【大人鐡I】平成筑豊鉄道「ことこと列車」・JR西日本「○○のはなし」編
■はじめに
3週連続の大人鐡であるが、今週末のメインは平成筑豊鉄道の「ことこと列車」である。しかし、このシリーズを計画してあれこれ調べていた際には、この列車は対象外となる予定であった。
というのも、相席となることが前提なのである。前々回の「丹後くろまつ号」も同様に相席となる列車であったが、あちらはコースが多様であり残席もそこそこあったので、締切直前に予約することで相席を避けようとしていた(結果論としては、コロナで座席が間引かれたため、早期に予約することができたが)。それに対して、ことこと列車は1日1本だけであり、ほぼ満席続きであったのである。ということで、乗車は諦めていた。
ところが、である。このコロナ禍で、当面の間は定員が半分に(4人席は2人に、2人席はお一人様用に)なるというニュースが入ってきた。ということで、早速2人用のテーブル席を予約した。値段は17,800円であり、これまでで最高額である。コロナのせいでいくつかの旅行がキャンセルとなってしまったが、今回は(個人的には)プラスに作用した珍しい例である。
ついでに、ということで、本来は4月冒頭に乗車する予定で指定券まで押さえていた(当然コロナでキャンセル)、JR西日本の「○○のはなし」にも乗ってくることにした。コース料理は出ないが、別途特別弁当を手配できる。ということで、そちらも電話で予約しておいた。
サブテーマである「大人グルメ」であるが、今回は下関の「ふく」である。
@油須原駅にて
■2020.8.8
世間は三連休であるが、そこに夏季休暇を足して四連休にした。「ことこと列車」は2日目、「○○のはなし」は3日目の乗車であり、今日は博多に移動するだけである。
本来は夏のこの時期(お盆前の連休初日)の特典航空券などは取れないが、コロナもあって空いており、夕方の福岡空港行を押さえていた。さらに、直前になったら午前の便までガラ空きになったため、ゆっくりと昼前の便で移動した。
久々の羽田空港。思えば、5か月ぶりの飛行機である。
@嵐ジェットでした。
機材点検の関係で少し遅れて、13時過ぎに福岡空港へ。
今日は無目的の一日である。地下鉄の一日券を買って未乗車区間を制覇したりして、適当に天神を散策してから安ホテルに投宿した。
■2020.8.9
さて、今日はメインの観光列車に乗る日である。直方発11時32分発とかなり余裕があるため、「福岡近郊区間」の特例を利用して、大回りで向かうことにしている。
まずは6時25分発の篠栗線経由小倉行に乗り、新飯塚からは1両編成の後藤寺線に乗り換え、西小倉、黒崎で乗り継いで、やっと直方に到着した。
@久々の後藤寺線
ぐるっと大回りをしてきたが、それでもまだ10時過ぎである。ということで、大昔に訪問したことのある石炭記念館へ行ってきた。石炭ということで、外に展示されている2両のSL以外にも、豊富な鐡ネタが展示されている施設である。
(入館料たったの100円の施設であるが、高齢の係員があれこれ説明してくれた。そこで初めて知ったのであるが、石炭記念館前に至る歩行者用の橋は、転車台を再利用したものであるとのこと)
@石炭といえば
11時過ぎに直方駅に戻り、平成筑豊鉄道の乗り場近くで受付と検温を済ませた(ここで、記念乗車券と絵葉書を頂く)。
ことこと列車はもう入線していたので、まずは全景の撮影である。
@輝く車体
車内に入る。私が予約したのは、進行方向右側の2人用のテーブル席である。隣りの2号車も訪れてみたが、2人用のソファー席は1席も売れていないようであった(そもそも内側を向いており、景色が見難い席である)。
自席に着席。メニューの上にある「重石」は、石炭である。飲み物はどうしようかと考えていると、「本日あちらの席が空いていますので」ということで、なんと左側の4人席に移動することとなった(沿線の見所も左側が多いという)。これで、3回連続で4人ボックス席を独占である。
@ここに座ったのは出発前だけ
その他、車内には様々な展示物があるが、詳細については余所様の丁寧な旅行記をご参照ください。
定刻の11時32分に直方を出発。何はともあれ、地元の「元気が出るビール」というものを注文してみた。
@食前酒的に(水は無料)
私の後ろは団体さんで、すでに盛り上がり気味である(本来なら2テーブルくらいに収まる人数であるが、コロナ対策で間引かれているため、4テーブルに分かれている)。
正直に言って沿線は地味な風景であるが、見る人が見れば(鉄道関係の人が見れば)、立派な複線の路盤、交換施設のある駅、長いホームなど、古(いにしえ)の繁栄を思わせる設備である。
11時43分頃、福智山が見えるポイントで一時停車した。
@こんな感じで
これまでの観光列車の場合、出発時点で前菜がセッティングされていたり、出発後すぐに配膳されたりすることが多かったが、現時点ではまだ何もない。おそらく、3時間以上も乗車時間があるため、時間的余裕があるのだろう。
しばらくして配膳されたのが、9品の前菜「ことことBOX」である(すべて地の食材)。風呂敷は車両と同じ水戸岡デザインであり、お土産として持ち帰り可能。
@ツマミ的に頂く
いつものパターンで、酒切れのタイミングである。せっかくなので、地酒(後ほど、この酒蔵の近くを通る)を注文した。
@ちびりちびりと
12時01分に田川伊田に到着し、ここで列車は折り返して直方に戻ることとなる(乗車時間を長くするための工夫であるが、どうせ戻るのなら、田川伊田ではなくて田川後藤寺に行ってもいいのに、とは思うが)。
車内ではあれこれ観光アナウンスがされている(先ほど「沿線は地味」と書いたが、アナウンスでも「左を見ればボタ山右を見れば洗濯物」と自虐的であった)。炭坑節の説明の後は、よくよく聞けばBGMも炭坑節になっていた。その流れで謎掛け(クイズ)があったのだが、他の乗客が答えられなかったので、つい手を挙げて答えてしまった。粗品があるということで、ペンやポストカード的なものかと思っていたら、意外に豪華なせんべいセットをもらってしまった。
@戦利品
なお、今後も同様のネタを用いるかもしれないので、お題と答えは伏せておくこととしたい(鉄道の知識が豊富なほど、答えやすいものである)。
続いて配膳されたのが、ブランマンジェ(ムースみたいなもの)である。これの美味いことときたら。私はどちらかというと和食派で、これまでの観光列車でも洋食は「ふむふむ」という感じであったが、この料理は私に合っていた。ウニやカニがそのまま使われていたのも、その一因かもしれない。
@酒が進む
古いレンガの土台の鉄橋などを経て、12時35分に直方に戻ってきた(ここで20分程度のトイレタイムである)。
12時56に直方を再出発。車内には香ばしい香りが漂ってきており、次の料理への期待が高まる。そして配膳されたのが、アワビとシイタケを使ったリゾットである。アワビに関して、私は刺身よりも焼きが好きであるので、これも私好みであった。
@うまし
先ほどと同じ風景を見ながらリゾットを頂いているうち、13時12分に金田に到着した。ここでまた13分の停車である。何の停車かと思ってホームを見ると、メインの食材をこの駅で積み込んでいるようであった(後ほどアナウンスもあり、熱々で配膳できるよう、金田駅で準備しているとの由)。
13時25分に金田を出発してから、そのメイン料理が配膳された。ナイフがあったので使ってみたが、和牛の頬肉は箸でも切れる柔らかさであった(ナイフは野菜を切るのに使った)。
@副菜とパン付き
パンをソースに絡ませながら頂いていると、13時35分に再び田川伊田に到着した。駅マルシェ(お買い物)のため、ここで15分の停車である。
ホーム上では、今風の炭坑節(よさこいソーランっぽい感じ)が披露されていた(酷暑のところ大変である)。それが終わると、地元の盆踊り風になったが、ふと気づくと運転手も女性係員も輪に入っている。要するに、みんな地元の人なのであろう。
@勝手知った田舎があるって素敵
13時50分に同駅を出発し、最後に配膳されたのがデザートである。ソース部分に甘酒が使われているということであり、あまり甘酒が好きでない私は警戒したが、香り付け程度であって安心した。スプーンで奥まですくって食べると、あれこれ食感が楽しめるものであった。
@日本酒ではありません
続いての停車は油須原である(14時07分着)。古くて趣のある駅舎にタブレット閉塞機があったので覗き込んでいると、運転手がやってきて説明してくれたのだが、実はこれはここにあったものではないという(マニア社員が持ってきたとのこと)。近くには腕木式信号機もあり、これも同様であるという(事後設置されたもの。動かせるということなので、操作させてもらった)。
@タブレットキャッチャーもマニア社員による犯行(?)とのこと
14時18分に同駅を出発。なおBGMであるが、ご当地に関連する歌や歌手が掛かっているようである。わかる人だけにわかるようで、後ろの団体さん(地元の人)はいくつか分かっているようであった。
「源じいの森」という珍名駅を過ぎると、地味な沿線の中でも少しは景色が印象的な部分となるため、列車もスロー走行をしていった。
@「ことこと」の本領発揮
先ほど呑んだ日本酒の酒蔵や神社などを過ぎてから、街並みが近づき、14時52分に行橋に到着した。今日の観光鉄道はここで終了である。
行橋からはJRで移動し、小倉で乗り換えて下関に到着した。
意外であったのは、ホテルにチェックインした際に、なんと2,000円のクーポン券をもらってしまったことである(地域における補助のようである)。前回の「現金3,000円給付」に続き、予想外の収入である。
ということで、駅の土産物店に行って、カレーや魚醤、日本酒などと引き換えてきた。
@戦利品その2
さて、今回のサブテーマである大人グルメは、ふく(ふぐ)である。現地で店を探すのは面倒であるため、居酒屋での5,000円くらいのコース料理が付いている宿泊プランのホテルに泊まっている。
指定されている店に行き、まずはビールを頂いてから、ふく刺しで一献である。
@大人です
それ以外には、前菜(ふく豆腐など)と、から揚げ、串焼き、ひれ酒である。ひたすらビールを呑み続け(呑み放題を別途注文してある)、あれこれと頂いた。
@料理の数々
上記以外には鍋もあったので、それを頂いてからは雑炊にしてもらって最後を締めた。
■2020.8.10
さて、今日は「○○のはなし」に乗るが、この列車は青春18きっぷが使用できる(指定券は別途必要)。よって、早朝から別路線に遠征することにしている。
ホテルの無料朝食をスキップして6時00分発の列車に乗り、小野田と雀田で乗り換えて、久々に長門本山にやってきた。前回訪問時は旧型国電(クモハ42)であったが、今は味気ない近郊車両である。
(それにしても、十数人の乗客すべてが「乗車目的」(地元の人ゼロ)であったのは驚きである)
@朝晩しか走りません
いったん下関に戻り、車内で頂く酒などをスーパーで購入した(コロナ対策もあり、「○○のはなし」車内カウンターでの酒類販売が休止されているため)。そこからまた新下関に移動した(始発駅から乗車するため)。
ホームでしばし待っていると、出発の3分くらい前に入線してきた。まずは車内に入り、他の乗客がいない状態で内部の撮影をした。
@こちら1号車(2号車は赤色中心)
1号車には6席だけだがカウンター席(お一人様でも安心)があり、そのうちの1席を押さえてある。
9時59分に新下関を出発し、10時08分に下関に戻ってきた。ここで12分ほど停車するため、ゆっくりと落ち着いて車両や車内の撮影である。
@こんなデザイン
下関を10時20分に出発。車内は半分くらいの埋まり具合であり、2人席はちらほらと空いており、4人席も窓側だけ埋まっている部分もあった。
スーパーで買った山口産「ひらまさ」で、まず一杯である(スーパーには地ビールも数種類あったのだが、いずれも瓶ビールであった(栓抜きがない)ため、仕方なく第三のビールで乾杯)。
@地ビール残念でした
車内で酒が売っていないということで、日本酒もスーパーで買ってある。こちらはもちろん地物であり、地元の作家である金子みすゞにも関連して、「大吟醸酒 みすゞ」である。
(そもそも、この「○○のはなし」は、以前にあった観光列車「みすゞ潮彩」の後継である)
@続いてはこれで
さて、この観光列車では事前に特製弁当「みすゞのふるさと弁当」を注文できるため、電話で予約してある。お茶付きで2,600円であり、なかなかの値段である(いつもなら買わない)が、大人鐡は特別であった。
しばらくして、それがやってきた。
@ツマミとしても頂ける
ふくはもちろん、クジラ肉もあり、また長門市の焼き鳥など、地元のメニューが目白押しの内容である。
今日は台風が近づいているため、午後は雨予報であったが、予想外の晴れである。おかげで、ずっときれいな海を見続けることができた。
@良い天気
車内が空いているので、弁当を終えてからは2人席(海側ではない)に座ってみた。足元には畳があり、座り心地の良い席である。撮影時以外は、ここの席もアリだろう。車内は全体的に綺麗に装飾されているが、いかんせん元がボロ車両なので、クーラーの効きはもう一声である。
@車内展示物の一例
駅によっては少し停車時間があることもあるが、基本は「観光停車」はない。復路(下関行)は仙崎での停車があるため、往路でもどこかで一休み欲しいところである。
@こんな写真を撮って観光気分に
この列車の終点は東萩であるが、1つ手前の萩で下車した(12時47分着)。これから萩観光をするためには、ここからバスに乗った方が便利だからである。
萩には何度か来ているが、これまでは東萩からのアクセスばかりであった。初めて訪問した萩駅構内には、「鉄道の父」と言われる井上勝に関する資料があり、そもそも駅舎自体が登録有形文化財であり、雰囲気の良いところであった。
@駅全景
その後は、台風はどこへ行ったのかとてつもない猛暑の中で萩観光をして(風は強かったが)、観光後は東萩駅へ移動し、16時58分の列車で益田へ移動して安ホテルに投宿した。
■2020.8.11
さて、今日は青春18きっぷを使ってただ帰るだけである(よって詳細は省略)。
6時28分の山口線に乗り込み、山口と新山口、下関で乗り換えて小倉へ。いったん改札を出て、今月末に利用する「みんなの九州きっぷ」の指定券を自動券売機で発券した。
さて、後は筑豊本線経由で博多へ移動して、飛行機で帰るだけであるが、この辺は折尾などの「かしわめし」が有名である。それでも買って、と思いかけたが、小倉駅構内に「かしわうどん」を発見したので、今日はこれで締めることにした。
@旅の最後はうどんで