【大人鐡56】JR東日本「復興 浜通り酒巡り号」編(おまけで信越本線のSL)

■はじめに
 JR東日本が企画する観光列車は、大手の通販サイト「びゅう」の「鉄道の旅」で売り出される。しかし、それ以外にも細々した企画が立つことがあり、それらについては、JREモール内にあるJR東日本の各支社が個別に販売する形になっている。この「大人鐡」シリーズの46回目に乗車した「角打ち列車」は千葉支社の企画であり、今回乗る列車は水戸支社の企画である(列車自体が走行するのは福島県内であるが、企画は茨城県の水戸支社)。
 通常の「食事付き観光列車」は車内での飲食が基本であるが、今回の酒巡り号では、途中下車をしてブドウ畑の見学なども含まれているという。ビール、ワイン、日本酒などの造り酒屋が参加して解説などもしてくれ、駅弁が付いて8,800円也。いつの間にか取得していたJREモールのクーポン500円を適用させて決裁したが、その数日後には定員(60人)分が売り切れていた(車内放送によると、販売後4日で売り切れたとのこと)。
 三連休であるので、この列車の乗車だけで帰ってくるのはもったいない。ということで、翌日にはSL「D51復活35周年横川」に乗ってくることにした。

@浪江駅にて

■2023.11.3
 最寄駅を7時過ぎに出発し、新松戸や柏や水戸で乗り換えて、いわき到着は10時48分であった。受付は10時50分から11時10分ということで、ちょうど良い時間帯であったが、受付前は大行列である。別にいつ受付をしても同じなので、その場を離れて駅前に散策に出てみると、何やらお祭りのようなものがやっていて大賑わいであった。高校生と企業がコラボした店で目光の唐揚げや南蛮漬けがあったので(それぞれ500円)、夜用に確保。

@地物です

 買い物を終えてから11時05分頃に駅に戻ると、行列は解消されていた(すぐに受付を済ませた)。名札とパンフレットを渡されて、受付済みの人の後ろに並んだが、その直後にホームに入ることができた(もし10時50分に行列に並んだとしても、結局ここで待っていることになっていたようなので、買い物に行って正解であった)。
 行先案内は「団体」であるが、酒のイラストになったり、特別仕様の表示になったりと、なかなか凝っている。

@一例

 ホーム上には、すでに列車が入線していた。5両編成で、1号車と5号車は係員用。中間の3両が参加者用である。行先表示は、やはり「団体」である。
 ドアが開いたので、自席へ。ロングシートではあるが安定した机が備え付けられており、机上には弁当やお菓子(煎餅)、水などが置いてある。

@自席(資料は座席上にあったもの)

 出発の10分前にドアが閉まり(各車両とも、出入りできるドアは1か所のみ)、定刻の10時30分、ゆるキャラ「ムコナくん」や駅員に見送られていわきを出発した。

@お見送り

 まずはホップジャパンの地ビール「White」が瓶で提供されて、車内アナウンスによって乾杯が行われた。その後は、醸造所の人による解説(ホップの話など)が行われた。

@最初はビールで

 ということで、弁当も頂くことにする。いわき駅は駅弁閑散区であったが、有志によって復活したのがこの「浜街道 潮目の駅弁」である。地物の目光以外にも、特産品である「たくあんしそ巻き」などが入っている品である。

@特製弁当

 今回の列車は特別ダイヤであるため、海が見える区間ではスロー走行となった。
 しばらくして、ホップ(乾燥前と乾燥後)が回覧して来た。しばし香りを楽しむ(この後に数個もらうこともできた)。

@ビールになる前

 富岡で下車し、ここからはワイン畑まで歩いて行くことになる。震災前にも富岡には仕事で来たことがあるが、「富岡でワインって聞いたことないな」と思っていたところ、やはり震災後に新たな試みとして始められたという。来年にはワイナリーもできる予定ということなので、完成したら呑みに来たいと思う。

@今年分は収穫された後

 代表の方のお話を参加者全員で聞いてから、歩いて駅へと戻る。ちょうどその時、原ノ町方面に行く常磐線各駅停車が通過していったので、全員で「お見送り」である。

@手を振る

 列車に戻ると、ワインの試飲である。赤と白、いずれも未販売のものであり、少量ではあるが呑めるのは貴重である。ここのブドウ園では白に力を入れているということで(海が近い=海産物と合うため)、7割ほどは白ワイン用のブドウになる予定とのこと。

@美味しく頂く

 なおここで、富岡町の記念品が配布された。各種パンフレット以外に、フェイスパック、メモ、お米などである。

@お米は嬉しい

 同駅出発後にしばらく走行して、続いて提供されたのは鈴木酒造店の日本酒2種である(浪江に由来する「浪」と「江」)。昔の製法と今の製法で醸造されたものであり、やはり後者の方が呑みやすい感じがした(写真では違いが分からないが、実は区別がつくように片方にはシールが貼ってある)。

@どちらも美味しいですが

 ここでも、醸造所の方の説明があり、その後は各車両での質問タイムとなった。浪江駅では、撮影タイム用の下車時間も提供された(表紙写真)。
 なおここの日本酒については、車内用だけではなくて、お土産も用意されている。酒米ではなくてコシヒカリで醸造された酒であり、今回用の特別ラベルである。

@これは持ち帰って冷やして呑む

 浪江を出発して、最後の目的地(下車駅)は小高である。
 同駅で下車し、各号車の参加者ごとに駅舎内へ。そこで酒蔵の若い方に説明を頂いた。今はまだ改装中であるが、今後はここを小さな醸造所と飲食スペースにする予定であるという。駅舎の奥は宿直もできる休憩所や風呂場になっており、そこが醸造所になるという。

@今はまだ手付かず

 来年には完成するようなので、ぜひ訪問したいところである。
 しかし、醸造所の方の説明にもあったが、この駅は各駅停車しか停まらないのである。駅にあった時刻表を見てみると、昼間は約3時間に1本しかない。これは、かなり旅程を凝らないといけないだろう。
 車内に戻ると、日本酒2種類(「はなうたポップス」と「jam」)の提供である。

@シールを前にしてみた

 いずれも、本来の日本酒の原料だけではなくて、ホップやその他のハーブなども入っている「変わり種」である。これはこれで、ワインのような後味もあり、美味しく頂いた。

@こういう瓶とのこと

 小高出発後は、原ノ町を経由して、15時40分に相馬に到着して終了である。
 さてこの後は、15時44分の列車に乗ってとんぼ返りである。そのまま乗り継いでも夜遅くに家に帰ることができるが、宿泊した方が「旅行している」感が出るので、今日はいわき駅直結の安ホテルに宿泊である(安料金4,300円から「じゃらん」の1,500円クーポンを適用させ、今月中に使う必要のあるポイントを800使っているので、たったの2,000円であるから、散財にもならない)。
 17時45分にいわきに到着し、ホテルにチェックインし、目光などで一献してから就寝。

■2023.11.4
 ホテルをチェックアウトして、6時33分発の列車で水戸へ。朝食は、福島名物(と言っても郡山だが)のクリームボックスである。

@甘い

 水戸到着は、濃霧の影響で定刻から2分遅れの8時07分であった。
 さて、ここで小山行に乗り換えとなるが、電光掲示のどこにも見当たらない。スマホで検索してみると、濃霧の影響で常磐線に遅れが出ており、水戸線に至っては運休も出ているという。8時39分発の小山行は、どうやら運休のようである。
 仕方なく8時12分発の常磐線(5分遅れで17分発)に飛び乗った。上野経由で高崎に向かうためである。
 昨晩いわきに泊ったのは、夜遅くに家に帰りたくないためであったが、水戸線と両毛線経由で高崎に行けるという理由もあった。結局常磐線と高崎線経由になってしまったので、だったら昨晩のうちに家に帰っても良かったと思う(後の祭り)。

@濃霧の中を走る

 10時25分頃に上野に到着。もとより乗り継ぎは良くなかったが、45分発の高崎行は先行列車の異音調査で15分ほど遅れており、意味もなく上野で30分以上も時間を持て余すことになってしまった。しばし、エキナカ散策である。

@上野駅構内にこんな絵があったとは

 10時59分頃に上野を出発し、高崎到着は12時58分。当初予定の12時23分発の横川行には乗れないが、この次の13時23分発に乗ってもSLには乗車可能である。
 問題は、当初は横川到着後に釜飯の荻野屋に歩いて行って、「釜飯以外の弁当」を買う予定であったのであるが、それができないということである(横川滞在時間は、18分に短縮されてしまった)。
 もう「その口」になってしまっているため、高崎で荻野屋の弁当を買ってしまうことにした。選択肢はいつもの「峠の釜めし」しかないが、仕方がない。

@味はお墨付き

 釜飯は高崎出発前に平らげてしまい、件の列車で横川へ移動。13時57分に到着した。
 SLはすでに他のホームで待ち構えており、黒い煙を吐き続けている。

@久々のSL乗車

 客車は5両編成で、そのうち4号車は売店+ラウンジである。今回は通路側席しか押さえられなかったので、ラウンジ席でも空いていればと思ったが、この時間帯ではもう他の乗客によって占領済みであった。
 一番後方には、電気機関車が連結されている。午前中の往路は、ヘッドマークにある通り「ELレトロぐんま横川」として運転されていたものである。

@こちらは電気機関車

 過去の旅行記で何度か書いていると思うが、私の持論として、SLは「乗るもの」ではなくて「見るもの」だと思っている。では今回なぜ乗ろうかと思ったかというと、客車が所謂旧型客車であるからである。大井川鉄道などに残っているが、その数はもうかなり少ない。

@貰った旗で人を隠して撮影

 早速自席へ行ってみる。大井川鉄道と比較して、こちらの客車は床や机が一新されてしまっている。個人的には、「もっとボロボロのまま残してもいいのに」と思うが、その辺りは人それぞれの感覚であろう。
 まだ時間があったのでホームに降りてみると、ゆるキャラが搬送されていた(自力歩行が難しい模様)。

@見送り準備

 定刻の14時15分、横川を出発した。ゆっくり走り続け、頻繁に汽笛を鳴らしていく。沿線には、撮影部隊がたくさん並んでいた(それ以外にも、一般住民も多く手を振っていた)。
 ずっと自席に座っていたが、途中で停車した安中でラウンジの席が空いたので、早速そこへ移動。同駅出発後は、窓から手を出して撮影である(後でカメラを確認したら、煤だらけであった)。

@カーブは撮影ポイント

 定刻の15時18分に高崎に到着して、「おまけ」の旅は終了である。この後は、八高線経由で帰るのも面白そうであるが、素直に高崎線経由で帰って日本シリーズでも見ながら一献することにしている。

 

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