【大人鐡53】天竜浜名湖鉄道「天浜線ビール列車」・長野電鉄「ながでんビアトレイン」編

■はじめに
 今回は、表題にある2つのビール列車に乗るが、旅程の確定までには若干の紆余曲折があった。
 8月のお盆の三連休(11日〜13日)については、当初は「只見線途中下車の旅」をする予定であり、会津若松駅と小出駅に近い宿を押さえておいた。その後、天竜浜名湖鉄道のビール列車の追加日程が発表になり、8月13日の便を予約。只見線の旅はキャンセルも考えたが、8月12日に会津若松から只見線経由で「帰るだけ」にして家に戻り、翌朝に出発すれば間に合うため、只見線の旅は「前座」として短縮版で実施することにした。オードブルに呑み放題が付いて、5,000円也。
 長野電鉄の方については、本来は「オマケ」として参加する予定であった。8月19日分の大井川鉄道の「ビアホーム」を予約し、その前後に何かないか探した際に見つけたのが18日に運行される「ながでんビアトレイン」である。長野電鉄は「北信濃ワインバレー列車」と「ワイントレイン」に乗車済みであり、特に後者の内容をビールに変えただけなのがビアトレインであるため、オマケとして乗ることにしたのである。こちらは特製弁当に呑み放題がセットになっており、3,900円也。
 しかし、大井川鉄道の観光列車が、申込人数が少なくて「催行中止」となってしまった。ビアトレインをどうしようかと思ったが、往復の移動は青春18きっぷであるし、長野のホテルも格安で押さえているため、参加費を含めた旅費全体でも1万円程度である。よって、乗りに行くことにした。
 予定が空いてしまった8月19日であるが、あれこれ検索したところ、関東鉄道が「竜鉄ビール列車」を走らせるという。関東鉄道は常総線でビール列車を時折運行しているが(私も2回乗車済)、そのような本格的なものではなく、竜ヶ崎線の通常の列車にビールサーバーを乗せてビールを販売するだけというものであり、ある意味斬新な企画である。よって19日は、長野から竜ヶ崎経由でビールを呑んでから家に帰ることにした。

@西気賀駅にて

■2023.8.11
 今日は会津若松まで移動して、只見線のプチ観光をすることになる。
 最寄駅を5時台の列車で出発し、ひたすら乗り換えをして郡山へ。お盆休みの初日でありかなりの混雑であったが、なんだかんだで最後まで座ることができた。
 郡山では45分近くの待ち時間があり、しかもすぐに会津若松行が入線してきたため、余裕で席を確保。11時15分に郡山を出発し、12時31分に会津若松に到着した。

@今日も酷暑

 駅前にあるホテルに不要な荷物を預けて、身軽になって駅へ戻り、しばし待ってから13時05分発の只見線に乗り込んだ。並んでいたため窓側席を確保することができたが、かなりの混雑である。
 定刻に出発し、目的の会津柳津には14時05分に到着した。前回(今年の1月の)訪問時はもう暗くなっており、温泉宿に行く途中に立派な寺院を見つけて「次こそは明るい時間帯に来よう」と思い、今回はそれを実行に移したのである。
 駅前から歩き始め(酷暑であるため、雨傘を差しながら歩いた)、見えてきたのが圓蔵寺である。

@立派

 汗だくになりながら階段を上がり、本堂で参拝。本堂の前には舞台があり、そこから眺める川と橋の景色も絶景である。

@こちらも立派

 寺院であるから、御朱印を頂く気満々である。しかし、指定された場所に行ってみると、お盆期間中は記帳をやっていないとのこと。がっかりである。
 仕方なく、赤べこ伝説に由来する巨大な赤べこの写真を撮って退散することにした。

@満子(みつこ)です

 酷暑であるが傘を差しつつ歩き続け、道の駅へ。縄文時代に関する無料展示を見たり、格安になっていた野菜(オクラ)を買ったりして時間を潰した。
 地物のアイスがあったので、それも購入。

@赤べこ尽くし

 炎天下の中駅まで戻り、16時27分発の列車で会津若松へ移動し、ホテルに投宿。

■2023.8.12
 今日は「ただ単に只見線に乗る」ことになってしまったが、長時間停車もあるため、そこでネタを拾うのみである。
 小出行の出発は6時08分であるが、昨秋に乗車した際、5時45分頃に行ってみたら窓側席の空席はほとんどない状態であった。その際は1両編成であり、只見線の混雑状況はニュースにもなっているくらいであるから、さすがに今日は2両編成であろう。しかし念のため、5時40分頃に行ってみると、すでに20人くらいの先客がいて、進行方向側の窓側席は数えるくらいしか空いていなかった。

@無事に窓側席を確保

 定刻に会津若松を出発。会津柳津までは昨日と同じ景色の繰り返しであり、そこから先は数か月ぶりの乗車である。各所で橋を渡るが、その度にスロー走行をしてくれていた。
 8時05分、会津川口に到着。この駅には弁当などが売っているので行ってみたが、何もなかった。「日曜限定」というのは特定の弁当だけかと思っていたが、おにぎりも何もないのである。残念ながら、ネタ収穫はゼロであった。
 同駅出発後も、素晴らしい景色の連続である。

@絵画のよう

 時折居眠りをしながら景色を見続け、只見には9時07分に到着した。ここで20分以上も停車するため、駅前にあるインフォメーションセンターへ行ってみた。
 そこで、安売りになっていたアスパラと、「しそみそ」入りの大きなおにぎりを発見して購入。今日のブランチは、おにぎりで決定である。

@アスパラは夜用に

 同駅出発後は長大なトンネルをいくつも抜けて只見線を走り終え、小出には10時41分した。
 後はひたすら、首都圏を目指して帰るだけである。

■2023.8.13
 今日も5時台の列車で移動を開始し、新橋からひたすら各駅停車を乗り継いで天竜浜名湖鉄道との接続駅である掛川を目指した。10時27分に到着。
 待ち構えていたのは、スズキのバイク「刀」のラッピング車両である。

@刀仕様

 すぐ目の前にある接続駅であるとはいえ、乗り換え時間が6分しかないので本来なら多少は焦るところであるが、今回のビール列車を申し込むと事前に案内と一緒に一日券が郵送されてくるため、それを提示するだけであるから時間的には余裕であった。

@事前入手

 10時33分に出発し、ビール列車が出発する天竜二俣までは1時間弱の旅である。
 同駅到着後は、駅で無事に駅弁を購入し(詳細後述)、その後は1時間以上も待ち時間があったため、駅近くにある光明電気鉄道の二俣口駅跡や、訪問済みではあったが「本田宗一郎ものづくり伝承館」に行ったりして時間を潰した。

@ホーム跡

 さて、前置きが長くなってしまったが、やっと「食事付き観光列車」である。12時50分に受付が開始され、事前に郵送されていた乗車名簿に電話番号を追加記入したものを渡してホームへと入って行き、待つことしばし、今日のビール列車が入線してきた。

@お出まし

 13時過ぎにドアが開いたため、車内へ。今回の懸念は「ボックス席で他の団体と一緒だったらどうしよう」という点であったが、幸いにも私の席は車両後方のロングシート部分であった。これなら安心であるし、復路では先頭になるから景色も見えるし、何よりビールサーバーの横なのでお代わりが楽ちんである。

@セット済みの車内

 各団体の上には「○○様」と苗字を書いた紙が貼ってあり、田舎の旅館に来たような感じである。
 すでに机上に最初のビールがあり、出発前に乾杯するということであるが、「その前にどうぞ」ということであったので、早速頂くことにした。オードブルを広げて、出発前から一献の開始である。

@まだ昼ですが

 乾杯の音頭があり、駅員に見送られて13時11分に出発した。
 それと同時に、早い人はもうお代わりの開始である。ビールサーバーの横にいるためその操作は初めて見るが、樽自体に冷えたビールが入っているわけではなく、この中身と液化炭酸ガスが箱の中で合流して注がれるのである。よって、箱の中には次々と氷を追加しなければならない。

@システムを学ぶ

 最初の停車駅(トイレ休憩)は宮口で、ここで10分停車する。まだトイレは近くないが、取り急ぎ車外に降りて撮影タイムである。意外にも、同じようなことをしている参加者がたくさんいた。
 駅舎は登録有形文化財に指定されており、天竜浜名湖鉄道に多くある「店舗兼務」である。ここは、餃子屋を営業しているとのこと。

@渋い駅舎

 車内に戻り、同駅出発後はまたビールの繰り返しである。
 今回の列車では、「地産地飲」ということで、サッポロの静岡麦酒が提供されているが、それ以外にもエビスプレミアム黒もあるという(さらに、それらのハーフ&ハーフも可能とのこと)。3杯ほど静岡麦酒を呑んだ後は、黒ビールを注文してみた。

@久々の黒

 車内はすでに、居酒屋モードで大賑わいである。観光アナウンスなどもないが、あったところで誰も聞かないであろう。
 西気賀駅で再度トイレ停車があり、その後は浜名湖に沿って走り続けた。
 オードブルも無くなり、ここで追加食材は天竜二俣で買っておいた駅弁である。

@まいたけ弁当(1,200円)

 実はこの駅弁を作っているのは、ビール列車のオードブルを作っている業者である(駅弁購入後、この業者が「おつまみ」と書いてある箱を納入している場面に遭遇した)。土日しか販売しておらず(平日は予約制で3個以上から)、一度は買ってみたいと思っていた駅弁である(これを確実に入手するために、受付時間より早く到着する旅程にしたのである)。
 追加食材をアテに、ハーフ&ハーフも注文してみたりしてビールを呑み続けた。折り返しである新所原には、14時37分に到着した。
 天竜浜名湖鉄道には飲食店併設の駅が多いことは記載したが、この駅の場合はうなぎ屋である。香ばしい匂いが漂っており、つい一番安い1,600円の弁当を注文してしまった。

@うなぎの煙には勝てない

 14時49分に同駅を出発。ひたすら戻りつつ、ビールの繰り返しである。復路でもトイレ停車が複数回あり(表紙写真もそのうちの一つ)、その度に外に出てあれこれと撮影したりした(さすがに呑み過ぎたため、復路では撮影だけでなくトイレにも行ったが)。
 なお、私の席は復路ではビールサーバー越しの先頭部分となるため、景色も堪能することができた。

@このように

 車内では、じゃんけん大会が開催された(景品は缶ビール6本セットもしくはオリジナルクッキー)。残念ながら、今回は早々に敗戦。
 散々酔っぱらって、締めはうなぎである。弁当とご飯ものが重なってしまったが、舞茸ご飯の部分は夜用に持ち帰ることにした。うなぎは、温かいうちに頂くに限る。

@豪華

 一式平らげて、16時00分に天竜二俣に戻ってきて終了である。
 この後であるが、掛川まで移動すれば新幹線を使って今日中に帰ることもできるが、今日は敢えて新所原に再度移動してからJRで豊橋に移動して安ホテルに泊まり、そして明日は夏休みにして飯田線経由で帰ることにしている。

■2023.8.14
 台風の進路次第によっては東海道本線経由で帰ることも考えたが、進路予想がだんだん西にズレたため、予定通り飯田線の旅である。
 飯田線は見所が多いが、この旅行記の本筋ではないため、省略。

@こちらも絵画のよう

■2023.8.18
 7時台に家を出て、JRを乗り継いで9時半頃に高尾に到着した。乗り換え回数を少なくするために、9時56分発の松本行に狙いを定めていたからである。
 ロングシート車両であったら残念なことになるが、幸運にもボックスシート車両がやって来た。定刻に出発し、松本へ。
 松本では2時間以上確保してあり久々に城にでも行こうと思っていたが、今日は全国的に酷暑であり、松本駅にある温度計も「39℃」を示している。そこで散策は諦めて、駅前にあるスーパーで追加食材を買っただけで予定より早く長野行に乗り込んだ。
 14時30分に出発し、一路長野へ。姨捨駅付近は今日も絶景であった。

@これまた絵画のよう

 長野到着後は、安ホテルに投宿して2時間ほどテレビタイム。18時を過ぎてから、長野駅に向かって行った。
 地下ホームの改札付近にビアトレインの受付があったが、ここで受付をするのは電話等で申し込みをした人だけであり、ネット決済をしている人は受付省略であるという。便利ではあるが、切符の類が頂けないのは少し悲しい。

@行先案内

 18時20分発の定期列車が出発すると、ビアトレイン専用の改札が開いたので、打ち出してきた予約完了メールを見せてそこを通ってホームへと向かった。待ち構えていたのは、旧小田急ロマンスカーの車両である。
 早速自席へ。机上には、折詰とビール(なんとピッチャー)が用意されている。

@私のボックス

 ボックス席には4人まで座ることができるが、1人でも4人でも参加費は同じであり、そして1人であっても専用ボックスになるのが有難い。
 出発までまだ10分以上あるが、早速ピッチャーからコップにビールを注いで、一人宴会の開始である。

@始まり

 車内では、トイレの案内(車両にトイレがなく、折り返しの小布施までトイレがないこと)が繰り返されている。
 18時34分、長野電鉄の地下ホームを出発した。しばらくは地下を走行するが、この時点で最初のピッチャーが空になってしまったので、早速お代わりである。なお、冷たいものを常時呑めるように、お代わりは1/3くらいの量でやって来た。
 特製弁当にも様々な料理があるが、ここで松本のスーパーで買った追加食材の登場である。長野らしく、山賊焼きや鯉などである。

@ザ・信州

 後はひたすら、ビールを呑み続けるだけである(ハイボールも呑み放題なのであるが、個人的にハイボールは口に合わないため、今日はビールのみである)。もう暗くなってきて外の景色はほとんど見えなくなってきたが、呑むことが目的であるから問題はない。
 19時08分、小布施に到着した。ここで34分ほど停車時間があるため、最初で最後のトイレ休憩となる。呑み始めてまだそれほど時間が経っていないためまだトイレは近くないが、復路でどうなるか分からないため、念のためトイレに行っておいた。

@停車中

 停車中も、ひたすら呑み続けるだけである。鯉のうま煮は当たり外れがあるが、今日のは脂も多くて柔らかく、当たりであった。
 ちなみに私の席は、4号車の一番後ろである。復路では一番前になるため、ビアトレイン実施時は使用されてない展望席が目の前にあり、そこに少しお邪魔することもできた(出発前には、展望室後ろにある階段から運転手が登って行く姿も見ることができた)。

@特等席

 19時42分、小布施を出発。さすがに往路ほどの量とスピードでは呑めないが、復路もビールの繰り返しである。
 20時15分に長野に戻ってきて、ビアトレインは終了である。安ホテルに帰り、就寝。

■2023.8.19
 6時過ぎにホテルを出て、6時31分発の飯田行に乗り込む。今日はまずこれで松本まで行き、ひたすら昨日と同じルートで戻ることから始まる。
 小淵沢と高尾で乗り換え、西国分寺へ。ここからは武蔵野線に乗り換える。常磐線に乗るためには特別快速で神田まで行くものと思っていたが、検索結果では武蔵野線経由の方が早く着くことが判明。アナログ時刻表しか使っていない時代であれば、思い浮かばないルートであったかもしれない。
 新松戸などで乗り換えて、15時頃に龍ヶ崎市に到着した。この駅のすぐ隣が関東鉄道の佐貫駅であり、そこから関東鉄道の竜ヶ崎駅へと向かう(ややこしい)。
 酷暑の中しばし時間調整し、15時19分に到着した列車に乗り込んだ。これが折り返し15時25分発となるが、ぱっと見はいつもの関東鉄道である。

@2両編成

 ただしいつもとの違いは、竜ヶ崎側の車両の端にビールサーバーがあり、生ビールを売っているという点である(それ以外にも、缶チューハイやお菓子も売っていた)。ビールはコップ1杯で200円と、良心的価格である。
 取り急ぎそれを購入。ロングシートで一献の開始である。

@コロッケ風つり革と撮影

 意外に車内は混雑しており、このイベント目当ての人が多いようである。夏休み期間は原則1両となる旨の掲示があったが、このイベントがあるため2両編成となっているようであった。
 待っている間が暑すぎたため、出発した直後にはもう飲み終わってしまっていた。このイベントは13時から実施されており、「もっと早く移動してきて、フリー切符を買って何往復しても良かったかな」とも思う(佐貫発16時の列車でイベントは終了となってしまうため、私はICカードで乗車している)。
 15時32分、竜ヶ崎に到着した(乗車時間7分のみ)。ホーム上では、つまみの売り子も出ている。
 15時35分発の列車で折り返すのはせわしないため、しばし駅付近を探索し、16時11分の列車で帰路に就いた。

@台車を外されて定期検査中の「まいりゅう」号

 

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