【大人鐡36】JR西日本「etSETOra」「La Malle de Bois」編(おまけで明知鉄道も)

■はじめに
 今回の対象となる観光列車は表題にある2つであり、それぞれカタカナで表記すると「エトセトラ」と「ラ・マル・ド・ボァ」である(タイプするのが面倒なので、旅行記内ではカナ表記にしたい)。エトセトラについては以前から乗車計画を練っていたが、とある日、旅行会社の日帰りツアー(新大阪発着)でラ・マル・ド・ボァにも乗車するプランを発見してしまった。料金は19,000であり、最初は「高いのかな」と思ったが、これには岡山まで(往路ひかり)と広島から(復路のぞみ)の新幹線も含まれている。2つの観光列車(いずれも扱いは「普通車グリーン指定席」)も含めて定額を計算すると21,410円になるし、さらに昼食(1,650円)とエトセトラ車内での焼き菓子(2,000円)も付いてくるので、個人手配よりも安いくらいである(もちろん、個人手配であれば広島から東京まで飛行機で戻るようにして安くすることも可能であるが)。いずれにしても、観光列車の切符手配の手間が省けるため、これに申し込むことにした。
 ちなみに、ツアーを主催しているのは日本旅行である。私は基本的に自己手配で旅行会社はほとんど使わないが(高くなるため)、ここの会社については過去にもよく使っている。申し込み履歴を見ても、「いすみ酒BAR列車」「ながまれ海峡号」「うみやまむすび」乗車時に、ここのツアーを利用している(申し込み形態は違うが、WEST EXPRESS銀河でもお世話になっている)。
 なお、日帰りツアーが開催されるのは日曜日である。よって土曜日は新大阪まで移動すればいいだけであるが、それでは面白くない。そこで、関西へ移動する途中に立ち寄れる観光列車として探したのが、明知鉄道の「食堂車」として運転される「おばあちゃんのお弁当列車」である。フリー切符が付いて、たったの2,500円。食事付き観光列車としては、格安の部類に入る。
 実は同日同時間に「寒天列車」(5,000円)も運転される。そちらは寒天料理の三段重であり、明らかにブログ映えするが(ネットでもたくさんの紹介記事がある)、お弁当列車の方が素朴であるし酒に合いそうであるので、敢えてこちらを選んでいる(なお、いずれの観光列車も催行人数に達しなければ連結されない)。
 明知鉄道の食堂車については、昨年の1月に「じねんじょ列車」に乗車済みである。なお3か月前、長良川鉄道に乗るついでに明知鉄道の「枡酒列車」も予約していたが、コロナによる「まん防」で運転が中止に。ということで、今回が2回目の「食堂車」への乗車である。

@倉敷駅にて

■2022.5.28
 「お弁当列車」の出発は恵那発12時25分である。新幹線を使って名古屋経由でアクセスするのが楽であるが、調べてみると中央道経由の名古屋行高速バスが恵那インターを経由し、到着が11時22分である(インターから恵那駅までは徒歩で20分程度)。しかも、ネット決済すれば5,000円を切る安さ。これは、使わない手はない。
 最寄駅で始発に乗り、JRに乗り継いで新宿へ。バスタ新宿から6時30分発の名古屋行に乗り込んだ。
 東名経由の高速バスは景色が楽しめないが、中央道経由は諏訪湖や南アルプスなど、見所が多い。

@東名にはない感じ

 景色が奇麗なのは良かったが、運悪く途中で事故渋滞が2つもあり、恵那インター到着は定刻より43分も遅れた12時05分であった。恵那駅まで急いで歩けば観光列車の出発に間に合うが、それでは忙しすぎる(ゆっくり酒を買う時間もない)ので、恵那峡SAでの休憩時にタクシー会社に電話をして配車を手配してある。
 インターで下車後、そのタクシーで恵那駅へ移動。高速バス乗り継ぎ(1割引)というのがあり、配車料金を含めても800円ちょっとであった。
 コンビニで酒などを買ってから明知鉄道の改札へ行き、一日乗車券を受け取って早速乗車である。

@寒天列車がメイン

 今日は3両編成であり、先頭が普通の旅客列車、2両目が寒天列車、3両目(寒天列車のヘッドマークが付いている車両)がおばあちゃんのお弁当列車である。
 早速、最後尾の車内へ。なお座席位置の詳細については、駅改札口近くの掲示板に貼ってある。私の席は一番端であり、すでにお弁当とお茶が置いてあった。

@お品書きあり(左に写っているのは一日乗車券)

 まだ動き出していないが、乗車時間が短いため早速頂くことにする。持ち込みは自由であるため、ビール(のぞみ30周年デザイン)や名古屋っぽいツマミなど、一式を並べてみた。
 素朴な煮物や天ぷらなど、それぞれ量は少しずつであるが、優しい味の料理ばかりである。

@今日のお昼セット

 定刻の12時25分を過ぎたが、まだ2名ほど集まっていないということで、出発は遅れるとのことであった。運行ダイヤが詰まっている都会の鉄道会社ではありえないが、1時間に1本程度しかないここでは、問題ないのであろう。
 結局、動き出したのは12時34分であった。これならタクシーに乗らなくても充分に間に合う時間であったが、もちろん結果論である。
 最後尾の車内(お弁当列車)には15人ほどの乗客がいる。実は私が申し込んだ時点で2名しかいなくて催行が危ぶまれており、その時点で催行が決定していた寒天列車に後日変更していたのである。しかし、料金(5,000円)を振り込んだ翌日に電話があり「お弁当列車も運行されるようになりました」とのこと。ということで、今日は窓口で差額2,500円を返金してもらっているのである。

@無事にこちらも運行されました

 車内では、あれこれと観光アナウンスがされている。前回乗車時とは係員が違うため、新たに知る情報もあったりした(シクラメンのことなど)。
 のんびりとした景色の中を走り続け、弁当一式も奇麗になくなり、終着の明智には結局定刻の13時19分に到着した。

@各種ヘッドマーク

 折り返しの列車は13時59分発であるため、ほろ酔い状態でしばし駅付近を散策。駅に戻ってからは、乗車前に一仕事ある。それは、「鉄印マイスター特典」の受領である。明知鉄道に乗ることにした目的として、実はこれも含まれていた。
 事前に電話連絡が必要ということで、今週の初めに電話をしてある。窓口でマイスターカードを見せて、無事に受領した。

@一式

 酒の影響もあって、復路の大部分は居眠り。14時49分に恵那に到着し、京都までの切符を買って15時03分発の名古屋行に乗り込んだ。
 名古屋到着後は米原行に乗り、米原からは新快速に乗って京都へ。今日は新大阪までは移動せず、京都駅近くにある安ホテルに投宿である。

■2022.5.29
 JRで新大阪へ向かい、1階の指定された場所で手続きをした。切符だけ渡されてしばし自由行動となり、程良い時間にホームへと向かった。乗るべき新幹線は、8時44分発の「ひかり」である。空いているため、ツアー一行が固まることなく、それぞれ窓側に座れるようになっていた。
 出発すると、記念品があれこれと配られた。

@一式その2

 9時51分に岡山に到着し、改札を通って在来線乗り場へと向かった。団体であるため指定券はなく、座席番号を記載した手書きのカードを渡されている。
 ラ・マル・ド・ボァが出発するのは岡山駅の5番線であり、6番線の先の奥まった場所にある。そこに近づくと、ラ・マル・ド・ボァ専用の自転車スペースなどが見えてきた。

@ほぼ専用ホームみたい

 10時を過ぎてしばらくすると、2両編成のラ・マル・ド・ボァが入線してきた。なお、この列車は運行日によって行先と名称が変わり、それぞれ「ラ・マルしまなみ」「ラ・マルせとうち」「ラ・マル備前長船」「ラ・マルことひら」となっている。今日は三原行(通常は尾道行であるが、季節限定で三原まで延長)の「ラ・マルしまなみ」であるが、ヘッドマークも個別の物であった。

@それぞれ別

 ドアが開いたので、早速車内へと入って行った。車内は通常の席以外にもカウンター席が設置されており、お1人様である私はカウンター席であった。
 カウンターの上には本棚があって自転車や地元沿線に関連する書籍があるが、これはあくまで展示用である。気になる本があっても、手に取ることはできない(落ちないように固定されている)。

@このような車内

 車内にはそれ以外にも、展示用自転車や、鉄道をモチーフにした美術品、パラパラ漫画風の絵本、地元紹介のお手製パンフレットなど、様々なものが展示されていた。

@一例

 ホーム上にあった大きなベルが鳴らされて、定刻の10時11分に岡山を出発した。出発してしまえばいつもの山陽本線であるが、今日は観光アナウンスがあるのがいつもと違う点である。しばらくして倉敷に到着したが(表紙写真)、ここで10分以上も停車するという。その間に、貨物列車に追い抜かれていった。
 同駅出発後も、「いつもの山陽本線」である。しかし、各駅をどんどん通過していくので、特急列車に乗っているような感覚になる(山陽本線の在来線特急は消えて久しい)。
 そうは言っても、ネタ不足である。ということで、カウンターに行って白桃のチューハイを買ってしまった。

@タグを付けてくれた

 平凡な景色の連続であるが、尾道が近付くとやっと少しだけ海が見えてくる(列車もスロー運行となる)。唯一の見所であろうか(なお、景色優先で乗車するのであれば、「ラ・マルことひら」辺りが良いのかもしれない)。

@このルートのベストショット?

 11時42分、尾道に到着した。上述した通り今日は三原まで延長運行される日であるが、ツアー一行はここで下車して昼食と観光となる。
 駅から20分ほど歩いて、ツアーに組み込まれている店へ行って昼食を頂いた。普通の弁当であるが、ツアーに付いてくるものと思えば豪華でもある(刺身もあるし)。

@美味しく頂く

 食べ終わった時点で12時20分過ぎであり、集合時間(14時20分)まで2時間程度ある。ということで、ここからは徒歩観光である。天気は良いが、良すぎて(真夏日)暑すぎるくらいである。
 必死になって西国寺まで行き、その後は有名な千光寺へ。尾道観光の写真は多くの人が紹介しているのでここでは不要とは思うが、せっかく天気が良かったので1葉だけ紹介したい。

@千光寺より

 お寺巡りをするとは思っていなかったので(予習不足)、御朱印帳を持ってくるのを忘れてしまった。しかし、家に置いてきた御朱印帳の残り(記帳できるスペース)が3〜4か所分しかなかった記憶があるため、次の御朱印帳も買ってしまうことにした。伝統的なデザインがたくさんある中、あえて尾道を現代風デザインで表現しているものを購入。

@こんな意匠

 猛暑の中歩いて下山して、知る人ぞ知る「千光寺前踏切」で撮影などをして、商店街にある旧商業会議所などを見学して、14時過ぎに尾道駅に戻って来た。暑かっただけでなく、ちょっとした登山状態であったため、くたくたである。
 さて、続いてはエトセトラへの乗車である。全席指定であることなどを注意している駅アナウンスによると、今日はもう満席であるとのこと。
 14時35分頃、2両編成のディーゼルカーが入線してきた。

@土台となっている車両は古い

 ドアが開いたので、今回も真っ先に車内へ(他の乗客が座り始めると車内の撮影がやり難くなるため)。向かい合いの席とカウンター席があるが、私の席は残念ながらカウンター席ではなく、しかも通路側であった。しかし、そこからでも外は見えるし(手を伸ばせば撮影もできる)、進行方向とは逆ではない席であったため、まだマシであろう。

@こういう車内

 定刻の14時38分、尾道を出発した。ホーム上では、駅員数人がお見送りである。しばらくすると、左手には瀬戸内海が広がっていく。
 ここで、ツアーに組み込まれている焼き菓子が配付された。エトセトラの復路(広島行)では2種類のお菓子(チョコレートか焼き菓子)が別売りで予約販売されており、もし私が個人手配で乗っていればチョコレートを選択したであろうが、ツアーでは選ぶことができなかった。しかし、これはこれで手が込んでいて美しい。

@持って帰ることに

 しばらくして三原に到着し、同駅を14時54分に出発した。ここからは山陽本線から外れて呉線を走行することになる。特に前半は、海が見える場所が多い。
 ということで、バーカウンターに行ってオリジナルカクテルを注文した。これをちびちび呑みながら、島や海を眺めるためである。

@ジンベースのカクテル

 乗車した時点で席上にはコースターとお手拭きが置かれていたが、しばらくして車掌が乗車記念証を配布し始めた。開くと中に切符を挟める仕様になっているが、残念ながらツアーであるため切符は持っていない。ということで、単体でのお持ち帰りである。

@記念に

 忠海の手前付近では路盤が海際すれすれを走る部分があるため、ここで列車はスロー走行となり、そして停車した。呉線は何度も乗っているが、ここで停車するのはもちろん初めてである。

@敢えて窓越しで撮影

 景勝区間を過ぎた後は、アルコールとプチ登山による疲労の影響で、少しウトウトと。目を覚ますともう海が見えない区間であったため、先頭部分に行って小さい窓から前方を眺め続けた。運転手の横にある時刻表によれば安浦時点では5分ほど遅れていたが、仁方で回復した。呉線は単線であるため、定刻運行できるか否かは行き違いの列車次第である。

@仁方駅に接近

 定刻の16時37分に呉を出発すると、対向列車との行き違いのため何度も運転停車を繰り返して、終着の広島には17時35分に到着した。これで、観光列車の旅は終了である。
 新大阪行の「のぞみ」は18時22分発であるためしばし自由時間があり、再集合してから件の列車で新大阪に向かった。19時43分到着。
 さて、このまま家路に就いても辿り着くのは23時半を過ぎてしまうため、今日は新大阪駅近くにある激安ホテルに泊まって、明日の朝6時半過ぎの新幹線に乗って「通勤」することにしている。

@尾道商店街の店の棚にいた猫(売り物ではありません)

 

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