【猫鐡B】笠戸島・平郡島・祝島編

■はじめに

 今回の猫鐡は、山口県シリーズである。一昔前ならば寝台特急「あさかぜ」で向かうところであるが、ブルートレインと呼ばれる列車が全滅した現在では、選択肢は飛行機だけである(新幹線は割引切符があまり安くないため、対象外)。

【旅程】
初日:岩国空港へ向かい、笠戸島訪問(徳山泊)。
2日目:平郡島訪問(徳山泊)。
3日目:祝島訪問。広島空港から羽田へ。
(復路をわざわざ広島にしたのは、料金を勘案したためである)

 3連休を利用した旅であるが、これから暑さも本格的になるため(散策に向かない季節となるため)、猫鐡はしばらくお休みとなる予定である。

@平郡島にて

■2016.7.16
 最寄駅の始発列車で羽田空港に向かい、7時発の便で岩国空港へ向かった。到着後は、バス代をケチって歩いて岩国駅へと足を進める(約30分)。
 笠戸島へ行くためには下松(くだまつ)駅へ行くのであるが、山陽本線ですぐに移動しても乗り継ぐバスの本数が少ないため、岩徳線経由で行くことにしている。この路線に乗るのは、十数年ぶりかもしれない。

@久々に

 9時43分発の列車(1両なので「列」にはなっていないが)で、徳山方面へと向かった。
 まだ猫島には到達していないが、途中駅で駅猫3匹と遭遇。

@勝間駅にて

 10時57分に徳山に到着し、予約済みの安ホテル(朝食付きで1泊約4,500円)に荷物だけを預けて、駅前のシャッター商店街などを散策してから12時07分の列車で下松に向かった。12時15分着。
 「店舗などが多い方が表玄関だろう」と思って北側の出口に出てバス停に向かったが、笠戸島方面(深浦行)の時刻がどこにも掲載されていない。バス停には「下松駅北口」とあり、私の旅程メモには「下松駅前」とある。慌てて、寂しい方の南口へと向かった。

@南口にあった「鐡」な看板(近くに工場がある故)

 12時28分発のバスにはなんとか間に合い、笠戸島へと向かった。これまで訪問した猫島はすべて船でのアクセスであったが、今回は初めてバスでの訪問となる。
 数人の乗客がいたが、途中のドックで作業員が降りて以降は、私1人だけとなった。13時03分に終点の深浦到着。
 集落内を歩いてみると、2匹ほどの猫と出会った。この集落には、それほど多くはいないらしい。

@お休み中

 もっといないかと思って奥の方に行ってみると、猫よりも素早い動きの動物らしき影を発見した。どうやら、テンのようである(もしかしたらイタチ)。とにかく、田舎に来たのだなと思った。

@都会では出会えません

 次のバスまで2時間近くあるため、笠戸の集落に向かって歩き始めた。
 さすがに移動中に猫に会うことはないと思っていたが(動くものといえば、大きな虫や青大将ばかりであった)、道すがらふと1匹の猫が顔を出してきた。彼(もしくは彼女)は、ここでどのような食生活を送っているのだろうか(もしくは長距離パトロール中だった?)。

@山口県特有の「黄色いガードレール」と共に

 意外にアップダウンがありしんどい道のりであるが、時折大きなドックなどを見晴らせる場所があり、なかなか面白い風景である。

@船舶の街

 歩き始めて約1時間で、笠戸の集落に到着した。集落内に入ってみると、あちらに1匹こちらに2匹という感じで、小さい集落ながら10匹以上と遭遇した。やっと、猫島らしくなってきた。

@そのうちの1匹

 バスの時間はまだ先であるため、次の目的地(「はなぐり海水浴場」に猫が多いという情報があった)へと歩いて向かった。
 しかし、実は病み上がり(会社を休むほどではないが、火曜日からずっと風邪薬を飲んでいる)であるため、15時前くらいになって疲れ果ててしまい、「落」という集落からバスに乗ってしまうことにした。今日はもう、十分なネタは仕入れたであろう。

@橋を渡って本州に戻る

 徳山に戻ってからは、魚屋やスーパーで地の食材を買い揃え、酔ってから就寝。

■2016.7.17
 無料朝食を急いで頂いてから駅に向かい、6時55分発の列車で柳井港へと向かった。

@ガードレールと同じ色?

 駅のすぐ近くにある港へと向かう。本来の予定であれば平郡東から平郡西まで約14キロの道のりを歩く予定であったが、貼ってあった掲示によると土砂崩れで通行止めであるという(係員に確認したところ、徒歩でもダメだという)。そうなると、西と東の集落どちらか一方にしか行けないことになる。どちらに猫が多いのかは知らないが、とりあえず遠い方である東まで行くことにした。

@これに乗る

 8時30分に出港し、ちょうど1時間で平郡西に到着した。こちらの集落の方が小さく、下船する人もまばらである。
 よくよく目を凝らしてみると、駐車場の辺りと道路脇に2匹の猫を発見した。ズーム機能を最大限にして、その姿を捉える。

@こちらの集落にもいる模様

 再度出港し、10時10分に平郡東に到着した。早速、1匹がお出迎えである。
 とりあえず集落の西方面に歩いて行ったのだが、猫はまったく見当たらない。そのうち、雨が降ってきてしまった。これでは、猫は塒(ねぐら)に行ってしまい、余計見つけにくくなる。
 その後は軒下で休んでいる1匹だけを見つけただけで、再度港に戻ってきた。そこでやっと、漁船に渡ろうとしている1匹を発見した。

@勝手に乗船中(雨は上がった)

 それにしても、かなり歩いたのに見つけたのはまだ3匹だけである。「東にしたのは失敗だったかな」と思いつつ集落の東外れに行ってみると、そこでまさかの猫銀座を発見した。指折り数えても、15匹はいるではないか。やっと猫島の本領発揮である。

@その一部

 さて、集落内をゆっくりと1時間かけて散策したが、帰りの船の時間まではまだ3時間弱もある。とりあえず、地図にあった五十谷(いや)方面(片道2キロ程度)へ行ってみることにした。
 かなりの坂道で難儀であったが、目的地の海は奇麗であり、岩々などの景色も良いものであった。

@少しずつ晴れてきた

 山道を歩いて戻り、三度港へ。
 それにしても、長閑な島である。原付に乗っている人は皆ヘルメットをしていないし、自販機の一部にはビールが混ざっている。どちらも、私が子供の頃は違法ではなかったが…。ある意味、懐かしい風景である。

@また見つけた

 完全な晴天(そして酷暑)となった中、14時00分の船で柳井に戻り、山陽本線で徳山に戻った。

■2016.7.18
 昨日と全く同じパターンで、柳井港へ向かう(ただし、8時11分発なので時間の余裕はある)。
 祝島へ行く船は、フェリーではない普通船である。荷物をあれこれ積み込んだりして9時30分に出港したが、乗客は私以外におじさんが1人いるだけである。今日は祝日だが、猫を見るために旅に行くような人は少ないのであろうか。

@これで移動

 このままでは収支の心配があるが、30分後に停泊した室津で20人ほど乗ってきて、その対岸にある上関(かみのせき)でも5人ほど増え、それなりの混雑となった。
 10時35分、定刻より5分早着で祝島に到着した。とりあえず猫探しであるが、とてつもない酷暑であるため、猫もそうそうパトロールはしていないだろう。しばらく歩いたところで日陰で涼んでいる2匹を発見し、その後は親子連れを発見した。

@子猫たち

 それから集落の北方面の外れまで足を運んでみたが、1匹も見つけられなかったため、また集落の中心部に戻ってきた。集落内の所々には、練塀(ねりへい)という石積みの塀があり、散策には楽しい場所である(ただし、今日は暑すぎるが)。

@このような街並み

 猫探しというよりは日陰探し(=時折そこに猫がいる)という感じで探し続け、また数匹発見した。
 他の観光客(猫探しの人が、少ないながらもいた模様)が写真を撮っていたのでその場をいったん離れ、そして戻ってくると、1匹の前にカニがいる状態で、これはなかなかのシャッターチャンスである。

@猫とカニ

 カニは猫から離れようとしていたが、私が反対側から煽って逆に猫側へと押しやる。どちらかといえば人間の方が怖いので少しずつ猫側に移動していったカニであるが、横にしか動けない彼は、ついに逃げ場を失って微動だにしなくなった。

@猫パンチ3秒前(野次馬(馬ではないが)も集まってきた)

 絶体絶命と思われたカニであるが、意外にも「ゆっくりと前に」動き出して難を逃れた。そもそも猫は、カニなどには興味ないようである(見飽きているのだろうか)。

@窮鼠猫を噛む(困ったカニは前に歩く)

 さて、これで今回の三つの島は終了である。12時30分の船で柳井に戻り、あとはひたすら山陽本線で白市(広島空港最寄駅)へ移動し、18時00分の便で羽田に飛ぶだけである。

 

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