【大人鐡39】小湊鉄道「夜トロビール列車(夜トロジビエ列車)」編

■はじめに
 房総半島にある小湊鉄道では不定期で食事付きの観光列車を走らせているが、夜トロビール列車もそのうちの1つである。「トロ」の部分はトロッコ列車のことであり、通常は「房総里山トロッコ」として運行している車両を使用するプランである。
 なおこの「夜トロビール列車」であるが、ここ数年実施されているようであり、過去の記事やブログ等を見ると料金は8,000円である。しかし、今年は食事が「房総ジビエ懐石弁当」となり、パンフレットにある列車名も「夜トロジビエ列車」となっている。内容が内容だけに、料金は値上がりして12,000円であるが、ジビエのお土産も付くということなので、早速申し込んでおいた。
 運行時刻については、18時47分に五井を出発して、上総牛久で折り返して五井には21時01分に戻ることになっている。そのまま自宅に帰ることもできるが、酔っぱらった状態で1時間以上もかけて帰るのは面倒であるため、五井駅に近いホテルに泊まることにした。いつもなら自宅から遠くない地域で宿泊するのは躊躇するところであるが、6,250円の宿泊費が県民割で3,000円安くなり、さらにクーポンが2,000円付くため実質1,250円である。これならば、無理して帰らなくてもいいであろう。
 せっかく宿泊するので、翌日は同じく小湊鉄道で運行される「かずさ号」に乗って来ることにした。弁当などの車内販売もあるということで、これも観光列車の仲間とも言えよう。

@里見駅にて

■2022.8.5
 金曜日であるため午後は早退し、いったん自宅に戻ってからJRを乗り継いで17時48分に五井に到着した。ホテルにチェックインして不要な荷物は置いて、18時25分頃に五井駅の小湊鉄道改札前にある臨時受付へ向かった。受付時間は18時30分までであるため、私は残り3人目くらいであった。

@今日の切符

 18時30分過ぎ、夜トロビール列車が入線してきた。先頭はSLであるが、石炭で動くものではなく、実質は気動車である。しかし、雰囲気としてはSLである。

@入線

 4両編成であり、窓のないトロッコ車両は2号車と3号車である。先頭となる4号車はビールサーバや各種アルコールが置いてある作業場となっており、1号車は無人であった。2・3号車合わせて、30人くらいの参加者がいるようである。

@2号車内

 ドアも開いているので、早速自席へと向かった。私はお1人様で参加しているため、ボックス席独占である。白い紙袋の中には、二段重のお弁当とポップコーンが入っており、またパンフレットとアルコールメニューの紙も入っている。外に出ている銀紙の袋は、お土産のシカ肉ハンバーグとカレーである。

@自席

 車内を探索してから、紙袋から一式を取り出して内容物の撮影である。左側の大きな三角形の入れ物が、ポップコーンである。

@一式

 外側を撮影したら、中身の撮影である。一ノ段にはシカ肉のメンチカツやつくねなどのジビエがあるが、地元の海産物や農産物(サザエや落花生)もあり、ツマミとしては満点である。二ノ段にはイノシシのグリル焼きやシカ肉のガパオライスなど、これまたジビエがたくさん入っていた。

@中身

 動き出す前から「ビールいかがですか」と係員が来たので、早速オーダー。出発前から、すでに1杯飲みほしてしまった。すぐ2杯目のオーダーである。

@まだ五井駅(出発前)

 配膳する係員以外にも、小湊鉄道関係者らしき人がたくさんホーム上や車内に来ていた。写真を撮っていると「どんどんブログで紹介してください」とあったり、弁当を覗き込んでいると「ぜんぶ千葉県産ですよ」との声も聞こえてくる。

@ジビエの説明

 定刻の18時47分、多くの関係者に見送られて五井を出発した。
 小湊鉄道自体は何度目かの乗車であるが、さすがにトロッコだけあっていつもより速度はゆっくりである。
 五井の町並み自体は小さいため、景色はすぐに田んぼ中心となる。夜風も丁度良いし、ジビエ料理も美味である。12,000円は少しお高めであるが、これは久々に良い観光列車に乗っていると思う。

@日が暮れていく

 この手の列車の呑み放題の場合、ビール以外はチューハイとソフトドリンク程度であることが多いが、参加費が高いこともあり、今回は地酒3種類もあるというということで、ビールを5杯くらい飲んだ後は、日本酒を順番に続けてみることにした(しかしこれが最後に影響して失敗する)。

@呑み放題

 その後は、ひたすら日本酒の繰り返しである。いかんせんツマミばっかりであるため、酒が進んで仕方ない。
 先述した通り小湊鉄道には何度も乗っているが(昼間のトロッコにも乗車経験あり)、日暮れのこの時刻に乗るのは初めてであるため、いつもと違う雰囲気である。

@無人駅

 ゆっくりと走り続け、19時38分頃に上総牛久に到着した。ここでしばらく停車して、後は五井まで折り返すだけである(酔っぱらっていたためこの後は時刻確認を忘れている)。

@上総牛久駅

 復路もゆっくりと走り続け、21時過ぎ(たぶん)に五井に到着した。そしてここで大失態。白い紙袋の中に、お土産のハンバーグやカレー、ポップコーン、パンフレットや弁当の掛け紙を入れていたのだが、車内か駅のトイレかどこかに置き忘れてきてしまったのである(お土産など、中の写真すらまだ撮っていない)。翌朝ホテルで目覚めた際に気付いたが、もう後の祭りである。私は忘れ物などほとんどしない慎重なタイプであるため、これは心残りであった(というか、呑み過ぎで記憶が曖昧であることが原因である)。

■2022.8.6
 今日の小湊鉄道の「かずさ号」の出発は11時20分であり、それまで待っている必要もない。どうせ一日乗車券を使用するので、別の観光をすることにした。
 7時前にチェックアウトをして、五井駅へ。一日乗車券を買い、ホームへと降りて行った。待ち構えていたのは2両編成で、1両目は小湊鉄道オリジナル車両、2両目はJR(国鉄)からやって来たキハ40である。

@1両目

 写真を撮ってから、2両目に乗り込んだ。というのも、こちらの車両はクロスシートであり、外を眺めやすいからである。
 7時11分に五井を出発。昨晩と同じ景色であるが、昼間であるため雰囲気はやはり異なっている。昨晩折り返した上総牛久も過ぎ、里見には7時55分に到着した。登録有形文化財でもある駅舎であり、趣がある。

@駅舎

 さて、わざわざ里見までやって来たのは、駅を見るためではない。ここから歩ける距離に、里見砂利山線(旧万田野線)の跡があるという情報があったからである。
 取り急ぎそれを探しに向かったが、とにかく見つからない。かなり行き過ぎたり、脇道に迷ったりしたが、実際は駅からそれほど遠くない場所にあった(道路から少し離れており、さらに一段低い場所にあり、そして季節柄草生していたため、見つけにくかったようである)。

@スマホを駆使して発見

 駅に戻り、9時00分発の列車で五井へと戻った。9時55分到着。
 「かずさ号」の出発までまだ1時間以上もあるため、JAの売店まで歩いていって地場産の野菜を買ったりして時間を潰して、駅へと戻ってきた。
 11時過ぎにホームに入り、待つことしばし、「かずさ号」が入線してきた。緑色のキハ40を期待していたが、今朝乗ったのと同じ編成(2両目のみオレンジ色のキハ40)であった。

@残念

 朝の列車と同じ編成であるが、ガラガラであった朝とは違って、各ボックスに1〜2人は座っている人がいる。1両目のロングシート車両にも、それなりの乗客がいるようであった。
 定刻の11時20分に出発。今朝見たのとまったく同じ景色の繰り返しである。
 しばらくして、今朝散策したばかりの里見に到着した。ここでしばし停車となり、昨晩乗ったばかりのトロッコ車両と行き違った。

@昼間は普通のトロッコ

 12時11分、里見を出発した。ここから先は今回の旅行では初めての区間となるが、それよりも楽しみなのは車内販売である(この駅で駅弁等が積み込まれる)。売りに来たので、早速それを購入した。肉も魚もないシンプルな内容であるが、二日酔いの私には丁度良い内容である。ブルーベリー大福が印象的であった。

@里山弁当

 この小湊鉄道は、終着駅の上総中野で接続する「いすみ鉄道」と同様に菜の花+列車の撮影で有名であり、養老渓谷の近くに撮影者がたくさん集まるスポットがある。今は菜の花の季節ではないが、小さいヒマワリが満開であり、やはり撮影者で賑わっていた。

@車内より

 弁当も平らげ、12時40分に終着の上総中野に到着した。ここで10分後に折り返し、後は帰るだけである。
 また早い時間帯であるため、最初は「チバニアンでも行こうか」と思っていたが、今日の夕方にワクチン4回目が受けられることになり、そちらに予定変更したのである。よってこの後は、ひたすら帰ってワクチン接種をして、最寄りのドラッグストアで千葉県民割のクーポン(2,000円)を消化するだけである。

@上総中野駅にて(いすみ鉄道も到着)

【後日談】
 旅行記をアップして数日経過してから、私の携帯が鳴った。知らない番号なので出てみると、小湊鉄道の社員の方であるという。その方は、私の旅行記をブックマークしてくれているということで、今回の私の失態(酔い過ぎてお土産をどこかに放置)を読んで、なんと自腹で再送付してくれるということであった。最初は「それは申し訳ないので」と断ろうとしたが、その反面ジビエのハンバーグやカレーにも惹かれている部分もあるため、最終的にはご厚意に甘えることにした。品物の再手配にしばらく時間を要するということであったが、8月の末にクール宅急便が届いた。
 届いたのは品物だけであり、相手の連絡先(メールアドレス等)も分からないため、この場をお借りして御例を申し上げたい。小湊鉄道で別のイベントが実施されることがあれば、これはもう再訪必須である。

@本当にありがとうございました

 

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