【大人鐡G】京都丹後鉄道「丹後くろまつ号」編

■はじめに
 今回の「大人鐡」の目標は、表題にある「丹後くろまつ号」である。しかし、本来の予定では、予約の際に注意が必要な列車であった。
 というのも、相席になる可能性が捨てきれないのである。私は一人旅が主であるため、この大人鐡の第1回の「はじめに」も記載したが、カウンター席のような一人用席があったり、「相席にならない」ことを保証している列車が乗車対象なのである。ということで、本来であれば対象外となってしまう列車であった。
 ただし、この「丹後くろまつ」号にはランチ以外にも朝食やスイーツ、夕方の酒メインのコースと多種多様であり、日によっては残席が結構ある。そのような事情から、「締切直前まで待って残席が多いものを選んで乗る」こととしていた。それならば、相席にはならない(ただし、直前になるまで旅程を決められないという弊害もあるが)。
 しかし、である。このコロナ禍で、定員を30席から20席に減らすとの案内があった。これならば、そもそも論として相席は避けられるはずである。ということで、運行再開のニュースを聞いた後にランチ(お伽御膳コース:11,000円)と1日乗車券をネットで予約しておいた。

 さて、乗車日は4連休のさなか(土曜日)である。祝日である木金をどうしようか悩み、とりあえず青春18きっぷを使用して、木曜日は飯田線に乗り塩尻に泊まり、金曜日は中央本線と関西本線などを経由して福知山に行くことにした。
 帰りは日曜日であるが、青春18きっぷで関西から東京まで戻るのはもう食傷気味であるため、高速バス(京都駅→東京駅)を利用することにした。

@丹後由良駅にて

■2020.7.23
 2日間かけた移動は先に紹介した通りである。ところが、である。西日本を中心にした大豪雨があり、飯田線沿線では大規模な土砂崩れが発生してしまった(3か月以上の長期運休が決定)。木曜日をどうするか悩んだが、塩尻以降の旅程を変えるのも面倒であるため、宿泊などはそのままにすることにした。しかし、ただ単に中央本線で塩尻に向かうのであれば、昼過ぎに出発すれば充分である。ということで、意味もなく久留里線に乗ることにした。
 5時台に家を出て、乗り継ぎを繰り返し、木更津からは久留里線である。久々の乗車であるが、真新しい車両が逆に物悲しい感じである(ロングシートであるため)。

@上総亀山で折り返し

 その後の移動の詳細は、記載するまでもないので簡略化したい。
(中央本線経由で移動し、それでも早く着いてしまうため、下諏訪で途中下車して小さなスーパーで手作り惣菜を買い、17時過ぎに塩尻駅前にあるホテルにチェックインした。それにしても、高尾発松本行の長距離各駅停車が「ロングシート」とは、世も末である。奥羽本線や東北本線の各駅停車にロングシートが増えた頃から嫌な感じがしていたが、そろそろ青春18きっぷによる長距離旅行からは卒業であろうか…)

@下諏訪で鐡ネタ発見

■2020.7.24
 さて、今日も大人鐡とは何ら関係ない移動からである。出発は、外見もお洒落になった塩尻駅から。それにしても、これまで何度となく乗り換えをしてきた駅であるが、泊まったのは初めてであったので新鮮であった。
 6時51分発の中津川行に乗る予定であったが、もともと早起きであるし、どうせ暇であるため5時59分の松本行に乗って、始発駅から中津川行に乗ることにした。
 その列車(ロングシート)に乗り、松本へ。この列車は、折り返し高尾行となるとのこと。嫌な予感がしつつ、中津川行が停車している0番線へ行くと、やはりロングシートの車両であった。

@南無

 中央本線(中央西線)と言えば、一昔前(と言っても25年くらい前であるが)ならば、前後2か所しか出入口がない車両(国鉄時代なら急行扱い)であり、地元の人は列車が停まってから「よいしょっ」と言ってゆっくり下車していったものである。それがいつの間にか3つドアになり、停車時間もほとんどなくなっていった。それは時間短縮のために仕方ないと思っていたが、いくらなんでもロングシートは論外である。これでは、駅弁は広げられないし、酒など論外である。
 6時32分に松本を出発。せっかくの信濃路であるため、体を捩らせながら景色を眺め続けた。

@次回からはあれ(特急)か、と思いつつ

 中津川ではすぐに名古屋行に乗り継がず、しばし街中散策をしてから快速列車で名古屋に向かった。
 さて、前回はサブテーマである「大人グルメ」は扱わず、今回もない予定である。ということで、往路と復路でそれぞれ「豪華な弁当」を買うことにしている。往路は、飛騨牛まぶし(うなぎのひつまぶしを飛騨牛で模したもの)である。2,160円なり。

@亀山行の快速列車内で頂きました

 その後は、亀山、加茂、大阪で乗り換え、17時31分に福知山に到着した。やっと旅の本題の入口に到着である。
 くろまつ号と一日乗車券はネットで押さえているが、発券手続きは駅で行う必要がある(これまでの観光列車は事前郵送が多かった)。明日は朝早いため、今日中に手続きをすることにしている。
 JR改札内にある京都丹後鉄道(どうしても「北近畿タンゴ鉄道」と言いたくなる)の窓口に行き、予約済みの紙を渡して、無事に発券してもらった。

@やっと本題に

 さて、大人鐡ではテーマである「観光列車」と「大人グルメ」以外はいつも以上にケチるということで、今日は久々にカプセルホテル泊りである。

■2020.7.25
 小雨の中を歩いて福知山駅へ行き、フリー切符を使用して駅構内に入った。くろまつ号は昼過ぎに天橋立を出発するため、それまでは当該切符を使って「乗り潰し」をすることにしている。京都丹後鉄道(以前乗車時は北近畿タンゴ鉄道)に乗るのは久々であるが、その理由は前回の会津鉄道と同じである(青春18きっぷでは乗れないため、ついつい疎遠になってしまう)。
 ホームで待っていたのは、最新型の車両であった。座席横には、USB充電器まである。

@新しい

 6時33分に福知山を出発し、開通が比較的新しい路線であるためトンネルを数多く抜けながら、7時30分に宮津に到着した。そこからは「これぞ北近畿タンゴ鉄道」的なボロ車両に乗り換えて、豊岡へ(9時19分着)。
 豊岡散策は以前にやったことがあるため、9時51分の列車で折り返した。しかし、そのまま天橋立に行ってしまったのでは1時間半以上も暇ができてしまう。そこで、往路で与謝野駅に鉄道資料が展示してあるのに気付いたため、そこで途中下車することにした。
 与謝野には、10時56分に到着。

@まずは資料を見る

 「与謝野駅」ということでピンと来ていなかったが、要するに「丹後山田駅」もしくは「野田川駅」なのである。それよりも、「加悦鉄道」と言った方が有名であろう(この駅から加悦まで私鉄が通じていた)。大昔、加悦にあるSL広場や鉄道資料館に行ったことを思い出した。
 与謝野駅にある展示は国鉄関係ばかりであり、加悦鉄道関係は加悦に行かないとならないようである。そっちに行く手もあったか、と思った。
 展示室は小さいもので、5分もあれば終了である。1時間弱も暇があるが、駅付近にはこれといったものはない。
 ふと気づくと、くろまつ号の兄弟姉妹である「あおまつ号」が入線してきた(回送運転の模様)。

@とりあえず撮影

 12時02分の列車で天橋立へ移動。駅付近にある文殊堂などを徒歩観光してから駅に戻った。さて、前置きが長くなってしまったが、やっとメインテーマである。
 ホームで待ち構えていると、12時40分前くらいに「くろまつ号」が入線してきた。

@やっと本題に

 入口で切符を見せ、昨今の事情で定番となった検温を済ませて車内に入った。今日は12名の乗客であり、私は4人席を独り占めできることとなっている。

@今日のランチ席

 駅係員などに手を振られて見送られて、定刻の12時48分に出発した。
 テーブルには、すでに前菜がセットされている。出発してからそこに追加されるのが、最初のドリンクである。もちろん、地元のワインを選択した(以前は飲み放題であったようだが、今は1杯だけである。なお、夕方の便では飲み放題が継続されている模様)。

@いただきます

 女性係員によるアナウンスを聞きながら、料理をちまちまと頂いた。
 続いて配膳されたのが、地魚を中心としたお造りである。こんなものが来てしまっては、酒を追加せざるを得ない(いつものパターン)。ということで、くろまつ号オリジナルの日本酒スパークなるものを注文した。

@キュウリにピントが合ってしまった(大葉の裏にも刺身あり)

 追加注文した酒を呑んでいると、続いて配膳されたのは焼き物(サワラ)である。

@次々出てくる

 ということで、列車の中で揺られつつ頂いた…と書きたいところであるが、列車は停車中である。そもそもこの観光列車はかなり「鈍足」で、通常の列車ならば40分程度で走行してしまう区間を、2時間もかけて走るのである(コース料理を提供するためには時間が必要なため)。観光列車は比較的時間をかけて移動するものが多いが、ここの列車はそれが顕著である。
 以上の理由により、景勝地(奈具海岸)で15分間の停車中なのであった。

@曇り模様ですが

 そんな状況で、続いて配膳されたのが「煮穴子の道明寺蒸し」である。穴子の柔らかいことときたら。

@またまだ続きます

 ふと気付けば、アルコール切れである。追加注文であるが、先ほどの「日本酒スパーク」はグラスで提供されたため、写真を撮っても水だかなんだか区別が付かなかった。ということで、今回は「写真映え」も込みで、地ビール「マイスター」を頼んでみた。何故にこの名称かというと、お「米」を使っているから「マイ」スターとの由。

@これなら写真でもわかりやすい

 その後に配膳されたのが(まだまだ出てくる)、ローストビーフと有機野菜である。お湯を注ぐと加熱される形式で(駅弁などでたまにあるタイプ)、温かい状態でいただけるようになっていた。

@加熱終了後

 13時26分頃、海を見渡せる停車地を出発。しばらくして丹後由良に到着した。ここでしばし停車である。しばしと言っても、ほぼ1時間弱もある(出発は14時28分)。
 なお、その時間を利用して散策も可能であり、地図も用意されている。しかし、この時点で締めのごはん(ばら寿司)が配膳されていたので、まずはそれを平らげてからである。

@まだまだ終わらない

 満腹の状態で長閑な田舎集落を20分ほど散策してから駅に戻った。停車時間が長いが、出発を豊岡などにしたのではアクセスが悪くなるため、大観光地である天橋立を出発地とせざるを得ないのであろう。

@散策中に発見した味のある足湯

 車内に戻って最後に配膳されたのが、デザートとコーヒーである。「玉手箱」と名付けられており、ドライアイスによる演出がなされていた(蓋を開けるとモクモク状態)。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくというのは、好印象である(後者に関しては、九分九厘「演出」であるが)。

@演出終了後

 ティラミスなどをスプーンで突いていると、反対方向から「あかまつ号」がやってきた。これで、黒・青・赤と、ある意味コンプリートである。

@行き違い

 14時28分、丹後由良を出発した。天橋立を出発してからもう1時間半以上経過しているが、実はまだ3駅目なのであった。
 観光名所である由良川橋梁を渡り、お土産(丹後ちりめん)と記念乗車証が配られて、豪華な旅は終了である。料理も手が込んでおり、何度も分けて配膳されるので、値段の割に印象は良かったと思う。

@ありがとうございました

 14時50分、西舞鶴に到着した。
 さて、今日の宿泊先は京都駅近くのホテルである。コロナによる観光への影響は大きく、訪日客は0.1%にまで減っているといい、中でも京都はその影響が大きい町である。今日の宿泊先は、それなりに名の知れたチェーン系列でしかもほぼ新築であり、いつもなら8,000円以上は間違いなくしそうなところであるが、まさかの税込2,000円である。
 ということで京都への移動であるが、少し時間がある。西舞鶴到着前に打ち捨てられている「タンゴエクスプローラー」を見かけたので、そこまで行ってみることにした。

@無残

 それにしても、つい先日(註:個人的感覚です)にデビューした観光列車が、いつの間にか引退して廃車されていくのを見ると、時代の流れを感じる気がするが、それだけ自分も年を取ったのであろう。
 駅に戻り、15時30分発の綾部行の列車に乗り込んだ。京都丹後鉄道のホームにはくろまつ号が入線していて、午後のスイーツコースの乗客が手続きを始めていた。あれも面白そうであるが、もし次回があるのであれば、夕方のコース(ワイン飲み放題)であろうか。
 定刻に出発し、綾部と園部で乗り換えて、17時53分に京都到着。駅から20分ほど歩いてホテルに投宿した。

■2020.7.26
 さて、この日は高速バスで帰るだけである。京都市内を散策してから駅に向かい、8時30分発の高速バスに乗り込んだ。
 今日のメインは、往路でも買った「豪華な弁当」である。ということで、復路は浜名湖SAで購入したうなぎ弁当(税込2,000円)である。

@軽い食感で美味でした

 

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