バイカル湖岸ぶらり鉄道旅

■はじめに
 北京からイルクーツクまでの鐡旅を終え、今日はバイカル湖岸鉄道の日帰りツアーである。旅行社からの資料では、まずイルクーツクからスリュジャンカへ移動し、湖岸部分は「途中4〜5か所途中下車し徒歩観光します」となっている。詳細な停車地などを知りたいが、ネットであれこれ検索しても出てこない。仕方ないので英語で検索してみると、これかなと思うツアーに行き当たった。以下は抜粋である。
Stop in Sludyanka for 30 minutes and at10:30 travel by Circumbaikal railway along lake Baikal to Port Baikal (92 km). Special stops (4-5 stops from 20 minto 1 hour) enroute are done for tourists at the historical sites of the railway: Staraya Angasolka, Shabartuyskybridge, Polovinaya river, "Italian" Wall, through longest tunnels, viaducts and supporting walls.
 いずれにせよ、停車した場所が観光スポットということである。そこで写真を撮ればいいだけである。

@123km駅にて

■2019.9.7
 ツアーではあるが、駅に行ったり乗車したりするのは自力でしなければならない。
 6時40分過ぎにホテルを出て、30分ほど歩いてイルクーツク駅へ。電光掲示板にこれから乗る926列車があるが、まだホーム(番線)は掲示されていない。「ちょっと早すぎたかな」と思ったが、すぐに「1番線」と掲示された。

@掲示される前

 ホームが掲示されたので1番線に行こうとしたが、地下道から1番線に繋がる階段がない。もちろん、他のホームから線路上を歩いても移動できるが、変なことをして怒られたくもない。待合室のドア付近に駅員らしき人がいたので鍵を開けて1番ホームに出してもらったが、列車に近づいて見ると、他の人たちは駅舎の横にある門から直接1番線に入ってきていた。
 列車は、3両編成である。

@今日は後ろから撮影

 車両入口でチケットやパスポートをチェックされ、車内へ(多少の時間を要するため、チケットには「15分前までに来ること」とロシア語で記載されている)。
 私の座席は、バイカル湖が見える側の窓側であった。追加料金の掛かる席であるが、旅行社が配慮してくれたようである。
 定刻の7時42分に出発。車内では、ロシア人ガイドが早口で延々と話し続けている(解読不能)。私は中国人の団体に囲まれており、私の横にはロシア人の中国語ガイド(若い女性)が座っている。彼女が、ロシア人ガイドが話した1/10くらいを中国語で説明してくれるが、私が理解できるのはそれのさらに1/10くらいである。

@説明中

 朝から曇っていたが、9時過ぎ頃から雨が降り始めた。
 スリュジャンカが近づくと、左手にバイカル湖が見えてくる(今日は残念な天気であり、昨日の写真を上回れないため、撮影はせず)。ロシア語ガイドがやってきてまた早口で延々と話し続け、最後に英語で停車・出発時間だけを案内した(英語があることを知り安心)。
 遠くからSLの汽笛が聞こえてきて、10時04分にスリュジャンカに到着した。幸運なことに今日はSLが牽引する日である。下車して、急いでそちらに向かった。

@連結前

 大陸レベルの大型SLが、前後逆向きになって重連になっている。この規模のSL(しかも重連)は、個人的には初めての経験である。雨が大粒になってきてしまったが、傘を差しつつ、あれこれと撮影を続けた。

@連結後(他の乗客もSL撮影に夢中。この後、多くの中国人がSL前方の梯子に登って撮影を始めた)

 10時39分、スリュジャンカを出発。湖に沿って走り続けるが、窓の雨粒・曇天・SLの煙という三重苦により、撮影はままならなかった。
 11時09分、最初の停車駅(149km駅)に到着した。先頭に行ってSLの写真を撮ったり、湖岸まで下りて行ったりしてから後方に向かうと、橋脚跡やトンネル跡があった。あれこれ撮影をする。

@橋の例

 同駅を11時45分に出発。相変わらず湖岸沿いに走り続けるが、雨が止んで雲の切れ間も見えてきた。
 12時10分に小駅に停車。前方を見ると何やら積み込んでいたが、おそらく昼食であろう。鉄道車両などもあり、列車ホテルのような場所であった。
 同駅を出発すると、私のところに昼食が配られた(オプションであり、旅行社が手配してくれたもの)。袋を押さえるピンがSLになっていたりして、手が込んでいる。

@こんな内容

 シンプルな内容であるが、何よりまだ温かいのがありがたい。ポテトでお腹がいっぱいになったため、お菓子やパンなどはカバンの中へ。
 しばらくすると、また停車した。下車地かと思ったが、中国語ガイドが「あと20分ある」と言ってくれるのでありがたい(もちろん、彼女は私に対して言っているわけではない)。
 12時52分、次の停車地(123km駅)に到着した。ここにも、トンネル跡や展望台などがある。それにしても、朝の大雨を忘れさせるような晴天である。

@同じ日の写真?

 ロシア人ガイドは、拡声器を使用してひたすらしゃべり続けている。それにしても、中国人だらけである。私がいる車両(1号車)は私の周辺だけであるが、他の車両は半分以上が中国人であり、あちこちから聞こえてくるのは中国語ばかりである。
 13時28分に同駅を出発。バイカル湖をぼんやりと見ていると、14時過ぎにロシア人ガイドが英語で「この後は短い停車をする。そこで降りて歩くか、そのまま乗るかどちらか」ということをアナウンスした。もちろん、私は歩く方を選択する。
 14時23分に下車し、まずは列車が先に出発し、その後をゆっくりと歩いて行った。半分くらいの乗客は車内に残っているようであるが、これはぜひ歩くべきであろう。

@下車すべき(こんな場所を歩けるのであるから)

 線路上を歩いていると、後ろから大音量の音楽が聞こえてきた。振り返ると、大きな荷物を背負った2人組である。明らかにツアー客ではなく、要するにハイキングをしているようであった。
 20分ほど歩くと、先ほどまで乗っていた列車に追いついた(102km駅)。周囲は、洒落た雰囲気の集落である。地元のおばあさんが小物やパンなどを小さい机で売っているが、ちょっとした小遣い稼ぎになるのであろう。

@観光向け集落?(隣接地には地元民が住んでいる古い集落もある)

 ここでの停車時間が、意外に長い。駅の横にある小屋ではSLの運転手らが遅めのランチを取っており、休憩も兼ねているのであろう。
 この駅にあった掲示板を見ると、なんと旅客列車もあるようであった。しかし、上下1本ずつしかなく、しかも週に4本だけ。さらに片方が朝の4時台ということで、これで本当に需要があるのかどうか不明である。
 暇なので、湖畔まで下りたりして時間を潰した。

@廃れた感じ

 15時33分、同駅をやっと出発した。次の停車駅まではすぐであり、15時45分に到着。なんとここで1時間35分の停車である。下車すると、反対側に向かう観光列車と行き違った(あちらはディーゼル牽引)。
 それにしても、長時間の停車である。何があるのか不明であるが、とりあえずロシア人ガイドに付いていくことにした。彼は相変わらずの早口で、あれこれ説明してく。

@短い鉄橋跡をあれこれ説明するガイド

 その後は、倉庫跡のような建物を見て、そしてバイカル湖畔に出た。ここで、それはもう延々と話が続けられることとなった。もちろん意味不明であるが、所々に「バイカーラ」とあるので、バイカル湖のことをあれこれ話しているのであろう。真面目に聞いているロシア人乗客も、10人程度である。

@しかし天気は良い

 それにしても、透明度のある水である。それ故に魚などは少なそうであるが、目の前を通りかかった釣り人を見ると、腰に付けられた袋には、オームリであろうか1匹の魚が入っていた。
 ガイドの長話も終わったため、線路へと上がる。この付近でかなりゆっくりしたが、まだ1時間以上も停車時間が残されている。
 ちょうどそこへ保線の人が通り掛かったので、これはちょうどいい暇つぶしになった。

@激写

 その暇つぶしもすぐにおわり、仕方ないので車両に戻ろうとすると、雲行きが急に変わって雨が降り始めた。車内に避難すると同時に、まさかの豪雨である。
 しかし通り雨であったようで、すぐにまた青空に戻っていった。周囲の中国人が「雨で湖面の色が変わった」みたいなことを言っていたので、私もまた外に出て湖の写真を撮ったりした。しかし、私がそれより気になっていたのは、車内避難中にやってきた保線用の列車である。

@これを撮影しているのは私だけ

 17時24分、やっと同駅を出発した(私論からすると、ここでの停車時間は30分で十分であろう。その分、イルクーツクに帰る時間を早めた方が、ガイドもバスドライバーも助かるに違いない)。
 先ほどの雨のせいであろうか、バイカル湖上に現れた虹を見ながら列車に揺られ、定刻から3分遅れの18時34分にポートバイカルに到着した。

@別のホームにあった他の観光列車?

 ガイドに先導され、対岸に渡る船へ(なお、別ルートの大きな船もあるようであり、もしこのツアーに参加するのであれば「自分がどのガイドに付いていくか」に要注意である)。
 打ち捨てられたような船が多い寂しい港を歩いていくと、リストヴァンカへ渡る船が待っていた。意外に小さな船である。

@こんな船

 対岸へ渡り、待機していたバスでイルクーツクへ(約1時間20分)。20時半過ぎにイルクーツク駅に戻り、歩いてホテルへ戻った。

■2019.9.8
 旅行最終日は昼過ぎの便で成田に飛ぶため、それまでは徒歩で市内散策である。ということで、鐡ネタを1つだけ紹介。

@乗りませんでしたが

 

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