【猫鐡@】佐柳島・高見島・男木島編

■はじめに

 私は鉄道旅行を主にしているが、決して「鉄道オタク」というわけではなく、「旅行が趣味で、そして鉄道も好き」という程度である(よって、飛行機や船の経験も豊富である一方、鉄道の専門的知識には疎かったりする面もある)。
 気付くと国内の鉄道ネタはほとんど経験してしまい、最近はもっぱら海外が中心である。しかしそうは言っても、たまには国内旅行をしたい。そして、旅行をするためには、何かしらのテーマが必要である。
 そこで最初に思いついたのが、巡礼であった。結果として、数年前にお遍路を済ませ、その後は西国や坂東の札所もすべて巡ってしまった。残る札所巡りは秩父などもあるが、近すぎて、どうにも旅気分になれる距離感ではない。
 ということで、次のテーマを決めなければならない。「食」や「温泉」では、選択肢が多すぎてテーマが絞り切れない。そこで新たなテーマとして「猫島」を巡る旅をすることにした。私は旅先で猫写真を撮ることも多く、毎年の年賀状は世界(及び日本)の猫写真を集めたものにしているくらいである。なので、「旅のついでに猫写真を撮る」ではなく、猫だらけの島に行くことを第一目的とすることにしたのである。
(なお、同様のテーマの旅を纏めている人は多数いるので、オリジナリティを主張する気はまったくございません)

 日本国内各所にある猫島のデータをネット上で調べリスト化し、今回はそのうち香川県の佐柳島・高見島・男木島を訪問することにした。
 なお、猫がテーマの旅であるが、私が国内旅行をして「鉄分ゼロ」はありえないので、「猫鐡」として一連の鐡旅シリーズに加えることにもした。

 続いては、今回の移動手段である。高松空港にはLCCも就航しているが、春先のこの時期ならばJALのツアーでもそれほど高くはない。往復+高松市内のホテル1泊で2万8,500円ということで、今回もJRの完敗である(しかし、瀬戸内海にはまだ他にも多くの猫島が存在している。次回こそ、寝台特急サンライズで来たいところである)。

@男木島にて

■2016.4.2
 猫旅には実はサブテーマがあり、それは「地方のICカードを利用する」ということである。私は日本国内各社のICカードを所持しているが、この手のカードは10年間使用しないと無効となるものが多い。ことでん(高松琴平電気鉄道)のICカード「イルカ」を前回利用したのは、今から5年前(2011年)である。よって、そろそろ使わないといけない。
 羽田発7時50分の便で高松に飛び、早速バス乗り場へ。バスも「イルカ」カラーである。

@久々に使う

 今日はまず佐柳島へ行くことにしているが、船の出発は14時であるため、時間に余裕がある。とりあえず、「うどん県」に来てこれは外せないので、市内に到着してから、高松に来る度にお邪魔している県庁近くにある有名店を訪問した。
 JALの機内で「孤独のグルメ」を視ていたため、気分は井之頭五郎(当該番組の主人公)の気分である。

@「いいぞぉ〜」(五郎の声で)

 食後は、桜も満開であるので散策も兼ねて駅へ向かった。
 多度津へ移動することになるが、ほどよい時間の列車は10時54分発である。切符を買い、ホームへと向かった。2両編成の列車の隣りには、昔の四国旅行でお世話になった特急用のボロ車両も停まっていた。JR四国では先週のダイヤ改正で新型特急がデビューしたばかりであり、この車両などはそのうち廃車にされてしまうのだろう。

@懐かしい(今日乗車するのは右側)

 多度津へ移動し、駅から歩ける範囲をプチ旅行をした(駅前のSL、第77番札所、桃陵公園の桜など)。適当な時間に港へ向かい、佐柳本浦への切符を買って待合室でPCをつつく。パラパラとやってくる客の中には、「猫見たいんですけど、どっちの港で降りたらいいですか」などと聞いている人もおり、同業者も多いようであった。

@結構新しい船

 乗船して銘板があったので見てみたら、平成27年12月(つい4か月前)に進水したばかりとのこと。どうりで、真新しいわけである。
 14時に出航し、高見島を経由して一路佐柳島へ。時間にして50分の船旅である。
 港を降りてしばらく歩くと、いきなり猫のお出迎えである。

@いらっしゃいませ

 やはり猫目当ての観光客が多いようであり(多い、と言っても数組であるが)、あちこちで写真を撮ったりしている。自前でキャットフードや煮干しを持参している人もいる。
 猫写真を適当に撮ってから左手に歩いて行くと、路上で「猫銀座」を発見した。

@大群

 それらの猫を相手にしてから、今度は港の反対側に歩いて行き、神社の近くにいた子たちを写真に収めたりした。
 さて、次は高見島である。15時25分のフェリーに乗り、20分後に到着した。
 とりあえずあれこれ歩いたが、とにかく猫がいないのである。どうしたものかと思ったが、仕方ないので適当に歩くことにした。途中で「ボランティア」と称する方と出会い、その後はフェリーの出発までその方が島内をあれこれ案内してくれた。散策中に出会ったもの(生き物)は、犬1匹、ヤギ1匹、人間3人だけである。
 諦めかけて港に戻る途中、やっと猫を発見した。

@貴重な写真

 後になって調べてみたが、どうやら過疎化が激しいらしく、猫どころではない(人間ですら住んでいる数が少ない)ようであった。確かに、海岸線以外にある高台の家屋は、いずれも無人であり、かなりの家屋が倒壊している状態であった。なかなか厳しいようである。

@高台に人が住んでいた頃に使用されていた荷物用ケーブル

 17時35分のフェリーで多度津へ戻り、各駅停車で高松まで移動し、無料開放されていた城跡(玉藻公園)の夜桜を見てから、ツアーに組まれている安ホテルに投宿。

■2016.4.3
 7時過ぎにホテルを出て、駅へと向かう。朝食を食べる習慣はないが、香川に来たら話は別であろう。駅から歩いて3分ほどのところにある店に向かい、手打ち麺を頂く。

@外せません

 食後に男木島行のフェリー乗り場に向かうと、切符売り場は長蛇の列であった。昨日訪問した島とは違い、やはり現代美術で名を馳せているためであろう、観光客の数は桁違いである。船の定員の案内もアナウンスされており、「遠隔地からお越しの方は、お帰りの際に早めの乗船を」と促している。

@すでに乗客多数

 8時00分に出向し、「鬼ヶ島」として有名な女木島を経由して、8時40分に男木島に到着した。いきなり3匹の猫がお出迎えである。
 まずは高台の細い道を歩いてみたが、やはり猫は高いところにはほとんどいないようである。地平レベルまで降りて小さな漁港に向かうと、早速猫たちと出会った。

@お花と一緒に

 私以外にも、猫写真に専念している旅人がいる。来訪者の目的の正確な割合はわからないが、美術目的8割、猫目的2割といったところであろうか。
 漁港沿いに少し歩いて行くと、今日もまた「猫銀座」と遭遇である。これだけの数がいると、なかなかの迫力である。

@こんにちは

 近くの民家の庭では、「おしくらまんじゅう」状態の猫たちも発見した(表紙写真)。
 猫を堪能してからは、せっかく男木島に来ているので、現代美術の屋外展示をいくつか見て回った。それでも時間が余っているため、片道20分をかけて灯台まで往復し、港へと戻ってきた。
 まだ腹は減っていないが、「サザエめし」の幟を見てつい買ってしまう。

@衝動買い

 サザエめしを頂き、11時00分のフェリーで高松に戻った。
 さて、2時間程度の暇がある。ちょうど時期は桜が満開、ということで、栗林公園に行くことにした。「イルカ」があれば、公園の最寄り駅まではすぐである。

@これで移動

 1時間以上もかけて公園内をあれこれ歩き、公園のすぐ脇のバス停から空港へと向かった。
 あとは飛行機に乗って帰るだけであるが、すぐ近くにある「さぬき空港公園」の桜の見事なこと! 搭乗まで時間があったので、30分ほど公園内を散策してから、羽田行に搭乗した。

@満開

 

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