【大人鐡52】由利高原鉄道「納涼ビール列車」・京阪電鉄「ビールde電車」編

■はじめに
 冬から春(2〜4月)には多数の日本酒列車系に乗車したが(数えてみたら7本もあった)、夏は当然ながらビール列車系である。7月後半から8月中旬にかけて、5本ほど予約してある(それ以外にも多数あったが、運行日が重なっていたり、他の旅行の予定があったりして、予約できたのは5本だけであった。なお、そのうち1本はまだ催行が決定していない)。
 今回は、表題にある2本を紹介したい。由利高原鉄道については、2022年1月に「日本酒ソムリエ列車」を予約していたが、コロナにより運休に。それ以来となる。
 もとより、由利高原鉄道では月に1回くらい特別列車を運行しており、そのうち半分くらいは食事付きである。個人的には晩秋に運転されている「B級グルメ列車」が気になるが、秋まで待って乗れなかったら元も子もないため、夏のうちに納涼ビール列車に乗ることにした。お弁当に呑み放題(ビール以外に日本酒等もあり)が付いて、4,500円也。
 翌週は、京阪電鉄である。コロナ禍も開けて4年ぶりの運行である。以前は呑み放題であったが、今回は最初の缶ビール1杯+飲み物券2枚とのこと。こちらにも特製弁当が付いて、4,300円也。運行日には昼の便と夜の便が走るが、終了後にすぐホテルで寝たいため、夜の便を予約しておいた。
 前回のカシオペアで20万円以上も大散財したため、これ以降の旅行は青春18きっぷが中心である(今回も2回分ずつ使用)。いつもは1シーズンに1セット(5回分)くらいは使う切符であるが、今夏は3セットも購入済みである。

@矢島駅にて

■2023.7.22
 いかに安く秋田まで行くかを検討して、往路は飛行機である。観光列車の出発時刻は16時45分であるが、値段優先で朝7時40分発の便となってしまった。持て余す時刻については、適当に観光をする予定である。
 8時45分過ぎ、秋田空港に到着した。すぐに連絡バスが出発するが、それに乗ったところで秋田からの羽越本線がないため、今日は歩いて和田駅まで行くことにしている。暑い季節であるが、北東北の午前中であるからなんとかなる範囲である。
 空港からひたすら歩いて(約1時間40分)、10時30分過ぎにやっと和田駅に辿り着いた。ここから、待ち構えている列車に乗ることになる。

@東北仕様のロングシート

 なぜ「待ち構えている列車」なのかというと、先週の秋田豪雨により在来線の和田以降が運休になっているからである。なお、秋田新幹線も並走している区間であるが、そちらは20日に運転を再開している(在来線の方は、再開は8月になる予定)。
 10時38分発の列車に乗り、秋田へ。秋田からは、11時06分発の羽越本線に乗り込んだ。
 そのまま羽後本荘(由利高原鉄道との接続駅)に行っても時間を持て余すだけなので、まずは岩城みなとで下車をした。目的地は、歩いて5分程度のところにある道の駅である。
 由利本荘のB級グルメ「本荘ハムフライ」も売っているが、道の駅価格(つまり高い)であるし、これについては後で別場所にて購入予定である。ということで、あずきソフトを頂くことにした。

@暑いですから

 休憩所で休んでから駅に戻り、12時30分発の列車に乗り込んだ。
 次の観光であるが、当初は羽後岩谷駅から「赤田の大仏」まで歩こうとしたが、グーグルマップを見ると熊が出そうな細い山道である。よってそれは諦めて、羽後亀田駅付近の観光要素を周ろうとしたが、正直あまりそそられる内容ではない。そこで結局、羽後岩谷駅で降りて地元のスーパーと道の駅を周ることにした。

@買い物に変更

 羽後岩谷で下車して、日差しの中を歩くこと約30分、やっとスーパーに到着した。なぜここに来たのかというと、本荘ハムフライの販売店マップに掲載されていたからである。しかし、惣菜コーナーにはハムフライは皆無であった。仕方ないが、せっかくスーパーまで来たので、夜用の追加食材を買ってから退散した(ハムフライは、市内の肉屋でも買える予定である)。
 続いては、JR駅の近くにある道の駅である(当然のことながらまた30分)。かなり歩き疲れて脱水症状気味なので、スポーツドリンクを買ってソファーで一休みした。

@地味に「北東北限定デザイン」

 小一時間ほど体力を回復させてから駅に戻り、15時14分発の列車で羽後本荘へ(15時20分着)。駅前すぐにあるホテルのチェックインは16時から可能であるため、またしても徒歩行脚である。目的地は、駅から片道15分程度のところにある肉屋であり、やっとここでハムフライを買うことができた。
 ホテルにチェックインをして(5,800円の安ホテルであるが、旅行支援が続いていたので、普通の価格で泊まるのは久々である)、シャワーを浴びてから羽後本荘駅へ。観光列車の受付は16時30分頃からということなので、その時刻に合わせて向かった。

@こういう切符

 ホームに降りてみると、もう列車は入線済みであった。2両編成であり、1両目が通常運行、2両目がビール列車である。
 早速、車両内へ。テーブルの上には折詰が置かれており、天井には提灯がたくさん備え付けられていた。車両の両端には、ビールサーバーなどの機材が準備されている。

@私の席付近

 大き目のコップにビールが注がれていき、それが各席へと運ばれていった。主催会社によっては出発前から始まってしまう場合もあるが、ここの場合は出発までお預け(出発時に乾杯)ということである。よって、しばし待ちの姿勢である。

@「待て」発動中

 なお今日は、秋田魁新報も乗車しているという。「Saku美Saku楽」と「バル急行」ではテレビに映ってしまい、「角打ち列車」では新聞に載ってしまった過去もあるため、今日も要注意である。
 定刻の16時45分、出発と共に乾杯があって、飲み会の開始である。昼に暑い中を歩き過ぎたため、1杯目はあっという間に体に吸収されていった。
 さて、何はともあれ折詰である。

@いただきます

 肉や魚類も豊富であり、意外にボリュームがある内容であった。
 1駅目の停車時点で、もう1杯目はカラである。お代わりを注文しなくても、残りが少なくなると「次はどうですか」と聞かれているので、2杯目はすぐにやって来た。
 ほとんどが複数人で申し込んでいるようで、車内は一気に居酒屋モードとなった。観光アナウンスなどは皆無で(仮にやったところで、誰も聞かないこと必至)、ひたすらお代わりがあちこちで続けられている。
 私も同様に「ひたすらお代わり」であるが、ここでハムフライの登場である。

@本荘ですから

 道の駅なら1枚300円であるが、肉屋なら3枚で390円である。隣席の地元の常連さんらしき人も、「阿部精肉店か、なら間違いねぇな」とお墨付きである。
 ロングシートで机が内側にあるため、誰も景色を見る人はいない(私も同様)。しかしせっかくなので、時折振り向いて外の景色も撮影した。

@一例

 ひたすら呑み続け、17時24分に矢島に到着した(表紙写真)。ここで折り返しのため36分ほど停車するが、その間はもちろん車内にいて呑み続けても良い。私は、そのパターンで過ごすことにした。
 この手のビール列車に乗るとたいていトイレが近くなって困るのであるが、今日は全くその気にならない。昼に3時間半以上は歩いているため、かなり水分が抜けてしまっているようである。
 18時00分、同駅を出発した。復路は、ひたすら日本酒である。

@2種類あり

 この手の企画列車にありがちな「安物ワンカップ」を予想していたが、実際は1升瓶からの取り分けで、しかも大吟醸とのこと。あっさりした飲み口であったので、つい繰り返してしまった。
 車内ではくじ引きが始まったが、残念ながら私は当たらず。次回(B級グルメ列車?)に乗ることがあれば、その際にでも期待したい。
 座って日本酒を呑み続けたのでは後々大変なことになるため、時折歩いて先頭に行って撮影をしたりした。

@長閑

 かなりの勢いで呑み続けたため、折詰のおかずはなくなってしまい、最後はごはんをアテにして呑むような状態であった。
 それもすべてなくなり、酔いもあって、空腹中枢が刺激されてしまっている。こんなこともあろうかと、羽後岩谷のスーパーで買っておいたおにぎりが最後に登場である。「ぼだっこ」とは、塩辛いサケのこと。

@秋田のお米

 へべれけ状態になり、羽後本荘には18時41分に到着した。もう歩くのも面倒であるが、駅前すぐのホテルなのが幸いである。自室に戻り、そのまま就寝。

■2023.7.23
 前述した通り、青春18きっぷを使っての帰路である。そのまま直帰では面白くないため、「あみだくじ」状態で本州内を右へ左へ行ったり来たりして、2日間かけて帰ることにしている。
 5時33分発の列車に乗り、酒田へ。時折海を眺めながらの移動である。酒田から先は、道路のトンネル工事に影響されて2年も運休となる陸羽西線の代行バスである。なお余目まで(羽越本線の部分)も、このバスで乗車できるようになっている。

@代行バス

 6時50分、定刻に酒田駅前を出発した。バス内の乗客は5人程度であり、寂しい限りである。駅の代替となる各バス停では、時間調整のため数分停まることもあった。
 時折、行き違いの代行バスとすれ違っていくが、マイクロバスが宛てられている便もあった。元より、私が乗っているこの便も、マイクロバスで充分な乗客数である。
 最後の方はさすがに近距離利用の乗客が増え、8時50分に新庄に到着した。
 新庄と言えば、駅弁(正式な駅弁マークは付いていない)が2種類ほど売っている駅である。「上京物語」は以前に買ったことがあるので、未経験である「山形牛すき焼弁当」をうっかり買ってしまった。

@朝から豪華に

 なお弁当は、売店の前にあったイベント用スペースにあった机で頂いてしまった。というのも、これから乗る車両は確実にロングシートだからである(本当は、駅弁は乗車中に食べた方が美味いのであるが)。
 9時32分発の列車で山形まで移動して(当然ロングシート)、そこで乗り継いで…となるはずであったが、山形まで乗ってきた車両がそのまま米沢行になったので、再度その車両に乗り込んで米沢に向かった。
 同駅からは12時16分発の列車に乗り、今泉へ。ここからは、またしても代行バスである。

@代行バスその2

 米坂線は2022年8月の水害によって不通となっており、未だに再開の目途も立っていない。只見線のように地元との調整が付いて再開するのか、それとも最悪の場合は廃線となるのか、まだ先が読めない状態である。
 12時55分に出発。車内は高校生(今日は土曜日だから部活であろうか)が多く、意外にも15人くらいの乗客がいる。
 時折鉄道の路盤と交差していくが、草生していてもう廃線状態である。

@再会を願う

 高校生たちの多くは、14時01分に到着した小国で降りて行った。米坂からだと、乗り換え時間を含めて片道約1時間45分、大変だなぁと思うが、どの高校に進学するかは将来設計にも影響するから、仕方ないのであろう。
 15時05分、坂町に到着した。今日は猛暑であり、駅付近を散策する気にもなれない。
 15時26分に同駅を電車で出発。猛暑のため新発田での途中下車も諦め、そのまま宿泊地である新潟に向かった(16時22分着)。激安ホテル(3,200円にクーポン適用で2,200円)に投宿した。

■2023.7.24
 さて、今日は磐越西線に乗って郡山まで行き、そこから先は東北本線でひたすら帰るだけである。磐越西線も昨年8月の水害によって長いこと運休となっていたが、今年の4月に再開している。

@こちらは再開(新津駅にて)

 旅行記のメインではないため、この先の詳細は省略である。

■2023.7.29
 目的地は滋賀県であるが、今回も青春18きっぷでの移動である。朝7時台に家を出て、新橋からひたすらJRを乗り継いで大津へ。駅から歩いて約15分、びわ湖浜大津駅に隣接するホテルにチェックインをした。今日の観光列車はこの駅から出発するが、大津で最安のホテルを探したら偶然にもこのホテルが該当していた。窓の真下は、駅の屋根と線路である。
 しばし休憩し、スーパーに追加食材を買いに行ってから駅に行き、受付を済ませた。

@座席表と切符

 頻繁に列車が発着する駅であるため、「ビールde電車」が入線するのは出発直前である。まだ30分弱も時間があり、ホテルに戻ってもいいのであるが、目の前が琵琶湖であるのでそこまで散策したりして時間を潰した。
 なお、鉄道好きには説明不要であるが、京阪電鉄のこの付近は、路面電車状態となっている。市電タイプではない、普通の車両が道路を走る様子は、いつ見ても違和感がある。

@京阪ならでは

 ホームまで降りて待つことしばし、18時00分発の石山寺行の後にビールde電車が入線してきた。早速、車両内へ。すでにテーブル上には折詰と最初のビール1本がセットされており、入口には暖簾が掛けられている。
 なお、この手の観光列車の場合、テーブルの間に通路を作って係員が通れるようにするパターンがあるが、京阪の車両は少し小さいため、そのようなスペースはない。その代わり、各入口付近には必ず係員がいて、お代わりなどに対応するようである。

@車内の様子

 折詰とビール以外にも、記念のメモ帳と、お代わり券が2枚付いている。お代わりはもちろんビールでもいいが、その他の飲料(サワーやソフトドリンク)でも可能である。

@自席のセット

 18時04分の出発と同時に乾杯となり、一献(宴会)の開始である。私は一番端の席であるが、周囲の若い男性3人は鉄道好きの集まりであるとのこと。
 さて、まずは折詰である。ご飯は1区画だけであり、残りはビールに合うツマミの類である。

@今週の折詰

 折詰だけではツマミが足りないのは先週でも証明済みであるし、ビール3本でも足りないため、乗車前にスーパーで惣菜数種とストロングサワー2本を購入してある。よって、それらも同時進行である。
 なお、普通の惣菜だけでは面白くないため、あれこれ探してみると、琵琶湖の稚鮎の佃煮を発見した。当然、確保済みである。

@せっかくなので地物を

 しばらくして、折り返しとなる石山寺に到着した。ここで20分程度のトイレ休憩となる。西国三十三箇所巡りで来たことのある(もちろんそれ以外でも来たこともある)駅であるが、今日は酔っぱらい状態で折り返すだけである。

@撮影大会

 同駅出発後は、再度宴会の継続である。びわ湖浜大津に戻ってからは路面電車状態となって道路上をしばし走り、続いての折り返し地点である坂本比叡山口に向かって行った。お代わり券を使い、ビールを追加で頂く。
 坂本比叡山口でもトイレ休憩と撮影大会があり、その後出発。びわ湖浜大津へと向かって行った。

@特別行先票

 最後に車内にて「くじ引き大会」があったが、なんと3等が当たってしまった。景品は、鉄道むすめの紙袋である。

@今回は当たった

 19時45分、びわ湖浜大津に戻ってきて観光列車は終了である。追加のストロングサワーもあって呑み過ぎてしまったが、今日も駅前すぐの(先週よりさらに近い)ホテルであるため、全く問題はない。

■2023.7.30
 さて、今日はひたすら青春18きっぷで戻るだけである。
 ホテルをチェックアウトして、5時58分の列車で米原へ。当初は名古屋から中央本線経由で帰るつもりであったが、移動中に車両運用を調べてみると、なんと中津川から塩尻までの車両(一番のメインポイント)がロングシートの車両ではないか。ロングシートでは、酒は呑めないし、景色も堪能できない。
 米原で乗り換えた新快速が浜松行(乗換が少なくて帰ることができる)であったため、予定変更で今日も東海道本線で乗り通すことにした。しばし修行であるが、この旅行記を書いたりして時間を潰せばいいであろう。

@お疲れさまでした

 

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