【大人鐡B】肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」編

■はじめに
 今回の大人鐡は、表題にある通り肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」である。昨今は食事付きの観光列車ブームであり、テレビの特集などでもよく取り上げられているが、その多くは「しなの鉄道」の「ろくもん」などである(関東から近いからテレビ局が行きやすい、というのもあるだろうが)。しかし、豪華な食事付き列車の嚆矢・先駆的存在といえば、やはりこの「おれんじ食堂」(2013年運転開始)なのである。
 上述した通り九州の果てであるため首都圏メディアに取り上げられることも少なく、また後発の観光列車の方が豪華絢爛なデザイン(同じ「水戸岡デザイン」であっても、個室にしたりあれこれ凝ったり)をしており、今となっては若干地味な感じすらするが、やはり「王道」でもある。
 おれんじ食堂で一番有名なのはランチのコースであるが、お値段も21,000円となかなかの高値である。しかし、この「大人鐡」シリーズではケチケチしないことを前提としているため、いったん予約のボタンをクリックしそうになったが、どうしても夕方の「イブニング」コースが気になってしまう。通常「昼は食べない」「休肝日はない」私にとって、ランチの豪華さよりも、酒に合いそうなメニューの方が気になってならない。結局、イブニングにすることとした(こちらにしても11,000円であり、安くはない)。

@出水駅にて

■2020.1.18
 8時15分の便で鹿児島へ飛び、10時過ぎに到着。いつも通りのパターンで鹿児島市内行のバスには乗らず、10時25分の隼人駅行バスに乗り、嘉例川駅で下車した。
 さて、この駅で有名なのは駅弁「百年の旅物語かれい川」である。過去に3回ほど食べたことがあるが、実は数年前から「花の待つ駅かれい川」がラインアップに追加されている。これはまだ未体験であり、あったら買おうと思っていたのだが、無事にゲットできた(まぁ、10時30分開店で、10時36分にバスが到着したのであるから、安泰である)。

@こんな内容(大人鐡にぴったり)

 「百年」に負けず劣らずシンプルですばらしい内容であるが、違いは「肉や魚を使った惣菜がある」「デザートがある(葉っぱで隠れていますが)」という点である。駅近くにあった東屋で、美味しく頂いた。
 さて、「イブニング」は出水駅17時05分発であるため、今日は適当に観光しながら出水に向かうだけである。
 まずはJR乗り継ぎである。肥薩線で隼人へ行き、乗り継ぎが悪いため短距離であるが特急「きりしま」に乗って鹿児島に向かった。

@「つばめ」と言いたくなる

 鹿児島中央(こちらも「西鹿児島」と言いたくなる)で各駅停車に乗り継ぎ、川内には13時18分に到着した。すぐに「肥薩おれんじ鉄道」には乗り継がず、適当に町散策をした。仕事で10年くらい前に何度か来たことがあるので、懐かしい。
 散策を終えてから、駅に戻る。出水までの切符を買ってホームに入ると、反対側には「おれんじ食堂」が入線しているが、これは「アフタヌーン」として川内〜出水を運行するもので、その後「イブニング」となる運用である。

@私が乗るのはこっち

 出発前、隣りの線路には貨物列車が入線してきた。肥薩おれんじ鉄道にとっては、これの通行料も必要な収入源であろう。
 14時23分に出発。所々ですばらしい海の景色が広がっていく。イブニング乗車時は途中で日が暮れてしまう予定であるが、できればこの天気が維持されることを願いたい。

@すばらしい

 15時26分に出水到着。イブニング出発まで1時間半以上もあるため、すでに訪問済みではあるが、市内の観光地(武家屋敷や日本一のお地蔵さんなど)をあれこれ徒歩観光した。写真であるが、あえて駅前にあったSLを掲載したい。

@鐡ネタですから

 16時40分頃から待合室で待っていると、職員が来て「おれんじ食堂にご乗車の方は?」と聞かれたので返答すると、ここで乗車証明書が渡された。
 16時50分、おれんじ食堂「イブニング」が入線してきた(正しくは「アフタヌーン」が到着した)(表紙写真)。
 女性係員に案内されたが、なんと今日は「2組3人」しかいないという。もう1組の2人は2号車にいるので、1号車はなんと私だけの「貸切」である。

@こんな状態

 当初はカウンター席を予約していたが、上記の通りであるため、一番大きな中央の席に陣取らせていただくこととなった。
 それにしても、後発隊の観光列車に押され気味なのか、それとも単なる閑散期なのか、少しく心配である。
 車内には無料で食べられるお菓子(甑島のクッキーなど)があるが、いかんせん私1人だけであるため、男性係員が私の席の横までわざわざ持ってきてくれた。ということで、せっかくなのでそれから頂く。

@無料

 定刻の17時05分に出発。料理の提供は水俣駅出発後ということであるが、まずはビールの注文である。地ビールであり、なかなか美味であった。

@とりあえず

 車内では観光案内もあり、熊本と鹿児島の県境にある古い橋の説明などもあった。
 水俣に到着。停車時間も長いということで、しばし待合室などを見学した。映画「かぞくいろ」(肥薩おれんじ鉄道を舞台にしたもの)は、以前どこか海外に行く飛行機内で見たことがあり、それ関係の展示を懐かしく見学した。

@色々あり

 水俣を出発してしばらくすると、まずは鹿児島産黒毛和牛である。「飲める系」とまでは言わないが、なかなか柔らかい牛肉である。合わせるのは赤ワインかな、と思いつつも、今日は鹿児島・熊本である。ということで、地元の芋焼酎を追加注文した。

@お肉

 その後も観光案内を聞きつつ暮れゆく日を眺めていると、次のセットがやって来た(サザエや真鯛から田楽やタケノコなど、海や山の物が8種類である)。これはまさに「酒を呑め」というラインアップである。

@目移り

 その後はちまちまと焼酎を呑みつつ、景色を眺め続けた。途中で日は暮れてしまったが、なんとかギリギリ見えなくもない範囲である(女性係員によると、日の短い年末年始はもう真っ暗であったとのこと)。

@ギリギリ

 終着駅も近づき、最後の締め(お茶漬け)である。

@お腹に優しく

 18時38分、終着である新八代に到着した。酔ってからあれこれ移動したくないため、今日は駅前に唯一あるホテルを予約済みである。

■2020.1.19
 今日は「おまけ」として、観光列車「A列車で行こう」に乗ることにしている。食事等の提供がないためこの「大人鐡」シリーズには入らないが、せっかくここまで来てスルーすることもないだろう。
 ゆっくり目にチェックアウトして新八代8時01分発の列車に乗り、宇土で乗り換え、三角(みすみ)までやってきた。もう何度も来ている駅である。

@また来ました

 まだ9時前であるため、歩いて三角西港方面へ徒歩観光をした。西港まで足を延ばすのは久々だが、高台にある裁判所跡などは実は初訪問であった(前回まで見逃していた)。
 三角駅へ戻り、付近にあった展望台や物産センターなどで時間を潰してからまた駅に戻り、「A列車で行こう」の入線を待った。

@やって来ました

 熊本からやって来た列車の折り返しであるが、時間が8分しかないため、あれこれ(シートをひっくり返したりゴミを片付けたり売店の準備をしたりが)あって係員は大変そうである。なお、ご多分に漏れず中国人観光客が多いようであった。
 定刻の11時20分に出発。1号車には売店+バーがあり、オリジナルのハイボールが有名なようである。私は酒好きであるが、残念ながらウィスキーは苦手であるため、見ているだけである。

@写真を撮るだけ

 車内は意外に混んでおり、左側(海が見える)だけでなく、右側も半分くらいは埋まっているようであった。
 この列車で食事が提供されないのには理由があり、それは乗車時間である。熊本までたったの37分。売店対応だけで精一杯であろう。
 車内ではお土産やグッズも売っているが、残念ながら私には収集癖はない。ということで、結局売店は使わなかった。唯一手に入れたのは、無料で配っていた飴だけである。

@戦利品

 定刻の11時57分、熊本に到着した。
 さて、前回の「大人鐡A」ではスキップしてしまった「大人グルメ」であるが、今日は食べておきたい。熊本と言えば馬肉と赤牛が候補になるが、赤牛を提供する店は市内まで行く必要があるため、駅新装によって馬肉を提供する店が駅ナカにできたこともあり、前者を頂くことにした。
 狙い目はステーキだが、そのランチに馬刺しが付いてくるものを選択。さらに、地ビールを追加である。まずは、馬刺しでちびちびとやる。

@まだ昼ですが

 そして締めは、当然のようにステーキである(ハンバーグなども美味しそうであったが、やはり肉の味の違いが一番わかるのはステーキである)。

@優雅に

 さて、平らげた後は帰るだけであるが、観光列車とグルメ以外は通常通りケチりまくることにしている。LCCも含めて「いかに安く帰るか」を検討した結果、意外であるが答えは福岡空港であった(なぜかJALがウルトラ先得で9,590円という便を売っていたため。もちろん、かなり早めに予約してある)。馬肉などで散財した分、福岡までの移動もJR在来線である。

 なお「おれんじ食堂」の「イブニング」であるが、今年の3月中旬から「サンセット」となるようである。写真を見たところ同じ内容であり、値段は9,000円と安くなる模様。春の観光シーズン+実質2,000円値下げということで、さすがにもう「貸切状態」はなくなるであろうか。

@車内の晩白柚(ばんぺいゆ)

 

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