【その他・昔鐡C】駅弁(東日本)編

■はじめに
 新型コロナによる自粛に伴う「手持無沙汰」解消として、「昔鐡」シリーズを7本掲載してきた。自粛期間終了を目前にしてネタも尽きたところであるが、残念ながら緊急事態宣言が延長されてしまった(旅行の自粛も当然延長)。ということで、ネタを考えなければならない。
 あれこれ思案した結果、「旅行」や「鉄道」に関係があるものとして、日本各地にある駅弁を紹介することにした。グルメのインパクトとしては、各地の名物料理(海鮮丼など)の方が強力であるが、やはり「鉄道旅行につきもの」である駅弁こそ、それ単体で旅情を掻き立てられるものであると思う。
 なお、私が駅弁の写真を撮るようになったのは、ここ10年ちょっとくらい(2008年頃から)である。よって、何度も食べている有名駅弁の写真が抜けていたり、「なんでこんなマイナーな駅弁が」というものが含まれていたりするが、ご容赦いただきたい。

 旅行記の場合、「それを読んで自分も行った気分になる」ものである。今回は駅弁続きであるので、できれば空腹時に(お昼前や、締めのごはんが欲しくなる飲酒時に)読んで、「食べた気分」になっていただければ幸いである。

@「当たり」弁当?(詳細は本文にて)

■北海道
 北海道で一番有名な駅弁は森駅の「いかめし」であり、私も何度も頂いたことがあるが、意外なことに記録写真には残っていなかった。
 ということで、個人的に北海道内の駅弁では一番好きな、函館駅の「鰊みがき弁当」からである。正月くらいにしか食べないカズノコであるが、この弁当のカズノコは味が良く染みており、ツマミにもおかずにもなるのである。

@北海道新幹線記念ビールも(2015.12 函館駅)

 続いては、苫小牧駅の「ほっきめし」である。苫小牧は北寄貝(ほっきがい)の水揚げで有名であり、それに因んだ料理も多い。「ほっきカレー」となるとカレーの味が勝ってしまうが、炊き込みご飯くらいが丁度良い塩梅である。

@日高本線内でいただく(2018.1 苫小牧駅)

 またしてもカズノコ関係である(名寄駅の「ニシン・カズノコ弁当」)。この駅弁を見て製造元に気づく人はまずいないであろうが、「最北の駅弁屋」として知られていた名寄の駅弁業者(2009年廃業)による弁当である。

@筍が印象的(2008.11 名寄駅)

 同じく、名寄駅の駅弁「みそ豚丼」である。有名駅弁である森駅の「いかめし」や厚岸駅の「かきめし弁当」の写真がないのに(いずれも食べたことはあるが)、2つ連続で地味な名寄駅(もう駅弁はない駅)である(結果論ではあるが、翌年に業者が廃業したため、レア写真にはなっている)。
 豚丼といえば十勝地方が有名であるが、醤油タレのあちらとは違い、この弁当はみそ味である。

@みそ味です(2008.11 名寄駅)

 続いてはやっと北海道らしいカニであり、札幌駅の「かに三種 味くらべ弁当」である(今は「三大蟹 味くらべ弁当」という名称のよう)。器は3つあるが、私が3つ食べたわけではない。当時、仕事で出張時の昼食用弁当を人数分手配する必要があり(予算は千円前後)、面白そうなので駅弁を予約手配したのである。いつもは仕出し弁当であるので、変化球として好まれた記憶がある。

@3種楽しめます(2008.8 札幌市内)

 カニが連続するが、こちらの方が老舗である(長万部駅の「かにめし」)。シンプルな「かにめし」という弁当は、北海道や北陸地方でたくさんあるが、やはりここが定番であろう。

@安心の味(2008.11 長万部駅)

■岩手県
 三陸鉄道の宮古駅にて、予約制で手に入る「海女弁当」である。表紙中央の上部が小さくペンで塗りつぶされているが、ここには「うに」と書いてあったのである。不漁だったのかコストの理由か、いずれにせよ減らされてしまったようである(無念)。

@良い食材が揃っている(2014.11 宮古駅)

■秋田県
 賛否両論様々あるであろうが、秋田県で一番有名なのは大館駅の「鶏めし弁当」ではないだろうか。寝台特急「あけぼの」存命時は、予約しておくと車両入口まで届けてくれたという、サービスも満点の業者である。

@小坂鉄道レールパーク仕様(2017.5 小坂町)

 ここからは、秋田駅の駅弁3連発である。まずは、「あわび五能線弁当」である。あわびのみならず、他の食材も秋田県産をふんだんに利用した弁当である。珍しく掛け紙を残していたので裏面を見てみると、「しそ巻き大根」「みず醤油漬け」「リンゴ煮」などが記載されていた。

@実際に五能線内で頂きました(2018.8 秋田駅)

 こちらは秋田駅の「和牛こまち弁当」である。通常は左側に見えているパッケージであるが、この時は「さようなら583系」の特別掛け紙であった(それに釣られて、うっかり買ってしまったものである)。

@中身は通常バージョン(2017.5 秋田駅)

 またまた秋田駅を訪問し、「今回はどうしようか」と悩んで買ったのが「特製 牛めし」である。こちらの弁当も、五能線内で美味しく頂いた。

@がっつり系(2019.5 秋田駅)

■山形県
 秋田県の最後2つは牛肉続きであったが、山形県は言うまでもなく牛肉続きである。前もってバラしてしまうが、3つとも牛肉である。
 まずは、米沢駅の「牛肉侍」である。牛肉の駅弁となると、肉はタレ焼きやしぐれ煮、そぼろなどになっているものが多いが、この弁当はハンバーグや角煮もあり、まさに肉・肉・肉の超がっつり系であった。

@お年寄り向きではないかも(2009.12 米沢駅)

 続いては、同じく米沢駅の「牛肉弁当」である。あの超有名駅弁では面白くないなと思い、あえてこちらを選んで買ったものである。

@牛丼風味付け(2018.2 米沢駅)

 さて、米沢駅で一番有名、というか、東北で一番、下手をすると全国でもかなり上位に来る弁当(上記で「あの超有名駅弁」と表現しているもの)をまだ紹介していないが、さすがにこれも頂いたことがある。味、内容については、説明するまでもない「牛肉どまん中」である。

@中の写真は撮っていませんでした(2007.12 米沢駅)

■福島県
 会津若松訪問時に丁度昼時であったので、駅の売店で買ったのがこの「ソースヒレカツ弁当」である。パッケージにお城の絵があったり、「会津みそ使用」とあるため会津若松駅専用のように見えるが、郡山駅や福島駅でも買えるようであった。

@肉系が続きます(2016.8 会津若松駅)

 上記の弁当を頂いた翌週、旅程の関係でまたしても会津若松駅に寄った(しかも、またしても昼時である)。あれこれ考え、会津若松っぽい「蔵出弁当」などにも惹かれたが、結局買ったのは「牛肉の味噌焼弁当」であった。なおこちらも、上記と同じチェーン系列の弁当業者であるため、他駅でも購入可能である。

@単なる肉好き?(2016.8 会津若松駅)

 福島県最後の駅弁は、つい先日に買った郡山駅の「海苔のりべん」である。旅程作成中、郡山駅で駅弁でも買おうと思ったが、有名駅弁が思い浮かばなかった。そこでネットで調べてみると、最近はこれがかなり有名になってきており、売り切れてしまうこともあるという。実際に頂いてみると、派手な食材はないが、全体的に優しい味であった(同様のことは、「西日本編」で紹介する予定である嘉例川駅の駅弁にも言えることであろう)。

@大人向け(2020.3 郡山駅)

■茨城県
 茨城県唯一の駅弁は、常陸大子駅の「奥久慈しゃも弁当」である(常時売られているわけではないため、予約が必須であったと思う)。軍鶏だけあって、歯ごたえのある肉であった記憶がある。

@また肉に戻る(2013.8 常陸大子駅)

■群馬県
 東日本編のデータを纏めている際、「最多は北海道だろうな」と予測はしていたが(実際に、東京と並んで6個で1位であった)、それに迫る5個もあったのが群馬県であった。もちろん、日本で一番有名ともいえるあの弁当も含まれている。
 まずは、高崎駅の「鶏めし弁当」である。歴史のある弁当であり、高崎駅で乗り換える際につい買ってしまう弁当である。

@定番ですが(2013.2 高崎駅)

 「高崎駅だったら、あっちの弁当の方が有名だろう」と思われるかもしれない。確かに、「だるま弁当」が全国的に有名であり、私も買ったことがあるが、通常バージョンではないものであった。

@キティちゃんバージョン(2008.3 高崎駅)

 JR以外となるが、まずは上毛電鉄である。イベントがあったので出掛けて、その際に購入したものである。ネットで調べたが同じものが出てこないので、このイベント限りの弁当であったようである(違う年度のイベントと思われる弁当掛け紙は発見した)。

@この年度はこういう掛け紙(2009.10 大胡駅)

 続いては「わたらせ渓谷鉄道」である。途中の神戸(ごうど)駅には旧車両を使ったレストランがあり、ここで買えるのが「やまと豚弁当」である。肉のたれが「野菜多め」系であり、印象的であった。

@手ぬぐい付(2017.9 神戸駅)

 群馬県最後の駅弁は、説明するまでもない横川駅の「峠の釜めし」である(幼少の頃を含めて、何回食べたか思い出せないくらいである)。日本一有名な駅弁ともいえる存在であろう。知っている人は多いと思うが、益子焼の容器を使って白米を炊くことも可能である。

@超定番(2011.10 横川駅)

■埼玉県
 埼玉県は、駅弁を食べるような長距離旅行の目的地にならないし、埼玉県内から長距離列車に乗ることもないため、買った駅弁はゼロと思っていたが、写真を整理していて発見した。灯台下暗しで、鉄道博物館である。絵に描いたような、博物館用の弁当であるが。

@一応「駅弁」ということで(2008.10 さいたま市)

■千葉県
 千葉駅も駅弁では有名であり、中でもこの「トンかつ弁当」は色々な意味で有名である(その安さと、カツの薄さで)。これを買った駅員たちが、「何買ったの?」「ん、ハムカツ弁当」と言っていたのが印象的であった(市販のハムくらい、肉が薄いのである)。

@その代わり安い(2012.8 千葉駅)

 なお上記の「トンかつ弁当」には違うバージョンがあり、受験の季節には「勝ツ弁当」というものも登場してくる。カツの量は多めであるが、肉の薄さは同様である。

@まぁ600円ですから(2020.1 千葉駅)

 風変わりな駅弁としては、館山駅の「くじら弁当」がある(確実に買うためには、予約した方がよい)。昨今は馴染みのないクジラ肉であるが、私のような年代(1970年生まれ)にとっては、給食でも普通に出てくる肉であったから、懐かしいばかりである。

@クジラ肉の復権を(2014.8 館山駅)

■神奈川県
 神奈川県も、埼玉県と同様で旅行の目的地や出発地になり難いため、駅弁を買う機会が少ない都道府県である。紹介するのは小田原駅の「金目鯛西京焼弁当」であるが、実際にこれを買ったのは東京駅であった。

@地理的には神奈川県で(2020.1 東京駅)

■東京都
 さて、東日本編の最後は大本営東京である。各駅弁を紹介する前に、まずは企画物をいくつか紹介したい。
 まずは、大井町の車両センター公開日に購入した「一般公開記念弁当」である。中身の写真を撮っていないということは、普通の幕の内弁当であったのだろう。

@値段もそこそこした記憶が(2012.8 品川区)

 続いては「ありがとうE351系 記念弁当」である。まさにE351系の乗り納めの旅行に行った際に買ったものであるが、掛け紙を見てうっかり買わされたと言っても良い。

@こんな内容でした(2018.3 新宿駅)

 次の企画物は、「日本縦断弁当〜こだわり東日本編〜」である。漫画「鉄子の旅」に関連して企画されたものであった。基本的には無地のカマボコに「鉄」の焼き印があればラッキー、という説明書があったが、まさに焼き印入りのカマボコであった(表紙写真)。

@遊び心あり(2008.3 東京駅)

 さて、ここからは通常の駅弁である。まずは、天皇陛下(当時)が好まれて食されるという逸話で急に有名になった、東京駅の「チキン弁当」である。茶色ばっかりで明らかに野菜が足りなく、陛下のイメージとは懸け離れたものであるので意外な感じであった。

@皇室御用達?(2015.9 東京駅)

 続いては、出張で東海道新幹線に乗る際に「何か東京っぽい弁当はないか」と思って探した「貝づくし」である。数種類の貝があり、酒のアテとしても使えそうな内容であった。

@多種多様(2018.8 東京駅)

 最後に紹介するのは、高級駅弁としても有名な「東京弁当」である。1,500円を超える価格であるためいつもなら買う気にならないが、会社の行事(団体旅行)の幹事をすることになったため、昼食用として参加者全員分を手配したものである。

@人の金なら買う(2013.6 東京駅)

 ということで、次回は「西日本編」を紹介する予定である。

 

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