【大人鐡L】いすみ鉄道「いすみ酒BAR列車」・JR東日本「TOMOKU
EMOTION」編
■はじめに
今回は、土日にそれぞれ日帰りで2つの観光列車に乗ってきた。まったく違う地域であるが、まとめて紹介したい。
まず土曜日は、私の地元でもある千葉県の「いすみ鉄道」である。食事付き観光列車をターゲットにしたこの「大人鐡」では、当初は「車両があまり改造されていない」ものや「相席の可能性がある」ものは排除してきたが、途中から方針転換し、それらにも乗ることとしている(前々回の「ながまれ海峡号」辺りから)。
いすみ鉄道では、通常は「レストラン列車(レストラン・キハ)」として本格的イタリアンを提供しており、なかなかの人気のようである(車両としては、机を追加した程度の改造具合)。「しかし相席はなぁ…」と戸惑っていたところ、旅行会社が企画している「いすみ酒BAR列車」なる情報を掴んだ。車両は同じであるものの、提供されるのは飲み比べ用の日本酒数種+酒に合う日本料理(つまみ類)であり、しかも「お一人様から参加できます」とあるではないか。もちろん相席の可能性もあるが、昨今の状況(コロナ禍)であるから、見知らぬ人と接近して座る可能性は低いであろう。ということで、早速申し込んでみた(それに個人的には、西洋料理のコースよりも、日本酒+豪華なつまみの方に興味がある)。
料金は9,800円。なおその他に、大原駅までの移動は自腹(別途必要)である。
さて、「車両があまり改造されていない」ものや「相席の可能性がある」列車も乗ることに方針転換をしても、それでも乗ることができない列車、言い換えるのであれば、乗りたくても乗れない列車がある。それとは、「2人以上でないと申し込めない」ものであり、西武鉄道の「旅するレストラン・52席の至福」やJR東日本の「海里」「Shu*Kura」「TOMOKU
EMOTION」などがこれに該当する。
しかし、これらの列車のうち、一部については「抜け道」がある。それとは、旅行会社が独自に企画しているプランによってはお一人様を受け入れているものがあり、それを探して申し込むことである。あれこれと検索し、「52席の至福」と「TOMOKU
EMOTION」ではこの手段があることを探し出したため、今回は晴れて「TOMOKU
EMOTION」に乗ることとなった次第である。
ツアーを企画しているのは読売旅行の青森営業所で、八戸発着の現地プランである。「TOMOKU
EMOTION」の往路(ランチ)と復路(スイーツ)の両方に乗るプランで、金額は22,000円もするが、GoToとネット割引を合わせて14,700円。これに地域共通クーポンが3,000円付くので、実質12,000円程度である。これなら、まぁ納得である。
問題は、八戸までの足である。あれこれ考え、盛岡までは「お先にトクだ値スペシャル」で50%引き(八戸が50%割引の対象になるのは11月以降のため)、そして盛岡から八戸は「Wきっぷ」で往復することにした。ということで、日曜日はこちらの乗車記録である。
@久慈駅にて
■2020.10.17
今日は一日中大雨予報である。しかし、「ただ乗って呑むだけ」の旅であるから、その部分では問題ない。
最寄り駅からJRに乗り、あれこれ乗り継いで「いすみ鉄道」との接続駅である大原に向かった。途中で超豪華列車「四季島」と行き違ったが、あれに乗ることはまずないであろう。
@特急にも抜かれる
12時22分に大原到着。事前送付されてきた案内書にあった通り、まずはいすみ鉄道の売店に行き、そこで一日乗車券とツアーの切符を受け取った。ツアーの切符は、昔懐かしい硬券をイメージして作られている。
@鋏を入れてもらった
ホームには、すでに列車が入線していた。2両編成であり、1両目が普通の旅客向け車両、そして2両目がレストラン列車である。「急行」として運用されているが、通過する駅は数駅だけであり、スピードも出すわけではない。
@国鉄的には「急行」で合っている
車内に入り、指定されている席へと案内された。1人なので、「ながまれ海峡号」のときと同様の「カウンター席かな」と予測していたが(ネットの画像検索で、カウンター席も散見されたため)、案内されたのはBOX席であった。もちろん、相席なしである。案内書を読んだら、やはりコロナ対策で人数を制限しているとのことであった。
@BOX独占
テーブル上には、すでに料理や酒がセットされている。日本酒は3種類で、ワンカップのような入れ物なのが残念であるが(揺れる車内であるから仕様がないのであろう)、量は充分である。なお木製の枡も付いているが、これは当日に使用するためのものではなくて、お土産である。
@枡は正月にでも使おう
反対方向から菜の花色の車両がやってきて、それと入れ替わりに、定刻の12時36分に大原を出発した。まずはいすみ鉄道による車内放送であるが、国鉄のあのオルゴールから始まるのは懐かしい限りであった。
続いては、レストラン列車内で地元の利き酒師による案内である。日本酒の説明と、それぞれどの料理に合うかの解説である。
@豪華
写真を見れば一目瞭然であるが、豪華な昼食である。港直送の刺身はもちろんのこと、肉系や天ぷらなども地元産の食材を使用している。湯でピーナッツなど、いかにも千葉な食材も入っている。昼間から、「料亭で一献」気分である。
かなりゆらゆらと横揺れがするが、1964年製の車両であるから、これもまた味付けの一部である。
大多喜での2分停車中に駅社員によるアドリブ挨拶があり、同駅出発後には締めのご飯が提供された。
@魚入りご飯
終着駅であり、また小湊鉄道との接続駅である上総中野に13時35分に到着し、そこでしばらく停車してから、折り返して大多喜には14時06分に到着した。ここで観光列車の旅はいったん終了である。
この列車は同駅を14時29分に出発するが、それに乗って帰ったのでは面白くない。ということで、鉄道車両がたくさんある「ポッポの丘」という場所に行こうと計画していたのだが、さてこの大雨である。当初の「レンタサイクル案」は没となり、あれこれ考えた挙句、大多喜から歩くことにした。
駅前の観光案内所を少し見てから、早歩きで出発。何も下調べをしないで来たが、古い家並みが多く小京都のようである。今度機会があれば、少し時間をかけて歩きたい町である。
@鐡的な施設もあり
何もない田舎道をひたすら歩き、靴下まで濡れた状態になること約1時間、やっと到着した。遠目からも鉄道車両が見えていたが、予想以上にたくさんの車両が展示されており、しかも中に入れる車両が多いのが嬉しい。そしてなんと無料である。
@各種あり
これら以外にも、銚子電鉄の古い車両や、貨物列車の車掌車などがあったが、やはり印象的であったのは一段高い丘にあった特急「わかしお」と寝台車両であろう。寝台は特別公開中ということで中にも入れたので、結局一度も使用できなかった「解放A寝台」の車両などをまじまじと眺め、募金箱があったので小銭を入れてポストカードを1枚頂いた。
@国鉄車両たち
見学後は30分ほど歩いて上総中川駅まで移動し、16時08分発の列車で大原に移動して、そこから先はJRを乗り継いで家路に着いた。
■2020.10.18
6時前に家を出て、日本橋駅から東京駅まで歩いてアクセスし、7時00分発の新幹線「はやぶさ」に乗り込んだ。まずは盛岡まで一っ走りである。
盛岡で「Wきっぷ」を購入し、次発の「はやぶさ」で八戸に向かった。10時24分着。改札付近で受付を済ませて、10時50分くらいにホームへと降りて行った。
@車両側面
座席位置は受付時にもらった案内に記載されているが、往路はコンパートメントである1号車、復路は3号車であった。一人だから山側の2人席かと思っていたが、往復とも海側の窓側席であった。
@コンパートメント席
机上には箸やスプーンがすでに置かれていて、メニューも添えられている。食前酒(ノンアルコールのアップルシードル)が配膳されたので、まずはそれを頂いた。
@こういう状態
4人部屋であるが、セッティングされているのは3人分だけである。私の向かいは、キャンセル待ちにより滑り込みで申し込んだという高齢の女性であり、あと一人は、なんと添乗員の男性である。
この列車では、飲料関係は飲み放題である。ということで、まずはリンゴのシードルを注文してみた。
@記念品とともに撮影
最初に配膳された食材は、前菜のアソート4点である。ホタテの下にあるのは器ではなくて、煎餅状の食材である(説明がなければ残すところであった)。個人的には、「馬肉のタルタル」が気に入った。
@右上がタルタル
進行方向側の窓側の席であるため、景色を見るのには最適の場所である。シードルが早々に無くなったので、ビールを追加注文した。
今日は天気も良く、蕪島以降に見えてくる海も綺麗である。
(同室にいたおばあさんによると、蕪島にある神社は数年前に火事で燃えてしまったとのことであった。再建されて何よりである)
@綺麗
続いて配膳されたのはサラダである。サラダといっても、葉っぱの量は数えられる程度であり、一番主張しているのはメカジキの存在である。ということで、これも充分にツマミになるため、赤ワインを注文した。
@ツマミです
続いての品は、スープである。スープといっても、これまた一番主張しているのは鴨の存在であり、やはりツマミのようである。塩味であるが、私的には一番のヒットであった(次のメインと良い勝負)。ということで、赤ワインの追加である
(なお、一連の器も東北各県産である)
@うまし
景色としては綺麗な海が見える区間が多いが、私個人としては八戸線は何度も乗っているため(「リゾートうみねこ」などで)、今日は食事ばかりに目が行ってしまう。
続いてはメイン料理であるが、これまた「ワインを飲め」というようなものであった。こってりしたソースに、はらこ(いくら)や苦みのある香草が絡まり、やはりこれまたツマミである。ワインが進んで仕様がない。
@美味しく頂く
そして最後に配膳されたのが、ミニミニサイズのデザートたちである。今日は復路であれこれとデザートがあるため、往路はこれくらいのサイズ感が最適である。コーヒーを頂きながら、ちまちまと頂いた。
@締め
定刻の12時56分、久慈に到着した。駅では、地元の人たちが大漁旗などでお出迎えをしてくれている。
ここで1時間強時間があるため、まずは道の駅まで徒歩で案内された(戻りは各自)。地域共通クーポンが3,000円分あるので何かお土産でも買おうかと思っていたが、これといったものも思い浮かばず、結局ドラッグストアで日用品(髭剃りの刃など)を買ってしまったのはご愛敬である。
@展示物(道の駅にて)
久慈駅に戻り、再度「TOMOKU EMOTION」に乗車した。車両は3両編成であり、乗降は2号車の出入口からとなっている(表紙写真)。なお2号車には座席はなく、キッチンとなっている。現在、復路のスイーツコースに向けての準備が続けられていた。
@準備中
復路は前述したとおり3号車であり、コンパートメントではないため全体的に景色を見渡せるようになっている。私の席は海側の4人席であり、進行方向とは逆であるが、景色は見やすい位置であった。
@こんな車内
定刻の14時15分に久慈を出発。最初に配膳されるのは、スイーツ3点のアソートである。ドリンクは注文し放題であるが、アルコールも可能である。ということで、またしてもシードルからの開始である。
ケーキをツマミとして食べたが、栗(真ん中のケーキ)の味わい深いことときたら。
@綺麗なデザイン
続いては、デザートとオードブルの「オーダーブッフェ」である。これまた「注文し放題」であり、他の方々もあれこれと注文している。スイーツのコースであるが、私はまずオードブルから始めることとした(生ハムが気になっていたため)。ということで、オードブル全種とビールの注文である。
@スイーツに行く前に
それらを平らげて、では続いてスイーツに、とは行かず、生ハムが気に入ってしまったので、それの追加+赤ワインである。
個人的には、このまま終着駅の八戸まで「生ハムと赤ワインのエンドレス」でもいいのであるが、それだと何のためのスイーツコースなのか意味不明になってしまうので、ここでやっとスイーツの注文である。
6種類あるが、それぞれは小さいため、「全種類+リンゴジュース」で注文してみた。
@やって来ました
個人的には、ショコラがお気に入りである。おなかに若干の余裕があったため、ケーキ3種とコーヒーを追加注文した。もとより私は朝も昼も食べない派であり、しかも実は糖質制限中であるため、こんなにおなか一杯(糖質一杯)食べたのは久々である。
16時07分、八戸に戻り、食べ尽くし呑み尽くしの旅は終了である。後は、ひたすら新幹線で南下して帰るだけである。
1人では申し込みすらできない「TOMOKU EMOTION」であるが、旅行会社のおかげで経験することができ、今日は何よりであった。JR東日本も(西武鉄道も)、どうせ3人組の旅行客の場合は1席余ってしまうのであるから、1人分でも売ればいいのに、とも思う。
@ごちそうさまでした