【大人鐡32】伊豆急行「ROYAL EXPRESS」・富士急行「富士山ビュー特急」編

■はじめに
 食事付き観光列車に乗車する「大人鐡」シリーズであるが、今回は「ROYAL EXPRESS」と「富士山ビュー特急」である。ROYAL EXPRESSについては、車両自体の所有・運行は東急電鉄であるが、走行する区間から判断して、あえて伊豆急行と記載している(伊豆急も「東急グループ」であるから問題ないだろう)。
 これまで数多くの観光列車に乗ってきたが、ROYAL EXPRESSは、その値段や内容からしてラスボス的な存在である。実は昨年の3月に乗車する予定であったが、緊急事態宣言により運休に。その後5月の便に変更してもらったが、この時はコロナの影響で(神奈川県の「まん延防止」により)「アルコールの提供なし」となってしまった。オペレーターの方は「より多種類のノンアルコールを用意しますので」ということであったが、この列車の売りは「アルコールも含めてすべてフリードリンク」であるため、仕方なくキャンセルすることとした。そして今回、やっと乗車にたどり着いたのである。
 と思っていたところ、またしても「まん延防止」である(神奈川県も対象)。「またキャンセルか」と思ったが、運行会社もあれこれと善後策を考えたようで、「アルコールの提供は伊豆急下田から熱海までに限らせていただきます」とのメールが来た(つまり静岡県内)。これなら時間的にも余裕がある。ということで、めでたく乗車できることとなった。食事付き乗車プラン(飲み物込み)で、39,000円也。

 2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出された際、すべての観光列車は運休となった。翌5月に宣言が解除され、早いところでは6月くらいから観光列車の運行が再開されたため、私もこの「大人鐡」シリーズを再開している。
 しかし、富士急行は頑なに運行再開をしなかった。「富士山ビュー特急」自体は運行されるようになったが、スイーツプランに関しては「コロナのため運休」が続いていた。1年半以上が過ぎ、昨年の12月になってやっとスイーツプランが再開されたので、早速申し込んでおいた。こちらは、本当に待ちに待ったという感じである。スイーツ数種とドリンクが付いて、4,500円也。

@伊豆稲取駅にて

■2022.1.23
 前回の大人鐡で山形鉄道のプレミアムワイン列車に乗り、そのまま赤湯温泉に泊っているため、今日はここから出発である。
 6時過ぎにチェックアウトして、凍った道をゆっくり歩いて赤湯駅へ。7時01分の各駅停車に乗って米沢まで移動した。ここで新幹線に乗り換えである。
 米沢といえば駅弁で有名であるが、まだ朝の7時半頃である。しかし、もう売店に駅弁が並んでいるではないか。「牛肉どまん中」自体は何度も買ったことがあるのでどうしようかと思っていたところ、その横に2,000円のプレミアム版が置いてある。大人鐡シリーズでは、時折「大人グルメ」としてお高い料理を頂いているが、その一環として買ってみることにした。
 ついでに隣接するコンビニで米沢牛のサラミや地酒などを買い、7時38分発の「つばさ」に乗り込んでからは、すぐに一献である。

@朝から

 通常版の「どまん中」は細かい肉中心であるが、こちらは大きめの薄切り肉であった。板谷峠の綺麗な景色を見ながら、朝から豪華な弁当を頂くのは至極の時間である。
 アルコールの影響もあって福島以降はウトウトしたりして、大宮で在来線に乗り換えて、新宿からは特急「かいじ」に乗り換えて、11時28分に大月に到着した。
 印刷してきた予約表を見せて改札内へ。まだ車内には入れないが、富士山ビュー特急はすでに入線していた。

@元はJR車両(の改造)

 3両編成であり、先頭の1号車がスイーツプランも利用できる特別車両である。しばらくしてドアが開いたので、1号車内へと入っていった。予約時点では席番は不明であるため、係員に案内されて自席に向かった。特別車両には1人席も一部あるが、今日の私の席は2人席であった。すでにスイーツもセットされている。

@今日の席

 元はJR(と小田急)の特急「あさぎり」の車両であったが、内装は当時からはかなり変わっている。展望車にもなっているので、見晴らしは良い。特に一番先頭の部分は、グループ利用もできるようなデザインであり、他の観光列車では見られない意匠である(今日の利用客がいないのは、コロナ対策であろうか)。

@こんな内装

 定刻の11時48分、大月を出発した。すぐにJRの路盤から離れ、富士急の路盤上をゆっくりと走って行った。特急なので通過駅が多いが、速度はかなりゆっくりである。
 早速、箱に入っていたスイーツを外に出してみた。最初の飲み物は、ホットコーヒーを注文してある。

@かわいい

 車内では、観光アナウンスも流れている。しばらくすると、以前に資料館等を訪問したことがあるリニア実験線が見えてきた。

@沿線の観光要素でもある

 なお小さい紙袋の中には、お持ち帰り用のスイーツが入っている(もちろん、車内で食べても良い)。お代わりのオレンジジュースを注文して、それも撮影である(こちらのスイーツは持ち帰ることにした)。

@持ち帰り

 左手に富士山が見えるスポットもあり、スロー走行する場面もあった。
 富士山駅でスイッチバックをして、終着の河口湖には12時37分に到着した。大月から河口湖まで、乗車券+特急券+特別車両券で約2,500円であるから、スイーツ代としては2,000円くらいの感じであろうか(そう考えると普通であるが、私は富士急の特急も乗れる「大人の休日倶楽部パス」を持っているので、こういう場合は割高感が出てしまう)。
 特にすることもないので、13時11分の富士山ビュー特急で戻ることにしている。少し早めに駅に戻り、自由席(3号車)の乗車口に並んだ。というのも、復路では3号車の先頭が展望席になるからである。

@こんな感じに

 復路でも、同様に観光アナウンスがあった。今日は残念な曇り空であったが、かえって曇りであるからこそ、逆光にならない富士山の写真を収めることもできた。

@太陽と富士山

 大月まで行き、14時06分発の「かいじ」で新宿へ。そこからは各駅停車に乗り継いで熱海へと向かった(17時12分着)。翌日に乗車する「ROYAL EXPRESS」は伊豆急下田発であるが、今日は熱海に宿泊して、明日の朝に往復することにしている。
 安宿にチェックインし、安食材で一献してから就寝。

■2022.1.24
 そもそも「大人の休日倶楽部パス」を買うに至ったのは、ROYAL EXPRESSに乗るために伊豆急下田まで移動する必要があり、「定額で伊豆急下田までの切符を買うのはもったいないな」という考えに始まった。そこでパスを利用することを思い付き、結果的には金土日月と4種の観光列車に乗ることになったのである。
 今日はJR伊東線からであるが、車両は伊豆急である。

@伊豆急から

 7時56分に熱海を出発し、途中の伊東で乗り換えて伊豆急下田へ(9時20分着)。左手には伊豆諸島が見えていたが、今日も残念な曇り空である。
 受付までまだ時間があるため、駅付近を歩いてから駅に戻ってきた。駅構内にはROYAL EXPRESS風の待合室もあるが、今日の乗客は、クルーズプラン(宿泊プラン)と食事付き乗車プラン(プラチナクラスのみ)を合わせても人数が限られるため、ガラガラである。

@人皆無

 改札にいた係員に名前を告げてホームに入り、すでに入線している列車内へと案内された。まずは2号車内で、受付である。注意事項等の説明を受けたりするが、係員もかなりきちんとした身なりであり、私も「もうちょっと良い服(せめて襟付き)を着てくれば良かったかな」と思うくらいであった。

@内装

 健康チェックシートなどを提出してから、自席へと案内された。今日の私の席は6号車の左側、2人席である。海側ではないが、海の景色は今朝見たばかりであるし、それに曇り空でもあるし、どうしても海側を見たい場合は席を立てばいいだけのことである。

@6号車

 席に着くと、号車の担当者からの挨拶があった。ご時世を反映して、ミニ消毒液やマスクケースが配られたので、受付時にもらったバッジ(乗車時は身に着けておく)や記念乗車券とともに撮影してみる。

@一式

 出発時刻までまだ時間があるため、車内探索である。今日は5・6号車にしか乗客はいないようである。各号車には様々な展示物があるが、それらについての詳細な紹介は他所様の丁寧なサイトにお任せしたい。
 先頭(8号車)まで行ってみたが、横向きに座席があり書籍などが置いてある。私は貧乏性なので、「ここに座って駅弁と缶ビールでもいいな」と思うが、今日は豪華コース料理である。

@ここも「あり」か

 3号車(マルチカー)では、静岡市の駿河塗下駄と小田原市の寄木細工が展示されている。展示だけではなくて購入もできるが、安いものは数千円、高いものは十数万円と、なかなかの高価格である(もちろん、私は見るだけ)。

@高い

 自席に戻りしばらくすると、ウェルカムドリンクがやってきた。せっかくなので、その場で最初の飲み物を注文。もちろん、「伊豆エール」である。グラスにも列車のマークが印字されており、高級感がある。

@出発前から呑む

 まだ動き出していないが、バイオリニストから自己紹介があったり、列車責任者から挨拶があったりするなど、なんだか高級レストランにでも来た気分である(やっぱりもう少し良い服を着てくるべきであったか)。
 10時27分、気のせいか1分早発で出発した(旅客列車ではないため、予約者が揃えば大丈夫なのであろう)。なお、この時点ですでに次の飲み物(スパークリングワイン)が私の机上にある。私の場合はこういう飲み方なので、やはり「アルコールなし」は無理であろう。

@ひたすら呑む

 グラスだけでなく、コースターも列車オリジナルである。ゴム製の、かなりしっかりした作りである。
 10時45分、伊豆稲取に到着した。ここで10分ほどの停車である。ホーム上では地元の人々のお見送りがあり、バイオリンのミニコンサートもホーム上で行われた。それが終わって席に戻ると、地元からのお土産が置かれていた。「吊るしびな」などである。

@一式

 伊豆稲取を出発すると、右手には海が広がり始めた。白ワインを注文してそれを飲みながら外を眺めていると、車内ではピアノ演奏が始まった(5〜7号車にはそれぞれピアノが備え付けられており、ピアノ奏者も同乗している)。曇り空であるのは少し残念であるが、優雅なひと時である。

@伊豆諸島

 11時10分頃に、メニューが配られて、席上にもカトラリーが置かれた。最初に配膳されたのは、前菜である。メニューには「林檎」とあり、ぱっと見はリンゴがそのまま置いてあるが、実は中身が空洞になっており、リンゴを持ち上げると中に前菜料理が入っているのである。

@リンゴを外した後

 この時点から、飲み物は日本酒にスイッチである。
 車内では、バイオリンの生演奏が始まっている。揺れる車内であることを除けば、料理やシチュエーションは、もう高級レストランのそれである。
 日本酒をすすりながら演奏を聴いていると、次にやってきたのは澄まし汁である。

@これも日本酒か

 その次にやってくるのは魚料理(金目鯛)であるので、次はビールかな、などと考えていると、係員から「まもなく熱海ですので、アルコールの最後の注文を」と案内があった。複数でもいいということなので、ビールと日本酒を注文。もちろん、静岡と神奈川の県境までにきっちり飲み終える保証はないが、そのあたりは大目に見てくれるのであろう。

@金目鯛

 熱海出発後は、コース料理の続きである。「ねぎそば」が出てきて、最後はデザート(ベイクドフロマージュ)と飲み物(コーヒーを注文)である。そして、お土産として富士山型のお菓子が配られた。

@まとめて紹介

 ちょっと呑み過ぎてヘロヘロ状態になって、13時20分に横浜に到着した。下車後は改札まで案内され、そこで終了である(ちょっとあっけない感じもするので、下車後30分でもいいので、ROYAL EXPRESS専用の待合室に案内してもいいのでは、と提案してみる)。

 もうこの先は急ぐ必要がないので、別のホームに行って撮影をしたり、回送となって出発する様子を動画に撮ったりして、短いながらも豪華で非日常的な時間は終了である。

@お疲れさまでした

 

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