ぶらりスウェーデン

■はじめに
 今回の出張先は、スウェーデンである。到着翌日は仕事が夕方からのためかなりの自由時間があり、また帰国日も昼過ぎまで時間があるため、鐡ネタ拾いは充実させられそうである。
 ただ残念なのは、イェヴレにある鉄道博物館が改装のため秋まで閉館しているということである(月に1回の週末に一部の展示物を見られるようであるが、私の出張予定とは重ならなかった)。仕方ないのでそれは諦め、ストックホルム近郊の乗り鉄と、ウプサラで週末を中心に運行されている保存鉄道(レンナ鉄道)に乗ってくることにした。

@Marielund駅にて

■2018.6.24
 成田からヘルシンキに飛び、フィンエアーに乗り継いでストックホルム(アーランダ)へ。約5年ぶりのスウェーデンである。前回は早朝の便でストックホルムを発ったため、空港近くにあるジャンボジェットを改造したホテルに泊まったのだが、飛行機がその近くを通ったので懐かしく当時を思い出した。

@ご無沙汰です

 鉄道でウプサラに行こうと思っていたが、海外からの同行者が「バスが安い」ということだったので、それに乗ってウプサラへ。駅近くのホテルに投宿。

■2018.6.25
 今日は仕事が夕方からであるため、かなり余裕がある。まずはストックホルムに移動してガムラスタンを散策することにしている(前回も歩いているが、スウェーデンに来たら外せないであろう)。
 5時10分過ぎにホテルを出て駅へ向かう。「いかにも駅舎」という建物が目の前にあるが、これはStationen(スウェーデン語で「駅」)という名のレストランであり、実際の駅舎はその右にある無機的な黒色の建物である(ウィキペディア情報では、この建物がまだ駅として掲載されている)。

@元駅

 ホームに向かうと、5時42分発のスコットランド・セントラル行はすでに入線していた。6両編成の電車であり(すべて2階建て車両)、2両分の2階部分のみがファーストクラスであるが、見たところ座席の違いはないようであった(欧州によくある「名前だけファースト」である)。

@まずはこれから

 定刻にウプサラを出発。沿線風景は長閑であり、また地味でもある。そんな景色を見ているうちに、あっという間にストックホルムに到着してしまった(定刻の6時20分着)。5年ぶりの駅構内を、懐かしく見渡す。

@再訪

 1時間半以上の時間があるため、市庁舎周辺を経由してガムラスタンに行き、おのぼりさん的に散策をした。
 スーパーでちょっとした買い物をしたりして駅に戻り、エーレブルーへ行くためにすでに入線していた8時14分発の列車に乗り込んだ。残念ながら、先ほどと同じ車両である。

@よって駅舎の写真で代替

 同駅を定刻に出発(北欧諸国は、日本ほどではないにしても列車の時刻は正確な方である)。車内は意外に混んでおり、7割程度の席が埋まっていた。
 こちらの沿線風景も、海や大きな湖があるわけでもないので、比較的地味である。支線が分かれていく様子などを、地味に撮影した。リージョナルトレインといっても、列車はかなり高速で走行しており、体感として130〜140キロくらいは出ていそうである。

@地味です

 9時10分に到着したベステルオースで半分くらいの乗客が降り、やっと車内は空いてきた。今日はエーレブルーへ行った後はここまで戻り、サーラへ行くローカル線を経由してウプサラに戻る予定である。
 同駅を出発し、9時25分頃からは路盤が単線になった。少し低速になったが、15分後に左手から路盤(ストックホルム方面からの別ルート)が合流してきて、9時45分にアルボーガに到着した。同駅出発後は、奥羽本線のように単線と複線を繰り返し、そのうちまた高速走行に戻っていった。定刻から4分遅れの10時07分、エーレブルーに到着した。

@小さい町の駅

 さて、特に目的があってこの町に来たわけではない(ただ単に、ほどよい距離で行けそうな場所を検索しただけである)。グーグルマップを見ると引込線が東へと延びているのがわかるので、それを辿ってみることにしている。
 地図の通りに東へ向かうと、その路盤が見えてきた。その廃れ具合から廃線跡のように見えるが、レールの上部が光っていることからすると、まだ現役であろう。

@こんな感じ

 その先まで歩いていくと、今まさに電気機関車が操車場に入ろうとしているところであった。その先には客車や機関車が係留されており、どうやら現役で活動している施設のようであった。駅から少し離れており、不便な施設だとは思うが、何か歴史的な背景(こちらに駅があったとか、別の路線があったとか)があるのかもしれない。

@移動していく機関車

 あまり時間もないので、その近くにある公園の方には行かずにそそくさと駅に戻ったが、10時58分発の列車が遅れているようであり、電光掲示板には11時08分と表示されている。今さら公園の方にも戻れないので、適当に駅付近をぶらついて走ってきた貨物の写真を撮ったりして再度駅に戻ったが、なんと遅れが増大して11時14分になっているではないか。
 仕方なく、ホームで電車を待ち続けた。目的の電車はさらに遅れ、11時20分に入線してきた。残念ながら、またしても同じ車両である。

@よって、反対側に入線してきた貨物の写真で代替

 車両は同じであるが、これまでとの違いは座席が指定されているという点である(予約時に強制的に取らされてしまった)。すでに座っている人がいたが、切符を見せたらすぐにどいてくれた。
 窓側を押さえていたが、進行方向とは逆であり、少し曇ってきたので、写真撮影は割愛である。

@停車時にちょっとだけ撮影

 12時07分、定刻より20分遅れでベステルオースに戻ってきた。ホームにはかなりの人がおり、ただでさえ混んでいたのにデッキまで人が埋まるようになった(幸い、私はここで下車する)。
 20分ほど乗り換え時間があるので駅付近を散策し、12時28分発のサーラ行をホームで待った。25分頃に入線してきたのは、期待通りのボロ車両である(ローカル線に乗りたいと思っていたが、どの路線にどのような車両が走っているかまったく知らなかったので、適当にこの路線を選んだのである)。

@期待通り

 ロシアのエレクトリーチカのような車両に乗り込み、定刻から1分遅れで同駅を出発した。
 沿線風景はこれまでと大して差はないが、モーターがウンウン唸り、車体がミシミシ言い、連結部分の手動ドアがバタンと大きな音を立てている様子は、なかなか趣深いものである。
 サーラまで、途中駅は1つ(しかも小さい)だけである。それでも、2人くらいが降りて行った。

@小駅

 その後もボロ車両は走り続け、定刻より2分早い12時52分にサーラに到着した。
 さて、ここからは13時00分発のインターシティでウプサラに戻るだけである。インターシティということで、機関車に牽引される客車タイプを予想していたが、予想通りの車両が入線してきた。

@こちらも期待通り

 乗車した時点で、ほぼ満員である。指定されていた窓側の座席に落ち着いたが、またしても進行方向とは逆であり、さらに窓も汚れており、しかも日の当たる側であったため、写真撮影はこれまた割愛である。
 13時36分、定刻より2分遅れでウプサラに到着した。今日はここまでである。

■2018.6.30
 一週間にわたる仕事を終えて今日は保存鉄道(レンナ鉄道)に乗るが、出発時刻まで時間があるため、早起きしてイェヴレまで行くことにしている。鉄道博物館が休館中なのは承知の上であるが、外から覗き込めば何かしら見ることができるであろう。
 乗るべき列車はウプサラ発5時13分である。時間帯からしてこの駅が始発だと思い込んでいたが、意外にそうではなく、寒いホームでしばらく待ち続けた。

@やっと来た

 定刻に出発し、ひたすら北上していった。近郊鉄道=ローカル線のようなイメージであるが、ノルウェー方面まで繋がっている幹線で路盤も高速化されており、かなりの高速走行である。
 これまでと同様、地形が平坦なスウェーデンでは、大きな景色の変化は望めない。イェヴレ到着前にやっと湖らしきものが見えたので、それらを撮影した。

@時折、景色の変化あり

 6時22分、イェヴレに到着。
 さて、確実に開いていない鉄道博物館への訪問である(そもそも、この早朝では改装中でなくても開いていないが)。地図を片手に歩き続け、細い道を経由して先ほどまで走ってきた路盤を潜って南下し続けると、左手に鉄道博物館の敷地が見えてきた。辺りには、たくさんの機関車や客車が係留されているのが見える。手前にはフェンスがあって展示車両までの距離があり、また逆光であるため写真撮影もままならないが、せっかくここまで来たので撮影タイムである。

@次回(いつ?)は中に入りたい

 その後は駅まで戻り、時間があったのでイェヴレ市内を散策した。早朝であり歩く人も少ないが、旧い建物も多くてなかなか歩きがいのある街であった。
 さて、保存鉄道に乗るべくウプサラに戻ることになる。乗るべき列車は8時02分発であるが、これはノルウェーのナルヴィクからやってきた夜行列車である(もちろん、私が予約しているのは寝台ではなく座席車両である)。5年前にナルヴィクからストックホルムに移動したのはこの列車ではないが、なんだか懐かしい感じがする。

@定刻より遅れて入線

 定刻より8分遅れの8時10分に同駅を出発したが、ウプサラ到着は定刻より3分早い9時01分であった。ホテルに戻ってチェックアウトの手続きをし、再度駅に戻ってきた。
 保存鉄道の駅は、ウプサラ駅の敷地の東側にある小さな建物である(グーグルマップで拡大すると「鉄道博物館」と表示される)。

@当日券もここで買える模様

 保存鉄道の切符は、スウェーデン国鉄のサイトでも購入可能である(私は往復ともそこで購入済み)。念のため窓口で「印刷してきたチケットを別の切符に交換する必要があるかどうか」を確認したが、そのまま乗車できるということであった。
 ホームには、すでにSLが入線していた。先頭のSL機関車に続くのは、窓あり客車3両、窓なし客車1両、荷物車両1両である。

@観光日和

 どの車両に乗るべきか悩んだが、写真撮影を考慮して窓なし客車に陣取った。各車両とも家族連れで意外に賑わっており、お一人様(鉄道目当て)もちらほらと散見される。
 さて、出発まで時間があるため各車両の探検である。窓あり客車の内装も様々であり、それぞれの座席も堅い木製から布製まで色々である。

@車内の一例

 この手の保存鉄道の場合、リタイアした老人(男性)が趣味半分で運営している、というのがよくあるパターンである。しかし、この鉄道の運転手や車掌や窓口にいるのは、老人もいるが、なぜだか若い人も(中には若い女性も)いるのである。土日だけ、手伝いに入っているのであろうか。
 窓なし客車で出発を待っていると、向かいのホームにディーゼルカー(レールバス2両分)が入線してきた。興味を惹かれるが、これにも乗ろうとすると1日がかりのパターンになってしまうので、今日は見るだけである。

@これも良さそう

 車内もほどよく混み合って来て、定刻から2分遅れの10時12分にウプサラを出発した。小さなSLが煙を吐き出しつつ街中を走る様子は、少し特別な感じである。

@短い旅の始まり

 出発してしばらくすると、車掌が切符の確認に来た。スウェーデン国鉄のサイトで買わずに当日に窓口で買えば硬券のような切符を手にすることができたが、やはり事前に買っておいたほうが安心であろう。
 出発後5分で、最初の駅に到着(ここで数人が乗車)。同駅出発後も、長閑な景色の中を走り続けた。もっと左右に路盤が曲がってくれたほうが先頭のSLを撮影できるのだが、スウェーデンの地形でそれを求めるのは酷であろう。

@煙でSLを確認

 少しまだ肌寒いが、天気も良いので窓なし客車でもなんとか大丈夫である。ふと反対側の様子を枠越しに撮影してみたが、これはもう絵画のようではないか。

@2枚の絵?

 10時34分にBarbyに到着し、ここで数名が下車した。同駅を37分に出発し、時刻表上では通過駅となっているGunstaに40分に到着した。駅名標とベンチしかない小さな駅であるが、ここでも1家族が下車した。

@これでも駅

 同駅を出発するとやっと路盤が左右に曲がり(先頭の様子も少しだけ撮影)、勾配も少しあるようで、SLも煙を多めに履いて頑張り、10時46分に終点のMarielundに到着した。
 ホームの向かいには、Faringe行の列車(旧いディーゼル機関車に牽引されている)が停まっている。これに乗り継ぐと帰国の飛行機に間に合わなくなるため、今回はこれも見届けるだけである。

@これも味がある

 その列車の出発を見送った後は、SLの付け替え作業の見届けである。まずSLのみが移動して先ほどまでディーゼル機関車たちが入線していたホームに移動し、その端で給水を開始した。

@給水中

 さて、この駅自体は廃駅であり、駅周辺にも見どころはない。私と一緒にSLに乗ってきた人たちであるが、Faringe方面に乗り継いだ人もあまり多くはない。どこに行ったのかと思っていたら、駅近くにカフェがあり、その前にある広い芝生で食事をしたりしているようであった。なるほど、手ごろな家族サービスとして便利な手段のようである。

@駅付近(芝生はこの左手にある)

 残った時間は駅周辺を適当に歩いて、もうすることもないので出発の10分前には車両に乗り込んで出発を待った。結局、復路も窓なし客車を選択した。
 ウプサラ方面から、今朝も見かけたディーゼルカーが入線してきて、それと入れ替わりに11時43分にMarielundを出発した。復路も、長閑な景色と必死に頑張る小さいSLの写真をひたすら撮り続けるのみである。

@疾走中

 ウプサラに到着すると、10時の便を上回る多くの乗客がホームで待ち構えていた。私といえば、性懲りもなくSLの付け替え作業を見守るだけである。

 

■ 鐡旅のメニューへ戻る

 「仮営業中」の表紙へ戻る

inserted by FC2 system