【第三セクター応援鐡旅K】番外編(世界初のDMV乗車)

■はじめに
 日本各地域にある第三セクター鉄道に乗車し、消える系のグッズ(食べ物など)や鉄印の購入、駅レストランの利用や駅弁の購入でそれぞれの会社を「応援」をしようという「第三セクター応援鐡旅」であるが、一通り終了したものの、四国の「阿佐海岸鉄道」については「鉄印販売はDMV(デュアル・モード・ビークル:鉄道だけでなく一般道路も走行できる車両)運行開始後」となっていたため、後回しになっていた。昨年末にやっとDMVが運行開始したため、最後の鉄印が入手可能な状態となった次第である。
 今回は、鉄印を入手することはもちろんのこと、世界初の定期運行となったDMVにも乗車してくる予定である(そもそも、乗車券を提示しないと鉄印は買えないが)。
 三連休ということもあり、アクセスするための航空券は軒並み高価であったが、復路を連休の中日にして、そして復路の出発空港を徳島ではなくて大阪にすることによって、そこそこの安さ(徳島駅近くのホテルを含めて2万8,000円程度)のパック旅行を発見したため、昨年末のうちに決済しておいた。
 DMV自体は運行距離10キロ(+バス走行部分)と短いため、徳島−和歌山航路の乗船など、いくつか「その他の旅の小ネタ」も含めることにしている。

@阿波海南文化村にて

■2022.2.11
 最寄駅始発の列車に乗って羽田空港へ向かい、7時10分発の便で徳島に飛び立った。8時21分頃に着陸し、その後は連絡バスに乗って徳島駅に向かった。
 翌日に使う路線バスの一日券を案内所で買ってからJRの切符を買い、ホームへと向かった。これから乗るのは、9時30分発の阿波海南行である。

@貫禄の1両編成

 定刻に徳島を出発。しかし、このまま阿佐海岸鉄道との接続駅である阿波海南までは乗り通さない。
 というのも、もし飛行機が遅れてこの列車に乗れなかったりするとその後の旅程が大幅に狂うため、2時間後の列車に乗っても大丈夫なようにDMVの予約をしてあるからである。ということで、予定通りの列車に乗れたため、その2時間は日和佐での途中下車に充てることにしている。
 11時02分、日和佐に到着した。海の幸や地鶏を提供する店に行ってランチでも、と思っていたが、まさかの「2月途中まで休業」であった。しかし道の駅に行ったところ、魚を使った田舎寿司があったので、それを頂くことにした。

@素朴

 寿司を食べ終えても、まだまだ時間は残っている。よって、すぐ近くにある薬王寺を訪れた。この寺を訪問するのは4〜5回目くらいであろうか、やはり一番の思い出は、四国お遍路で周っていた時の参拝であろう。
 参拝客も多く非常に賑わっており、寺院の入口には出店などもいくつかあった。

@参拝

 その後は港付近を適当に散策し、再度道の駅に行って夜用の総菜を買ったりして、スーパー経由で駅に戻った。
 しばらくして入線してきた13時03分発の阿波海南行に乗車。左手に時折海を見ながら乗り続け、13時38分に阿波海南に到着した。JRのレールは、ここで「行き止まり」となっている。

@ここまで

 さて、この駅で待っていればDMVに乗ることができるが、せっかくであるから往路はバス区間も含めてすべてに乗車したい。ということで、始発バス停である「阿波海南文化村」まで15分ほど歩いて行くことにしている。
 しばし歩き、バス停に到着した。真新しい待合場所で待っていると、青色のDMVがやって来た。

@これに乗る

 予約済みであるため、名前を告げて車内に入った。車内構造が良く分かっていなかったのでとりあえず最前列の1Aを取ってあったが、前方の景色を撮るのであれば、敢えて通路側の1Bにするのも良いかもしれない。

@こんな座席

 定刻の14時02分に出発。動き出しは、まさに普通のバスである。
 出発してしばらくすると、赤色のDMVとすれ違った。しばらくすると阿波海南駅に近づき、ゲートを超えて新設のバス停に到着した。ここで乗客を乗せ(満席となり)、少し移動してレールの上へ。ここで「モード」が変更され、鉄道用の車輪が出てきて車体前方が浮き上がった。

@レールへ

 14時06分に阿波海南を出発した。レール上での速度は、以前の鉄道の方が速かったような気がする(ゴムのタイヤでレール上を走るので、爆走はできないのであろう)。しかし、先ほどまでバスであった車両でレール上を走るのは、大変面白い。
 途中駅の海部では、旧い車両が係留されていた。係留線のレールは本線から切り離されているので、この車両はもう走ることはできない。

@以前はお世話になりました

 トンネルをいくつも抜けて、14時25分頃に高架の終点部分である甲浦のジャンクション(旧甲浦駅)に到着し、ここで鉄道用車輪が片付けられて「バスモード」に戻り、急坂のループを周って新たな甲浦駅(バス停)へと向かっていった。

@こういう位置関係

 甲浦駅には何度か来ているが、徳島側から往復する場合はいつも中途半端な時間があったため、歩いて「海の駅」まで往復するのが常であった。今日は、その海の駅がDMVの途中駅にもなっている。
 甲浦を出発し、その海の駅を経由して(写真撮影する人多し)、14時37分に終着バス停である「道の駅宍喰温泉」に到着した。あっという間であったが、モード変更など、色々と楽しむことができた。
 道の駅からは、歩いて宍喰駅へと向かった。やっと、「最後の鉄印」の入手である。

@長い道のりであった

 改札口付近ではグッズがあれこれ売っていたが、残念ながら食べ物などの「消える系」はないようであった。しかし、先ほどの道の駅でDMVグッズが多数売っており、その中で「DMVカレー」というのがあったので、実はそれを買ってある。鉄道会社のオリジナル商品ではなく、単なる「あやかり商品」ではあるが、もしかしたら画像使用料くらいは支払われているのかもしれない。

@便乗して

 今回の旅の主目的を無事終え、高架となっているホームへと登って行った。旧い鉄道用のホームも残っているが、DMVは普通のバスのように「地べた」から乗降するため、もうそのホームは使用できない。よって、新しいDMV用のホームが整備されている。

@このように

 しばし待ち、15時14分発のDMVに乗車した(赤色の車両であった)。トンネルの多い路線を走り抜け、15時27分に到着した阿波海南で下車した。
 JRに乗るまで少し時間があるため、ここでDMVの「モードチェンジ」を見学することにした(見学用のスペースも整備されている)。しばし待っているうちにやって来たDMVであるが、ゆっくりと専用スペースに入り、鉄道用の車輪が伸びてきてレールと接着し、車体が傾いたら完了である。

@「変身」後

 見学を終えてからは、16時08分発の列車に乗って徳島方面へと戻った。
 なお阿波海南駅には券売機すらないため、整理券で乗車しなければならない。途中駅から車掌も乗務するようになったので車内で買ったが、このようにして切符を買うのはかなり久々である。
 なお、パックのホテルは徳島駅近くであるが、駅近くにスーパーがないため、1つ手前の阿波富田で降りることにしている。

@補充券

 阿波富田で下車した後はスーパーで安食材を揃え、徳島駅近くのホテルまで移動してチェックインし、酔っぱらってから就寝。

■2022.2.12
 7時過ぎにチェックアウトをして、駅前のバスターミナルに向かった。今日の朝は、昨日のうちに買ってある「210円区間乗り放題」の一日券を使って、「ちょっと歩いて行くには遠いかな」という市内の観光要素を訪問することにしている。というのも、南海フェリーターミナルのバス停自体が210円区間内であるため、「どうせバスを使うならこれを買ってしまえ」という考えに至ったためである。

@こういう券

 寺院や神社などを巡ってから駅に戻り、フェリーターミナル行のバスに乗り換え、少し早いが9時半過ぎにターミナルに到着した。
 ここで購入するのは「好きっぷ」という鉄道連絡切符であり、南海電鉄のどの駅まで行っても2,200円である。フェリーの片道運賃自体が2,200円であるので「鉄道部分はタダ」となるが、これは船と鉄道のどちらも同じ「南海」が運営しているからできる技であろう。

@割り増し代金ナシ

 鉄道の運輸コスト(電気代や人件費)は、乗客が100人だろうが200人だろうが大差はない。であれば、その部分は無料にしてでも、徳島から関西に向かう高速バスの乗客を船へ奪うことができれば、南海グループとしては増益になるのである。
 早く着き過ぎたため、切符購入後は港付近を適当に散策して時間を潰し、10時45分過ぎに乗船した。

@南海フェリー

 定刻の11時00分に出港。橋を潜って、港湾を抜け出していく。その後は、大海原である。個人的には、やはりバスよりもフェリーの方が「旅をしているぞ」という気になれる気がする。

@淡路島に沿いながら

 定刻より6分ほど遅れた13時06分、和歌山港に着岸した。長い連絡橋を渡り、南海の和歌山港駅に向かった。
 ここからは1駅だけ各駅停車に乗って和歌山市駅に向かい、そこからは特急サザンに乗って新今宮へ。JRに乗り換えて大阪に移動し、大阪梅田から阪急で蛍池に行って、歩いて伊丹空港へ行くだけである。和歌山港線では「めでたいでんしゃ」にでも当たればいいなと思っていたが、残念ながら普通の車両であった。

@普通の南海

 上記の行程を経て、15時30分頃に伊丹空港に到着した。いつもならそのまま荷物検査に向かうが、今日はカウンターに直行である。というのも、実は当初の予定では関西空港を15時台に出発する便であったが、コロナで減便になってしまい、伊丹に変更になってしまったのである。「ツアー内容の変更」ということで、その手続きと、また空港間の移動に伴う交通費として2,000円が出るとの連絡をもらっている。
 いそいそと手続きをしたが、「空港使用料の差がある」ということで、その分の180円が追加された2,180円を現金でもらった。なお、私が今日利用した「好きっぷ」の場合、関空であろうが難波であろうが同じ値段であるため、実質は新今宮から蛍池までしか余分な交通費は使っていない。よって、現実的には「得してしまった」感じである。

@思い出に残る2,000円

 

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