【petit-tetu】青函在来線・乗り納めの旅

■はじめに
 平成28年3月26日に北海道新幹線が函館まで開通することとなり、これを機に青函トンネル内を走行するのは新幹線と貨物列車だけとなる。よってこれに伴い、特急「白鳥」は廃止されることとなった。
 廃止直前になるといつものパターンで専門職の方が増えてしまうので、まだあまり騒がれておらず、また雪も多くないこの時期に訪れてみることにした。主な目的は、以下である。
 ・特急「白鳥」の乗り納め
 ・新たな新幹線駅の見学
 ・JRとしての江差線の乗り納め(第三セクターに移管されるため)

 自身の手帳と相談し、とりあえず12月の2週目の土日に往復する航空券(パック旅行)を手配しておいた。「鉄道目的なら東京からも新幹線で移動では」と言われそうだが、これは以前にも書いたことがあるが、やはり値段の問題なのである。今回の旅程の場合、往路が青森空港で復路が秋田空港、これに函館駅前のビジネスホテル(無料朝食付)を1泊付けて、たったの2万900円なのである。新幹線の場合、株主優待などで安く買ったとしても青森まで片道約1万5,000円くらい、これに格安ビジネスホテル(約5,000円)を付けると3万5,000円程度にもなってしまうのである。冬場の東北はあまり人気がないので、飛行機のパック旅行が最安なのである。

@「奥津軽いまべつ」駅にて

■2015.12.12
 羽田空港へ向かい、7時35分のフライトで青森空港へ。到着後、連絡バスで青森駅へと向かう。駅前ビルの地下でホタテの「貝焼き味噌」定食を食べてから、10時38分の列車で蟹田へ向かった。
 蟹田には、もう何度となく訪れている町である。三厩方面に乗り換えるためでもあるが、蟹田から木古内までは特例として青春18きっぷでも特急の自由席に乗れるため、わざわざ降りなければならないという理由で降りているのが一番多いと言える。
 今回は、久々に「三厩方面への乗り換え」が理由での下車である。乗り継ぎ時間は4分だけであり、接続は良い。

@久々にこのボロ車に乗る

 11時45分に、津軽二股に到着した。この駅は海峡線の津軽今別駅(来年、新幹線の「奥津軽いまべつ」駅となる)にほぼ隣接している駅である。
 下車前に気づいたのであるが、駅周辺で何やらイベントをしているようであり、同駅で下車する人もかなり多かった。私が行く場所などはあまり人気がない地域であることが多いため、変だなと思いつつ降りて辺りを見渡し、掲示してあったポスターを見てみると、なんと今日は「駅舎見学会」というイベントの開催日だったのである。下調べもせず、そして1日(しかも3時間)しかないイベントに偶然遭遇するとは、これはまた奇遇である。

@どうりで人が多い

 ゆるキャラの着ぐるみがいたり、また地元の食材を使用した飲食物の出店があったりして、かなり賑わっている。記念品がもらえるクイズというのも実施されており、試しにやってみたところ(設問は北海道新幹線の開業日を三択から選ぶという、外しようがないもの)、ボールペンが当たった。
 本来は駅の外観を見るだけの予定であったが、イベントのおかげで中に入ることができる。完成したばかりの駅前ロータリーとはかなり段差のある跨線橋を渡り、ホーム入口へと向かった。

@来年には開業

 イベントといっても、ホームに降りて歩いて往復するだけであるが、開業前に立ち入れる機会というのはなかなかないと言えるだろう。案内の人以外にも、警備員や駅員、また観光関連の役所の人や報道陣も多く、それなりの賑わいを見せている(問題は、開業後にどの程度の賑わいがあるかどうか、であるが…)。

@ホームをひたすら歩く

 ポスターによると、明日は新函館北斗と木古内でも見学会をするようである。予定を変えて行ってみようかと思ったが、前者は申込制であるし、後者は開催時間が合わない(帰りの飛行機に間に合わない)ため、諦めることとなった。しかし、駅舎に入ることはできないが、今日これから両駅は訪れる予定である。
 津軽二股駅に戻り、隣接する道の駅にある品物をあれこれ見たりしてから、13時01分の列車で蟹田に戻り、蟹田で4分の接続時間で特急「スーパー白鳥」号に乗り継いだ。同類(青春18きっぷの特例を利用する者)が多数いたので心配していたが、なんとか自由席を押さえることができた。

@これに乗ってトンネルを潜るのも、今回の旅が最後

 前述した通り、切符の特例を利用するために蟹田(と木古内)で何度も途中下車してきたが、そういうことももうできなくなるため、両駅で降りる機会はめっきり減るだろう。そう思うと、感慨一入である。
 蟹田を出発してしばらくすると、新幹線が走るべき路盤をこの特急列車も走っていく。新幹線と在来線は軌道の幅も違うため、いわゆる「三線軌条」になっている。

@新幹線開通後も、貨物は走るため

 青函トンネルを抜け、しばらくすると木古内である。上述の「青春18きっぷの特例」のため以外にも、江差線のすでに廃止になった区間に乗るためなど、もう何度となく訪れた町であるが、駅前の様子はかなり変わっていた。新幹線の駅舎は完成しており、在来線の方も、切符売り場や売店のある場所はそのままであるが、出入口付近の建物はいつのまにか作り変えられていた。ただし、駅前ロータリー付近はまだ工事の真っ最中であり、工事車両があれこれ出入りしている状態である。

@新幹線側

 駅付近や海岸などをぷらぷらしてから駅へ戻り、15時12分の列車で函館へと向かった。途中で夕日が右手の海に落ち、16時21分に函館到着。
 もうすっかり日は落ちてしまったが、駅前のホテルに荷を置いてから、16時45分の列車で渡島大野(新幹線開業後は新函館北斗駅となる)へ向かった。列車に乗ること約25分、同駅に到着。
 もう真っ暗だが、以前訪れた際には影も形もなかった巨大な駅舎が出来ており、1両だけの在来線が入線するとあまりにも似合わない感じである。

@期間限定の駅名票?(「渡島大野」になっている)

 さて、見学できる場所はもうないが、函館へ戻る次の列車はなんと19時である。それまで待つのもしんどいので、スーパーまで歩いて買い物をし、そこから路線バスで戻ろうかと予定していた。
 ただし、直前になって奇策(というほどでもないが)を思いついた。同駅では17時12分に上下の列車が行き違うのであるが、これは時刻表上での表記(出発時間)である。到着時間を調べてみると、私が乗ってきた列車(下り)も南下してくる上り列車も、いずれも17時11分であった。JRの時刻は15秒刻みであるため、可能性としては、「下りは17時11分00秒着、上りは17時11分45秒発」までの選択肢があり、最大限で45秒の時間がある。
 反対側のホームを見てみると、まだ上り列車の影も形もない。急ぎ足で跨線橋を超えてそちら側へ行ってみたが、上り列車は少し遅れていたようで、かなり余裕をもって上り列車に乗ることができた。
 函館到着後は、お気に入りの駅弁を買い、一献である。今回は、ビールも絵柄で選んだ。

@上記+青森駅前ビルで買った手羽先と木古内で買ったワインで

■2015.12.13
 新幹線開業関連の広告や幟で埋め尽くされている函館駅へ向かい、江差線の木古内行に乗り込む。新幹線開業後もこの路線自体が消えるわけではないが、第三セクターである「道南いさりび鉄道」として生まれ変わるため、JRとして乗車するのはこれが最後となる。

@こんな様子

 1両編成であり、乗客は各ボックスに1人程度。しかもかなりの割合が同業者(青春18きっぷ利用者)のようであるから、来年春以降の収支が今から気になるところである。ご承知の通り、北海道新幹線は札幌を目指しているため、函館には向かわずぐっと北上して函館市内からはかなり離れた部分に駅(新函館北斗)を造る。つまり、江差線沿線の利用者にとっては新幹線は利用価値がなく、また第三セクターに移管されることによって運賃も値上がりするであろうから、ある意味では単なる負担増になると言えなくもない。
 しばらくすると、左手に海が広がってくる。厚い雲のせいで、狙っていた「函館山と朝日」は無理であった。しかし、景色も良いし沿線観光地もちらほらあるので、新たな第三セクターには知恵を絞ってあれこれ頑張ってほしいものである。

@無念

 木古内でスーパー白鳥に乗り換えて、蟹田へ(在来線でトンネルを抜けるのは、もうこれで本当に最後)。蟹田で各駅停車に乗り換え(特例のために蟹田で乗り換えるのも、もうこれで最後)、青森へ。
 あとはひたすら乗り続け、秋田へ向かうだけである。その前に腹ごしらえであるが、やはり、青森といえば市場での「のっけ丼」であろう。

@今回の力作

 

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