フィリピンで寝台特急「北陸」に乗る

■はじめに
 フィリピンの鉄道の歴史は長く、その嚆矢は1892年、マニラからダグパンまで(195キロ)の開通である。これは日本の鉄道(新橋から横浜までの正式営業)から遅れることたった20年後の出来事であり、ここからもその歴史の長さが感じ取れるであろう。
 しかしその後の歴史は、あまり芳しくない。第二次世界大戦までは各路線が開通したものの、その後は大事故や大災害(火山噴火や台風)により、一時期はその路線のほとんどが運休に追い込まれてしまっていた。
 しかし2011年6月、久々に南方線のナガ(Naga)までが再開し、歴史ある長距離列車「ビコール・エクスプレス」が復活したのである。しかも、使用している車両はJRの寝台特急「北陸」として活躍していた車両である。これは、乗りに行かねばなるまい。
 しかし、旅程の作成は難儀を極めた。インターネットで切符の予約決済ができる台湾や韓国と違い、時刻表すら確認がままならないのである(2012年3月頃に、それまで死んでいたフィリピン国鉄(PNR)のホームページが復活したので、そこから最低限の情報は得ることができたが)。そもそも、鉄道に関する情報が、旅行ガイドブックなどにほぼ皆無なのである。言い換えれば、普通の旅行者が乗るべきものではない、ということなのであろう。
 無い袖は振れないため、インターネットを駆使して個人ページから情報を漁っていった。とある日にふと行き当った井上氏のホームページ「Asian Railway Plaza」が、情報量・質ともに最良で、ここから様々な情報を得ることとなった(さらには、フィリピン到着後にも色々と問題に行き当ったため、こちらの掲示板で様々な指示を頂いたりした)。
 マニラからナガへ行くだけでは一晩で終わってしまうため、フィリピン到着の翌日と翌々日は、パナイ島のイロイロへ行くこととした。パナイ島のロハスからイロイロまでは約30年前まで鉄道が走っており、かの著名な鉄道紀行作家である宮脇俊三氏も、この路線の一部に乗車している(『椰子が笑う 汽車は行く』所収)。この鉄道の廃線跡も、少しだけ辿ってくる予定である。

*主な旅程
5月2日:成田→マニラ(JAL)。トゥトゥバン(Tutuban)駅へ行き、長距離列車の切符を確保。マニラ泊。
5月3日:マニラ→イロイロ(セブパシフィック航空(CEB))。パナイ鉄道廃線跡探索。イロイロ泊。
5月4日:午前はイロイロ市内探索。午後、イロイロ→マニラ(CEB)。トゥトゥバンへ行き、ビコール・エクスプレスに乗車。車内泊。
⇒【現地で旅程変更】イロイロ→マニラ(CEB)、マニラ→ナガ(CEB)。ナガ泊。
5月5日:ナガ市内探索。午後、ビコール・コミューターでシポコット(Sipocot)往復。夕刻、ビコール・エクスプレスに乗車。車内泊。
5月6日:早朝、トゥトゥバン到着。コレヒドール島1日ツアーに参加。
5月7日:コミュータートレインでアラバン(Alabang)まで往復し、午後の便で成田へ。


@ナガ駅にて

 旅程前半(5月2日〜4日)

 旅程後半(5月5日〜7日)

 

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