【第三セクター応援鐡旅D】北九州編(おまけで山陽山陰半周)

■はじめに
 第三セクター鉄道を「鉄印」「(食べ物などの)消える系グッズ」「その他(駅弁等)」で応援するこのシリーズであるが、今回は北九州にある3つ(平成ちくほう鉄道、甘木鉄道、松浦鉄道)が対象である。ただし、鉄印は確実に得られるものの、それ以外の要素(消える系グッズや駅弁等)は望み薄であるため、旅行途中に他の要素(JRの駅弁など)を付け足すことで補完したい。
 要領よく回れば1泊2日で訪問できるが、オリンピックの関係で4連休であるため、ゆっくり周ることにした。さらに1日休みを追加して、山陽山陰の西半分も周ってくることにした(こうすることで、復路の飛行機混雑を避けることもできる)。

@佐世保駅にて

■2021.7.22
 先述した通り4連休であるため、九州への航空便は軒並み高価であった。作戦変更でマイル特典に切り替えたが、やはり空席が見当たらない。ということで、山口宇部空港に狙いを定め、往路はJAL、復路はANA(SFJ機材)で見付けることができた。
 7時45分の便で羽田を飛び立ち、山口宇部空港へ。微妙な空き時間はカードラウンジで無料のお菓子を頂いたりして調整してから、空港前にある草江駅に向かった。

@この空港利用時は必ずここから旅行開始

 山口県らしい真黄色の車両に乗り込み、9時52分に出発。宇部で乗り換えて、下関へ。関門トンネルを抜けて、小倉には11時46分に到着した。
 ここで乗り換えるのは、日田彦山線の田川後藤寺行である。1年ぶりの日田彦山線であるが、車内に入って驚いたのは、空調がほとんど機能していないことであった。

@ボロですから

 元々はクーラーがない車両で、簡易的な空調が追加されているものの、今日のような猛暑日では役に立たないようである。よって、併設されている扇風機も大活躍である(それでも暑い)。
 小倉を11時59分に出発し、田川後藤寺には12時56分に到着した。平成ちくほう鉄道との接続駅である。
 20分以上の待ち時間があるが、暑すぎて駅前を散策する気にもなれない。平成ちくほう鉄道の車両がすでに入線していたので、そちらに乗ってしまうことにした。

@涼むために乗車

 比較的新しい車両であり、空調は完璧で寒いくらいである。
 定刻の13時20分、田川後藤寺を出発した。車両は新しいが、乗客は私を含めても2人しかいないため、寂しい限りである(旅行中の車内は空いている方が良いが、第三セクター鉄道に関しては「もっと乗ってほしい」と思ってしまう)。
 13時33分、金田(かなだ)に到着した。この駅で鉄印が入手できるのだが、実は自販機である。

@こんな感じで

 元々は土日も窓口を開けて特別対応をしていたようであるが、途中からこのような形になったようである(人件費もバカにならないであろう)。鉄印を入手するための資格(切符や鉄印帳を持っている)を確認できないが(転売ヤーも入手できてしまう)、仕方がないのかもしれない。
 特別版も売っているが(若桜鉄道で入手経験あり)、やはり通常版の方が御朱印っぽいので、そちらを購入することにした。日付は自分で入れる仕様である。

@鉄印が入っていた箱と一緒に

 13時45分発の列車に乗り、田川後藤寺に戻ってきた。往復料金と鉄印を足しても千円以下の「応援」になってしまったが、昨年度に高価な観光列車「ことこと列車」に乗っているから、勘弁してもらおう。
 さて、効率よく周るのであれば福岡方面に向かうのであるが、先述した通り今回はゆっくり周ることにしている。ということで、今日の宿は湯布院である。
 さらにもう一つの目的は、湯布院に向かうために乗車する日田彦山線不通区間の代行バスである。日田彦山線のこの区間は災害で不通であり、ついに鉄道での復活を諦めてBRTが決定してしまったが、そうなる前にもう一度乗っておこうと思ったのである。
 14時14分発の添田行に乗り、14時28分に到着。9分の乗り継ぎで代行バスである。

@久々に乗る

 小さな代行バスであるが、意外にも10人もの客が乗り込み、定刻の14時37分に出発した。
 しばらくして到着したのが、途中駅としては有名であり、線名の一部にもなっている彦山である。しかし、BRT化に関するニュースを読んでいた時に、駅舎が取り壊されてしまうというのを目にしていた。そして実際に駅に着いてみると、見えるのはホームだけで駅舎はすでに撤去済であった。味わいのある駅舎であったので寂しいが、BRTの効率的運用に必要な処置ということなので、仕方がない。

@在りし日の駅舎(3年前に撮影)

 峠部分は道路と鉄道が大きくそれるため大迂回をしながら進み続け、日田には16時23分に到着した。駅付近は、漫画「進撃の巨人」だらけであるが(大きな絵や銅像など)、作者の生誕地であるとの由。
 16時48分発の大分行に乗り、18時11分に到着した由布院で下車した。素泊まりの安温泉宿に投宿。

■2021.7.23
 朝風呂に入ってから宿を後にして、7時33分発の日田行に乗り込んだ。昨日の夕方に乗ったのと同じ編成(黄色2両)である。

@今日も乗る

 日田と久留米で乗り換え、鳥栖には10時46分に到着した。ここでの皮算用は、「かしわめしを買う」「ついでに酒も買う」「各駅停車の車内でのんびり頂く」である。
 しかし、鳥栖到着時にすでに入線していた肥前浜行の車両をチラ見すると、車内がすでに混雑しているではないか。売店に寄らずその車両に行ってみると、2席確保できるスペースは皆無である。これでは、呑んでいられる状況ではない。仕方なく、かしわめしは諦めることにした(「翌日リベンジ」の計画を立てる)。

@大混雑の2両編成

 通路席なら空いているが、コロナ禍であるため座りたくはない。ということで、先頭部分に立って景色を眺めることにした。多くの立ち客を乗せて、定刻の10時53分に出発。
 佐賀で空いたため、それ以降は座って景色を眺め続けた。有田着は定刻から5分遅れの12時24分であり、ここで下車した。
 有田で下車した目的は、駅弁「有田焼カレー」を買うためである。当初予定では「かしわめしを車内で」「有田焼カレーをお持ち帰りで(夜にホテルで頂く)」にしていたのだが、作戦変更であり、こちらを昼にすることにした。小さい店舗内でも頂けるスペースがある。

@温めてくれる

 なお店内で頂いた場合、持ち帰りの器は別途新しいものと交換してくれる(食後の器を自分で洗う必要がなくなるサービスである)。牛柄を買ったのであるが、持ち帰りは違う柄でも良いということであったので、猫柄を持ち帰ることにした。
 さて、この駅からも松浦鉄道に乗ることができるが、そうするとかなりの大回りとなり時間を要してしまうため(それに昨年度にも乗ったばかりなので)、今日は鉄印がもらえる佐世保にまず向かうことにしている。
 佐世保方面への列車まで40分以上も時間があるため、反対方向の列車に乗って上有田で下車した。こちらの駅付近の方が、有田らしい町並みを歩くことができる。

@久々に

 少しだけ散策してから駅に戻り、13時26分発の早岐(はいき)行に乗り込んだ。終着の早岐で乗り換え、佐世保には14時05分に到着した。
 さて、ここで鉄印の入手である。自販機で切符を買ってから、窓口に行って鉄印を入手した。

@無事入手

 後は列車に乗るだけであるが、550円の切符は小浦まで乗ることを意図したものである。今回、松浦鉄道に乗ることを考えた際にどこに行くか考えたが、臼浦線廃線跡(臼の浦駅跡)に行ってみることにした。

@鉄道にも乗らないと

 14時23分発の列車に乗り、小浦着は15時03分。駅から歩くこと40分弱で、やっと駅跡に到着した。駅名標以外はこれといって何もないが、駅跡と言われればそんな気がしなくもない。いかんせん、1971年に廃線となっているため、遺構はほとんどなくなっていた。

@駅跡です

 ひたすら同じ道を戻り、16時29分発の列車に乗り、17時04分に到着した中佐世保で下車して、安ホテルに投宿した。

■2021.7.24
 6時過ぎにホテルをチェックアウトして、10分強歩いて佐世保駅へ。今日は6時35分発の鳥栖行から旅が始まる。鳥栖まで乗り換えなしで行けるのは楽であるし、ホームで待っていたのは国鉄時代の車両である。そこまでは良かったのであるが、乗り込んでみたらまさかのロングシート車両であった。先頭車両のトイレ前だけが窓と直角の座席であるため、仕様がないのでそこに陣取った。

@やむなし

 定刻に佐世保を出発。早岐でスイッチバックをするため、それ以降は進行方向と逆向きになってしまうが、ロングシートに座るよりはマシである。
 8時32分に到着した鳥栖で鹿児島本線に乗り換え、甘木鉄道との接続駅である基山には8時53分に到着した。
 今回の旅程でボトルネックとなったのは、この甘木鉄道であった。というのも、鉄印を購入できるのは平日と土曜のみで、日曜と祝日は窓口が開いていないのである。ということで、今回の旅程(4連休)のうち、土曜日である今日に訪問するように調整をするしか方法がなかった。
 甘木鉄道のホームに移動してしばし待ち、入線してきた車両に乗り込んだ。

@鮮やかな色

 詳細な乗車記録を付けていないため朧気であるが、甘木鉄道に乗るのはたぶん3回目である。初回は、災害のため途中で代行バスに乗り、しばらくして復旧してから乗り直して、そして今回の乗車である。
 9時09分に基山を出発。長閑な景色の中を走り続け、終着の甘木には9時35分に到着した。
 さて、鉄印であるが、乗車券も購入しなければならない。一日乗車券は車内では買えないため、下車時に「窓口で一日乗車券を買います」と宣言して降りてきている。窓口へ行き、双方無事に購入した。

@今回のミッションこれで終了

 さて、初めての地であれば駅周辺をあれこれと観光するが、甘木近辺については西鉄乗り潰しで訪問した際に探索済である。それに、今日も猛暑日で散策向きではないため、すぐに折り返すことにしている。
 9時43分発の列車に乗り込んで、基山には10時08分に戻ってきた。続いて乗るのは、10時21分発の快速小倉行である。
 無事に乗り込んだが、今日の旅程は、後は宿泊地である広島にひたすら向かうだけである。ということで、鳥栖で乗り換えの際に購入していた弁当(昨日のリベンジ)と、基山駅近くにあったスーパーで買ったチューハイで一献の始まりである。

@もうミッションは終えたので

 「かしわめし」にはせず、敢えて「焼麦(しゃおまい)弁当」を買ってある。シュウマイがツマミにもなるし、ご飯部分はかしわめしと同じであるため、今日のようなシチュエーション(軽く呑んで食べる)にピッタリである。値段は、甘木鉄道の一日乗車券と同じ740円也。
 これらを平らげ、博多以降は少しウトウトと。小倉到着後は下関行に乗り換え、下関で岩国行に、岩国でさらに乗り換えて、広島には17時12分に到着した。

■2021.7.25
 さて、今日と明日の旅行はテーマ的には「蛇足」であるが、簡単に記しておきたい。
 今日のメインは、久々に乗車する山陰本線の出雲市−江津である。いかにして出雲市に向かうかであるが、木次線経由は本数が少ないため諦め、山陽本線と伯備線である。
 まずは6時35分発の糸崎行に乗り、終着の糸崎で瀬戸行に乗り換えて倉敷で下車した。ここから伯備線である。

@乗り換え

 ほぼ無目的の旅であるため、川の景色でも見ながら酒を呑むのがベストである。しかし、残念ながら倉敷駅では駅弁が売っていない。
 駅前のスーパーに行き、岡山のカフェが作っているという弁当を入手。酒についてであるが、駅の売店でJR西日本限定のビールを発見したので、それとチューハイを入手した。
 岡山方面からやってきた9時36分発の新見行に乗車。川が良く見える左側に陣取り、総社を過ぎたころから一献の始まりである。

@一応地の物?

 つい先月もWEST EXPRESS銀河で乗車したばかりの伯備線である。その時にアクシデントで長時間停車した方谷駅なども停車して行った。
 ネタで買ったビールであるが、小さい350mlのくせに385円もする(エビスより高い)。しかし呑んでみると、かなりフルーティーな感じがあり、地ビールにありそうな種類であった。
 新見には10時49分に到着した。3分で米子行に乗り継ぐことができるが、電車が待っていると思っていたところ、待ち構えていたのは芸備線などでも使われている1両のディーゼルカーであった。

@予想外

 定刻の10時52分に出発したが、それにしても空調(クーラー)の効きの悪いことときたら。アルコールのおかげで半分は寝ていたが、まるで「我慢大会」のような車内であった。
 米子には定刻の13時10分に到着した。当初の予定では14時39分に出発する快速に乗って今日の宿泊地である益田に向かうことにしていたが、この炎天下では散策をする気にもなれない。ということで、13時39分発の各駅停車に乗ってしまうことにした。
 入線してきたのは、年季の入ったキハ47系である。空調の効き具合に一抹の不安を覚えるが、先ほどの車両よりはマシであった。

@及第点

 定刻に米子を出発。のんびりと外を眺めていたが、松江停車時に「特急が遅れているため、この列車も遅れる」とのアナウンスがあった。各駅停車に乗った皮算用としては、江津で下車して、25分程度の間にスーパーに行って刺身でも買い、後追いでやってくる快速に乗ろうと思っていたのだが、各駅停車が遅延したのでは計画倒れである。仕方ないので、松江で降りてここから快速に乗ることにした。
 久々の松江…であればまだいいが、実は仕事で今週(つい数日前)に来たばかりである。懐かしくもない売店などを見ていたが、夜に到着する益田のスーパーでは地の物(刺身など)が買えないことを想像し、島根牛を使った駅弁を見つけたので「保険用」として買っておくことにした。
 ホームへ向かい、15時16分発の快速「アクアライナー」に乗り込んだ。

@計算外の場所から乗車

 まだ新しい車両であるため、空調は完璧で寒いくらいである。
 松江を出発し、しばらくして出雲市へ。ここから江津までがしばらくご無沙汰の区間である。三江線があった時代はたまに訪問したのだが、それが廃線になって以降は、なかなか足が向きづらい地域になってしまっている。
 出雲市出発後は、のんびりと海などを眺め続けた。大田市で長時間停車があり、少しだけ駅舎の外へ。同駅出発後も、時折すばらしい海が見え続けた。

@山陰の海

 18時51分、終着の益田に到着した。駅前すぐにある安ホテルに投宿。
 荷物を置いてから駅の反対側にあるスーパーまで15分ほど歩いて行ってみたが、やはり刺身などは売り切れであった。どこでも買えるような総菜(半額シール付き)と酒を買い、ホテルに戻った。ということで、松江で地の物を買っておいたのは正解であった。

@今晩のメイン

■2021.7.26
 「蛇足」旅行記の2日目である。今日の目的は、仙崎散策と久々の美祢線乗車、宇部新川散策である。
 ホテルをチェックアウトして、益田発5時56分発の長門市行に乗り込んだ。早朝ということもあるが、乗客は私を含めても3人だけである(その後、徐々に増えていった)。
 山陰本線の益田以西は、2005年に特急「いそがぜ」が廃止になって以降、優等列車が走らない寂しい区間となってしまっている。萩という観光地があるにもかかわらず、である。
 萩以降は、昨年度に「○○のはなし」で乗車した区間である。素晴らしい海が垣間見られるが、地元民はそんなものを見る気もなく窓のシールドを下げてしまっている。

@撮影しているのは私だけ

 定刻の7時46分、長門市に到着した。益田では駅員がいなかったのでここで青春18きっぷに押印してもらい、仙崎行に乗ろうとしたら、先ほどまで乗車していた車両がそのまま運用されていた。ということで、同じボックス席に陣取る。
 7時56分に長門市を出発して、仙崎には8時00分に到着した。
 仙崎自体は以前にも来たことがあり、その際に金子みすゞ記念館にも訪問済みである。今日は、町並みの散策と、適当に海を眺めるだけである。

@こんな酒屋があったとは(前回未訪問)

 散策自体はものの30分で終わってしまったが、仙崎発の列車は8時07分(先ほどの折り返し)の後は12時44分という、旅行者に優しくない設定である。ということで、長門市駅まで歩いて戻った。
 駅待合室で時間を調整し、続いて乗るのは9時55分発の厚狭行である。昨日の新見発の列車と同じ形式であり「まさか」と思ったが、まだ午前中ということもあり、空調は程良く効いていた。

@でもロングシートですが

 定刻に長門市を出発。久々の美祢線であるが、長閑な景色が多く、石灰石鉱山などをぼんやりと眺め続けた。
 厚狭に到着してからは、山陽本線に乗り換えて宇部へ移動し、そこから宇部線で宇部新川に移動した。ここで1時間半ほどの間にあれこれ見て回ったが、「蛇足」旅行記の「おまけ」であるから、詳細は不要であろう。
 宇部新川から草江に移動し、徒歩で山口宇部空港へ。カードラウンジで時間調整をして(この旅行記を書いたりして)、久々のSFJ便(ANA扱い)で戻るだけである。

@久々に

 

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