シュガートレインを訪ねて

■はじめに

 今回は、2年ぶりの台湾訪問である。
 特典航空券の利用であり、往路は高雄空港である。高雄便は到着が夜遅いため不便であるが、それが故に年末の三連休初日にも拘わらず空いていたため、席を押さえることができた。復路は、2年前と同様に中部空港経由である(羽田直行便より席が余りやすい傾向があるらしい)。
 さて、台湾南部でどのような鐡ネタを拾うかが問題である。1日1往復だけ残っている普快車に乗ってもいいのであるが、毎度毎度過ぎるし、今回は別のネタを拾うことにしたい。ということで、観光用のサトウキビ鉄道(シュガートレイン)に乗ることにした。
 これまでにも、嘉義の台糖蒜頭糖廠や新営の新営鉄道文化園区に乗ったことはあるが、今回は同じく新営にある烏樹林休濶区と高雄北部にある高雄糖業文化園区に乗ることにした。さらにおまけで、部分開業している高雄のLRTも見てくることにしている。
(復路は中部乗継で日曜の夜遅くに成田に着く予定であったが、週明けの月曜に休めることになった。しかし予約全体をそのまま月曜に変更することはできなかったため、中部から成田だけを月曜の夕方に変更し、月曜午前に国内のプチ鐡をすることにした。詳細は、別途「ナローゲージを訪ねて」にて)


@烏樹林休濶区にて

■2016.12.23
 夕方にラウンジで点心やカレーをツマミにしてワインで酔いどれ、18時30分の離陸も気づかずに高雄に向かった。到着は少し遅れた22時15分であったが、「イミグレは並ばずに済んだ」「両替所はもう閉まっていた(両替できず)」「地下鉄はすぐに来た」などが重なり、飛行機を降りた35分後には中心部にほど近い安ホテルにチェックインすることができた(ただし、「チェックインは22時までですよ」と言われてしまったが)。

@美麗島駅はこれで有名

 六合夜市はまだやっている時間だが、お腹が減っていないのでそのまま就寝。

■2016.12.24
 烏樹林休濶区へ行くため、まずは国鉄で新営へ行くことにしている。切符(7時55分発の自強号)は、ネットで予約決済してある。
 7時過ぎに早めに駅へ行き、印刷しておいた予約票で切符を打ち出してもらった。昨日の夕方に大量に食べた後は何も口にしていなかったので、駅弁でもあれば早速頂きたいところであるが、コンコースにある駅弁屋は9時からの営業と書いてある。
 仕方なく、構内にあるコンビニで弁当を買った。

@せめて駅弁風のものに

 私が乗る自強号は、7時53分に入線してきてその3分後に出発した。よく見慣れた南アフリカ製の機関車が牽引するタイプである。
 台湾のネット決済は座席が選べないため、発券されるまで窓側か通路側かがわからないのであるが、今回は幸運にも窓側であった。

@この車両も古くなってきた

 高雄を出発した後は、昨晩遅かったことと(私は22時前に寝ることが多い)弁当による満腹も手伝って、少しウトウトとしてしまった。
 目を覚まし、サトウキビ畑などの景色を見ているうちに、新営には8時58分に到着した。いつの間にか通路まで乗客が立っている状態であり、ネットで切符を手配しておいてよかったと思った。

@なぜに鹿?

 バスの路線図と時刻表は事前にネットで発見して印刷してあるが、駅前ロータリーの反対側にあるバスターミナルへ行って念のため尋ねると、窓口にいたおばさんは私が持っていた紙の上に「車上買 29元」と書いてくれた。待合室にはバスの接近を示す電光掲示もあり、ある程度わかりやすくなっている。
 しばらくして、9時30分発予定の白河行が少し遅れてやってきた。近くにいた係員に「ウーシューリン?」と尋ねると、そうだと頷いたので早速乗り込む。

@普通の路線バス

 かなり多くの客が乗り込んだが、現金で支払っているのは私だけである。入口を見てみると、なんと悠遊カードが使用できるではないか(つい半年前に「高雄のMRTでも使えるようになった」とニュースになったばかりなのに、こんな地方都市のバスでもすでに利用できるとは)。これで、復路は楽になったといえる。
 車内案内+表示もあり、英語もあるので、初心者でも対応可能である。
 烏樹林のバス停で降りると、いきなり踏切がある。これは、これから乗るサトウキビ鉄道の踏切である。

@道路側から撮影(見えない手前が踏切)

 バスを降りたのは私を含めて2人だけであるが、もう1人の若い女性はバス停近くに置いてあった自転車でどこかへ行ってしまった。つまり、旅行客は私だけである。
 案内通りに南側へ歩いていくと、10分も経たないうちに烏樹林休濶区の敷地内に入った。至る所に、ミニSLや旧い客車などが係留されている。

@静態保存でしょうか

 駅舎内にある窓口に行ってサトウキビ列車の切符(100元)を買い、次の発車時間を訪ねると、10時30分とのこと。しばし駅付近を散策する。
 発車の5分くらい前になって、意外と長大な編成のサトウキビ列車が入線してきた。

@まずはこれから乗車

 最初は私しかいなかったが、発車時刻が近づくとちらほらと家族連れなどが集まってきた。そうは言ってもせいぜい十数名程度なので、10両ほど連なっている車両内は少しく寂しい。
 定刻を少し過ぎてから、列車はギクシャクした動きで出発した。客車の先頭には女性係員が乗車してあれこれマイクで説明しているが、私が理解できるのは十分の一程度である。

@所々に支線が分かれる

 しばらくすると、先ほど下車したバス停付近の踏切を通過した。列車が通過する度に、係員が来て交通整理をしているようである。
 踏切を過ぎると支線を右にして左に曲がり、奇麗な花の咲いている木々の間を走っていった。サトウキビ列車であるが、沿線では残念ながら肝心のサトウキビはあまり多くは見ることができない。

@ま、乗れればいいのですが

 畑のような中をしばらく走り続け、終点(折り返し地点)に到着した。5〜6件の売店が営業中であるが、1日に数往復しか来ないこの列車の乗客だけを相手にして、果たして経営が成り立つのかどうかは不明である(しかも、朝一番ということもあって今回は十数人しか乗っていない)。
 特にプレッシャーがあるわけではないが、30元のソーセージを買ってみた。

@終点の様子

 10分程度してから、折り返しの列車が出発した。復路は写真撮影のため、最後尾の車両を押さえてある(もちろん全車自由席)。
 支線と合流する様子など、見ていてなかなか面白い。

@合流

 幹線道路との踏切を過ぎると、往路とは違う路盤に入って敷地内の別の場所(駅とは反対側)で下車をした。こちら側には博物館などがあるので、そこを通って駅に戻るという算段である。
 ゆっくりしてもいいのだが、「今すぐに交差点まで歩けば、次の列車が踏切を渡る様子を写真に撮れるかも」と思い付き、そそくさと歩いて行った。計算通り、ちょうど次の列車がやってきた。

@グッドタイミング

 踏切を渡るサトウキビ列車の写真を撮れたのはいいが、その直前に新営行の路線バスが走り去ってしまった。約30分に1本しかないので待つしかないが、待っている間に折り返しの列車がやってきてまた写真が撮れたので、よしとしよう。
 12時10分頃にやってきたバスに乗り、30分頃に駅に戻ってきた。12時26分発の列車は行ってしまったが、急ぐ旅ではないので次の13時06分に乗ればいいだけである。
 近くを見ると、駅弁を食べている人がいるではないか。朝の弁当やその後のソーセージがまだ残っているが、条件反射的に1つ買ってしまう。

@定番

 半分ウトウトしながら1時間半乗車して、橋頭で下車した(高雄から北上する場合はMRTが便利であるが、南下してくる場合はこの駅からでもアクセス可能である)。
 5分ほど歩いて門から入ろうとすると、300元(約千円)という吃驚な表示がある。近くにいた人に私の拙い中国語で尋ねてみると、それは催し物を見る場合の値段であって、敷地内を見る分には無料であるという(敷地北部は文創園区なので、注意が必要である)。
 敷地内を歩いて糖業博物館の方に行くと、サトウキビ鉄道の車両があれこれ展示されていた。

@まずは見学(右側高架上を走っているのはMRT)

 それにしても、高雄からのアクセスが良いこともあってかなりの人出である。車両が展示されている地区の南部にはたくさんの商店があり、そこも人でごった返していた(そういえば、今日は週末であった)。
 サトウキビ列車の時間まで少しあったので、その辺りを適当に散策して15元のアイスを買ったりして時間を潰した。

@今日は食べてばかり

 それからMRT駅の南側にあるサトウキビ鉄道乗り場へ向かい、切符を買って車内に乗り込んだ。午前中とは違い、こちらは各車両が数人ずつ乗っており大盛況である。
 比較的空いていた車両に乗り込んだが、そこにいた双子の男の子(たぶん5歳くらい)が、あれこれ聞いてくる。台湾語+子供の発音のためほとんどわからないが、どこから来たのかと聞かれたので「日本」と答えると、質問はあれよあれよと増えていった。もちろん理解できないので、そのうちお父さんが間に入って止めてくれた。

@次はこれに乗る

 15時30分に出発すると、MRTの高架を潜り、小学校の近くにある廃駅を通過して行く。こちらのサトウキビ鉄道も午前のやつと同じで、沿線風景が「サトウキビばかり」というわけではない(サトウキビの車窓を求めるのであれば、台糖蒜頭糖廠や新営鉄道文化園区の方がいいだろう)。
 自転車に抜かれるようなスピードで15分ほど走り続け、終点に到着した。

@SLあり

 終点付近は駐車場などがあるが、特に何かがあるわけでもなさそうである。切符には何も書いてないので往復切符かどうかもわからないが、いずれにせよ折り返しの列車を待ち続けるよりも、歩いて戻って途中で列車の撮影をした方が面白そうだという考えに至り、歩き始めた。
 着々と歩き、「このままでは追いつかれる前に始発地点に戻ってしまう」という状態になってしまったので、小学校付近にある廃駅で5分ほど待って撮影をした。

@やっと来た

 その後は橋頭糖廠駅からMRTに乗り込み、いったん空港まで乗り過ごし(昨日の夜に両替できなかったため)、再度MRTに乗って今度は高雄まで乗り過ごした。目的は、夜用の駅弁を買うためである。
 珍しい魚メインのものを選び、さらに鶏肉メインのものまで買ってしまった。夜のツマミは夜市で仕入れる予定であったが、これではせめてあと1品しか買えない。
 ホテルに戻ってから夜市に向かい、あれこれ見た挙句、海鮮オムレツのようなものを買った。これがなかなかの当たりで、もちもちした玉子(片栗粉か何かを使用している?)が印象的であった。

@コンビニで買った大量のビールと共に

■2016.12.25
 さて、今日は部分開業している高雄のLRTを「見る」ことにしている。
 というのも、乗るためには高雄だけで使用されているカードが必要であり、悠遊カードはもちろん、現金も使用できないのである。
 まだ部分開業であり、そのうち環状線として開業する予定である。恐らく開業する頃には悠遊カードなども利用できているだろうとの推測に基づき、今回は見るだけである(それに、どうせならすべてに乗った方が良い)。
 7時過ぎにホテルを出て、美麗島駅からLRTの路線へと向かった。5分ほどすると、無架線のLRTがやってきた。

@見るだけ

 というわけで、今日のミッションはあっさりと終了である。
 それからMRTを乗り継いで、西子湾へと向かった。ここには訪問済みである打狗鉄道故事館があるが、営業時間外でも外にある車両などは見られるだろうとの思いで来たのである。
 そう思って地下駅から地上に出てみると、辺り一帯は大規模な工事中ではないか。敷地西部にある幹線道路を見てみると、どうやらLRTの工事と関連しているようである。

@ここを通る模様

 その後はホテルに戻って荷物を持ち、新左営へ行くため高雄駅へと向かった(ホテル最寄りのMRT美麗島駅から乗った方が便利だが、地上の鉄道で移動したかったため)。
 10時37分発の列車に乗り込み、2駅で到着。予約決済してある切符を窓口で受け取り、あとは時刻からして駅弁である。
 高鉄の弁当にしようかと思っていたが、台鉄の売場で素食(ベジタリアン)があったので、それにしてみた。

@今回の締め

 あとは11時25分発の新幹線で桃園へ向かい、シャトルバスに乗り継いで空港へ行き、中部空港行に乗り込むだけである。

@高鉄の写真はこれまで何回も載せてきたので、今回はこれで

 

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