【大人鐡50】JR東日本「リゾートしらかみ」編

■はじめに
 なんだかんだで50回も続けてきたこのシリーズ(食事付き観光列車に乗るシリーズ)であるが、今回は老舗の「リゾートしらかみ」である。
 この列車自体は古くからあり(1997年デビュー)、私ももう何度乗ったか覚えていないくらいである(さすがに「両手」までは行っていないと思うが、「片手」は優に超えている)。津軽三味線や語り部などの車内イベントや、バスケットのゴール入れなど様々な催しが行われる列車であるが、最近は「うけとりっぷ」というサイトの「ごのたび」(恐らく「五能線の旅」の意味)において、特製弁当などが注文できるようになった。ということで、無理やりこのシリーズに含めてしまうことにした。件のサイトで、秋田駅受け取りの「前菜6種&秋田錦牛すき焼き丼」(1,900円)を購入。
 さて指定券であるが、発売日(出発日の1か月前)の昼過ぎに「そういえば今日が発売日だった」と思って「えきねっと」を見てみると、なんと海側はすべて売り切れで、山側の窓側すら2席くらいしか空いていなかった。コロナ禍も過ぎて、だいぶ旅行気運も高まってきているようである。五能線からの海景色は何度も見てきているし、それに今回は弁当が目当てなので、山側席でまったりとすることにした。

@秋田駅にて

■2023.6.24
 なぜこの時期に東北へ向かうことにしたかというと、「大人の休日倶楽部パス」が利用できる期間だからである。
 最寄駅から5時台の列車に乗り、大宮で新幹線「こまち」に乗り換えて秋田へ。定刻から少し遅れた10時27分に秋田に到着したが、観光列車の出発までまだ20分以上あるため、売店でゆっくりと酒を選んだりしてからホームへと向かった。「リゾートしらかみ」(今日は「くまげら編成」)は、すでに入線していた。

@最古参

 3編成ある「リゾートしらかみ」のうち最古参の「くまげら編成」であるが、デビュー当時(2006年)は目新しさもあったものの、車両はもうかなり古くなっている。側面(表紙写真)は剥げかかっているし、車内のモニターも故障中である。
 ホームで弁当を受け取り、車内へ。山側席であるが、途中の東能代までは海側(海は見えない)であり、しかも先頭の4号車で展望席の近くの席である。
 定刻の10時50分、駅員に見送りをされて秋田を出発した。

@行ってきます

 天気は曇り(時々雨時折晴れ)であるが、先述した通り今日の目的は景色ではないから問題はない。
 ということで、まずは秋田駅で買った酒で一献の開始である。ただ呑むだけであるが、せっかくであるから秋田っぽいものを買い揃えた。

@地物系(これら以外にも買ってある)

 車内では「本日は満席」とのアナウンスも流れている。私はひたすら、酒を呑むだけである。
 さて、続いては特製弁当である。2段になっており、前菜系とメイン(肉丼)に分かれている。なかなかお肉たっぷりであり、前菜で酒を呑んで、締めでお肉を頂くことにした。

@豪華

 さて今日は、いつものイベント以外に東能代駅で「流しじゅんさい」が行われるという(流しそうめんの方式で、じゅんさいを流す)。車内では、そのイベントを主催している三種町の女性2人がパンフレットと割り箸を配布し始めた。このイベントは、今年は6月2日と24日の「リゾートしらかみ3号」のみということで、なかなかのレアイベントに当たったことになる(予約時はこのイベントの存在を知らなかった)。

@昨今肖像権が煩いので、背後で

 11時45分、東能代に到着した。ここで9分の停車時間があり、別のホームで「流しじゅんさい」が行われる。跨線橋を渡って、そちらに向かった。
 停車時間も長くはないので、早速イベントの開始である。

@いざ

 当初はなかなか掴めなかったが、「掴む」のではなくて箸の先を少し広げて「掬い上げる」ようにすると、簡単に取れることがわかった。小さい子どもなどが「全然取れなかった〜」などと嘆いているのを横目に、私は大人げなく大漁である。
(ちなみに、全然取れなかった人のために、小分けで少量のじゅんさいが用意されている)

@タレを入れてもらった後

 自席に戻り、11時54分に東能代を出発。ちょうどツマミが足りなくなってきたところであったので、じゅんさいは良いタイミングでの具材追加であった。しかも美味い。
 同駅出発後すぐ、11時59分に能代に到着した。ここで15分ほど停車するが、ホーム上では「能代べらぼうだいこ」という太鼓隊の演奏が行われている。そしてこの駅では、ホーム上でバスケのフリースローができ、成功すると粗品がもらえるのである。
 フリースローの手順は心得ているが、前回は真正面過ぎて(?)失敗してしまった(ゴールの根本に当たって戻ってきてしまった)。今回は酔っぱらいながらも、右手だけ(左手は添えるだけ)で見事成功した。

@粗品ゲット

 同駅出発時にハイブリッド車両の「青池編成」と行き違っていった。あちらはまだ新しいので(2010年にリニューアル)しばらく安泰だが、こちらの編成(元はオンボロのキハ48系)は引退が近いとも囁かれている。
 しばらくすると、左手に日本海が見えて来る。太宰治の小説「海」の中で、海が見たことがない娘に五能線の車窓からの海を見せて大騒ぎしたのに、娘に「川だわねえ」と言われ(妻にも「ああ、川」と言われ)、がっかりする場面である。私小説で有名な太宰治であるが、さすがにこの「川」という表現は自身の惨めさを示すための創作であろう。

@海です

 アルコールの力もあってしばらくウトウトしてから目を覚ますと、千畳敷に到着である。ここでしばし海を散策し(残念な天気であるが、もう何度も散策したことがあるので問題なし)、駅へと戻って来た。

@景勝地

 同駅出発後は、津軽三味線の演奏があり、続いては津軽弁での語り部である。遠い場所(4号車の一番後ろ)にいるので、今日は見に行くことはせず、車内放送から聞こえてくる音を聞き続けた。
 15時35分、川部に到着した。この列車は弘前行であるが、青森方面に乗り換える人がかなり下車して車内の乗客は少なくなった。同駅を出発し、15時49分に弘前に到着して観光列車の旅は終了である。

@お疲れさまでした(弘前駅にて)

 弘前に来ると必ず買う「虹のマート」の「いがめんち」を買い、16時43分発の列車で大鰐温泉に向かい、安温泉宿に投宿した。町内のスーパーで買い揃えた食材といがめんちで一献して、就寝。

■2023.6.25
 今日中に帰る旅程案もあったが、月曜日に有休を取り、日曜は適当に観光をすることにした。目的地は、小坂にあるレールバイクである。乗り場へ行くためには大館駅から路線バスもあるが、2時間に1本くらいしかないため、どうせ暇なので歩くことにしている。
 7時半過ぎに宿を出て、集落内にあるお寺などを歩いて観光しながら駅に向かった。まずは、大鰐温泉から大館に向かうことになる。

@大きい鰐がいる大鰐温泉

 8時06分発の列車(残念なロングシート)に乗り、大館到着は8時39分。ここからレールバイク乗り場までは歩いて1時間45分くらいであるが、11時発を予約しているため、すぐに向かうのは早すぎる。そこでレールバイクのウェブサイトを再確認してみると、今日は小坂鉄道岱野駅跡で「旧小坂鉄道沿線 あじさい祭り」をやっているというではないか。昨日の流しじゅんさいと言い、適当に決めた旅程にしては偶然の重なりが多い。
 早速、その会場へと向かった。45分ほど歩いて駅跡へ。午前中は「植樹祭」ということで、たくさんのあじさいが植えられているところであった。

@満開時に見に来たい

 この時点で9時半くらいであったが、レールバイク乗り場までスマホに計らせるとまだ56分もある(実際はそれ以上掛かる)。一所懸命、再度歩き始めた。あちらこちらで廃線跡があるので、それらを確認しながらの散策である。

@東岱野駅跡

 集落を過ぎると山間の道になっていくが、ここでも所々で廃線跡を見ることができる。レールバイクは通常は乗り場から小坂方面に行くが、6・7月は限定で大館方面に戻るルートである。よって、歩きながら見ることができるこれらの橋も、この後に乗ることになる。

@廃線橋梁

 しばらくすると、廃線上をいくつかのレールバイクが走って来た。10時発の人たちであろう。
 10時40分頃、やっとレールバイク乗り場に到着した。なおここのレールバイクは2人以上でないと乗れないため(1人用がない)、お1人様の場合は「トロッコ」に乗ることになる(乗車料金は1,500円)。
 受付でその金額を払い、しばらくして乗り場に向かった。私は一番先頭であり、動力に引かれるトロッコである。

@こんな車両(方向転換時に撮影)

 注意事項等の説明があり、ゆっくりと出発した。漕がなくていいので、楽々である。できれば現役中に乗ってみたかった路線であるが、このように短区間でも乗ることができる状態で残してもらえるのは、嬉しいことである。
 ゆっくり進み、大きな橋梁(先ほど道路から見かけたもの)を2つほど超えて行った。

@橋の上を渡る

 20分ほどで折り返し地点に到着し、そこでレールバイクの方向転換をして(トロッコはそのまま)、そして同じくらいの時間を掛けて乗り場へと戻って行った。
 この時点で11時43分くらいである。待っていれば大館方面に行く路線バスが12時23分にやってくるが、それに乗ったところで大館市内でやることもないので、復路もまた歩くことにした。
 歩き疲れたところで見つけたスーパーでアイスや飲み物を買って休憩し、13時40分くらいに駅近くに戻って来た。特急の出発時刻まで30分弱あるため、「秋田犬の里」で秋田犬を愛でたり、以前は渋谷にあった「青ガエル」を撮影したりして時間を潰した。

@渋谷駅前からお引越し

 今日の宿泊地は本八戸である。14時09分発の特急「つがる」で新青森に移動し、駅構内にある店舗で旅行支援のクーポン券を使って夜用食材を買い、新幹線で八戸へ移動し、そして八戸線で本八戸までやって来た。歩いて安ホテルに向かって投宿。旅行支援で値引きされて2,480円になり、そしてクーポン券が2,000円分もらえる。GoToから旅行支援まで、歪んだ料金体系を長期間にわたって享受してきたが、それも今日で最後である。

@今日の八戸線(TOHOKU EMOTIONがいたのでこの角度で撮影)

■2023.6.26
 なぜ八戸に泊ったのかというと、臨時列車の「さんりくトレイン」に乗るためである(たいていの観光列車や臨時列車は土日中心の運行であるが、この列車については月曜日も運行日であった)。
 7時前にホテルを出て、本八戸7時26分発の久慈行に乗車。車内は立つ人もいるくらいであったが、明らかに近距離で降りるであろう女子高生の前で待ち構えて、白銀以降は海側席を陣取ることができた。
 残念ながら霧模様であったが、8時半過ぎくらいからは大海原を眺めることができた。

@やっと見えてきた

 9時04分、久慈に到着。乗り換えるべき三陸鉄道の出発は10時39分であるため、時間はたっぷりある。結局、行きつけの道の駅などに行って、あれこれと酒のツマミを買い込んでしまい、コンビニで安酒を買ってしまった(午前中から呑むことに)。
 駅に戻ると、団体専用の1両編成がホームに停まっており、それが車庫に戻ってから私が乗る2両編成が入線してきた。

@これに乗る

 当初は呑む気はなかったのにうっかり買ってしまった品々は、地物のしめ鯖とイカの煮つけである。駅からほど近くにある道の駅には総菜を売っている小さなスーパーが併設されており、ここに行くといつも何かしら買ってしまうのである。今日も、ご多分に漏れずいつものパターンである。

@うっかり

 「うっかりその2」は、うに弁当である。久慈駅といえばこの弁当が有名であるが、値上がりしているようであった。1,470円時代は1回も買うことができず、やっと初めて買えた今年の冬は1,670円。そして今は1,850円となっている。しかし、昨今あれこれと値上がりしている時代であるし、千円台で買えるだけでも良しとしよう。ということで、これも予定していなかったが買ってしまった。

@これまたうっかり

 海側の窓側席に陣取り、出発前から一献である。うに弁当は、ツマミとして酒を呑みながら頂くことにした。
 昨日と一昨日は曇り中心の天候であったが、今日は快晴である。私にとってのメインはうに等の食材であるが、景色の写真も一葉だけ紹介したい。

@せっかくですので

 12時14分、宮古に到着した。「さんりくトレイン」の出発は13時32分であり、ここでも中途半端な時間がある。最初は駅前を散策して小さな商店で野菜を買ったりしたが、酔いもあって歩くのがしんどく、後半は待合室の椅子に座ってうたた寝である。
 13時20分頃にホームに入り、すでに入線していた車両に乗り込んだ。「リゾートあすなろ」用の車両であり、まだまだ新しい。月曜日だというのに、今日は満席であるという。

@2両編成

 定刻の13時32分に出発。後はのんびりと景色を眺めるだけであるが、三陸鉄道で呑み過ぎたため、眠くて仕様がない。結局、ウトウトとしてしまった。
 急ブレーキで目を覚ますと、なんと車両が倒木を踏んでしまったという。右手には折れた大きな枝があり、左手には窓の近くまで倒木が近付いてきている。

@あらあら

 しかし、それほど大きな木ではなく、車両自体にもダメージはなさそうである。運転手が木を少し動かして、しばらく本部と連絡を取ったりしてから、ゆっくりと車両を前進させて現場から逃れた。その後、安全確認をしてから出発したが、30分程度の遅れで済んだのは不幸中の幸いであろう(車両にダメージがあれば、最悪「その場で運休」もあり得る)。
(ただし、倒木自体は撤去する必要があるため、対向列車は駅で「待ちぼうけ」のようであった)

@現場通過後

 盛岡到着も27分ほど遅れてしまい、予定していた16時17分には乗れず、その後の新幹線も満席であり、代替で取れたのは17時16分発の臨時はやぶさであったが、そんなに遅くならずに家には帰れそうである。

 

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