【第三セクター応援鐡旅B】南東北編

■はじめに
 今年の春から開始した「第三セクター応援鐡旅」であるが、今回は南東北編である。対象は「山形鉄道、阿武隈急行、会津鉄道、野岩鉄道」であるが、初回の北東北編で天候不良により由利高原鉄道に乗ることができず、急遽代替で阿武隈急行に乗車したため、今回の対象は3路線だけである。
 応援内容(鉄印、駅弁、駅レストラン、消える系(食べ物系)のお土産)であるが、今回は駅レストン以外を実施できそうな感じである。鉄印は当然であるが、会津鉄道にはお菓子などのオリジナルグッズがあるし、一番地味な野岩鉄道にも駅弁があるという。山形鉄道には事前の下調べではこれといったものは見つけられなかったが、現地に行けば何かあるかもしれない(前回「近畿山陰編」の北条鉄道で見つけたワッフルのように)。
 使用する切符はJR東日本の「週末パス」である。会津鉄道の会津田島以南と野岩鉄道は対象外であるが、それ以外の第三セクターにはこの切符で乗車可能である。

@赤湯駅にて

■2021.5.29
 自宅最寄駅からJRに乗り、東北本線(宇都宮線)に乗り換えて宇都宮へ。まずは野岩鉄道から攻めることにしているが、下(南)からアクセスするため、JRで今市まで行き、東武鉄道の下今市から北上して野岩鉄道を目指す旅程である。
 宇都宮駅で、日光線乗り場へ向かった。日光線には「いろは」というラッピング列車も走っているが、8時40分発は残念ながら普通の車両であった。

@ということでコンコースにあったパネルで代替

 定刻に出発。少し懐かしい景色を過ぎて(実は私は中・高時代は宇都宮に在住)、9時16分に今市に到着した。
 すぐに東武鉄道の下今市駅まで歩いても時間が余ってしまうため、道の駅などに寄り道をしてから下今市駅に向かうと、SLの汽笛の音が駅方面から聞こえてきた。そう言えば、今日はSLの運転日であった。それを見学するという手もあったが、どうせこの後に鬼怒川温泉駅で対面できるからいいとしよう。
 下今市駅は、レトロな展示物があれこれあったりして楽しめる空間であった。

@転車台もあり

 9時57分発の新藤原行に乗り込んだ。もちろん定刻に出発。
 東武鉄道は首都圏内では普通の通勤列車であるが、栃木県内では沿線は長閑になり、特に下今市から分岐する鬼怒川線は山間部を走ることもあってかなりローカル色が強い。
 野岩鉄道との接続駅である新藤原までは行かず、10時27分に到着した鬼怒川温泉で下車した。駅前にある転車台では、今まさにSLが方向転換をしているところであった。

@みんなが注目

 駅前に敢えて転車台を設置するというのは、なかなか凝った演出である。
 それを見終えてから、駅併設のカフェへ向かった。そもそもなんで新藤原まで行かずこの駅で降りたのかというと、野岩鉄道の駅弁がここで買えるからである。
 その名も「とち福弁当」。1,200円+税で合計1,320円となかなかの値段設定であるが、「応援」であるから買わなければならない。
 カフェに入り、2個だけ置いてあった当該弁当のうちの1つを無事入手した。

@こんな掛け紙

 地元の豚肉を使用したミルフィーユとんかつや、湯葉かんぴょうを使用した料理もあり、地元志向の内容である。
 さて、いつもならば弁当の中身の写真を撮ってから頂くのであるが、目の前にいたSLの方も気にしていたら、うっかり撮影前に食べ始めてしまった(気付いた時には半分以上消費)。ブロガー失格、である(中身が気になる方は、「とち福弁当」「野岩鉄道」で検索してください)。

@代替でSLの写真を

 ものの15分ほどで、弁当は食べ終えた。
 さて、野岩鉄道との接続駅は新藤原であり、あと2駅先である。11時台に出発する列車もあるが、特急であり、別料金が必要である。急ぐ旅でもないので、新藤原までは歩くことにしている。
 ということで、ぶらぶらと歩き始めた。昔は一大観光地であった鬼怒川温泉であるが、旅先の多様化には抗えず、廃墟となっている巨大旅館も多い。そんな廃れた様子を見たり、吊り橋があったので寄り道をしたりして歩き、鬼怒川公園駅を過ぎてからは家も少なくなって、歩き始めてから1時間15分ほどで新藤原駅に到着した。

@小さい駅

 野岩鉄道は、東武鉄道(鬼怒川線)と旧国鉄(会津線)の間を接続するだけの存在であり、新藤原駅周辺も、そんなに大きな集落ではない。
 それはさておき、ここで鉄印である(やっと旅の本筋に)。会津田島までの切符を買い、鉄印も同時に申し込んだ。書置きの用紙ではあるが、貼り付けは駅でやってくれ、しかも割印も押してくれていた。「御朱印」っぽい感じである。

@無事入手

 時刻はまだ12時前であり、次に乗るべき列車(12時24分発の会津田島行)まで時間があるが、すでに列車が入線していたので早速車内に入った。とち福弁当で満腹+1時間強の散策で疲れていたこともあり、しばし車内で昼寝タイム。
 定刻になり、新藤原を出発した。山間部であり開通も比較的新しいので、ひたすらトンネルの連続である。会津高原尾瀬口から先は別の第三セクター鉄道である会津鉄道となるが、運転手や車掌の交代はなかった(そのまま乗務)。
 新藤原から会津田島まで、2つの第三セクター鉄道に跨り、乗車時間は1時間弱。それでいて料金は1,720円であり、JRと比較するとかなり高いが、地理的にも人口的にも、仕様がないのであろう。

@新藤原出発前

 会津鉄道は国鉄時代に敷設された路盤であるし、急峻な山間部でもないため、のんびりした感じである。家々も少しずつ増えてきて、只見線のような長閑具合である。
 工事による徐行区間もあり、定刻から4分遅れた13時24分に会津田島に到着した。さて、まずは鉄印である。
 書置き以外に記入式もあるということで、いずれも料金は同じ。であれば、当然記入式である。鉄印帳を渡してしばし待ち、手書きで記入してもらった。やはり、実際に直に書いてもらった方が「御朱印帳らしい」感じである。

@納得の出来栄え

 ここで1時間弱時間があるため、しばし駅付近を散策したり、地元のスーパーを訪問したりして時間を潰した。
 駅に戻り、続いては「消える系(食べ物系)のグッズ」である。駅併設の売店で、オリジナルの鉄道の箱に入ったチョコクランチと、「ぽっぽ豆」なるものを購入した。

@後で頂きます

 さて、今日やるべきミッションは、ここまでである。後は、宿泊先である郡山まで粛々と向かうだけである。
 駅構内に入り、14時19分発の会津若松行に乗り込んだ。先ほどまでとの違いは、ディーゼルカーであるという点である(会津線自体は非電化であったが、野岩鉄道との接続により電車特急を首都圏に直通させるため、会津田島以南は電化されている)。

@非電化

 定刻に出発。のんびりと景色を眺め続け、15時34分に会津若松に到着した。乗り換え時間が40分以上もあるため、駅近くにあるスーパーなどを物色。
 それにしても、駅付近(駅構内を含む)の閉店した飲食店の多いこと。やはり、コロナの影響であろうか。
 16時21分発の磐越西線に乗り、一路郡山へ。定刻の17時34分に到着し、駅構内で総菜を買いこんでから駅近くにある安ホテルに投宿した。

@会津鉄道の写真が少なかったので追加

■2021.5.30
 さて、今日の目的は山形鉄道である。早朝にホテルをチェックアウトして、6時10分発の東北本線で福島へ。福島からは、7時14分発の奥羽本線で米沢に向かった。駅名標なども撤去されてしまった赤岩駅や、早朝から頑張っている峠の力餅売りなど見所は多いが、今回のテーマではないので詳述はしない。
 米沢からは悪名高いロングシート車両に乗り換えて、8時21分に山形鉄道との接続駅である赤湯に到着した。

@駅構内にて

 山形鉄道(赤湯−荒砥)に関しては、約3年ぶりの乗車である。当初の旅程では、途中の長井まで行って鉄印をもらってからすぐに折り返し、山形と仙台経由で移動して阿武隈急行に乗る予定であったが、上述した通り阿武隈急行に乗らなくてよくなった=旅程に余裕ができたため、今日は荒砥まで行くことにしている。
 しばし待ち時間があったため駅付近を適当に散策して時間を潰してから駅に戻り、山形鉄道の乗り場へと向かった。

@天気も良し

 定刻の8時59分に赤湯を出発。意外に乗客がいて、各ボックスに1人は座っている感じである。JRと再度接続する今泉を経由し、途中駅で一番大きな長井で半分以上が下車してからは、車内も閑散としてきた。
 大きな山や川などはなく田圃ばかりであり、時折果樹園が見える長閑な景色である。

@後方の写真

 9時53分、荒砥に到着した。下車したのは、私を含めても5人程度である。
 さて、駅周辺にはこれといって見るものもない。適当に散策してから駅に戻り、鉄道に関するミニ展示を見たり、売店をのぞき込んだりした。山形鉄道のグッズも置いてあったが、やはり消える系(食べ物系)はないようであった。
 ふと近場を見ると、地元の味噌が数種類置いてあった。代替というわけではないが、そちらを1つ購入。

@旨いに違いない

 10時24分発の列車に乗り、折り返した。続いては長井駅での鉄印であるが、このまま長井に行っても鉄印受領後に時間を持て余してしまうため、手前の「あやめ公園」で下車して、その公園や道の駅などを観光することにしている。
 あやめ公園で下車して、歩いて公園内へ。季節的にほとんど咲いていなかったが、片隅の一角だけに花が残っていたので、それを撮影。

@ギリギリセーフ

 その後は最上川近くにある道の駅まで行きあれこれ購入し(詳細後述)、長井駅へと向かった。さて、やっと今日のミッションである鉄印である。
 その前に、今回の旅で気になっていたのが長井の新駅舎である。山形鉄道のウェブサイトで「新長井駅」に関するイベントが掲載されていたので、てっきり「新長井」という別の駅ができるのかと思ったら、それは私の勘違いで、長井駅が再開発で新しくなったのであった。
 それにしても、田舎(失礼)にしては巨大な駅舎である。市役所の建物も繋がっているので、さらに巨大に感じられる。

@とにかく大きい

 さて、やっと本題の鉄印である。窓口へ行くと、通常版以外に特別版があるという。しかも同じ料金ということなので、せっかくであるから特別版をいただくことにした。

@色紙バージョン

 時刻は12時前である。小腹は空いているし、今日のミッションはもう終えたから後は酒でも呑んで移動しても良い。ということで、先ほどの道の駅で馬肉旨煮(長井市名産)や米沢牛のレバーを使った総菜を買ってある。コンビニで酒も買ってあり、準備万端である。昼の時間帯であるから、車内も混んでいない=気楽に呑めるはずである。

@ちょい呑みセット(地元のパンも)

 荒砥方面からやってきた12時07分発の赤湯行に乗り込む。車内が空いていたのは予想通りであったが、予想外であったのはロングシートの車両であったという点であった。「ボックス席で呑めば旅行好きで、ロングシートで呑めばアル中」とは言い得て妙であるが、後回しにするとコンビニで買った酒もぬるくなってしまうから、仕方なく片隅でちまちまと飲み始めた。酒→つまみ→マスクという感じで、一人マスク会食である。
 12時38分、赤湯に到着した。朝は閉まっていた売店が開いていたので、短い乗り換え時間に物色。ここでも味噌を発見したので、やはり購入した。

@これも旨いに違いない

 12時47分発の列車に乗り、米沢へ。米沢からは板谷峠を越えて福島に向かうが、酒の影響もあって大部分は居眠りをしていた。
 福島着は13時54分。阿武隈急行割愛の関係でまだ時間に余裕があるため、週末パスで乗車可能な福島交通(飯坂線)に乗ることにしている。以前は仕事のついでに乗ったこともあるが、久々の乗車である。

@昔の面影なし(新しい)

 飯坂温泉まで乗り、駅周辺を懐かしみながら散策してから15時05分発の列車で福島に戻ってきた。
 さて、本来の旅程では、15時40分発の各駅停車に乗ってひたすら乗り継ぎを繰り返して帰る予定であった。自宅には21時頃に着くので、無理な旅程ではない。しかし、飯坂温泉から戻って来る車内で、あれこれ乗り換えるのが面倒になってしまい、結局新幹線に乗ることにした。青春18きっぷ使用中は無理だが、週末パス(追加料金で特急利用可能)ならではの旅程変更である。こうすることで、2時間半以上も早く家にたどり着くことができる。

@やっぱり新幹線で

 

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