【大人鐡45】養老鉄道「枡酒列車」編

■はじめに
 食事付きの観光列車に乗るこのシリーズであるが、今回は養老鉄道の「枡酒列車」である。前回は、日本酒が楽しめる2種類の観光列車を紹介したが、これで今月は3週連続で日本酒列車である。
 養老鉄道の観光列車は、薬膳列車などが時折運行されていたが、コロナもあってここ数年は開催されていなかった。今回、3年ぶりに桝酒列車が運転されるということで(運行されるのは2月に2回だけ)、2月18日分をネットで予約しておいた。郵便局に5,000円を振り込み、確認のメールが届いて、事前の手続きは終了である。
 さて問題は、どうやって観光列車の出発地である大垣駅に向かうか、である。2週間前に近江鉄道に乗った際には、名古屋までは「往路『ぷらっとこだま』、復路高速バス」としたが、同じでは面白くないし、それに新幹線を使うと、なんだかんだで旅費が高くなってしまう。
 そこで、JR東海が販売している「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」を使うことにした。切符名にある通り、JR東海や私鉄が2日間乗り放題で、たったの8,620円。別途料金を支払えば、4回まで新幹線にも乗ることができる。この切符の存在は以前から知っていたが、なかなか使う機会がなかった。日曜日は帰ってくるだけなので、いくつかの私鉄にも乗りながら戻ってこようと思う。
 しかし往路については、早一番に家を出ても、大垣に11時過ぎまでに到着することは不可能である。そこで、熱海から豊橋まで新幹線を使えば間に合うため、そのような旅程を作成した。
 しかし、「もっと面白い旅程はないか」という考えがよぎった。熱海から豊橋までの新幹線料金は2,530円。この範囲で何か違うパターンがないか、あれこれ考えて、金曜日の夜に熱海まで移動することにした(熱海まではJR東日本であるため、金曜日に移動しても経費は同じである)。熱海駅近くのホテルであるが、元は5,200円であるが、「じゃらん」の1,000円クーポンを適用し、そして旅行支援で割り引かれて、さらに「じゃらん」の限定ポイント500円分も適用し、たったの2,860円で宿泊可能である。まだ新幹線料金より高いが、旅行支援のクーポンが2,000円分もらえるので実質こちらの方が安く、それにこの方がなんだか楽しそうである。ということで、即決である。

@大垣駅にて

■2023.2.18
 前日のうちに熱海まで移動して、熱海駅に近い安ホテルに投宿している(旅行支援クーポンを使ってスーパーで夕食を買ったが、2,000円分もあるので、今晩用の酒やツマミまで買えてしまった)。
 使用する切符は、上述した通りの「乗り鉄切符」(名称が長いので以降はこう表現する)である。買える場所は限られているため(当然、JR東日本管内では買えない)、2週間前に近江鉄道に乗りに来た際に、名古屋駅で購入済みである。

@初使用

 熱海駅でも買えるが、「新幹線乗り換え窓口」でしか買えない。つまり、私のように熱海から乗る場合は、事前購入が必須である。
 今日はまず、熱海からひたすら大垣に向かうことから始める(新幹線に乗ってもっと早く現地に着けば別の観光もできるが、どうにも吝嗇壁は治らないので、各駅停車の旅である)。
 最初は、6時19分発の沼津行である。これに乗り、ひたすら乗り継いで行く。

@各駅停車の旅

 旅程に従えば「沼津と浜松と豊橋で乗り換えて」と書くところであるが、浜松まで乗っていた列車の前半分がそのまま豊橋行になり、そして私は前の方に乗っていたため、乗り換えは2回だけとなり、大垣には11時18分に到着した。枡酒列車の出発は11時46分であるから、ちょうど良い時間帯である。
 隣接する養老鉄道の大垣駅前へ行き、係員から資料一式(一日券を含む)を頂いた。乗り鉄切符でも養老鉄道は乗ることができるため、今日は2つの有効切符を持っていることになる。

@一式

 しばらくホームで待っていると、桑名方面から3両編成の列車が入線してきた。これの一部が折り返し桝酒列車となる。3両編成のうちの桑名側の1両がそれに該当し、すでに車内は準備がなされていた。

@入線

 ドアが開いたので、早速車内へ。現状では机が向かい合って繋がっているが、乗客が乗った後に自ら机を手前に引き、中央には通路ができることとなる(そこを係員が歩いて、酒を注ぐのであった)。

@出発前の状態

 指定されている自席へ。ロングシートの中央部になってしまったが、乗車時間は1時間ちょっとであるし、それに日本酒なのでトイレは近くならないから大丈夫であろう(そもそも車内にトイレはないし、トイレ用の停車もない)。机の上には、弁当やお手拭き、お茶が置かれている。

@机上の状態

 乗客が揃い、上述した通りに机を手前に引いて通路を作り、最初の1杯が提供された。
 枡酒列車であるから、当然のように枡がある。先週の大阪モノレールでも置いてあったし、いすみ鉄道でももらったことがあるが、今回の枡は意味合いが少し違う。というのも、この日本酒の木枡、大垣市が日本のシェアの8割を担っているというのである。

@桝酒列車ですから

 11時46分、大垣を出発した。まずは、全員で乾杯である。
 早速、料理の蓋を開けてみる。車内でのアナウンスでも説明されていたが、ご飯など一切なく、すべておかず=ツマミである。このような列車に乗る人はすべて酒飲みであろうから、これは嬉しい配慮である。

@「お弁当」ではなくて「ツマミ盛り合わせ」

 1杯目はすぐになくなってしまったが、2種類目の日本酒がすぐにやってきた。それにしても、ローカル私鉄なのでかなり揺れるため、注ぐのはかなり大変そうである。

@ラベルを撮影

 頼めば次々と注がれるため、実質呑み放題である。それはそれで嬉しいが、夕方に徒歩観光をする予定なので、多少は気にしておかねばならない(夕方遅くに運行してもらえれば、桑名にホテルを取っておいてひたすら呑み続けるのであるが)。

@次の種類も来た

 車内はもう、普通の飲み会状態である。アナウンスでも「まだあと30分ありますので」とあり、結局私もいつものペースで呑んでしまった。基本的にコップに注がれるが、隣の人は「枡でお願いします」ということで、それも活用していた。

@なるほど

 すっかり出来上がった状態になり、12時58分に桑名に到着した。これで桝酒列車は終了である。
 ここからは、まずは乗り鉄切符を使って三岐鉄道北勢線に乗ることにしている。過去にも乗車済の路線であるが、ナローゲージの可愛い列車に乗るのは楽しいものである。

@小さい

 13時05分、西桑名を出発した。ぼんやりと外を眺めたり、先頭部分に行って細いレール幅を眺めたりしていたが、アルコールの影響もあって後半はほとんど寝てしまった。
 終着の阿下喜では係留されていた古い車両を撮影したりして、西桑名へ折り返し。桑名駅へ移動し、再び養老鉄道に乗り込んだ。次の目的地は、多度大社である。

@車内にいたやつら

 16時19分に多度に到着し、そこから25分ほど歩いて多度大社へ。「お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り」と詠われた歴史ある神社であるが、参拝客はまばらであり、歩いて向かっているのは私1人だけであった。
 御朱印を記帳してもらい、歩いて多度駅へ。養老鉄道で桑名に戻り、そこからJRで名古屋に向かった。
 今日の宿は地下鉄の名古屋港駅付近であるが、乗り鉄切符では地下鉄に乗れないのと、名古屋港駅付近にはスーパーがないため、あおなみ線で稲永まで行って、スーパーで買い物をしてから30分くらい歩いて宿に行くことにしている。

@最後はこれ

 稲永駅付近にあるスーパーで買い物をしてから、奇麗な海の夜景を見ながら歩いて(残念ながら雨が降って来たが)、安宿に投宿した。
 今日の宿は、元より4,100円と激安であるが、そこからさらに割引となっている。当初は旅行支援で予約していたが(3,280円となりクーポンが1,000円付く)、あれこれ調べていると、名古屋市特有の「シャチ泊」というのがあり、これだとクーポンはないが半額(つまり2,050円)になるということなので、そちらに変更してある。
 安食材と、昨日買ってあった酒で酔っぱらって、就寝。

■2023.2.19
 さて、今日は私鉄をつまみ食いしながら関東に戻るだけである。
 6時20分頃にチェックアウトをして、地下鉄で金山へ。JRに乗り換えて豊橋で浜松行に乗り換えた。嬉しいことに、特急用車両での運用である。

@ラッキー

 当たって良かったと思ったが、こういう時に限って2駅乗っただけで降りなければならない。
 後ろ髪を引かれる思いで、新所原で下車した。目的は、ここから天竜浜名湖鉄道に乗るためである(本当は豊橋鉄道にも乗ろうと思ったが、そうすると家に着くのが夜遅くなってしまうため、断念)。

@これから乗る

 8時07分、新所原を出発した。1両編成の列車は、浜名湖の北側を走っていく。ちらほらと乗降があったが、平均すると5人くらいしか乗客はいなかった。
 最後まで乗り通すことはせず、9時26分に到着した西鹿島で下車した。ここから、遠州鉄道に乗り換えるためである。

@次はこれ

 西鹿島出発は、9時36J分。遠州鉄道の車両は前面がガラス張りであるため、前方を見続けるのには都合が良い。
 新浜松到着後はJR浜松まで移動して、各駅停車に乗って静岡へ。新静岡まで歩いて行き、続いて乗るのは静岡鉄道である。

@今日の3私鉄目

 11時56分、新静岡を出発した。
 当初予定では新清水まで乗り通してJR清水駅まで歩くことにしていたが、実は明日からの海外出張が急遽決まったこともあり、準備の関係で少しだけ早く帰りたい(かと言って私鉄を完全省略したくもない)。ということで、草薙で下車してJRに乗り換えた(こちらの駅同士の方が、距離が近い)。静岡鉄道でも「しぞ〜かおでんトレイン」を走らせているが、運行日が先週の大阪モノレールと重なっており、残念ながら乗れなかった。そのうち、乗りに来たいと思う。
 草薙からJRに乗り込み、吉原へ。次は岳南電車である。

@続いてはこれ

 岳南電車についても、当初は終着である岳南江尾まで行くことにしていたが、やはり予定変更で途中の吉原本町で戻ってくることにしている。なお岳南電車も、ごく稀に食事付き観光列車を走らせているおり、実は来週の土曜日に「ビール×グルメ電車」を運行するという情報を得ているのであるが、残念なことに来週の土曜日は、私はJR東日本が運行する別のイベント列車(これまた日本酒系)を予約済みなのである。今後も情報収集をして、次こそ逃さないようにしたい。
 吉原に戻り、JRで沼津へ。このまま熱海まで移動してもいいのだが、「より安く」を実現するために、御殿場線経由で帰ることにしている。
 沼津を14時05分に出発する列車に乗り、松田で下車。新松田から小田急に乗って帰るのが、一番安上がりである。

@「乗り鉄切符」の最後は御殿場線

 

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