである。今日の午前中は哈瑪星台湾鐵道館に行く以外予定がなく、どうしようか悩んでいたものの、特に別の目的地を探すことができなかった。そこで昨夕、「沿線に何か旧い車両でもあればそこを訪問しよう」と思って目を凝らしていると、この橋(歩いている人がいたので観光地化されていること確実)を発見したのである。
 8時14分、九曲堂に到着した。

@パインの産地?

 駅からスマホの地図を頼りに20分弱歩き続け、やっと橋に辿り着いた。入口に向かってみると、なんと開門は9時であるという。確かに、夜中に開けっ放しにして酔っ払いでも闖入して落下したら大変である。
 この時点で8時35分。せっかくここまで来たのであるから、橋を歩きたい。よって、しばし付近の河原を散策である。

@橋全景

 この橋は高屏旧鉄橋(高屏舊鐵橋)とも呼ばれていて、日本統治時代に日本人技師の飯田豊二が設計し建設されたものであるという(1914年に使用開始)。新しい橋が完成した後も保存されていたが、2000年代の洪水で橋の中央部分は流されてしまっている。

@そこまで歩いてみた

 橋の入口まで戻り待つことしばし、9時になると売店のおじさんがやってきて入口のカギを解錠した。入口部分には入場制限のゲートがあり、これは橋の上の人数が200人を超えないようにするための機器のようであるが、壊れているのか(それとも訪問者数が少ないためか)、脇のドアが開けられて入りたい放題であった。待っていたのは、私を入れても5人だけであるが。
 取り急ぎ、橋の中央へ。足元部分が透けて下が見えているため、高所恐怖症の人にはお勧めできないかもしれない(私も若干その気があるので、前だけを見て歩き続けた)。

@ここを歩く

 歩ける部分の往復を終え、駅に戻り、9時38分の列車で高雄に戻った(ダエウ製の古い電車であったが、シートは付け替えられてクロスシートなどが増えていた)。
 高雄からは、地下鉄(ドイツのシーメンス社製)に乗って哈瑪星台湾鐵道館がある西子湾駅へと向かう。地下に降りていき切符を買ったのだが、以前はトークン方式であったと思うが、今はQRコード方式になっていた。これも時代であろう。

@そのうちこれ(紙)もなくなる?

 途中で地下鉄を乗り換えて、西子湾に到着した。この付近は日本統治時代に「浜線」が通じていたところであり、「哈瑪星」はその日本語の音から来ているという。駅付近は広大な操車場跡であり、レールがたくさん残っており、各所に客車や機関車などが置いてある。私は実車の方が好きであるので、もうこれらを見たら充分であり、模型中心の哈瑪星台湾鐵道館はもういいか、などと思ってしまいそうになる。

@一例

 しかしせっかくここまで来たのであるから、訪問はする。そう思って建屋に近づいていくと、とんでもない大混雑である。もちろん彼らは鉄道模型を見に来たのではなく、広場でコスプレ大会が行われていたためである。どうりで、地下鉄車内でもアニメの服装をしたり髪を青くしたりした人が多かったわけである。
 意外に高い入場料(149元)を払い、展示館内へ。張りぼての駅やSLがあり、その奥は鉄道模型である。確かに巨大であり、これを作る人件費と材料費はかなり高かったであろうことが想像できる。

@この写真の5倍くらいの大きさ

 建屋の2階は、高雄駅舎に関連する資料の展示であった。入場料の元を取れるかどうかは、「模型好きかどうか」に掛かっていると言えよう。私以外に見学していたのは、1人だけであった(あまり人気ではないようである)。
 地下鉄で高雄駅に戻り、これからは台中への移動となる。
 その前に、ちょうど昼時である。昨晩の駅弁を買った店に行ってみると、魚(フライ)の弁当があったので、それにしてみることにした。

@これはこれで美味しい

 駅弁を食べ終え、駅構内をウィンドウショッピングしながら時間を潰して、12時05分の自強号に乗るべくホームに向かった。昨日の日本製最新車両とは違って、入線してきたのは南アフリカ製機関車+韓国製客車の編成であった。乗り心地は確実に悪いが、もうこれに乗ることも今後は少なくなっていくと思うと、これで良かったのかもしれない。
 座席であるが、デフォルトでリクライニングし過ぎているので、かなり座り心地が悪かった(隣にいた乗客も、椅子の角度を変えようとして必死になっていたが、徒労に終わっていた)。

@下手すると乗り納めに?

 定刻に高雄を出発。高鐵が開通しているので乗客は少ないかと思っていたが、意外にほぼ満席状態が続いていき、途中からはデッキに立つ人もいるくらいであった(もちろん、自強号の本数自体は減っているのであろうが)。
 満腹+なかなかの揺れのため3分の1くらいはウトウトとしてしまい、14時43分に到着した台中で下車した。以前の台中では想像もできないくらい、巨大な新駅舎になっていた。
 ということで、旧駅舎を利用して2020年12月にできた台中駅鉄道文化園区の訪問である。いきなり車両がお出迎えであるが、これは売店として利用されている。

@売店車両

 ホーム上には屋台のような店(売っている物は小物類などの物品が中心)がたくさん並んでおり、駅舎付近には各駅の模型がたくさん並んでいる。
 その前には、別の車両の係留されていた。こちらは、レストラン車両として活用されているようである。

@そのうち利用してみたい

 旧駅舎内は、駅の歴史に関する展示などがあれこれ掲示されてあった。この駅舎には、現役時代から「ミニ展示コーナー」的なものがあったが、今は駅舎自体が展示コーナーとなっている。駅舎の前にも出店がたくさん出ていて(これは定例的なものではなくて、イベントかもしれないが)、大賑わいであった。

@駅舎内の様子

 この時点で、まだ15時15分くらいである。当初は新烏日まで戻ってMRTにでも乗ろうかと思っていたが、予定を変更にして台中でゆっくりすることにした。駅弁(後述)を買い、駅前すぐにあるホテル(その割に日本円でたったの4,000円程度)に投宿した。
 荷物を置いてからは、台中公園をぶらぶらし、その足で再度旧駅へ。あれこれ見ていると、「緑空鐵道」という案内があったので、そちらに向かって見ると、そこは旧路盤を改装した遊歩道(かなり長い)であった。台中には乗り残したMRTもあるし、今度ゆっくり再訪してここを最後まで歩いても良さそうである。

@もう寒いので今日は少しだけ

 コンビニでビールを大量に買ってから部屋に戻り(本当は焼酎なども買いたいのだが、台湾はアルコール度数が高い酒は異様に高いのである)、一献である。
 今日も、駅弁を2種類買っておかずをツマミにする作戦である。肉(角煮系)と魚(塩サバ)があったので、コンビニで台湾風の煮卵を追加し、台湾最後の晩餐である。

@昨晩とは違うパターンで

■2023.12.18
 今日は10時台のフライトであるため、朝6時にチェックアウトして、在来線で新烏日まで戻り、隣接する高鐵台中から高鐵桃園に移動して、そこからMRTで空港に行って帰るだけである。
 しかし、どうせそのうちまた再訪するのであろう。上述した台中MRTもあるし、桃園MRT乗車中には清華大学の新しい施設(教育研究開発パークというらしい)を見付け、そこにレールと鉄道車両があったので、情報が入手できたら見に行きたいと思っている。また、日本の0系新幹線が展示されたというニュースもある(高鐵探索館での展示で知った)。それになにより、阿里山森林鉄道がまだ手付かずで残っている。

@最後は高鐵で

 

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