インドネシアに行った(つもり)

■はじめに
 一部の観光鉄道や豪華寝台列車等を除いて、鉄道というものは旅行の「手段」であって「目的」ではないため、旅行ガイドブックでも巻末のおまけで移動手段の一例として紹介されている程度である。よって私が初めての国や地域を鉄道が目的で訪問する際、参考にするのはガイドブック等ではなく、個人のブログや旅行記などが中心である。
 世の中には物好きな人が多く(人のことをあれこれ言える立場ではないが)、よくぞこんな国のこんな鉄道に乗っているものだと感心するような旅行記が数多くあり、おかげでアクセス方法や切符の入手手段など、様々な情報を得ることができている。昨年秋にサバ州の鉄道に乗りに行った際も、ネット上で有益な情報をたくさん手にすることができた。

 さて、今回の目的はインドネシアのメダンである(理由は、ただ単に三連休で行けるところを探しただけである)。そしていつものパターンで鉄道情報をネットで探し始めたのであるが、これがどういうわけかほとんど見つからない。数年前に乗車した短い旅行記が一つあるだけで、その他の情報もほぼ皆無である。仕方がないので英語で検索してみたが、結果は似たようなものであった。
 これが僻地ならばわかるが、メダンはマレーシアのクアラルンプールから約1時間という距離であるため、アクセスはそれほど難しくはない場所である。日本の鉄道好きが何人も乗りに行ってそれをブログ等に纏めていても不思議ではないのであるが、なぜか先駆者は少ないようであった。
(出発前になって違う視点で検索したのであるが、どうやらメダンは治安があまり良くないようである。もしかしたら、そういう理由も旅行記が少ない原因であるのかもしれない)

 いずれにせよ、自力であれこれ調べ上げ、情報収集や切符手配などをした。インドネシアは4年半前にジャワ島を訪れたことがあり、その際は現地に着いてから切符を手配したので少しく苦労したが、いつの間にかネットでも予約決済が可能になっていた。メダン(スマトラ島)の鉄道も予約できたので、この点はかなり楽になったところである。

【今回の旅程】
金曜日:仕事を終えてから成田へ向かって、21時40分発のマレーシア航空(コードシェア)でクアラルンプールへ。(機内泊)
連休初日:早朝、マレーシアに到着。クアラルンプール市内へ出て、KTMB(マレー鉄道)でイポーまで往復(切符はネットで入手済み)。昼過ぎにクアラルンプール空港に戻り、夕方の便でメダンへ。(メダン泊)
連休2日目:インドネシア鉄道会社(Kereta api)のSRIBILAH UTAMA号で、ランタウ・プラパット(Rantau Prapat)まで往復。(メダン泊)
連休3日目:メダン近郊路線でビンジャイ(Binjai)まで往復。午後の便でクアラルンプールへ。夜のJAL便で成田へ。(機内泊)
火曜日:早朝、成田着。その足で出社。


@なぜか成田市にて

■2015.1.9
 勤務後に成田に向かい、いつものようにラウンジで「寝入るためのアルコール摂取」を行った。この時間帯にラウンジを利用するのは初めてであり、カレーなどはいつも通りであったが、チャーハンや豚肉の煮込みは初めてであった。

@冴えない絵ですが

 搭乗時刻である21時を過ぎてから搭乗口に向かったが、まだ開いていないようである(機内整備等で遅れることはよくある)。しばらく座席に座って待っていたが、出発時刻を過ぎても搭乗は開始されず、ただ「メカニカルトラブルのため」というアナウンスがあるだけである。これまでの経験上、「座席の不具合」や「計器の異常」のように具体的な説明を受けることはあったが、ただ単に「メカニカルトラブル」は不親切この上ない。出発時刻を1時間過ぎても同じアナウンスがあり、挙句の果てには23時過ぎには、「フライトは明日の12時になります」という信じられないアナウンスがあった。
 クアラルンプール到着後すぐにはメダンに移動しないため8時間くらいまでなら遅れても大丈夫であるが、14時間の遅延は論外である(飛行機に遅延は付き物なので何かあっても大丈夫なような旅程にしていたが、予想を超える遅延になってしまった)。カウンターで確認したが、「明日中のメダン行の便には乗れない」「キャンセルについては週明けの営業日に営業センターへ連絡を」というだけで、どうにも埒が開かない。

@話が長くなってきたので、翌朝のホテルの部屋からの写真でもどうぞ

 結局、空港内のカウンターでは確実なことは断言できないということで、一旦外へ出ることにした(そもそも、今日のホテルに行く必要がある。もちろん、ホテル代はマレーシア航空の負担)。
 税関を抜け、航空会社の職員からホテルの資料を受け取った。その場で「キャンセル関係は今日中に確認した方が良いと言われた」と伝え、あれこれ電話で確認してもらったが、やはりマレーシア航空で予約した分(メダン往復)については、連休明けの平日にならないと確認できないという(ただし、事前に連絡はしておいてくれるという)。
 クアラルンプールまでの往復についてはJALとして購入しているため、こちらについてはJALで処理することとなった。

@私はすぐに外に出たからよいが、ホテル手配の受付もすぐに長蛇の列に

 送迎のバス(もちろん満員)に乗り、指定されたエクセル東急ホテルへと向かった。もう夜中の24時を過ぎているが、無料夕食のチケットももらえたため、せっかくなので(もったいないので)それを頂きにレストランへ向かった。食後、すぐに就寝。

@まだラウンジのカレーがお腹に残っていますが(タダなので)

■2015.1.10
 いつもの習慣で6時前に起きてしまい、寝不足である。無料朝食のチケットもあったのでそれを利用してバイキングを済ませ、部屋に戻ってからはあれこれ検索をした。
 まずJALの航空券であるが、私は変更不可の最安のものを買っているものの、JALホームページによると「6時間以上の遅延」であれば手数料なしで全額払い戻ししてくれるということである。懸念はコードシェア(実際の運航はマレーシア航空)という点であるが、JALで決済しているからたぶん大丈夫であろう。

@ホテル全景(食後に少しだけ散歩した)

 8時半の送迎バスで第二ターミナルへ向かい、JGCのカウンターで状況を説明した。やはりカウンターでは即断はできないということであったが、専用窓口まで電話をして確認をしてくれ、最終的には「全額払い戻し」ということで決着がついた。

@変更時刻の表示が、ちょっとイラつく(笑)

 もちろん、「損害ゼロ」というわけではない。メダンでの安ホテルのキャンセル料50%(約3,000円)、予約決済してある鉄道のチケット(トータルで約5,000円)、成田までの往復交通費(約2,000円)など、1万円くらいは無駄金を捨ててしまったが、この程度は諦めるべきであろう。私などはまだマシな方で、昨晩のカウンターで「他社便でのインドへの乗り継ぎはどうすればいいのか」などと問い詰めている人もいたが、そういう人たちは桁違いの損害(旅程的にも金銭的にも)を受けたに違いない。
 究極的な慰めとしては、エクセル東急に朝食付きで泊まれば7千円くらいかかるし、空港ラウンジの食事やおまけの夕食も頂いているので、「成田旅行に来た」と思えば金銭的には辻褄が合うかもしれない(無理矢理ですが)。

@ちなみに、昨晩もらった書類一式(ホテルの案内や遅延証明など)

 さて、そういうわけで「成田旅行」の開始である。まずは9時43分発の路線バスに乗り、航空博物館へと向かった。ここはすでに訪問したことがあるが、展望台から離着陸を眺めているだけでよい時間つぶしになる場所である。
 展示物は前回と同じであったが、シミュレータ体験に空きがあったので、今回初めてやってみることにした。操縦席(2人限定)ではなかったが、それなりに楽しめるものであった。

@今月末からリニューアルされるとのこと

 その後はしばらく展望台から離着陸を眺め、ほどよいバスがないため歩いて博物館を後にした。
 しかし、歩いて空港まで戻るわけではない。転んでもただでは起きない、ということで、少しでも鐡ネタを拾うためなのである。
 博物館から歩くこと約25分で、芝山鉄道の芝山千代田駅に到着した。この鉄道の詳細についてはウィキペディア等を参考にしてもらえればよいが、いかんせん不便な場所にあるため、これまで乗車したことがなかったのである。

@行き止まり駅

 ガラガラの列車は定刻の12時17分に出発し、隣駅(そして芝山鉄道としては終着駅)の東成田にはすぐに到着した。ここから京成線に乗り入れ、成田にもすぐの到着である。
 今回は「成田旅行」ということなので、ここで普通に成田山詣でとなる。まだ松の内(15日まで)であるため(最近では7日までも多いらしいが)、初詣の人々で参道は大賑わいであった。

@天気良し

 しかし、このまま帰ったのではどうにも腑に落ちない。成田には今まで何度も来ており、いつもは参拝するだけであったが、今日は「やけ食い」で成田名物のウナギでも食べようかとの思いに至った。
 しかし、どのウナギ店も長蛇の列であり、人気店に至っては2時間以上の待ち時間である。結局ウナギは諦めてしまい、成田旅行自体も中途半端になってしまった。
 京成成田駅まで戻り、特急(料金不要)で京成上野へ。アメ横をぶらぶらとし、なんでも「千円、千円」の店などはいつもはスルーするのであるが、ウナギがあったのでつい1つ買ってしまった。今晩は、これで「模擬的成田」を締め括ることになりそうである。

@ちなみに、これが飛ばなかった機体(翌日撮影)

(冒頭の「はじめに」は出発前に書いたものであり、今回の内容にはそぐわないが、せっかくなので残しておくことにする。おそらく近い将来に同じ旅程で再挑戦するであろうから、その際にはそのまま再掲するはずである)

(旅行記を書く利点とは、例えば「後日になっても読み返すことによって詳細を思い出せる」「ネットに掲載することによって他の人と繋がることができる」など多々あるが、「トラブルがあった際にそれをネタにすることで気持ちの転換ができる」というのもある。通常であれば「行くべきはずの旅行が…」で落ち込んで終わりであるが、旅行記を書く目的があるからこそ、成田滞在時も「何をネタにしようか」という目線で写真を撮ったりしていたのが実情である)

 

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