初スペインで行ったり来たり

■はじめに
 初めてのスペイン行である。しかし、特に思い焦がれていたわけではなく、結果論的に決まっただけである。
 この時期(年末年始)は、気候や日の長さを考えると南半球が良いが、オーストラリアやニュージーランドはもうネタ不足であるし、南アフリカやチリなどはハードルが高すぎる。となると欧州になってしまうが、年末年始に英国に行った際には、やはり日の出の遅さ・日の入りの早さがネックであった。ということで、「欧州の中ではまだ南の方」であるスペインに決めたのである。
 当初はポルトガルも行こうと思っていたが(ポルトガルについては、モロッコに行く際に乗り換えで訪問しただけである)、しかし、マドリードからの夜行列車が運休中であり、結局諦めてしまった。
 ということで、スペイン一択である。英国やドイツやフランスを旅した時は、ファーストクラスのレイルパスを買って自由気ままに乗り潰していたが、スペインの長距離列車は座席指定が必須である。もちろん、レイルパスを買って指定を受けることもできるが、面倒であるので、個別の列車を事前にネットで買ってしまうことにした。renfe(スペイン国鉄)のサイトはクレジットカードが受け付けてもらえない等のネット評価があるが、3種のカードを駆使してなんとか6枚の切符を購入することができた。

【旅程】
1日目:夜中1時発の便でヒースローに飛び、マドリード行に乗り換え。マドリード市内にあるマドリード鉄道博物館を見学(マドリード泊)。
2日目:午前中にマドリードからグラナダへ移動し(切符1枚目)、午後はグラナダ観光(グラナダ泊)。
3日目:グラナダからマドリードに戻り(切符2枚目)、マドリードからへオビエド移動(切符3枚目)(オビエド泊)。
4日目:近郊列車でヒホンまで往復してから、オビエドからサラゴサへ移動(切符4枚目:マドリード乗り継ぎの2列車分)(サラゴサ泊)。
5日目:午前中にサラゴサ観光をしてから、バレンシアへ移動(切符5枚目)(バレンシア泊)。
6日目:午前中にバレンシア観光をしてから、バルセロナへ移動(切符6枚目)(バルセロナ泊)。
7日目:近郊列車でビラノバ・イ・ラ・ヘルトルに移動してカタルーニャ鉄道博物館を見学してから、午後はバルセロナ観光(バルセロナ泊)。
8日目:昼の便でヒースローに飛び、夕方の便で羽田へ(機内泊)。
9日目:夕方に羽田着。

@カタルーニャ鉄道博物館にて

■2023.12.27
 27日中に出発時刻変更のメールがあり、ウェブで「承認」をしようとすると確認できなくなっている。このパターンの場合、インボラ(無償アップグレード)か乗継便変更の可能性が高い。すでにオンラインチェックインをして搭乗券も印刷しているが、念のためカウンターへ寄ってみると、残念ながらインボラではなかった。
 仕方なく、当初予定通りラウンジへ。JALのラウンジは注文方式になっていて面倒であったが、以前のように「勝手に取る」タイプに戻っている。

@ラウンジ飯

■2023.12.28
 日本酒とワインを呑み過ぎた状態になり、0時55分頃に搭乗。酔いに任せて就寝。
 起床後は機内食を頂いたりして、ヒースローには6時20分頃に到着した。マドリード行は8時20分発であったが、どうやら遅れるという(8時50分頃)。ということで、中途半端な時間が出来てしまったが、ブリティッシュエアウェイズのラウンジに行けばいいだけである。
 私は朝食がなくてもいいタイプであるし、すでに機内食も頂いているのだが、いかにもなブリティッシュブレックファストが取り放題であったので、つい盛ってしまった。本当は卵やトマトも盛りたいくらいであったが、自重である。

@ラウンジ飯その2

 朝からシャンパンを4杯も呑んでしまい(そこまで飲む気はなかったのだが、しょっぱい食材が多いため)、ほろ酔いでゲートに向かい、マドリード行に乗り込んだ。予定通り搭乗時刻は遅れ、離陸したのは9時15分頃であった。
 遅れを引き継いで、マドリード到着は12時20分頃。予定からは30分程度の遅れである。
 到着したのは4Sターミナルで、出国手続き等をするためには第4ターミナルへ移動しなければならない。そのためには、連絡鉄道で移動である。

@スペイン初鐡?

 出国手続きはスムーズで(待ち時間ゼロ)、12時40分過ぎには地下鉄乗り場に到着した。
 さて、今日は鉄道博物館へ行くが、この時点で予定より30分遅れである。今から移動すれば14時前には着けそうであるが、それより遅れると心もとない。というのも、博物館は15時に閉まってしまうからである。
 とりあえず、現場に向かって14時より前に到着すれば入館してしまうことにした(それより遅れたら、30日に訪問)。
 券売機で、地下鉄の切符を購入(詳細な手順は余所様のサイトを参照してください)。1回券はたったの2ユーロであるが、そこに空港料金3ユーロとカード代2.5ユーロ(初利用の時のみ必要)が加算され、7.5ユーロである。

@これで移動

 意外に寒い(温度は東京と差異がない)ホームに降り立ち、地下鉄の8号線がやってくるのを待っていた。しばらくすると入線してきたが、先ほどの空港内鉄道はレールの上を走るものではないため、こちらの方が正真正銘のスペイン初鐡かもしれない。

@こちらがお初?

 8号線を終点まで乗り、その後は10号線と3号線を乗り継いで鉄道博物館の最寄駅であるデリシアスへ。そこから少し歩いて、鉄道博物館には13時50分に到着した。ということで、入館決定である。

@ミニ機関車がお出迎え

 入口から入って、入館料を支払った。7ユーロと良心設定である(ただし最近の情報までは6ユーロであったので、少し値上がりしたようである)。どこから来たのか聞かれたのでJapanと答えると、レシートを渡される際に「アリガト!」付きであった。
 古い駅を再利用したものであり、中には大量の車両が係留されている。SLからは模擬の煙が出ていたりして、演出などもされている。

@車両の一例

 指折り数えたわけではないが、建屋内には30両以上はありそうであった。SLだけでなく、機関車や客車も大量にある。一つひとつ紹介する暇はないが、スペインと言ってある程度の年配の人が真っ先に思い浮かぶのは昔のタルゴ号であろう。旧いタルゴ号が係留されており、写真以外で見るのは初めてであった。

@お初です

 なお実車の展示だけでなく、鉄道博物館にありがちな展示(歴史的なもの、設備的なもの、駅に関するもの等々)があれこれと展示されている。英語がない説明が多いため読むことはできないが、実物の展示を見ればおおよそ何を説明しているかが判明する。

@保線関係

 すべての展示室は1階にあるが、とある部屋を覗くと階段だけであった。そこをひたすら登って行くと(古い建屋であるためエレベータがない)、そこはジオラマの部屋であった。台湾で見たジオラマのような繊細さはないが、非常に大がかりで、子供たちには人気のようであった。

@ここでもジオラマが

 45分ほど滞在して、退散。私は比較的あっさりと見学したが、じっくり見たい人は、やはり最低1時間は必要であろう。
 歩いて北上し、明日のためにアトーチャ駅構内を少し偵察してから、駅近くにあるホステルに投宿。この時点でまだ16時前であるが、時差ボケもあるので、後は呑んで寝るだけである。
 近場のスーパーに行き、せっかくのスペインであるからイベリコ豚の生ハムなどを購入。安ワイン(1リットルでたったの1.10ユーロ)などで頂いた。

@スペイン初晩餐

■2023.12.29
 宿は駅のすぐ近くであるが、7時25分の列車に乗るため、6時55分頃に出発した。
 アトーチャ駅構内は分かりづらい構造になっており、長距離の13〜15番線の入口はすぐに見付かるが、1〜12番線の標識に沿って進むとその先は近郊列車のホームになってしまう。事前にネットで調べた通り、標識は無視して2階に上がり、荷物検査を受けて番線ごとの入口に向かった。

@1階にある行先案内

 まだ7時少し過ぎであったが、10番線の改札が始まっていたので進むことにした。
 ホームで待ち構えていたAVEは、鼻先が平べったいタイプ(タルゴ350)である。スペイン初長距離列車で、タルゴの名称がある列車に当たるとは幸先が良い。

@そそくさと撮影

 なお、欧州各国に旅行をしているのに、スペインが後回しになっていたのには理由がある。実は10年くらい前まで、スペインの鉄道はテロ対策で撮影禁止であったのである。観光目的の人はそれで構わないであろうが、私にとってはそれではまったく意味がない。よって、回避していたのであるが、どうやらここ最近は大丈夫になったらしく、それで訪問を決めたのである。
 指定されている、12号車の自席へ。予約時点でシートマップにて席を決められるため、窓との相性もぴったりである。

@今日の席

 なおヘッドレストのところに人差し指を口の前にしている人の絵があるが、この車両はサイレント車両(お静かにする車両)なのである(敢えて選んでみた)。
 定刻より1分遅れた7時26分に出発。今日からは、乗り鉄と徒歩観光を繰り返すだけである。
 なお、出発時点でまだ真っ暗である。英国よりはかなり南にあるが、時差が1時間あるため、朝に関しては英国とほぼ大差がない(ただし夕方はかなり遅くまで明るいが)。真っ暗ではお手上げなので、しばしスマホと友達である(車内無料Wi-Fiがある)。
 最速300キロで快走し、8時15分頃から明るくなり始め、40分過ぎには景色も見えるようになった。平地ばかりのフランスとは違い、台地部分が多い。

@起伏多し

 9時を過ぎると、路線自体がその台地状の中に入って行き、トンネルも多くなっていった。最高速度は、200キロ程度になっている。
 ひたすらノンストップで走り続け、9時10分に最初の停車駅であるコルドバに停車した。出発時刻は19分ということなので、ホームに降りてみる。他の車両などと比較してみると、サイレント車両である12号車は内部の照明が落とされて薄暗くなっていた。

@ホーム散策

 同駅を定刻に出発。またしても快走である。するとすぐに減速して、9時40分にプエンテヘニル・エレラに到着した。周囲に何もない駅であるが、意外に人が降りている。
 ここはつまり、2つの都市の中間にある高速鉄道専用の駅である。良い譬えは浮かばないが、名前的には七戸十和田みたいなものであろうか。八戸まで最低限の停車駅で来た「はやぶさ」が、急にこまめに停まり出すみたいなものでもある。

@何もない駅

 同駅を出発後は、しばらく快走するとすぐにまた減速し、9時57分にサンタアナに停車した。ここまではマラガ行も連結されていたが、それがここで切り離されるためである。
 作業があるということで、当然停車時間もあるからホームに出てみた。偶然選んだサイレント車両であるが、先頭の12号車であったため、暇つぶしに作業も見学することができた。

@作業終了報告中?

 同駅を10時05分に出発。マラガ方面に行く路盤と別れて左に曲がって行き、右側からはマラガ方面からグラナダ方面に直通する路盤が寄り添ってきて(三角線状態)、その後はひたすらグラナダを目指した。
 路線区分としてはグラナダまでの高速路盤が完成しているようであるが、実際は旧い路盤を活用している部分もあった。10時36分頃からの約10分間は、路盤は右に左にとカーブを続け、車輪はキーキーと鳴り続けていた。時速も50〜65キロである。

@急に在来線モードに

 しかしロハを過ぎて以降、列車はまた200キロ以上での快走となった。まだ単線であるが、複線用の工事中である。複線が完成し、旧路盤部分も新しくなると、グラナダまでの所要時間もだいぶ変わるのであろう。

@実は工事中

 定刻から3分遅れた11時07分、グラナダに到着した。まだ昼前であるが、今日の鐡旅はここで終了であり、後はひたすら徒歩観光をするのみである。
 トイレを済ませてから、駅から歩き始めた。スマホ以外にも、某有名観光案内書のコピーを持ってきているが、地図の違うことときたら。駅前すぐにはトラムが走っているが、アナログの地図にはその欠片もない。

@とりあえず鐡ネタ確保

 ここからは4時間以上かけて、徒歩観光である。ちょっと時間を取り過ぎたかと思ったが、大聖堂近くの迷路のような道を歩き、山の上にあるアルハンブラ宮殿に行き、アルバイシン(旧い町並み)を歩けば、なんだかんだで4時間強である。

@サンニコラス展望台からアルハンブラ宮殿を見渡す

 15時半頃に、予約しておいた安ホテルに投宿した。
 さて、今日もスーパー食材で安飯である。明日以降は冷たい食材が続くため(明日は到着時間が遅く、明後日とその次の日は大晦日と元旦であるため開店している店舗が少ない)、今日くらいは温かい食材を頂きたい。
 ということで、欧州にありがちなチキンの半身である。あまりに巨大で、明日朝に持ち越すこと決定であるが、これしか選択肢がないのだから仕方がない。
 ビールも探したが、常温しかない。困ったなと思って冷蔵コーナーを見ると、1リットルのペットボトルなら冷えていた。ということで、それに決定である。
 昨晩飲み残したワインとともに、これらを平らげて終了である。

@大きさ比較のためスマホを置いてみたが、1リットルビールが巨大過ぎて比較にならず

■2023.12.30
 今日は6時58分発の列車でマドリードに戻る。8時半過ぎまで暗いのであるからもっと遅く出発すればいいのに、と思われるかもしれないが、次のマドリード行は13時台出発であるから仕方がない(昨日も同様で、7時台の次は14時台であった)。
 ホテルのWi-Fiが弱くてネット動画も見難いので、6時前に出発して駅に向かった。荷物検査を経て、ホームへ。

@昨日と同じタルゴ号であったので、保線用車両で代替

 車内に入ったが、今日もそこそこ満席であるのに、私の横には人が来なかった(幸運)。なお、切符は8週間くらい前に買っており、約55ユーロである。今日の朝調べてみたら110ユーロを超えていたので、やはり早めに買う必要があるようである。
 しかし、車内レイアウトを見て2人席右側の窓側を押さえていたのに、なぜか左側の4人席であったのはご愛敬である。

@まぁ窓だから良しとしよう

 定刻の6時58分に出発。真っ暗であるため、今日も8時半過ぎまではスマホと友達である(電源とWi-Fiがあるので有難い)。
 8時01分、停車していたサンタアナで車両に衝撃があった。連結が終わったのであろう。
 8時45分頃になるとやっと明るくなり、右手からは朝日が昇って来たので、デッキに移動してそれを写真に収めた。

@やっと撮影も可能に

 昨日と同じルートを通って行くが、昨日は出発後しばらくは真っ暗で外を見ることができなかったので、初めて見るような景色である。
 停車駅に関しては、今日の方が少し多い(コルドバ以降もいくつか停車した)。天気は晴れたり濃霧になったりの繰り返しである。
 シウダード・レアルでは、出発と同時にすぐ横に別方面からやって来たアトーチャ行が入線してきた。ダイヤはかなり密集しているようである。

@あちらは到着

 次第に家屋やビルが多くなり、スピードもゆっくりになって、11時31分にマドリード(アトーチャ)に到着した。定刻より7分の早着である。
 向かいのホームには、赤色の車両が停まっている。スペインの高速鉄道は自由化されており、飛行機で言うところのLCCのようなところがいくつか参入している。目の前にいるiryoは2022年11月に参入した新参である。今回の旅程はすべてrenfeで予約しているが、こういうのも混ぜても面白かったかもしれない。

@今回は縁なし(車両製作には日立も参画している)

 今日はこれから、マドリード徒歩観光である。サン・イシドロ教会やマヨール広場、王宮(中には入らなかったが)などを、おのぼりさん的にあれこれ見て回った。

@普通の観光写真は今日も1枚だけ

 観光後は地下鉄でチャマルティン駅に移動し、駅近くにあるスーパーで夜用食材を買い揃え(目的地のオビエドでも買えるが、念のためここで確保)、改装工事中で迷路のような駅構内を歩いて乗り場に向かい、荷物検査を経た。この時点でまだ14時15分であり、ヒホン行の出発時刻(14時52分)までまだ時間はある。
 しかし、電光掲示板になかなか出発ホームが出てこない。そのうち、「DEMORADO」と出てきた。接頭部分のDEで嫌な感じがするが、調べてみると「遅れ」である。

@無念

 マドリード始発なのに、どうして遅れるのか不思議である(この時点ではこう思っていたが、これは間違いであった)。
 15時を過ぎても、まだホーム案内は出ない、15時10分頃、到着案内でヒホンからの列車が20番線であることを見つけ、もしかして20番線かと予想していたが、それは外れて17番線の案内がやっと表示された。
 ホームに降りたが、17番線には列車の影も形もない。エスカレーターを降りた部分は17Aであり、17Bはもっと先であった。

@遠い

 中国の駅で、頭端式のホームなのになぜか列車がかなり先に停まっていてかなり歩かされたことがあるが、それを思い出させるような距離感である。
 隣のホームに停まっている赤い列車1編成分を歩いたが、その先にもまだ間隔があり、列車はまだまだ先であった。

@まだ遠い

 やっと車両に到着し、自席に落ち着いた。これから乗るのはヒホン行のAlvia号であり、終着の手前のオビエドで降りることにしている。到着予定は18時22分であるから、1時かくらい遅れても大丈夫である。問題は、18時前くらいに暗くなってしまうため、遅れれば遅れるほど景色が見えなくなってしまう点である。
 なかなか動き出さず、15時44分になってやっと出発した。定刻から52分遅れである。

@駅周辺も工事中

 出発後は、到着時刻を予測するためにこの列車の本来の時刻を調べてみた。すると、マドリード始発ではなく、午前の10時台に東海岸の町を出発して、バレンシアを経由して遠路はるばる来ているのである。マドリードで30分弱の停車時間があるようだが、今日はそれでは回収できないほど遅れたようである。
 駅に着くごとに本来の時刻と比較したが、遅延は増えたり減ったりの繰り返しである。17時45分を過ぎると暗くなり始めもう撮影もできず、こちらは店じまいである。

@明るかった頃

 19時15分、定刻から53分遅れでオビエドに到着した。ホテルまでは歩いて15分程度であるが、その途中で小さなスーパーを発見し、そこで冷えたビールを確保した。
 なおスペインの物価であるが、場所によって高くもあり安くもある。駅で売っている総菜パンなどは5ユーロとか8ユーロもして「あんなパン1個に千円も出せない」と思うが、スーパーでは大きなバケットが0.40ユーロなどで売っているし、200グラムもあるチーズが1.20ユーロくらいで買える。小さなビールも、スーパーならば0.75ユーロで買えるが、同じものが駅の売店では2.95ユーロで売っている。よって、スーパー利用が必須なのである。

@今日の安食材

■2023.12.31
 今日はまず、近郊列車にのってヒホンに行くことにしている。なお、昨日の列車がヒホン行であったが、ホテルの選択肢がオビエドの方が多かったので、こちらに泊っている。
 ヒホンには鉄道博物館があるが、開館時間が9時30分であり、しかも土日は10時30分である。よって訪問はできないが、とりあえずそこに行ってみる予定である。
 駅に向かい、チケットの購入である。英語メニューはあるが、ページによってはスペイン語も混ざる画面もあり、適当に「これか?」と何度も繰り返して、なんとか購入した。

@3.80ユーロ

 チケットには、QRコードがあるだけで料金も行先も書いていない。心配なので、レシートも発行してもらった。
 ホームに入ったが、改札もなにもない。どうやって乗車管理をしているのかと思ったが、ホームの端に別途改札が用意されていた。つまり、長大なホームの端っこの1/4くらいが近郊列車用であり(それ以外は長距離列車用)、その部分だけはチケットを通す必要があるのである。

@ここを通る

 しばらくするとC1路線が入線してきて、定刻から1分遅れた7時46分に出発した。真っ暗なので、往路は景色を堪能できない。
 8時18分にヒホンに到着し、薄明るくなってきた中を歩き始めた。鉄道博物館までは、歩いて数分の近距離である。レンガ造りの大きな建物であり、かなり立派である。

@入ってみたかった

 ガラスの部分もあるので、そこからうっすら中を見ることもできるが、ほんの少ししか見えない。
 そこで敷地の裏側に行ってみると、屋外展示があり、そこに係留されているたくさんの車両は(フェンス越しであるが)見学することができた。これらを見ることができただけでも、ここを訪れた甲斐があるというものである。

@外部展示多し

 その後は、せっかく海に近い街に来ているので、海辺を散策してから駅に戻った。
 当初の旅程素案では、ここから出ているFEVEという小さな電車で沿岸をトコトコと走ることも考えていた。しかし、ネットでの時刻検索もままならず、長距離を通しで走るのは1日に1本くらいしかなさそうなので、結局諦めてしまったという経緯がある。
 9時30分の列車に乗るべくホームに入ると、別のホームにその小さなFEVEが係留されていた。そのうち、これに乗って沿岸を走ってみたいものである。

@そのうち

 件の列車でオビエドに戻り、徒歩観光で大聖堂などを見て回り、スーパーで夜用食材を買い(今日は大晦日なので、サラゴサの大きなスーパーは15時で閉まってしまう)、駅に戻って来た。
 今日はこれからマドリード経由でサラゴサまで行くが(乗り継ぎで1枚の切符)、2本の列車とも通路側席である。予約した8週間前時点で窓際がない状況であったので、焦ってそのまま決済してしまったのであるが、今思えば2本の列車を別々に検索したり、ファーストクラスを検討したりすれば良かったと思うが、後の祭りである。

@入線してきました

 車内に入ってみると、自席は車両の一番前側の4人席であった(つまり後ろ向き)。しかし、これは不幸中の幸いであったかもしれない。最前列で進行側に向いていると壁しか見えないが、後ろ向きになっているので、左右を大きく見渡せることができる。
 定刻から1分遅れ、11時35分にオビエドを出発した。しばらくは昨日景色を見られなかった区間であるが、意外に山深いところを走っていたようである。よって時速も、70キロ程度である。超低速でゲートを通った部分があるが、そこは車両のゲージ幅を変更する部分であったと思う。
 平地になると速度が速くなり、レオン以降は超高速(250キロ)である。

@今日の景色

 今日はマドリードで乗り継ぎができるかどうかが心配であるが(昨日のように1時間近くも遅れると厳しい)、マドリード(チャマルティン)到着は定刻から4分遅れの15時08分であった。
 さて、ここから先は近郊列車でアトーチャ駅に向かうことになる。ネットで調べた限りでは、券売機で「combinado cercanias」の手続きをするとなっているが、そこを押してみると変な警告文が出るだけである。近くに係員がいたので聞いてみると、私が手にしている切符でそのまま乗れるようであった(100%スペイン語であったので、想像であるが)。
 ホームに降りて、アトーチャ方面に行く列車に飛び乗った。

@近郊列車

 しばらく走行し、アトーチャに到着。問題はどうやって自動改札を通るかであるが、切符にあるQRコードをかざしたら通ることができた。切符には2種類のコードがあるので、もしかしたら長距離用と近距離乗り継ぎ用があるのかもしれない。
 この時点でまだ15時37分であり、次の列車の出発(16時30分)まで時間があるためしばし駅付近を散策してから戻り、荷物検査を経て乗り場に向かった。16時過ぎに改札が始まったのでホームに降りたが、待ち構えていたのはドイツ製の車両である。

@丸顔

 肝心の座席であるが、またしても車両の一番前の4人席(後ろ向き)であった。仕方ないが、サラゴサまではたったの1時間15分であるから、諦めるしかない。
 出発前にスマホをいじっていると、隣にいたおばあさんが「これを網棚に乗せるからちょっとどいて」的なことを言ってくる(スペイン語なので想像)。そこで席を外すと、なぜか「そっち(窓側)に座りなさい」みたいなことを言ってくる(これもスペイン語)。良く分からないが、窓側席ゲットである。
 定刻より1分早い16時29分に出発。マドリード市内を過ぎると、300キロでの高速走行である。

@窓側最高

 高速走行を続け、サラゴサには17時43分に到着した。明るい時間帯に到着できたので、ストレスがない。
 今日も駅近くの個人商店でビールを1本買い、ホテルに投宿した。

■2024.1.1
 今日は11時20分発の列車に乗るため、それまでは徒歩観光である。
 サラゴサの旧市街(大聖堂などがあるところ)は駅から歩いて片道40分くらい掛かるため、明るくなり始めた8時過ぎに出発してあれこれと見て回って来た。
 今日も「観光の写真は1枚だけ」と思って紹介しようと思ったが、帰りがけにロータリーで線路を発見してしまった。今のサラゴサ(デリシアス)駅は地下路線になっている部分もあるため、昔はここを走っていたのかもしれない。

@結局鐡ネタ

 10時過ぎにホテルをチェックアウト。今日は元旦であるため大手スーパーなどは休業日であるが、小さな店などは開いているところもある。そういう店を発見して、車内で頂くジュースやお菓子を買ったりした(スーパーよりは高いが、駅の売店で買うよりは各段に安い)。
 10時50分頃に駅に着いたが、まだ出発ホームは掲示されていない。荷物検査を経て、待つことにした。
 それにしても、巨大な駅舎である。ただし構造的な問題もあり、写真の手前側が乗車口で荷物検査の場所などがあるが、到着時は写真の奥側に出ないといけないのである。市街地は手前側にあるため、延々と歩く必要がある。

@昨日は延々と歩いた

 昨日までは不覚にも高速鉄道ばかりであったが、今日からは本格的な(私っぽい)鐡旅と言える。ローカルな鉄道に乗り、ぼんやりと景色を眺めるだけである。
 しばらくするとホームの表示が出て、私が乗る列車は6番線であった。しかし、5番線以降は柵があって辿り着けない。要するに、荷物検査をするのは高速鉄道だけであり、在来線は普通にホームに行けるのである。係員に断って荷物検査を逆流して外に出て、5番線に向かった。
 ホームで待つことしばし、バレンシア方面に行く列車が入線してきた。ディーゼルの3両編成である。

@ローカル線

 定刻より1分遅れた11時21分、サラゴサを出発した。車内はほぼ満席である。ディーゼルエンジンの響きが嬉しい。
 しばらくすると、車内検札が始まった。高速鉄道の場合は改札を通る時点で確認をするが、在来線ではそれがないので、車内で確認する必要があるのだろう。
 12時頃からは、路盤は左右に曲がり続けるようになり、トンネルも多くなってきた。ローカル線の醍醐味である。

@景色の一例

 ローカル線と言っても、直線部分では160キロで快走するところもあった。それでも、昨日と比べるとかなり鈍足である。マドリードとサラゴサとバレンシアはほぼ三角形の頂点の位置にあるが、昨日の乗車時間はたったの1時間15分であるのに対して、今日はほぼ5時間である。
 50分ほどノンストップで走り、12時48分にCALAMOCHA NUEVAに到着した。クック時刻表の景勝路線に含まれているだけあり、なかなか見ごたえのある沿線風景である。
 同駅出発後は、比較的頻繁に駅に停車していった。駅ではないところでしばし停車したが、これは反対側の列車との行き違いである。

@SL時代に活躍した設備?

 13時21分にSANTA EULALIA DEL CAMPOに到着し、続いてかなり大きな町があるCELLAには13時30分に到着した。かなり乗降が多いが、ほぼ満席状態は同じである。
 時刻表によるとこの後は停車駅間が長くなるため、山岳路線になるはずである。
 予想通り、景色はまた険しくなっていった。旧い路盤が近くに沿い続けており(サイクリングロードとして整備されている)、立派な眼鏡橋などもあった。

@あちらは旧い路盤

 かなり登り続けているようで、耳がツンとなる感じである。峠部分らしきところの道路標識に「1,223m」とあったのは、もしかして標高であろうか。
 峠を越えると、路盤は下りになっていった。眼鏡橋を渡っていくが、もちろん車内からは撮影することができない。

@よって影を撮影

 荒野ばかりであったのが次第にオレンジの農園などが多くなり、だんだんと家屋も多くなり、サグントでスイッチバックをして後ろ向きに進み、終着のバレンシア(ノルテ)には定刻から1分早い16時17分に到着した。駅からほど近いホテルに投宿。

■2024.1.2
 今日は12時台の列車で出発となるため、午前中は徒歩観光である。
 明るくなった9時頃から、あれこれと徒歩観光をした。今日も1枚だけその写真を紹介しようと思ったが、またしても大聖堂近くでレールを発見してしまった。ゲージ幅は狭いので、路面電車か何かの跡であろう。

@結局鐡ネタpart2

 ホテルは12時までにチェックアウトしないといけないため、11時50分頃に駅に向かった。12時54分発の出発案内(ホーム)は当然まだ表示されていない。
 車内用のジュースでも買おうと思ったが、駅売店や自販機はやはり高い。駅から5分ほど歩いてコンビニのような店に向かい、そこで買うことにした。

@ノルテ駅

 これから乗るインターシティ(バルセロナ行)であるが、バレンシア始発ではなくて、南部にあるムルシアを8時台に出て延々と走ってくるものである。先日のように、遅れて到着しないことを願うばかりである。
 ノルテ到着は12時39分のはずであるが、やはりやってこない。待つことしばし、12時50分頃になってやっと入線してきた。

@インターシティ

 機関車を先頭にした編成で、その後ろに電源車があり、客車が9両連なっている。私は9号車なのでその入口まで向かったが、入口の電光表示が「8」になっており一瞬躊躇してしまった。しかし、このメーカーの車両はかなり短く車両によっては入口がないものもあるため、要するに8号車と9号車の入口を兼ねているという意味であった(そのうち、表示には9も出るようになった)。

@最後尾(ここからは先頭に)

 ノルテ駅は頭端式のホームであり、先頭の機関車はそのままでは出発することができない。最後尾の9号車にも簡易的な運転台のようなものがあるが、これは引込線などで使うものであろう。
 しばらくすると、機関車が単独でやって来て最後尾に連結された。もう13時を過ぎているが、やっとこれで出発準備が整ったことになる。

@やっと準備完了

 定刻から9分遅れの13時03分、バレンシア(ノルテ)を出発した。車内は満席である。駅の窓口も長蛇の列であったので、もう少し列車の本数を増やしても良さそうな気がするが、それとも年末年始で混雑しているだけなのであろうか。
 沿線風景は地味で、家屋とオレンジ畑がある程度である。

@地味風景

 少しウトウトとして、14時を過ぎると海が見え始めて来た。撮影したいが、今日は曇天で絞りが低く、またこんなところに限って200キロ以上の高速走行をしているので、手振れ写真の連続である。
 その後またウトウトとしてしまって、15時くらいからもまた海が見えたが、同様の理由で失敗写真ばかりである。
 15時20分にカンブリスを出発し、48分にはタラゴーナを出発した。まだ速度が上がる前に、やっと海を撮影することができた。

@やっと成功

 鉄道博物館に行くために翌日やってくる予定のビラノバ・イ・ラ・ヘルトルを16時26分に通過し(ここから先の方が意外に豪華な海風景を眺めることができた)、バルセロナ市街地に入ると地下に入り、定刻ピッタリの17時07分にバルセロナ(サンツ)に到着した。
 今日からの宿(2泊)であるが、バルセロナ中心部は高いため、少し郊外に確保している。地下鉄で移動し、その後はカタルーニャ鉄道に乗り換えて移動した。

@カタルーニャ鉄道にも乗車

■2024.1.3
 今日はカタルーニャ鉄道博物館に行き、その後はバルセロナ市内を適当に観光するだけである。
 ということで、午後に地下鉄を何回か利用するため、ホテルから25分ほど歩いて地下鉄駅に向かった。買うべき切符は、10.50ユーロの一日券である。
 しかし、券売機のメニューには48時間券などばかりであり、件の切符がない。あれこれメニューを選択して「T-dia」というのがあり、値段が合っていたのでたぶんそれだと思って購入した。

@当たっていた模様

 地下鉄に乗り、バルセロナ(サンツ)にやって来た。切符については、renfeの自動券売機でビラノバ・イ・ラ・ヘルトルまでを購入した(往復が選択できたので、それを11.20ユーロで購入)。
 さて、乗り場であるが、なかなかホーム表示が出てこない。備考欄のようなところに「11-12」とあるので、そのどちらかになるという意味であろう。見切り発車で、改札を通った。
 しばしホームで待ち、9時35分頃に入線して来たR2に乗車した。2階建ての車両である。

@スペイン初2階建て

 同駅を出発すると、昨日の景色の巻き戻しである。
 ただ気になるのは、手持ちの路線図の駅を飛ばしていく点である(どうやら快速運転である模様)。ホテルが郊外にあるため、当初はサンツ以外の駅から乗ることも考えていたが、そうしなくて正解であった。
 カステイダフェルスを過ぎると、豪華な海の景色が連続していく。そしてまた、駅を飛ばしていく。ビラノバ・イ・ラ・ヘルトルは大きな町であるから通過することはないであろうが、少しく不安である。

@海

 10時16分、ビラノバ・イ・ラ・ヘルトルに到着した。
 さて、鉄道博物館であるが、駅の目の前(右手すぐ)であった。8.50ユーロの入館料を払い、早速中に入って行った。
 転車台を中心に、多量の車両が係留されている。扇形車庫も残っており、そこにある車両を見学するだけでも時間が掛かる。

@色々あり

 車庫に続くように大量に係留されているのが、SLの大群である。意外に見学客が多く、家族連れが多い。小さな子供たちも、見慣れないであろうSLを見たり運転台に登ったりしている。

@SL達

 SL達に続いては、タルゴ号などで使用されていた機関車などが係留されていた。
 屋外展示以外にも、屋内展示もある。旧い資料の展示やSLもあるが、屋内展示で一番目立っていたのはやはり旧いタルゴ号であった。

@ここでも遭遇

 小一時間滞在して駅に戻り、往復切符で改札を通ってサンツまで戻った。
 さて、ここからは普通の徒歩観光である。鉄道ネタ中心のこのページ(普通の観光写真はほとんど不掲載)であるが、バルセロナに来てこの写真を載せない手はないであろうか。

@おのぼりさん的に(外から見ただけ)

 なお朝に買った一日券であるが、地下鉄以外にバスやトラムやフニクラにも乗車できる。最後のものだけ聞き慣れない言葉であるが、要するにケーブルカーである。
 ということで、せっかくであるからそれにも乗りに行った。ケーブルカーというと傾斜面をどんどん登って景色がどんどん開けていくイメージがあるが、ここのケーブルはほとんどが地下であるため、景色は堪能できない。

@交換中

 高台から市内の景色を堪能してから、ホテルに戻った。

■2023.1.4
 今日からは、ただひたすら帰るだけである。それなりに大変な移動であるが、旅行記にするまでもないであろう。
 地下鉄の空港連絡切符でバルセロナ空港に向かい、ヒースローへ。羽田便は2時間45分も遅れてしまったが、10ポンドのミールクーポンをもらい(すべて土産屋のチョコに変身)、異常に長くなってしまった待ち時間はラウンジでこの旅行記の仕上げ+終了後は一献して酔っぱらい、という塩梅である。

@最後もラウンジ飯で

 

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