【大人鐡55】北総鉄道「ほくそうビール列車」編

■はじめに
 冒頭から個人情報ダダ洩れであるが、私は北総線沿線の住民である。今回のビール列車の情報を見つけた時、参加するかどうか考えてしまったが、北総鉄道としては初めてのビール列車開催ということで、申し込んでみることにした。
 ビール(黒ラベル)飲み放題に弁当が付いて、参加費は7,000円。相場観からすると、ちょっと高いかなという感じである(前回の「反射炉ビアガー電車」は6,600円であったが、これは地物のクラフトビール飲み放題であるから、比較にはならない)。しかし、ものは考えよう、例えば先月乗車した長野電鉄の場合は参加費が3,900円であったが、往復の交通費と宿泊費を含めると、格安の手段を選んでもどうしても1万円は超えてしまう。今回は超地元ということで、交通費は一切かからない。経費全体としては、安く済ませることができる。
 後は、どうやって旅行記に仕上げるかである。通常の旅行記では、そこに至る過程やグルメや宿泊について記載するが、今回はそれらが一切ない。ビール列車の紹介だけでは写真数枚だけで終わってしまうため、「北総線自体とその沿線の紹介」も含めて仕上げてみることにした。

@印西牧の原駅にて

■2023.9.30
 前段で「ちょっと高い」と書いたが、開催の情報が明らかになってから数日で席は売り切れとなった。初めての開催であること、1日(1列車)しか運行されないこと、そして何より、分母大きい(沿線の人口が多い)ことが影響していると思われる。

@最寄り駅にて

 洗濯などを済ませてから9時過ぎに家を出て、まずは京成高砂にやって来た。今日のビール列車の出発は矢切であるが、北総線の起点は京成高砂であるため、まずはここにやって来たのである(これまで飽きるほど乗降している駅であるが)。
 駅名に「京成」が付いているが、そもそも北総線は京成グループであるので、問題はない。

@祝110周年

 駅周辺には店舗が多いため買い物などのために何度も途中下車したことはあるが、特に紹介したいような観光要素はないため、すぐに折り返しの列車に乗ってしまった。
 続いての駅は、新柴又である。柴又帝釈天の最寄り駅は柴又であるが、ここからも徒歩圏内である。ということで、せっかくであるからお参りすることにした。

@参拝

 北総線沿線に住み始めて8年、柴又帝釈天には何度も来ているが、ここに来ようとするのは新年などでありいつも大混雑であった。今日は何もない土曜の午前であるため、人もまばらである。
 歩いて新柴又駅に戻り、北総線に乗り込む。江戸川を渡って千葉県に入った次の駅が、ビール列車の始発駅である矢切である。その名の通り「矢切の渡し」のある地域であり、駅の発車音楽も演歌「矢切の渡し」である。

@駅構内に船がある

 なお、矢切の渡しの乗り場はこの駅からはかなり遠く、柴又や新柴又から歩いたほうが近い(よって、今日はそこまで行く気はない)。
 プチ紹介であるが、小説「野菊の墓」関連のものがいくつかあるので、駅から10分くらい歩いてそこを訪問した。

@文学碑

 ビール列車の受付は11時30分からということなので、受付開始直後に駅に戻ってきた。10人くらいの行列があったが、資料を受け取るだけなので待つ時間は短い。
 頂いたのは、時刻表と座席図が裏表に印刷されている資料と、パンフレット、そして名札(切符も兼ねる)である。

@一式

 列車の入線は11時55分頃で、ドアが開くのは12時10分頃とのこと。やることもないので、ホームで待つことにした。
 ビール列車の始発がこの駅になった理由は、説明がなくても理解できる。京成高砂は京成線も含めて大量の列車が行き来するため、ビール列車などが入り込む余地はない。次の新柴又は上下2本の線路しかないため、いくら北総線だけだといっても、停車できる時間は10分以下である。よって、4番線まである(追い抜き等が可能)なこの駅が、必然的に始発駅となる。今日は土曜でダイヤに余裕があるため、ホームは夜まで使用予定はない。

@停車し放題

 なお矢切駅の場合、1・2番線が京成高砂方面で、3・4番線が印旛日本医大方面である。てっきり4番線に待機するものと思っていたが(3番線は通常の走行線で、抜かれる列車は4番線に入る)、今日は1番線出発であるという。通勤で乗り飽きた路線であるが、1番線から印旛日本医大方面に行くのは初めてである。
 しばらくして、ビール列車が入線してきた。

@行先票は「臨時」

 北総線の車両は8両がデフォルトであるが、今日使用するのは3両だけ(5・6・7号車だけ)である。6号車は係員用車両(ビールサーバーなどがある)であり、乗客用は5・7号車だけである。募集人員が70人だけであったので、どういう配置なのか疑問に思っていたが、納得の内容である(必要な人員で対応できるのは、この程度なのであろう)。
 12時10分にドアが開き、車内へ。私の席は車両の一番端である。

@一番奥へ

 停車中にビールが注がれて机上に置かれていくが、一番端の私のところにはなかなか回ってこない(まぁ、出発すれば飽きるほど飲めるので問題はないのであろうが)。やっとビールが回ってきて、そして12時20分に出発してから、車掌の音頭で乾杯が行われた。

@乾杯(車内の写真は画像処理が面倒なので…)

 早速、机上にあった弁当を開けて一献の開始である。通常の弁当であるが(特に千葉っぽいものが入っているわけではない)、今日はどうせ呑んだくれるだけなので、問題はない。

@美味しく頂く

 地下駅である矢切から地上に出て走行していくが、周囲は私にとって超地元である。スーパーなどに行くために歩いたり自転車に乗ったりしている地域なので、ビールを呑みながら通過をするのは違和感満載である。

@地元写真

 なおビール以外にも、酎ハイやソフトドリンクも飲み放題である。ビールだけでは単調になってしまうため、レモン酎ハイもいただくことにした。

@コップが同じなので区別付かず

 上述した通り使用されているのは3両だけであり、残りの5両は無人状態である。私の席は一番端であるため隣の車両を覗くことができるが、当たり前であるが誰も乗っておらず、なんだかシュールな図柄であった。

@こちらは超満員(大騒ぎ)なのに

 車内のアナウンスは冒頭の乾杯だけであり、その後は特に観光アナウンスなどはない。ただし、ビールを配膳している係員が、時折補足説明をしてくれる。「まもなく新京成の車庫が見えてきます!」ということで、それを待ち構えた。

@新京成電鉄

 このビール列車は、食材の持ち込みが自由である。弁当だけではツマミが足りないことは確実であるが、かといって乾き物では面白くない。千葉らしいものが欲しいが、千葉の内陸部となるとピーナツや梨くらいしか特産品がない。ということで、柴又のスーパーで買っておいた刺身が登場である。地方の第三セクターなどでこれをやったら(路盤が安定していないので)醤油が飛散して大変なことになるが、スカイライナーが130キロで快走する北総線であれば大丈夫であろう。

@安定の醤油

 12時37分に小室に到着し、ここで24分のトイレ停車である。まだまだトイレは近くないため、ホームに出て写真撮影をした後は、ひたすら自席でビールの連続である。
 同駅を13時01分に出発し、続いての停車は印西牧の原で、ここでまた34分のトイレ休憩がある。トイレはまだ大丈夫であるが、停車時間が長いので改札の外まで行ってみた。コンビニがあるため、ツマミを買い足している人も多い。係員が氷を抱えて歩いていたが、サーバー用の氷が少なくなってきたのかもしれない。

@印西牧の原駅

 同駅を出発し、印旛日本医大には13時46分に到着した。停車後すぐに動き出し、通常では乗車できない引込線へと入っていった。ここで、下り線から上り線に入れ替わるためである。

@写真では伝わりにくいですが

 停車した状態で、車掌と運転手がそれぞれ入れ替わっていった。ビールで盛り上がっている人たちの間の通路を通らないといけないので、囃し立てられていてたいへんそうであった。
 同駅を13時53分に出発し、印西牧の原には13時57分に到着。午前中は小雨も舞っていたが、いつのまにか晴れである(表紙写真)。ここで18分のトイレ休憩となるが、さすがに限界が近かったためトイレに駆け込んだ。

@暑い

 同駅を14時15分に出発し、後はひたすら呑み続けながら矢切を目指すだけである。
 とにかく呑み続け、写真には映っていないが別途買っておいたメンチカツで弁当のご飯を頂き、14時36分に矢切に到着して、ビール列車は終了である。改札の外に出て、名札と交換にお土産をもらってすべての行程が終了となった。

@お土産

 かなりの酔っ払いとなったが(もう移動したくない)、ここから数分だけ列車に乗って10分も歩けば自宅であるから、帰路は楽である。

 

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