【大人鐡E】あいの風とやま鉄道「一万三千尺物語」編

■はじめに
 約3か月、海外旅行はもとより、国内遠方への旅行をこれだけ長期間にわたって行かなかったのは、社会人になってからは初めてかもしれない。コロナウイルス自体は存在し続けているが、県境をまたぐ移動の自粛が解除されたことにより、ある程度の移動は可能となった。
 もとより私の旅は1人で鉄道に乗るばかりであり、現地の人との交流などが目的ではないが、それでも最大限の対策をして、出掛けることとした。
 今回乗車するのは、あいの風とやま鉄道が運行している「一万三千尺物語」号である。4月の半ばに乗車する予定で予約していたが、今般の事情により運休になっていたものである(なお、4月時点では「のと鉄道」の「のと里山里海」号にも乗る予定であったが、こちらは運転再開に至っていないため、今度の機会に後回しである)。

@泊駅にて

■2020.6.27
 早朝に東京駅に向かい、新幹線乗り場へ。いつもならばどうでもない光景であるが、新幹線に乗って長距離移動すること自体が久々である。まだ6時台であるし、それに自粛要請が解けたからといって全員が旅行を始めるわけでもないため、車内はガラガラであった。

@普段なら撮らない写真

 6時28分に東京を出発。富山までの所要時間は、2時間45分程度である。
 さて、観光列車の受付締め切り時間(10時45分)まで1時間半もあるため(もっと後の新幹線でも間に合うのだが、念のため早めに来た)、時間つぶしとして市内散策をして、広貫堂の資料館を見たりした(無料のうえ、栄養ドリンクまでもらえた)。

@この手の施設も開き始めている

 曇り予報(雨の確率高し)であったが、想定外の晴れ間となった。これは幸先が良い。
 駅に戻り、観光列車用の受付で手続きを済ませ(当然、検温も)、ホームへと上がった。10時40分頃、「一万三千尺物語」号が入線してきた。旧JR(というか国鉄)の雰囲気をそのまま残しているので、しなの鉄道の「ろくもん」を思い出させる風貌である。

@お色直しはされている

 なお、この改造車両の見所はいくつもあるが、その一つが大窓である。1号車のカウンター席の中央席(13番)を予約すれば、それを独り占めすることもできる。

@外から撮影

 予約票を見せて車内に入った。1号車は2人席とカウンターが中心、2号車は厨房、3号車は4人席と2人席が中心である。4月の段階では、上述した「カウンターの13番席」を予約していたが(カウンターならば、1人でも気楽に座れるため)、コロナ対策で席数がかなり削減されている(間引きされている)ということなので、今回は2人席を押さえてある。

@今日の昼食会場

 荷物を席に置いてからは、車内の散策である。2号車の厨房では、職人が寿司を握っているところであった(別場所で握ったものを持ち込むのではないところに、好感大である)。
 3号車でスタンプを押し、自席のある1号車に戻ってきた。コロナ対策で間引かれている席には、ぬいぐるみなどが置かれている場所もある。

@名誉駅長の雷鳥も

 席上にはお品書きやパンフレットや箸などがセッティングされているが、今回追加されたものと思えるのは、「マスク入れ」(封筒を改造したもの)であろう。
 さて、まだ出発していないが、食前酒である(日本酒を使用した柚子のスパークリング。なお、アルコール以外も選択できるようになっており、ウェブでの申し込み時点で選ぶことができる)。

@いただきます

 社員に見送られて、定刻の11時00分に富山を出発した。配膳する係員以外にも、マイクで観光アナウンスをする係員がいて、車両基地のことや景色のことなどを説明し続けた。
 さて、料理として最初にやって来たのは茶わん蒸しである。

@日本食ですから

 小さな木製スプーンで、茶わん蒸しを頂いた。
 車内アナウンスを聞きながら、右や左の景色を見続ける。ものすごい絶景が待ち構えているわけではないが、あれこれ苦労して企業の逸話などを集めて台本を作成しているようであり、苦心の跡が感じ取れた(絶景の路線なら、「どうぞご覧ください」で済むのであろうが)。

@景勝地では徐行や一時停止も

 そのうちに、メインの食事がやってきた。富山湾の握り寿司と小料理数品である。握りはもちろん、刺身や白エビの揚げたものなど、これぞ富山という感じで、和食好きの私としては、過去の観光列車メニューと比較してもインパクト大の内容であった。

@和食好きにはお勧め

 さて、このような料理を前にして、何も呑まないわけにもいかない。ということで、茶わん蒸しの下膳時に1本注文しておいてある。前述したスパークリングにも使用されている日本酒である「幻の瀧」の、しかも大吟醸である。

@一万三千尺オリジナルデザインの瓶で

 日本酒をちびちびやりつつ、各種料理を頂き続けた。新幹線乗車時も「久々の旅行だな」と思ったが、こういうことをしていると、さらに「旅行している」感が強まってきた。
 黒部川鉄橋での一時停車などを経て、11時51分に折り返し地点となる泊(とまり)に到着した。駅員1人と、中学生らしき体操着の坊主の子3人が団扇を振ってお出迎えという、超絶地味であるが、逆にそれが「おもてなし」っぽい感じである。

@何もない駅

 駅構内にはヒスイの展示があり、小さな売店もあるが、駅付近は本当に何もない地味な場所である。第三セクター鉄道は縦割りで隣県との境目で営業形態が変わるため、仕方のないことではあるが。
 折り返しとなり、12時06分に泊を出発。最後に配膳されたのは、デザートとコーヒーである。

@地味だが美味

 和菓子にコーヒー? と思われるかもしれないが、もちろん日本茶も選択できる。しかし、往路で地元企業のYKKとコーヒーの話を車内アナウンスで聞いていたため、あえてコーヒーにした次第である。
 しばらくすると魚津で停車し、ここでも下車が可能である。駅前にある観光案内所に行き、蜃気楼の資料などに目を通した。

@プチ観光

 魚津を出発し、記念のクリアファイルを頂いたりして、13時07分に富山に戻ってきた。これで、久々の「観光列車の旅」は終了である。

 さて、残りの旅程をどうするかであるが、私もいつの間にか年を取り、「大人の休日倶楽部限定 北陸フリーきっぷ」が買える年になってしまったため、今回はそれを最大活用することにしている。ということで、まずは高山本線の猪谷への小旅行である。ここから先は「大人鐡」とは何ら関係ないが、「参考」程度に記しておきたい。

@まずはこれに乗る(猪谷到着時に撮影)

 14時05分の猪谷行に乗り込み、1時間ほどディーゼルカーに揺られて移動した。猪谷といえば、神岡鉄道(国鉄神岡線を引き継いだ第三セクター)との接続駅であったところである。私も廃止の前年くらいに乗りに来たことがあるが、それ以来である。
 駅付近には特にこれといったものはないので、適当に散策してから駅に戻り、特急「ひだ」で富山に戻った。

@この切符は、フリー区間なら特急や新幹線も乗車可能

 富山到着時点で、まだ16時39分である。今日の安ホテルは金沢駅前であり、上述した通り新幹線も使える切符であるが、まだまだ時間もあるためあえて各駅停車で行くことにした。
 ということでホームに行ってみると、なんと宛がわれている車両が「とやま絵巻」ではないか。この車両については、午前中の観光列車内でのアナウンスでも触れられていたものであるが、まさに偶然である。

@当たるとは

 塗装は奇麗であるが、窓にも絵が描かれてあるため、車内から外の景色は超絶見難いのが難点であった。
 金沢に着き、安ホテルへ。通常でも4,500円程度であるが、コロナによるダンピング競争が強烈であり、今日は土曜なのにたったの2,800円である。

■2020.6.28
 さて、今日の予定は「福井鉄道」と「えちぜん鉄道」の完乗である。これまた大人鐡とは全く関係ない内容であるが、「参考の参考」で触れておきたい(なお、両者ともかなり前に乗車済みであり、今回は観光も交えた「再訪」である)。
 JRのフリー切符で金沢から福井経由で武生へ移動し、越前武生駅まで歩いて、「共通フリー切符」を購入した。

@まずはこれから

 小まめに駅に停まりつつ、北上して福井へと戻っていく。JRの特急ならば12分程度で走ってしまう距離であるが、1時間かけて9時25分頃に福井に到着した。
 続いて乗るのは、えちぜん鉄道である。2路線あり、終着は三国港と勝山である。どちらを先にすべきか悩んだが、予想以上に晴れてきたため、先に三国港へ行って東尋坊まで歩くことにした(午後の日差しの中を歩きたくないため)。

@えちぜん鉄道

 10時28分に三国港に到着し、路線バスなどは無視して、そこから45分ほど歩いて東尋坊へ向かった。途中からは散策路も整備されており、景色も奇麗であるため徒歩もお勧めである。

@久々に来ました

 ということで、復路も当然徒歩である。6月とは思えないくらいの暑さであり、マスクもあってさらに大変であるが、「拾う神」もある。というのも、往路に偶然見つけた蜂蜜専門店でソフトクリームが売っていたので、帰り際にそこに寄ることにしたのである。こういう予想外の発見も、また旅の醍醐味である。

@美味、そして涼しい

 12時09分発の列車に乗り、福井口で勝山行に乗り換えて勝山へ。訪問済みではあるが、旧い街並みを歩いたりしてから駅に戻り、えちぜん鉄道で福井市内へ移動して安ホテルに投宿した。

■2020.6.29
 さて、件の「北陸フリーきっぷ」は4日間有効である。ということで、日曜の夕方に戻ることもできたのだが、あえて1日の有休を取って、今日も「有効活用」である。
 この切符の使用範囲の西端である小浜線の小浜に行くべきか、それとも越美北線(九頭竜線)にするか、朝の段階まで悩んだが、後者にすることにした。当然、大人鐡とは一切関係がないため、「参考の参考の参考」で、かなり省略して紹介したい。
 ということで、約2年ぶりの越美北線である。

@たまにはこんな撮影で

 6時03分に福井を出発し、7時08分に越前大野に到着した。
 行先を小浜と悩んだ理由の1つとして、「乗り継ぎの悪さ」があった。というのも、どう苦心しても、越前大野の滞在時間が3時間強となり、九頭竜湖が7分になってしまうのである。越前大野は、街歩きでも1時間、城まで行っても2時間もあれば充分であり、逆に九頭竜湖での7分は論外に短い。しかし、これしか方法はないのである。

@暇なので、またしても城へ

 10時16分の列車に乗り、九頭竜湖へ向かった。
 現在の長良川鉄道が越美南線であった時代には、両線の間はバスで繋がっており、それを使って乗り通したこともあるが、今は不可能である。ということで「折り返し」が鉄則であるが、時刻設定の関係で、折り返しとなるとどうしても「すぐに戻る」か「長時間滞在」しか選択肢がない駅なのである。
 ということで、今回も7分である(しかも、途中で料金不足の下車客がいたため、その対応で1分遅れて到着した)。駅前には巨大な恐竜がいて、ちょうど「動いている」時間であったが、残念ながら見ている暇はない。

@急いで撮影だけ

 大急ぎで駅の隣りにある「道の駅」へ行き、目指していた舞茸弁当を入手(複数あるが、選んでいる暇はない。「まいたけ弁当」のシールが目立つものを選んで買った)。ビールも買いたいが、この時点で残り2分半。すぐ目の前にあるコンビニまで行くのは危険な賭けであるため、今日は弁当だけで満足することにした。

@上の天ぷらは夜用に購入

 さて、後はおとなしく、東京へ向かってひたすら戻るだけである(17時頃に東京駅に到着)。

 コロナの第2波などがいつ来るか不明であるが、観光列車が走っているうちにあれこれ乗っておきたい。ということで、2週間おきくらいに各種の列車を予約している。次回の乗車予定は7月11日、対象となるのは「えちごトキめき鉄道」の「えちごトキめきリゾート雪月花」である。それまで皆さんも、どうかご無事で。

@富山駅にいたアマビエ達も祈っています

 

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