【大人鐡43】三陸鉄道「こたつ列車」編

■はじめに
 食事付きの観光列車に乗るこのシリーズであるが、三陸鉄道については28回目に「プレミアムランチ列車」に乗車済みである。今回乗車する「こたつ列車」についても、使用される車両や基本コンセプト(特製弁当+車内イベント)は大差ないが、これに乗ることになった決め手は「大漁舟唄御膳(3,000円)」である。あわび弁当(1,600円)やうに丼(1,700円)も豪華ではあるが、それらの上を行く「海の幸満載の豪華な船盛り風のお膳」である。お弁当で3,000円と考えると高いと思うが、観光列車では乗車券等込みで1万円を超えるようなものも多いので、そう考えると高くはないとも言える。なお他に必要なのは、300円の指定券だけである(乗車券については、大人の休日倶楽部パス(東日本)が利用できる)。
 土曜日は八戸への移動のみ、日曜日に観光列車に乗って盛岡に泊まり、月曜日は会津鉄道に乗ってくることにした。「鉄印マイスター」特典で、昨年冬に会津鉄道のトロッコ列車乗車券が送られてきたのだが、うかうかしているうちに使用期限が迫ってきてしまった。冬季はトロッコ列車が走らないが、通常の乗車券としても使えるようなので、せっかくなので使うことにしたのである。
 当初はそのまま月曜日のうちに帰ることにしていたが、大人の休日倶楽部パスは4日間有効であるし、旅行支援もあるので、出発直前に旅程を追加し、会津柳津の温泉宿に泊って火曜日の午前に帰ることにした。

@宮古駅にて

■2023.1.21
 旅の始まりは、なぜか静岡である。金曜まで静岡方面で仕事があったため、自腹でそのまま静岡に宿泊している。というのも、大人の休日倶楽部パスは熱海まで使用できるため、土曜日に静岡から熱海まで移動して、そこから先はこの切符を使うことにしているのである。よって、「ホテル代は自腹」といっても、そこで相殺できるのである(そもそも、安ホテルが旅行支援で3,000円ちょっとになり、そこにクーポンが2,000円付くのであるから、元より持ち出し額はゼロに近い)。

@静岡出発

 7時台の各駅停車で静岡から熱海に向かい、そこからは切符を変えて、各駅停車で都内へと向かった。新橋からは定期券を使って一旦自宅に戻り、荷物整理をしてから最寄駅に向かい、乗換をして大宮へ。大宮発14時45分の「はやぶさ」号で八戸へと向かった。
 今日の宿は八戸の中心街にあるため、ここから本八戸まで八戸線に乗って移動となる。

@寒い

 本八戸には17時27分に到着し、駅から10分ほど歩いて安ホテルに投宿した。
 元より安い宿泊代であるが、旅行支援により3,264円にまで下がっている。そこに、旅行支援のクーポンが土曜日なので1,000円付くが、さらに八戸市独自の支援クーポンが2,000円も付くため(事前に調べておいて、念のためホテルに事前連絡しておいた)、ほぼタダ同然の宿泊代である。個人的には嬉しいが、このような感覚に慣れてしまうと、春以降に通常モードになった際に一抹の不安を覚える。

@個人情報はカロリーメイト(ホテルから無償提供)で隠す

 旅行支援クーポン(対象店多数)はデパ地下の食品売り場で酒(翌日分を含む)となり、八戸独自クーポン(飲食店中心)はファストフード店で豪華なテイクアウトのセットとなった。ホテルに戻り、それらで酔っぱらってから就寝。

■2023.1.22
 観光列車は久慈発12時07分であるため、午前中は余裕がある。八戸と言えば朝市が有名であるが、残念ながら冬季は未開催である。ということで、今日は「みちのく潮風トレイル」の一部分(鮫駅付近から陸奥白浜駅付近まで)を歩くことにしている。「天気が悪かったり風が強かったりしたら、チェックアウトギリギリまでホテルに滞在しよう」と思っていたが、幸いにも天気は良好である。
 7時過ぎにチェックアウトをして本八戸駅まで歩き、7時25分発の列車に乗り鮫には7時43分に到着した。ここから散策の開始である。

@鮫さんも雪化粧

 しばらく海際を歩くと、見えて来るのはウミネコの繁殖地として有名な蕪島である。ここまでは3〜4回来たことがあるが、今日はこの先も歩き続ける。
 蕪島の奥には大きな工場地帯も見えている。「そういえば、八戸は工業が盛んであると学生時代の地理で習ったな」などと思いながら、歩みを続けた。

@この角度から蕪島を見るのは初めて

 トレイルの地図通りに歩き続けたが、残念ながら海際の道は「立入禁止」になっていたため、その地図にも掲載されていた迂回路(車道)を経由して、太平洋が見える側へと歩き続けた。今日は風もほとんどないが、周囲に何もないため、強風の日はかなり歩き辛そうである。
 所々にあった展望台から海を眺めたり、雪景色の砂浜を歩いたりして、約1時間45分で陸奥白浜駅に到着した。食前の運動としては、適度な範囲であろう。
 吹き曝しの待合室でしばし待ち、9時58分発の久慈行に乗り込んだ。

@海も見渡せるホーム

 昼から乗る三陸鉄道はトンネルが多くて海が見える区間はほとんどないため、八戸線の方が実は車窓は奇麗である。時折見えて来る海を見ているうちに、11時08分に久慈に到着した。
 急いで三陸鉄道側の久慈駅舎に移動して、まずは例の物(詳細後述)を購入し、それから窓口に向かって「こたつ列車」の手続き(支払い)を済ませた。

@指定券は硬券

 出発までまだ時間があるため、道の駅まで歩いて行き、そこでアルコールを調達。出発の20分くらい前に駅に戻って来た。
 改札がないためそのままホームに向かい待っていると、3両編成の列車がバックで入線して来た。一番後ろの3号車が、こたつ列車である。

@入線中

 早速車内へ。各テーブルにはこたつ布団が掛けられており、天井にはたくさんの大漁旗が掲げられている。久慈駅の窓口で手続きをする際、前に並んでいた人が飛び入りでこたつ列車に乗ろうとしていたが、「今日は満席です」と断られていた。ということで、今日は相席確実であるが、特に問題はない。

@こんな車内

 私の席は、山側の窓側席である。予約の電話時点で「海側の席がもうないのですが」ということであったが、景色が目的ではないので、山側で構わないとしてある。
 すでにテーブルの上には、船盛のような豪華な料理が置かれている(お弁当を注文した人の場合は、駅での受付時に弁当を渡されることになる)。ラップを剥がし、料理の撮影である。

@これで呑む

 「ご飯のおかず」になりそうなものもあるが、ほとんどは「酒のつまみ」である。ウニやホヤ、アワビやホタテなど、三陸の海の幸が満載である。
 こたつであるから、当然の如くみかんも付いている。

@1人1個(相席の人の分も同じお椀に)

 列車が動き出す前から、一献の開始である。用意した酒は、道の駅で買った久慈の地酒と、昨晩のうちにクーポンで手に入れておいた八戸の地酒である。

@揃い踏み

 出発前から、車内ではあれこれと観光アナウンスが行われている。駅員が観光用係員を兼ねているのかと思っていたが、まさかの「駅長」であった。大きくない鉄道会社なので、あれこれ兼務しているのであろう。
 定刻の12時07分、久慈を出発した。もう何度も乗っている路線であるから、この先の景色は予想の範囲内である。ということで、ひたすら海の幸と酒の繰り返しである。通常の席であれば「海が近付いたら席を立ってデッキに行く」などができるが、こたつに入っているので、もう動く気はない。

@ズームで撮影に挑戦

 なお「満席」ということであった車内であるが、私の横(通路側)には誰も来なかった。さすがに、相席で4人を座らせることはしないようである。
 海の幸も平らげ、締めはごはんであるが、「うにご飯のおにぎり」が付いて来る。

@今日はウニ尽くし

 しばらくすると、案内役(駅長)が硬券と鋏を持ってきて入鋏の体験が行われた。私の世代なら当然知っているが、今の子どもたちは見たこともないであろう。

@入鋏後(もらえる)

 その後に車内に入って来たのは、2体の「なもみ」である。その存在は秋田の「なまはげ」のようなものであるが、最初は恐ろしかったなもみ達も、最後には乗車記念とお菓子を配る優しい存在に代わってしまうのであった。各テーブルで、なもみとの記念撮影会も行われた。

@優しくなった状態

 料理もすべてなくなり、13時50分、宮古に到着した。
 今日は盛岡にホテルを取ってあり、次の盛岡行の出発は15時54分と時間が有り余っている。ということで、まずは14時13分発の三陸鉄道に乗って隣の磯鶏(そけい)まで行くことにした。駅の近くにあるSLが目的である。

@とりあえず撮影

 撮影後は、ひたすら歩いて港にある道の駅に向かい、その足で宮古駅まで戻って来た。約1時間半の「食後の散歩」である。
 宮古からは上述の列車に乗り込み、盛岡には定刻から少し遅れた18時25分に到着した。旅行支援で激安になっているホテル(3,040円で宿泊して2,000円のクーポンをもらう)に投宿。
 さて、この「大人鐡」シリーズでは、時折サブテーマとして「大人グルメ」を実施している。ということで今回は、久々に大人グルメとして「うに弁当」を頂くことにしたい。

@久慈駅で購入済み(1,670円)

 この弁当はかなり有名であり、久慈駅に行く際はいつもチェックしているが、毎度の如く売り切れである(事前に予約しようとして電話したが、それでも断られたこともある)。今日は、無事にそれを買うことができている。
 どうせ「蒸しうに」であるし、と思っていたが、予想以上にふんわりしていて美味であった。ネット上には低い評価もあるが、その人は生うにと比較しているのであろう(そういうのが食べたければ、初夏に3,000円くらい出して食べればよいだけである)。

■2023.1.23
 さて、今日明日は「おまけ」の旅行記である。
 まず今日は、会津鉄道に乗車である。季節的にもうトロッコは走っていないが、普通乗車券としても使えるため、ありがたく利用することにしている。

@こんな優待券

 往復でペア、ということで4枚ある。よって単純往復だけでなく、途中下車もすることにしている。
 7時38分の「こまち」号に乗って盛岡を出発し、仙台で「やまびこ」号に乗り換え、8時56分に郡山に到着した。ここから9時15分発の磐越西線に乗り換え、会津若松到着は10時31分。待合室でしばし時間を過ごしてから、11時頃にホームに移動して、すでに入線していた11時25分発の会津鉄道に乗り込んだ。

@これが目的

 その時点で、車内にいた乗客は4人くらいであった。「季節外れの月曜日だし、この程度だろう」と思っていたが、出発時刻が近付くにつれて混んで来て、最後には通路まで一杯になってしまった。聞こえてくるのは中国語が多いが、思えば春節である。「日本に来る中国人は少ない」とニュースでやっていたが、そうでもないようである。
 定刻に出発。車内にいたたくさんの中国人は湯野上温泉や蘆ノ牧温泉で降りてしまい、途中からは混雑は緩和されてきた。12時34分、会津田島に到着。

@ここにもSLあり

 会津田島に来た目的はあと1つあり、それは駅弁の購入である。急いで売店に向かうと、普通の弁当類に紛れて最後の2つの駅弁を発見し、そのうちの1つを無事購入した(詳細後述)。
 12時56分発の会津若松行に乗り込む。復路では途中下車をすることにしており(優待券自体は途中下車はできないので、復路だけで2枚使用)、塔のへつりで下車した。

@復路は猫ラッピング車両で

 塔のへつりに久々に行き(冬季は吊橋が渡れないため、見るだけ)、次の列車が来るまで時間がかなりあるため、隣駅の弥五島(やごしま)まで歩いて向かった。
 同駅から14時35分発の列車に乗り込み、会津若松へ。待合室で時間調整をした後、会津柳津に向かうために只見線に乗り込んだ。昨年の復活後は観光客で混雑しているというニュースもある只見線であるが、平日のこの時刻となると、車内は高校生ばかりである。

@2両編成

 17時00分に会津若松を出発。次第に日が暮れて行き、会津柳津には17時56分に到着した。駅から10分ほど歩いて、温泉街の中にあるホテルに投宿。宿代は今日も三千円台である。
 さて、夕飯のメインは会津田島で買った「しんごろう入 南会津 おふくろ弁当」(1,200円)である。「しんごろう」とは弁当左上にある黒いもので、一見すると肉団子のようであるが、中身はごはんの「半殺し」であり、その周りにエゴマが塗ってあるものである。写真では隠れているが、ニシンの下にはゼンマイと打ち豆の煮物も入っている。全体的に、素朴で美味しい弁当であった。

@今日のメイン

 近場のスーパーでクーポンを使って酒やツマミを追加し、温泉を浴びてから一献して就寝。

■2023.1.24
 さて、今日からは「10年に一度」の寒波が来るようである。只見線も、会津川口以西は今日の午後から予備的に運休になるようであるが、今日は会津若松の方に戻るので私の旅程としては影響がなさそうである。
 6時過ぎに宿を出て、会津柳津駅へ。駅近くにあったSLの写真を撮ってから待合室に入ったが、まだ薄暗いというのにたくさんの乗客が待っている(ホーム上にもいる)。この辺りは、通学路線としても成り立っているのであろう。
 しばらくして入線してきた6時23分発の会津若松は、3両編成であった。思えば、3両の只見線に乗るのは初めてである。

@入線中

 定刻に出発し、会津若松に近付くにつれて通路まで一杯になっていった。西若松などでかなり下車し、7時25分に会津若松に到着した。
 さて、この後は郡山と大宮で乗り換えて一旦自宅に戻り、午後から出勤するだけである。

 

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