【大人鐡22】JR東日本「おいこっと」編

■はじめに
 この「大人鐡」シリーズでは、改造された車両で提供される豪華な食事などを楽しむことを目的としているが(それ故、乗車料金が1万円を超えたりするのも多い)、今回の乗車対象であるJR東日本の「おいこっと」は、今までのシリーズに比べるとかなり寂しい内容である。長野発の便で提供される飲食物は、
 ・野沢菜漬
 ・おにぎり、日本酒、りんごジュースのいずれか1品
だけであり、しかも後者に至ってはコロナにより中止である(つまり、実質野沢菜漬だけ)。もちろん、普通の切符(青春18きっぷを含む)以外に必要なのは530円の指定券だけであるから、野沢菜漬があるだけでもありがたいと考えるべきであろうか。それに、途中の飯山駅での「まるしぇ」は実施中ということで、そこで飲食物も買えるであろうから、半ば無理やりにこの「大人鐡」シリーズに加えることとした。
 しかし、やはりそれだけでは寂しいため、あれこれと追加の小ネタを加えることとした。
 ・小淵沢駅で駅弁を購入
 ・「リゾートビューふるさと」にも乗車
 ・保存SLを見に行く

 出発日は3月20日として、その日に「リゾートビューふるさと」に乗り、翌日の日曜日に「おいこっと」に乗ることとしたが、この旅程が決まるまでには結構な右往左往があった。
 当初の予定では、3月14日(日)に秋田内陸縦貫鉄道の「ごっつお玉手箱列車」に乗る予定であり(1月16日予定が中止となったため3月6日に振り替え、それがさらに延期されていた)、そして3月21日にはROYAL EXPRESSに乗る予定であった(事前抽選で当選していた)。そして、「おいこっと」等には4月3日・4日の週末に乗る予定で、予約してあったのである。
 しかし、緊急事態宣言の延長に伴い、「ごっつお玉手箱列車」が4月3日に延期となってしまった。しばし考えたが、こちらの方が運転本数が少ないため優先することとし、「おいこっと」等は諦めることとした。
 次に、同じ理由でROYAL EXPRESSも運休になってしまった。こちらについては5月に振り替えたが、要するに、急に2週間も週末が暇になってしまったのである。そこで、3月20・21日の週末が「おいこっと」の今年の運転開始日であることを思い出し、窓口に行って確認したところ空席を発見。ということで、前倒しで実施することになったのである。

@十日町駅にて

■2021.3.20
 地域性を考慮してJR東日本の「週末パス」を使うことも考えたが、先々週の日高本線訪問で余っていた青春18きっぷを使うことにした。
 早朝に自宅最寄り駅に行き、武蔵野線と中央線を経由して高尾へ。入線してきた列車の「顔」を見て「しまった」と思ったが、時すでに遅し、ロングシートである。

@無念

 高尾を8時45分に出発。「やっぱり、週末パス+別途特急券にすればよかった」と思いつつ、ロングシートで揺られ続けた(PCでこの旅行記の冒頭を書いたり、スマホを相手にしたり)。
 11時09分、小淵沢に到着した。小淵沢は駅弁や駅そばで有名であり、「元気甲斐」や「山賊そば」はすでに経験済みであるが、今日は「高原野菜とカツの弁当」を頂くことにしている。
 1階にある店舗を行き、無事にゲット。ではそれを手にして小淵沢発の列車内で頂く、とはせずに、待合室で頂く。というのも、ロングシートでは弁当すら食べ辛いからである。

@野菜多し

 大きな弁当箱であるが、野菜が占めている部分が多いため、見た目よりは普通のサイズである。シャキシャキの野菜を頂いてから、カツとご飯を平らげた。
 今日は偶然にも駅構内ではイベントをやっているようであるが、事前申し込みが必要なようである。ということで「飛び入り参加」は諦め、15分くらい余った時間は、駅周辺を散策したりして潰した。

@馬発見

 ホームへ行き、小淵沢11時42分発の列車に乗り込んだ。思った通りのロングシートである。前回、中央本線(中央東線の高尾以降と中央西線)の旅行で連続してロングシートに当たってしまい、「もう青春18きっぷでの旅行は卒業」と思ったが、その予感が確証に変わった感じがした。ロングシートでは、旅情もへったくれもない。
 じっと耐え、12時53分に松本に到着した。しばし駅構内を散策してから、再度ホームへ行き13時20分発の信濃大町行に乗り込む。

@2両編成

 定刻に松本を出発。今日は全国的に雨模様であるが、信州地方は前線から離れており、雨が降るのは夜以降である。よって、アルプスの山々も奇麗に見えている。
 14時16分、信濃大町に到着。ここで2時間ほど暇があるが、まずは公園にあるSLを見行くことにしている。駅から歩くこと20分弱、無事に発見した。

@静態保存

 その後は古い町並み(昭和の香りがするアーケード街)やスーパーなどをふらついて、駅へと戻った。
 16時15分頃になり、リゾートビューふるさとが入線して来た。2両編成の、ハイブリッド車両である。

@10周年とのこと

 早速車内に入る。車両外側のラッピングだけでなく、内部にも至る場所で「アルクマ」がいる。コロナ禍で乗客が少ないためか、1号車の最後尾の座席には大きなぬいぐるみがいた(もちろん、ご時世的にマスク着用で)。

@闖入者発見

 16時22分、信濃大町を出発した。ご時世も影響して車内イベントなどは中止されており、それも影響しているのか、混雑率は20%程度である。しかし、女性のアテンダントは乗務しており、あれこれとアナウンスなどをしている。
 天気予報通りに、だんだんと雲が厚くなってきてしまった。アルプスの山々も、淀み気味である。

@これは往路(昼過ぎ)に撮っておいた写真

 沿線風景は昼過ぎに見たものと同じであるが、やはりリクライニングシートで小駅を通過しながら見る景色は別物である。くどいようであるが、やはり今後は快速や特急の旅が中心になるのであろうか(各駅停車自体は好きなのであるが、いかんせんロングシートが玉に瑕である)。
 進行方向右側は迫り来る前線のせいでどんよりしてきているが、左側(長野市方面)はまだまだ晴れ模様である。

@まだまだ

 17時15分に松本に到着。ここで進行方向が変わり、篠ノ井線で長野方面へと向かう。乗客も少し増え、5割程度にまでなったようである。
 定刻の17時23分に松本を出発。ついに、雨粒が窓に当たり始めた。前線から逃げるように東へと進むが、あちら(前線)の方がスピードが早いようで、逃げ切れそうにない。だんだんと、雨粒が激しくなっていった。
 観光アナウンスもあり、一部ではスロー走行もあった。次第に薄暗くなる中、姨捨駅に到着した。

@三大車窓+スイッチバックの駅へ

 姨捨出発後は、右手に大きく夜景が広がった(今日は雨模様であり、少しくぼやけていたが)。18時30分に長野に到着。予約してあった安ホテルに投宿し、安食材で酔いどれてから就寝。

■2021.3.21
 おいこっとの出発時刻は9時17分であるが、それまで待っている必要はない。ということで、青春18きっぷを使用して姨捨散策+篠ノ井でSLを見ることにしている。
 6時31分発の篠ノ井線に乗るべく長野駅へ向かったが、またしてもロングシートであった。

@こればっかり

 定刻に長野を出発。私は「ちょっとだけ姨捨にでも行くか」という感じだからまだいいが、同じ車両にいた家族連れは、横並びで飲食を始めた。おそらく、朝食は車内で→まさかのロングシート、ということで、苦肉の決断なのであろう。
 篠ノ井から先はぐんぐんと坂を上り、6時59分に姨捨に到着した。姨捨周辺の散策は以前にやったことがあるが、早朝は初めてである。

@姨捨公園より

 棚田が多い集落を降りて行き、お寺も参拝。書置きの御朱印があったので、無防備な缶に300円を入れて1枚頂いた。
 駅へ戻り、7時47分の列車で長野方面へ移動し、篠ノ井で下車。目的は、昨日と同様に静態保存のSLを見るためである。
 今日は全国的に雨模様であるが(天気予報では「春の嵐が」とまで言っている)、長野県北部は雨雲の隙間に入っているようであり、晴れ間も覗いている。

@幸運

 道先案内人は、スマホである。「こんな細い道の先に本当にあるのか」と心配になり始めたころ、駅から10分未満で、SLを発見することができた。立派なD51である。運転席にも入れるようになっている。

@大きい

 それにしても、こういう情報(車両が保存されている場所等)をネットで簡単に調べられるようになり、便利になったものである。
 駅へ戻り、8時31分発の列車で長野へ。コンビニでビールを買ったりしてから9時過ぎに4番線へ行くと、おいこっとはもう入線していた。

@2両編成

 早速車内へ入る。この車両は、4人用と2人用のボックスシートと、2人用のロングシートで構成されている(窓口購入の際普通に照会するとロングシートになってしまうため、ボックスを指定するのが重要である)。十日町行の場合、進行方向前部にロングシート、右側が2人用で左側が4人用であるが、千曲川が見えるのは右側であるため、2人以下であれば右側がお勧めである。

@私の席

 定刻の9時17分に出発。「ふるさと」の音楽が流れ、おじいさんの声で自動アナウンスが流れ始めた。
 しばらくして提供されたのが、件の野沢菜漬である。野沢菜だけでは寂しいので、長野駅で買った地ビールと信州サーモンも仲間入りである。

@これで豪華に

 これからどんどん雨模様になるはずであるが、なぜかこの地域は雨雲から逃れているようであり、日差しが痛いくらいである。そこでブラインドを降ろしてみると、これまた車内の意匠と合わせているものであった。

@統一感

 それにしても、野沢菜をツマミにして呑む酒は美味い。私は高血圧なので私生活では漬物系は原則として買わないが、旅行中は別枠扱い(?)なのである。
 さて、ビールなどすぐになくなってしまったので、追加の日本酒である。当初は長野駅か車内販売で買おうと思っていたが(その方が冷たいものを買えるので)、実は篠ノ井で散策中に早朝から営業しているスーパーを発見し、そこであれこれ買ってしまっている。というのも、姨捨を散策した後に「オバステ」なんて銘柄を見たら、買ってしまうのは当然であろう。

@買い過ぎ

 列車は、しなの鉄道「北しなの線」からJRの飯山線へと入り、千曲川が寄り添うようになってきた。車内では、アテンダント(という名の高齢者)による観光アナウンスが始まっている。
 9時57分、飯山に到着した。まずはコンコースで行われている「まるしぇ」へ向かう。

@あれこれ売っている

 まるしぇ以外にも駅構内には地場産の物品を売る店もあり、そこでご飯ものを買いそろえた。
 それ以外の見どころとしては、からくり時計である。ちょうど停車中に始まるということなので、そちらにも行かなければならない(忙しい)。

@演奏中

 車内に戻り、10時12分に飯山を出発した。私はひたすら日本酒を頂き続ける。車内では、高齢者アテンダントによる昔話があれこれと続いて行った。
 外の景色であるが、まだまだ雨は降らないようである。右手奥にあるのが高社山(たかやしろやま)であり、これに関連する昔話も紹介されていた。

@晴れで良かった

 さて、当初予定では十日町まで乗り通すことにしていたが、十日町自体は何回か訪問済みであるし、実は来月にも別件で来るのである。そこで、今朝になってあれこれ再検討して、今日は森宮野原で降りてみることにした。
 11時01分、森宮野原に到着した。昔話を紹介していた高齢者たちも「あ、私たちも実はここまでで」ということで、最後の昔話は途中で途切れてしまった。

@森宮野原駅といえば

 ここで降りることにした理由は、歩ける範囲に道の駅や物産館あがることと、信濃川と千曲川の名称が変わる地点(長野県と新潟県の県境)があるからである。
 道の駅へ向かって歩いていると、遠くからやってきたのは事業用車両のEast i-Dではないか(アングルが悪くて撮影はできず)。駅にいた「鉄な人」たちは、きっと驚いて山のように撮影したであろう。
 道の駅や物産館であれこれ(冷凍ホルモンやカレー、雪下ニンジンや行者ニンニク)を買いそろえ、駅へと戻った。

@この地域(栄村)は「猫つぐら」でも有名

 駅近くにある震災記念館を見てから、12時33分の列車で十日町方面へ。ここで雨が降り始めたが、今日はもう散策はしないため、まさにグッドタイミングである。
 十日町に到着すると、おいこっと以外に「越乃Shu*Kura」が回送扱いで停車していた。停車時間も長いため、撮影するために反対側のホームまで行ってみる。

@そろい踏み

 十日町を出発して、14時04分に越後川口に到着した。ここから先は、ひたすら各駅停車を乗り継いで帰るだけである。しかし、上越線は峠越え区間もあり、個人的には好きな線区であるから問題はない。
 しかし、やってきたのは最近信越地域で増えている新型の電車であった。この車両にはボックス席が4つくらいしかなく、車両の2/3くらいがロングシートなのである。「上越線、お前もか」という感じである。今回の旅行は、副題に「ひたすらロングシートに乗る旅」とでも付けたくなるくらいである。

@がっかり

 なお、言うまでもなく、水上で乗り継いだ高崎行もロングシートであった。

 

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