【大人鐡35】JR東日本「なごみ(和)」編

■はじめに
 このシリーズでは「食事付き観光列車」に乗ることにしているが、今回乗車する列車は少し趣が異なる。たいていは、鉄道会社が観光列車専用の車両(改造車両が多い)を定期的に運行させ、その車内でコース料理や弁当を提供するものが多いが、今回乗車する車両は、そもそもの製造目的は観光用ではなくて、所謂「お召し列車」(天皇陛下が乗車されるもの)なのである。ただし、お召し列車として運行される頻度はほとんどないため、時折観光列車としてツアーが組まれるものである。JR東日本の「びゅう」で今回のツアーを発見し、「いつもの趣旨とは違うが、特製弁当も付いているし、無理矢理このシリーズに入れてしまおう」と思った次第である。往路に「なごみ」に乗って福島まで行き、花見山や三春滝桜を観光バスで巡り、郡山から新幹線で戻ってくる日帰りツアーである。
 なお、そういう特別な車両を使っていることもあり、ツアー代は日帰りでも3万円程度、宿泊となると6万円程度となるものが多い(今回の日帰りツアーも、33,000円)。しかし、福島まで普通に移動すれば片道1万円弱するし、現地で観光バスを使ったツアーもあるし、弁当も付くことを考えると、言うほど法外な値段ではないであろう。

@上野駅にて

■2022.4.9
 ツアーの出発地は上野駅である。最寄駅から移動して定期券の範囲内である浅草で下車して、朝の散歩も兼ねて25分ほど歩いて上野駅に向かった。
 上野ではいつもは不忍口などを利用しているが、たぶん初めて使う入谷口付近で受付を済ませた。首から下げる名札のようなもので、座席が指定されている。

@一式

 車内販売はないということであったため構内のコンビニで飲み物などを買い揃え、しばし時間調整をしてから14番線へと向かった。案内によると入線時刻は7時50分ということであったが、それより若干早く入線してきた。

@お出まし

 反対側にも行って撮影などをしていたが、ドアが開いたので真っ先に車内に入った(乗客が多くなると撮影がし難くなるため)。編成は5両で、すべてグリーン車であるが、3号車はVIPルーム+VIPシートとなっている。まずは、私の座席がある4号車である。

@落ち着いた車内

 自席であるが、幸いにも1人席であった(相席・通路側席は回避)。内装の詳細については他所様の丁寧なサイトにお任せするが、あまり運行されない車両であるため「使用感」がなく、2008年運行開始の割には新車のようである。

@個人用電源もあり

 早々に荷物を置き、他の車両の見学である。3号車のVIPルームは中の様子を見ることができないが、VIPシートは覗くことができた。わずか9席だけであるが、シートピッチなどは他のグリーン席と同じのようである。

@革張り

 通路の意匠も非常に丁寧であり、足元にもライトがあったりする。
 なお、天皇陛下が乗車される際は、これらとは別の中間車両が連結されることとなる。グリーン席などは、お付きの人などが座るのであろう。

@高級感あり

 一通りの探索を終えてから、自席に戻った。
 網棚はなく、飛行機のような荷物入れが頭上にある。なお、今日は日帰り+絶対に雨は降らないから雨具は不要ということでかなりの軽装で来ており、それを使用することはなかった。
 このシートには、デビュー時には飛行機のような「個人用画面」があったが、古くなったため撤去されている。その代わりにスマホで利用できるコンテンツがあるとの案内があったが、残念ながら接続できなかった。

@ソフト不調?

 定刻の8時03分、上野を出発した。上野駅の頭端式ホーム(13〜17番線)から長距離列車で出発できる経験は、今となっては貴重であるため、感慨一入である。大昔に、「八甲田」などで出発した時のことを思い出した。
 なお、受付時にもらった案内紙の後ろには、各駅の停車時刻や通過時刻が詳細に記載されている。

@今日の時刻表

 最初の停車駅が大宮で、次が宇都宮。このパターンは、往年の東北本線の特急(「はつかり」など)と同じであり、うれしい限りである。東北新幹線は私が中学1年の時に開業したが、その時私は宇都宮に住んでいた。新幹線の駅一覧を見て、「なんで急行しか止まらない小山に新幹線が?」などと不思議に思った記憶がある(大人であれば、交通の要所である小山が重要であることが理解できるが)。
 さて、「花より団子」ということで、まだ日暮里だというのに一献の開始である。

@福島らしいもの皆無(酒はこれ以外も買っている)

 尾久の操車場では、寝台カシオペアの車両が係留されているのが見えた。「びゅう」のツアーではこのカシオペアに乗車できるものもあるが、1泊2日で13万円くらいもするため、なかなか手が出ない。しかし、ぼやぼやしているうちに「廃車決定→大人気になりツアーが取れなくなる」なんて可能性もあるので、やはり乗るべきかどうか悩んでいる(せめて10万円以下になれば)。

@高嶺の花

 8時30分、定刻より2分遅れで大宮に到着した。同駅をすぐに出発。
 大宮から先の東北本線を各駅停車以外で乗車するのは、実はかなり久々である。先述した通り中学時分には新幹線が開通しており、在来線特急に乗る機会がなかったのである。小学6年の修学旅行で、宇都宮以北に乗ったくらいであろうか。
 なお、このツアーを「びゅう」で探した際に、「リバイバルひばり」という企画で常磐線を乗り通すものがあった。しかし、常磐線は通常でも特急「ひたち」があるため、正直珍しくはない。「そんなものより、リバイバル“はつかり”を」などと思ったりした(「はつかり」であれば、そちらも申し込んだかもしれない)。
 しばらくして、特製弁当が配布された。

@今日のための表紙

 ご飯もの以外に、ツマミになりそうな惣菜もちらほらとある。上野のコンビニで買ったサラミ等はバッグの中に片づけて、こちらで呑み続けることにした。

@中身はこんな感じ

 臨時列車であり、定期列車の合間を縫って走るダイヤであるため、スピードはあまり出せないようである。上野から宇都宮までの所要時間が1時間43分となっているが、往年の在来線特急であれば1時間20分を切っていたはずである。
 アルコールの影響もあり少しウトウトとして、ふと目を覚ますとその宇都宮であった。
 9時47分に宇都宮を出発。東京ではかなり散っている桜も、この辺りはまだ満開である。
 続いての停車駅は黒磯で、10時26分着。ホームに降りられるということなので、早速撮影タイムである。

@黒磯駅にて

 同駅を10時36分に出発し、郡山で少しだけ停車し、福島には定刻から2分遅れの12時10分に到着した。この列車はこの先仙台まで行くが、福島で下車するツアーの人はここまでである。なお、名札が色分けされており、仙台まで行くツアー、福島まで行くツアー(宿泊)、同じく福島まで(日帰り)などの区分である。

@お出迎えあり

 添乗員に誘導されて移動し、改札口でエコバッグを頂き、バス乗り場へと移動した。ここからはJRバス(観光バス)での移動である。

@「びゅう」ですから

 15分ほどバスに揺られて、まずは花見山である。シャトルバス乗り場は大混雑であったが、こういう場合はツアーの方が楽々である。
 今日は天気も良く、桜も満開であり、訪問するには最適の日であった。写真を何葉か紹介したい。

@菜の花も綺麗


@頂上から


@山から下りても綺麗

 それにしても、暑いくらいの天候である。25度を超えるということで、首元は汗だくになってしまった。しかも、欲張って「60分コース」を歩いたのだが、意外にサクサクと進んでしまい、30分ちょいで歩いてしまった。60分というのは、ゆっくり見学する時間も含めたものであろう。
 お茶などはすべてバス車内に置いてきてしまったが、売店でソフトクリームを発見。これは買わないわけにはいかない。

@福島ですから(酪王カフェオレ)

 まだ集合時間まで余裕があるため、他の売店などを物色。地元のキュウリと「行者ニンニク味噌」を買ったが、後者は大当たりであった(帰宅後に厚揚げに乗せて頂いた)。
 バスに戻り、一般道+高速道路経由で三春の滝桜へ。昨日(4月9日)に開花宣言があったばかりであり、期待はできないが、今日の暑さで少しでも花弁が開いていることを願うばかりである。
 しかし残念ながら、1分も咲いていなかった。

@無念

 開いている花弁も、まだまだ数えられる程度である。満開までは、あと数日(1週間弱)必要であろう。そのうち、再訪したいと思う。
 その後はバスで郡山駅まで移動し、新幹線で戻るだけである。満開時は大渋滞となるため余裕のある時刻設定であったが、今日は桜が上述の状態で渋滞皆無であったため、郡山駅で50分くらいの空き時間ができてしまった。自由席なら早めに帰ることができるが、ツアーの指定席なのでそれまで待たなければならない。

@自動改札は通れません

 

■ 鐡旅のメニューへ戻る

 「仮営業中」の表紙へ戻る

inserted by FC2 system