【大人鐡26】JR西日本「WEST EXPRESS銀河」「あめつち」編

■はじめに
 今回の大人鐡の対象は、昨年(2020年)9月にデビューして以降鉄道ファンの間でも話題になっている「WEST EXPRESS銀河」がメインである。運行本数自体が少なく、また乗車定員も少ないことから、切符(旅行会社主催によるツアー)は抽選制であり、その倍率もなかなか高いようである。
 今年の冬に、5〜6月を対象とした山陰へのツアーを申し込むことにした。銀河には、普通の座席から個室寝台まで多種多様の選択肢があるが、今回のツアーは夜行便であるため、座席ではつまらない。ということで、第一希望「1人用個室」(全車両を通して1室しかない)、第二希望「クシェット」(簡易寝台)にしてみた。ただでさえ倍率が高いのに、このような選択肢ではさらに望み薄である。
 しかし、5月某日、個人メールアドレス宛に「当選しました」のメールが届いたではないか(さすがに1人用個室は無理であったが、クシェットが当選していた)。早速、申込金の10,000円を支払い、後日残額の22,600円を支払った。ツアー代金は32,600円であり、大人鐡としては、前回の「或る列車」と前々回の「36ぷらす3」に続いてまたしても3万円台であるが、今回は少し事情が違う。というのも、この料金は往路の「WEST EXPRESS銀河」だけでなく、「現地での宿泊代」「復路の切符(「やくも」+「のぞみ」)」、さらに「各種おもてなし(夜食+朝食+トマトジュース等)」も含まれているのである。それを考えると、JRの正規料金とほぼ変わらないと言える値段設定である。

 せっかく山陰方面に行くため、同じくJR西日本の観光列車である「あめつち」にも乗ってくることにした。別料金ではあるが、豪華な弁当を事前に頼むことができる。ということで、それも無事に手配をした。

@方谷駅にて(理由は旅行記内で記載)

■2021.6.25
 銀河の京都駅出発時刻は21時15分であるため、仕事を終えてから新幹線で向かってもギリギリ間に合う時間帯である。しかし、なんとか有休を取れるように調整ができたため、朝からゆっくりと移動することにした。
 時間があるとなれば、後は「いかに節約するか」である。「ぷらっとこだま」では迫力不足であるため、思い切って「昼特急(バス)」にしてみた。ネット割引で4,120円也。
 東京駅前、8時10分発。8時間のバス旅である。

@出発前

 幸いにも、2階席の最前列が取れたため、眺望は最高である。電源(USB)もあるし、カーテンを降ろせば個室感覚にもなるため、予想以上に良い環境である。
 最初の休憩は足柄SA。前から気になっていたイカをプレスしたものと、マグロの串揚げ等を購入。SAでは酒が売っていないため、持参した焼酎割りでそれらを頂いた。

@昼から一杯

 ウトウトとしてから目が覚めると、ちょうど浜名湖SAであった。同SAを出発し、甲南PAの休憩を挟んで、京都駅前には定刻から少し遅れた16時17分頃に到着した。
 さて、銀河の出発までかなり暇である。ということで、土砂崩れの影響で一部の運休が続いている叡山電鉄の様子を見に行ってみた。

@今年中に復旧の予定

 市原まで乗車してから市内に戻り、五条にある行きつけのスーパーで車内用の総菜を買ったりしてから、京都駅に向かった。それでもまだ時刻が早かったため(19時半頃)、喫茶店でも入ろうと思ったところ、「20時で閉店ですがよろしいですか」という。なるほど、コロナ禍での時短である。結局、駅前にあったベンチのような場所で時間を潰した。
 20時半を過ぎたころ、コンビニで酒を買ってから30番線ホームへと向かった。銀河の写真やポスター、幟が準備されており、まさにお祭り前である。

@期待が高まる

 旅行会社の人に健康チェックシートを渡し、検温を済ませた。昨今の状況を鑑みて、車内フリースペース(ラウンジ)での飲酒はご遠慮くださいということであったが、自席(自室)では可能とのこと。先ほどコンビニで買ってきた酒類は、そのまま呑めそうである。
 20時55分、銀河が入線してきた。まずは外観の撮影タイムである。

@こんな感じ(夜なので暗い)

 4号車の入口から車内に入る。この号車は全体的にフリースペースであるが、先述した通り今日はここでは酒は呑めない。しかし、デザイン重視のスペースであり、ゆったりと腰を下ろしてという感じではなさそうであるから、自室(クシェット)の方が呑みやすいと思える。

@明るい空間

 早速、クシェットがある5号車へと向かった。指定されている簡易寝台は一番端のコンパートメントであり、進行方向側に景色が見える方であった。薄い寝具1枚と、枕はないが枕カバーが1枚置いてある。
 なお、今回のツアーではクシェットの上段や座席の通路側は使用しないようになっている(夜行だからか、コロナ対策だからか、両方かは不明である)。上段や通路席以外にも、適当に間引いているようであった(これはコロナ対策であろう)。

@今日の寝床

 荷物を置いてからは、車内探索である。各車両に関する詳細な紹介は余所様のブログで多数あるため省略するが、6号車(グリーン個室)や3号車(座席)などを見て回った。なお、2号車は女性専用車両であるため、切符がない人は立入禁止である。

@家族連れならこんな部屋も

 定刻の21時15分、京都を出発した。
 それにしても、久々の寝台列車である。数年前までは、ふと思い立って「あけぼの」や「北陸」に乗り、朝起きると違う場所にいるということが経験できたが。今や「サンライズ」だけしか残っていない。寂しい限りである。
 なおクシェットの寝台部分であるが、通常の寝台車との違いは「シートが低い」という点である。というのも、寝台客車などはスペースを取るために天井が高いのが常であるが、この車両は通勤用の普通の車両を改造したものであるため、天井の高さが足りず、スペースを確保するために下段のシートがかなり低くなっているのである。
 しかし、胡坐をかいてしまえば関係ないし、足を前方に投げ出しても違和感はない。

@乗車記念

 車内では、沿線にある車両区に関する観光アナウンスなどが流れている。さて早速一献を、と行きたいところであるが(寝台に乗る場合は、いつも出発直後から呑み始めていた)、今日はすこし待つことにしている。というのも、22時28分に大阪を出発した後に夜食弁当が配られるため、それもアテにしているからである。
 しばらくして、茨木の少し先という中途半端なところで停車した。ここで14分も停まるという。理由は、新快速に抜かれるためとのこと。ここで、京都で買ってきた安食材で一杯やり始めた。

@安総菜の写真では映えないので、車内にあったパンフレット等で

 新快速に抜かれてからその中途半端な場所を出発し、22時07分に新大阪に到着した。ここで10分の停車である。ホームにいる人から、珍しそうにこちらの車内を覗かれたりする。
 ここで新大阪駅に関するアナウンスもあったが、開業直後はこの駅を通過する新快速もあったとの由。今はもちろんそんなことはなく、通過するのは寝台列車のサンライズのみである。
 同駅を出発して、22時21分に大阪に到着した。同室の向かい側に客が乗ってくるかと思っていたのだが、どうやら不在のようである(つまり今晩は貸し切り)。
 大阪を22時28分に出発。アナウンスがあったので、弁当を取りに4号車へ向かった。

@こんな夜食弁当

 器は立派なプラスチック製で、持ち帰り必至である。タコ飯のおにぎりだけでなく総菜も入っており、締めの品としては十分すぎるくらいの内容であった。
 すべてを頂いてから、そのまま簡易寝台で横になって就寝。

■2021.6.26
 夜中に目を覚ましたが、まだ岡山であった。二度寝し、列車の揺れで4時過ぎに目を覚ました。もう寝付けなくなってしまったので、起きてしまうことにした。
 洗面所で顔を洗い、4時半過ぎに4号車のラウンジへ。うっすらと明るくなっていく車窓を眺め続けた。

@車内の様子

 外も明るくなり、車窓に沿い続ける川の様子を眺めていると、ちょうど5時に列車は緊急停車をした。と同時に、車内の電源も落ちて非常用電源で点く電灯のみに。これは、嫌な停まり方である。
 しばらくして車内アナウンスがあったが、前方に倒れ掛かっている木を発見したため、緊急停車したとのこと。これは長期戦の予感である。
 いったん自室に戻り、簡易寝台で横になりウトウトとした。すると5時55分、「いったん車両を前駅まで戻す」とアナウンスがあったが、これもすぐにはできず、再度待機することとなった。
 7時前になり、伐採のための係員が現場に到着。「伐採のためには周囲の電源を落とす必要がある」ということで、やはり前駅である方谷駅まで戻ることとなった。

@やっと出発(逆方向ですが)

 7時08分頃に方谷駅まで戻ってきたが、すぐに電源は落ちないようである(あれこれと準備が必要のよう)。
 さて、この時点で予定より2時間以上の遅れである。松江や出雲市到着後にあれこれ観光を予定している人にとっては大混乱であろうが、私は気楽なものである(これといってやることがないため、木次線と芸備線と伯備線経由で宍道から米子まで行こうとしているだけであり、これができなかったからと言って何の問題もない)。逆に、今後どうなるのかが楽しみなくらいである。

@まずは電源を落とす

 なかなか電源が落ちないので、6号車の後ろ側(車掌室)の方まで行ってみると、あれこれと無線が聞こえてきたり、車掌と添乗員との会話も耳に入ってきたりした。「重機はなくても切れそう」(重機が必要な場合はさらに時間がかかるという)、「あと1時間くらいではないか」等々。
 しばらくして車内の電源が落ち、緊急時ということでお茶が1本配られた。また、換気の意味もあり、ドアも開放された。ということで、写真撮影タイムである。

@敢えて遠くから撮影もしてみる

 見慣れない車両が停まっているので、近所の高齢夫婦も野次馬的に集まってきている。「(倒木は)橋のあっちくらい?」と聞かれたので、「もう少し先の方です」と答えると、「この辺はよく倒れるんよ」ということであった。これまた、だんだんと面白くなってきた感じである(関係者はそれどころではないと思うが)。
 なお2号車の女性専用車はもちろんのこと、その先にある1号車も切符がない人は立入禁止である。しかし、換気も込めてドアは全開であるし、2号車を経由しなくてもアクセスできるため、ちょっとだけ1号車にお邪魔してみた。1室だけ空いていたので、覗き込んでみる。

@やはりこちらの方が上質な空間

 運転席のドアも開いていたため、窓から中を覗き込んで運転用の時刻を見てみたところ、岡山着は1時52分で出発は3時55分であった。岡山出発後、すぐに目が覚めてしまったようである。
 係員たちは「8時半くらいには運転再開できそう」と言い合っている。「ホーム以外には行かないでください」ということであったが、トイレはOKということであったので、行ってみることにした。
 トイレは普通に済ませたが、駅舎がなんとも旧くて味わい深いものである。見てみると、なんと登録有形文化財であるという(方谷駅名の由来に関する掲示もあり、興味深かった)。

@偶然の出会い

 ホームに戻り、車内で出発を待った。8時27分にパンタグラフが上がった衝撃があり、8時39分、方谷駅を出発した。本来の予定から、約3時間40分遅れである。事前に「えきねっと」で宍道から米子までの切符(備後落合と備中神代経由)を買ってあるが、これはもうキャンセル必須であろう。しかし、予想外のネタを拾えたから問題はない。伯備線方谷駅、今まで一度も意識したことすらない駅であったが、思い出に残る駅となった。
 伯備線をひたすら北上し、生山には9時43分頃に到着した。本来ならこの駅には6時02分に到着して30分ほど停車し、その間に地元民による「おもてなし」(特産品販売など)がある予定であったのだが、今日はキャンセルであるという(トマトカレー、買いたかった…)。
 しかし、無料配布のトマトジュースは車内でもらえるし、それに本来は米子で積み込むはずであった弁当を生山で積み込むことにしたという(これは関係者のファインプレー)。ということで、まずは朝食弁当である。

@見た目はこんな感じ

 写真にも写っているが、トマトジュースだけでなく、地元のお米も無料でもらえた(写真には入っていないが、乗車記念のカードなどももらえた)。
 なお弁当の中身であるが、鳥取の地の物づくしである。全部は書ききれないが、境港の海産物(鮭やハタハタやカニなど)やイカの麹漬け、大山鶏などが目白押しである。

@中身はこんな感じ

 生山を出発後に弁当を美味しく頂いていると、車掌が「このままの遅れで行きますと」と到着予想時刻をアナウンスし始めた。するとここで、「宍道には11時25分頃」と言うではないか。完全に諦めていた木次線(11時27分発)に、なんと間に合いそうである。
 早速、車掌室に行って乗り継ぎのことを確認した(おそらく大丈夫とのこと)。JRとしては、目的地(出雲市等)に早く着くことを最優先として、途中駅での停車時間を大幅に削除するようである。もともと宍道では2時間強の待ち時間があったが、遅れが3時間40分になった時点で完全に諦めていた。これは意外な展開である。
 さらに意外な展開としては、添乗員からのアナウンスで「特急料金が払い戻しになる」ということであった。JRでは2時間以上遅れると特急料金が払い戻しになり、そのルール自体は知っていたが、ツアーでも対象になるとは知らなかった。
 問題は、そのためには切符を添乗員に渡さないといけない(つまり記念に持って帰ることはできない)という点である。久々の寝台なので切符は取っておきたいが、かといって持ち帰った切符を後日どれくらい見るのかというと、まず見ない。ということで、データだけ保存をして、払い戻してもらうことにした。

@紙切れより3,490円を選択

 米子、松江、玉造温泉などに停まり、宍道には11時27分に到着した(下車したのは私だけ)。小走りで急いで跨線橋を渡り、木次線の出発するホームへと向かった。これで、当初通りの旅程で移動することができる。
 すぐに出発するのかと思ったが、なんと遅れている鳥取からの各駅停車にも連絡するという。「だったら出発する銀河の写真でもゆっくりと撮ったのに」と思うが、後の祭りである。

@木次線をゆっくりと撮影

 定刻から15分ほど遅れて、11時42分に宍道を出発した。備後落合での乗り継ぎ時間が短いが、途中駅での長時間停車がたくさんあるため、このくらいは挽回できるはずである。
 木次線は、観光列車(奥出雲おろち号)も走るくらいであるから、見所の多い線区である。亀嵩駅の蕎麦、ループ橋、スイッチバック等々、枚挙に暇がないが、今回の旅行の本筋からは外れるので敢えて省略である。
 何か写真を1枚だけ、と考え、敢えて出雲坂根で買った焼き鳥の写真を紹介したい(夜用に買ったのだが、1本はその場で食べてしまった)。

@この駅での楽しみ

 途中で遅れは挽回し、備後落合には定刻の14時33分に到着した。いつも閑散としている駅であるが、今日は数十人もの人がいてかなり吃驚した。
 5分の乗り継ぎで、新見行の芸備線に乗り込んだ。この区間はかなりご無沙汰であるが、その理由は「1日に3往復しか走っていない」「景色も、木次線ほど見所はない」ということで、なかなか訪問できなかったのである。

@超久々

 14時38分に備後落合を出発。1両だけのディーゼルカーであるが、意外に乗客は多く、20人以上はいる。
 最初は山間の中を走り、そのうち民家も多くなってきて、15時52分に備中神代に到着した。乗り放題の切符(青春18きっぷなど)であれば新見まで行ってしまうが、今回は通常の片道切符であるため、ここで伯備線に乗り換えることにしている。
 駅周辺に何があるのかをネットで下調べをした際に「映画の八つ墓村のロケ地」と出てきたので「これは」と思ったが、なんと駅舎は2001年に解体されてしまっているという。

@こんな状態に

 なお、門構えの部分と、左側にある待合室の内部だけには、旧い駅舎の素材がそのまま残っていた。
 さて、ここで50分ほど時間があるため、集落の方まで歩いてみた。個人商店は軒並み閉まっており(休業ではなくて、完全に人の気配がない)、寂しい限りである。
 駅に戻り、まっ黄色の車両の各駅停車で米子に向かった(途中、上りの「銀河」ともすれ違った)。
 米子には18時14分に到着。駅前にあるツアーに含まれているホテル(素泊り)にチェックインしたが、見事な「トレインビュー」である。米子駅の転車台と扇形車庫をこれだけはっきり見たのは、初めてである。

@幸運

 スーパーに行き地元の刺身などを買い、酔っぱらってから就寝。

■2021.6.27
 5時55分の鳥取行に乗るべく、工事中の米子駅に向かった。これから乗るルート(米子から鳥取)は「あめつち」と同じであり、単純往復するのは面白くないが、他の選択肢がない(バスなど皆無)であるため、仕様がない。
 ホームで待っていたのは、貫禄あるキハ47系の4両編成であった。山陰地方に来ると当然のように乗っている車両であるが、近い将来に消滅してしまうのであろうか。

@今のうち?

 定刻に米子を出発。海が見えるのは左側であるが、どうせ「あめつち」のカウンター席から見ることができるので、往路は山側(右側)に陣取った。こちらはこちらで、大山なども見渡せるから景色は良い。
 8時32分、鳥取に到着した。駅売店で地酒などを仕入れてから、再度改札を通ってホームへと上がっていた。8時50分時点で、すでに「あめつち」は入線していた。

@キハ47系改造型

 早速車内に入る。私が押さえておいた指定席は1号車の4Dであるが、この席にした意味は大きい。というのも、改造車両であるため席と窓との相性の差が大きく、目の前がほとんど壁の席もあれば、もちろん窓と正面の席もある。特に、1号車の4Dと2号車の12Aは、元はドアであった部分を作り直した部分であり、そのため大きな1枚窓が設置されているのである。しかも、足元の配管(出っ張り)もない部分であり、カウンター席の中でも最適な選択肢と言える。

@お勧めの席

 2両編成の観光列車であるが、乗客は私を含めても10人程度であり、寂しい限りである。
 9時00分、駅員や整備士など6人に見送られて鳥取を出発した。朝方は曇りで時折雨も降っていたが、やや晴れ気味になってきている。
 車内では、車両区に関する観光アナウンスなどが続けられている。宝木では行き違いのためしばらく停車したが、BGMが流れてきた(行き違いや信号で停まる場合、こうする仕様のようである。ちなみに、この「あめつちのテーマ」はJR西日本のウェブサイトで聴くことができる)。
 弁当を予約しているが、それが積み込まれるのは倉吉である。ということで、まずはビールで一献である。カウンターに行って松江の地ビールを買ったが、当然それだけでは足りないため、鳥取駅で買った梨チューハイとツマミも同時進行である。

@朝から

 9時44分に倉吉に到着したが、ただでさえ少ない乗客の中から、この駅で降りてしまう人もいた。この辺りは運転本数が少ないため、「快速列車のグリーン席」的な感じで使っていたのであろう。
 弁当も無事に積み込まれ、9時48分に倉吉を出発した。じきに弁当が配膳されたが、周囲を見渡してもあまり頼んでいる人はいないようであった。6人くらいしかいない1号車の乗客のうち、購入していたのは私だけのようである。

@天地(あめつち)カラー一式

 中身であるが、これまた「鳥取づくし」という感じであった。「あご」のフライやちくわ、鳥取牛の旨煮やカニなど、日本海の海の幸や近隣の山の幸のオンパレードである。イカの麹漬けは、昨日の朝食弁当と2日連続である。
 特に気になったのが、「イカ白子の旨煮」である。イカのワタなど、いつも適当に炒めてしまうので気づかなかったが、イカにも白子を持ったものがあり、その部分だけを旨煮にしたものであるという。

@中身はこんな具合

 さて、こんな料理があったのでは、日本酒が必須である。超絶甘い梨チューハイはまだほとんど残っているが、2号車のカウンターに行って「あめつち」オリジナルラベルの地酒を買ってきた。なお、この地酒は180mlであり量的に少ないため、鳥取駅で別の地酒も入手してある。

@やはり日本酒がないと

 まだ朝の10時台から、各種ツマミ的な弁当で日本酒三昧である。外もだんだん晴れてきて、時折見える日本海も奇麗である。
 しばらくして、カードが配布された。乗車記念カードかと思ったが、そうではなくて、「今日は曇りで大山が見えませんので」ということで、大山の絵葉書であった。
 10時32分、御来屋(みくりや)に到着した。この駅舎は山陰地方最古である。「あめつち」では途中下車をして観光する時間はないが、こういう駅で15分ほど停車時間を作ってみるのもいいのではないかと思う(JR西日本に勝手に提案)。
 同駅を出発し、米子へ向かう。外は完全に晴れになった。

@大山も見えてくるかも

 10時57分、米子に到着した。ここで降りる乗客もいたが、数人乗車もしてきた(中には弁当を注文していた人もいたようで、米子出発後に配膳されていた)。
 11時05分に米子を出発し、11時15分に到着した安来で下車した。終着の出雲市まで乗らず、今日はここで降りて観光をすることにしている。
 観光の前に、まずは観光案内所である。というのも、「WEST EXPRESS銀河」の乗客は、乗客用のカードを案内所で示すとエコバッグがもらえるのである(宍道だけでなく、松江や出雲市でも可能)。

@もらえるものはもらう

 この手のバッグの場合、麻で出来ている安物で使い勝手が悪いものであったりすることが多いが、今回のこれはナイロン製のきちんとしたものである。これは、普段使いにしようと思う。
 さて、観光であるが、駅から歩いて行ける和鋼博物館である。鐡ネタはないと思っていたが、博物館に入る前からSLを見つけてしまった。

@まぁ、鉄を使いますから

 館内を見てから駅に戻り、12時44分の列車で米子に移動。さて、後は「やくも」と新幹線を乗り継いで戻るだけである。
 今年のゴールデンウイークの旅行で「やくも」を見かけており、その際の旅行記で「この先長くないであろうから、近いうちに乗りにこなければなるまい。」などと書いたが、あっという間にその機会が訪れた。

@国鉄型特急に乗る

 13時26分に米子を出発し、一路岡山へ。「おもてなし」がなくなってしまった生山や、駅舎がほとんどなくなってしまった備中神代、予想外の長時間停車をした方谷などを過ぎて行った。
 岡山で、15時48分発の「のぞみ」に乗り換えた。このまま東京まで乗れば楽ちんであるが、京都発着のツアーであるため、いったん下車する必要がある(しかも、なぜか新大阪から京都までは在来線設定である)。京都から東京までの割引切符は別途ネットで買ってあるが、乗り継ぎ時間は新大阪で7分、京都で10分と綱渡りである。
 新大阪には定刻の16時43分に着いたが、肝心の新快速が3分遅れである。やきもきしながら新快速に揺られたが、京都では無事に乗り継ぐことができた。

@初めて使う(ICでの東海道新幹線乗車)

 定刻に京都を出発。新横浜で緊急停車したため、定刻から5分遅れの19時41分に東京に到着した。
 さて、肝心の「WEST EXPRESS銀河」の旅であるが、生山での「おもてなし」がなくなってしまったものの、意外な駅での停車もあり、特急料金も戻り、そして付随する旅程も予定通りに遂行できたので、概ね満足であった。次回があれば、南紀方面の昼行便にでも乗ってみたいと思う。

 さて、一昨年の秋から約1年半以上にわたって続けてきたこの「大人鐡」シリーズ(豪華観光列車の旅)であるが、当面のネタが尽きたため、いったん終了である。ただし、すべてのネタが尽きたわけではなく、いくつか目星を付けているものもあるため、秋口に少しだけ復活させる予定である。それまでは、第三セクター鉄道応援の旅を実施したり、また必要に応じて新たな旅のシリーズを開始させたりすることにしたい。

@しばらくお休み(倉吉駅にて)

 

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