モロッコ・鐡の砂漠

■はじめに
 今年の年末年始は、モロッコである。特典航空券の手配開始可能日(ほぼ1年弱前)にドイツとポルトガル経由でモロッコのカサブランカまでの便を手配し、詳細な旅程は特に決めていなかった。
 11月も終わりそうになり、焦ってあれこれ調べ始めた。寝台などにも心惹かれたが、事前の切符手配が難しそうなこともあり、結局カサブランカを塒(ねぐら)にして日帰り鐡旅を連続させることにした。ホテルだけ予約し、残り(鉄道切符の手配など)は現地に行ってからである。

【旅程】
初日:深夜便でフランクフルトへ。昼頃の便でリスボンへ(リスボン泊)
2日目:リスボン観光後、昼頃の便でカサブランカへ(カサブランカ泊)
3日目:マラケシュ日帰り観光(カサブランカ泊)
4日目:フェズ日帰り観光(カサブランカ泊)
5日目:その他近郊都市へ日帰り観光(カサブランカ泊)
6日目:カサブランカ市内観光後、夕方の便でリスボンへ(リスボン泊)
7日目:朝の便でミュンヘンへ。鉄道関係の博物館を観光してから、夜便で羽田へ(機内泊)


@フェズ駅にて

■2017.12.29
 リスボンでのプチ鐡を終えてから空港へ移動し、昼過ぎの便でモロッコのカサブランカには15時15分頃に到着した。この辺りまでは予想通りであったが、入国に過去最高の1時間15分を要し(私自身は30秒で終了)、バッゲージクレーム付近の両替屋で騙されそうになったりして(正規の店であったが、あれこれ言い訳を付けて変なクレジットカードを押し付けられそうになった)、さらに鉄道駅の切符売場が行列していたりして、駅のホームに辿り着いたのは17時頃であった。
(両替は荷物受け取り付近にある場所ではなく、出口を出たところで3軒並んでいるところですることをお勧めする)

@1時間に1本出発

 17時32分発の空港連絡鉄道で、中心駅であるカサ・ヴォヤジャーまで移動した。本来は明るいうちに移動する予定であったが、移動の途中で日は暮れてしまった。18時過ぎに到着。
 駅前にある予約済みのホテルに投宿し、まずは切符の手配である。駅の窓口は大行列であったが仕方なく20分ほど並び、マラケシュ(30日)とフェズ(31日)までの往路(それぞれファーストクラス)を手配することができた。復路については「出発駅で買ってください」ということであり、それは構わないのだが、1月1日に行こうとしていたウェッドゼムに関しては、朝一番(7時発)だけが「ない」という(それ以外の便はあり)。朝一番でないと戻りが苦しいため、この日の旅程は後で考えることにした。

@とりあえず2枚ゲット

 それから歩いて10分ほどのところにあるスーパーで安食材を揃え、その近くで酒屋を偶然発見したのでビールも大量に買い、自室で酔いどれてから就寝。

■2017.12.30 
 駅のすぐ横にあるホテルなので早く出発する必要はないのだが、モロッコ初鐡でもあるため少し早めにホテルを出て、小さな駅構内を観察したりした。といっても時間をかけるほどの大きさではなく、猫親子を発見したくらいであるが。

@おはようございます

 真っ暗なホームでぼやっと立っていると、貨物列車が通過していった(この日以降も、結構な頻度で貨物列車を見ることとなった)。現駅舎の東側には、来るべきTGVの開通に備えて巨大な新駅舎が建設中である(まだ骨組み程度であるが)。これが完成する頃に、再訪することになるのだろうか。今回は、あくまで在来線でののんびり旅行である。

@この列車を待つ

 6時25分、マラケシュ行が入線してきた。夜行列車としてやってきたものであるため、車内はかなり混雑している。ファーストクラスのコンパートメントに入ってみたが、真っ暗であり、しかも横になって寝ている人がいるではないか。車掌に言ってその人達を起こしてもらったが、6人席の中央しか空いていない(私の16番は通路側)。車掌は「そこでいい」という感じで、結局「進行方向と反対側の3人中央」という、一番変な席に座らされてしまった。しかも窓のブラインドも完全に降ろされており、これでは明るくなっても外を見ることすらできない。
 6時44分、定刻から11分遅れでカサ・ヴォヤジャーを出発した。45分くらい修行のように我慢して、外が明るくなるのを待つ。

@やっと明るくなる

 明るくなってからは16番の席にいた男が連れの隣りに移動したので、私の本来の席に移動してそこから外を眺め続けた(上記写真)。しかしいかんせん向きが逆であるしガラスを二重越しに見ているため、結局、半分くらいの時間は通路に出て立って外を眺めた(結果論からすると、ファーストにしたのは失敗であった。復路の切符購入時にセカンドクラスはすべて自由席ということを知ったのであるが、当然その方が自由に席を選べるため、私のような旅行者には向いているのである)。
 ふと気づくと駅に停車したので、開いたドアから外の様子を撮影した(窓が汚れているため、停車時が奇麗な写真を撮る唯一のチャンス)。

@何駅かはメモし忘れ

 同駅出発後は、民家も少なくなって荒野っぽい景色になっていった。そして何より目立つのが、路盤の工事である。カサブランカまでTGVが来るために工事をしていることは知っていたが、マラケシュ方面も全体的に高速化の工事をしているようであった。

@複線高速化のよう

 路盤の工事と同様に目立つのが、高架橋(自動車用)の建設である。恐らく高速化をするのに合わせて踏切をなくし、安全性の向上などを目指すのであろう。不思議なのが、高架部分だけ先に作ってその前後の道路だけ作っていない中途半端なものばかり、という点である(普通は一気に作るか、高架部分は最後では?)。

@高架も建設中

 最初の頃は新しい路盤が今の路盤に寄り添うようにあり、そのほとんどが完成しているようであったが、カサブランカから離れれば離れるほど基礎工事中(岩盤を切り開いたり)になっていった。新たに路盤を引くために、重機で土や岩を掘削したりしている。この工事が完成すれば、マラケシュまでの所要時間(今は3時間半前後)も大幅に短縮されるに違いない。

@だんだん大規模工事に

 通路から外を眺め続け、疲れたら自席に戻って二重ガラス越しに外を眺めたりしているうちに、9時08分にベンゲリルに到着した。ここで、対向列車と行き違う(この際はスムーズであったが、復路では単線故の待ち時間で大いに遅れることとなった。やはり、複線化が早期に望まれるところである)。

@行き違い

 同駅を出発してからは、時折新しい路盤を走るようになった。とにかく、スピードの速いこと。これならば、TGVでも走らせられるかもしれない。
 10時を過ぎ、久々にたくさんの家々が連なっているのが見えて、定刻から18分遅れの10時08分にマラケシュに到着した。

@着きました

 さて、マラケシュ観光をする前に、帰りの切符を買わなければならない。観光後に駅も戻ってきて窓口が大混雑では大変なので、空いている今のうちに買ってしまうことにした。マラケシュ発14時20分、セカンドクラスで95ディルハム(約1,150円)、ファーストとの差は53ディルハムであるが、よくよく見ると切符には車両番号などが記載されていないではないか(ここで初めて自由席であることを知った)。
 復路の切符も手に入れたので、市内観光である。タクシーの勧誘などをすり抜けて、駅前広場に出た。

@なかなか壮大な駅舎

 30分ほど歩いて中心部まで行き、世界遺産であるクトゥビアやフナ広場、スークなどを適当に観光した。これらに関しては数多の旅行記があり私が紹介するまでもないため、猫写真でお茶を濁すことにしたい。

@マラケシュに限らず、モロッコは猫が多い

 普通の観光を終えて、また歩いて駅へと戻る。鐡ネタは皆無だろうと思っていたが、途中にあった公園で環境に関する写真パネル展示会のようなものが開かれており、その中の1枚がカサブランカにも導入されているトラムであった(電気で動く環境に良い乗り物的な紹介)。一応の鐡ネタということで、写真をぱちり。

@マラケシュにはありませんが

 少し早めに駅に戻って来てしまったが、13時50分頃にホームに入れるようになったので、良い席を取るべく早めに改札を通った。自由席であるので、良い席は早い者勝ちである。
 窓側の席を陣取り、しばらくすると空調が入った(=機関車が連結された証拠)。ということで、先頭に行って写真をぱちり。

@結構新しい機関車

 14時20分、定刻にマラケシュを出発した。往路が中途半端な感じであったため、やっと本格的な鐡旅が始まるぞという感じである(時差ぼけあり=日本時間は23時過ぎであり、疲労もあるためかなり眠いが)。
 沿線風景であるが、同じ北アフリカでもエジプトのような強烈なスラム街は多くないように思える。ただし、時折「ここは貧しそうだな」という感じの集落も散見されるが。

@貧しそう

 停車駅はほとんどないが、時折、廃れ切ってもう使用されなくなった駅を通過したり、逆にこれから建設される駅を通過したりして行く。15時19分、ベンゲリルに戻ってきた。
 同駅出発後も、しばらくは荒野である。赤茶けた土が目立つようになり、異国情緒が深まっていく。

@砂漠とは違った趣

 車内はほぼ満席であり、私のボックスも埋まっている(隣りには若い女性、向かいには若い男性2人)。おもむろに女性がバッグから何やら取り出したのだが、どうやら間食をするようである。それ自体は普通のことであるが、小さいタッパー(中には乾燥したデーツが入っている)の蓋を開けた女性は、それを男性2人に無言で勧めるではないか。その2人が手を出すと私も彼女から勧められたので、1つ頂くことにした(いつもは体よく断るが、女性の身なりが良かったことと、男性達も手を出していたので)。

@美味

 このお裾分けを頂いた後、信号所のような所で停車した(単線故の宿命)。5分くらいは何事もなく待っていたのだが、それが10分経っても15分経ってもピクリともしない。結局、何もない場所で35分も停車することになってしまった。
 対向列車がやっと到着して、機関車がちょうど私の前に停まったので、それを撮影。

@待たせやがって

 さて、この遅れがどのくらい影響するかは謎である(当初のダイヤである程度の待ち時間があった可能性もあるため)。
 だんだんとカサブランカに近づき、今日も途中で日が暮れてしまい、18時18分にカサ・ヴォヤジャーに到着した。遅れは18分だけであり、予想外に小幅で済んだと言えよう。

■2017.12.31
 5時45分頃に駅に行き、電光掲示板を確認するとウジダ行(フェズ経由)は6番線とある。地下道を潜って地上に上がるとそこは4・5番線であり、肝心の6番線は、工事中のホームの端で線路の上を直接渡っていくようになっているではないか。

@向こう側が6番線

 6番線に渡り、ファーストクラスを探して歩いていくと、なんと途中で編成が2つに分かれており、前の方だけがウジダ行のようであった。ファーストだからよかったものの、セカンドクラスだったら知らずに後ろ側の編成に乗っていた危険性もある。
 車内に入り、宛がわれたコンパートメントに入った。3人席の中央であるが、進行方向側であるのが幸いである。出発までに隣りに人が来なければ、そちらに移動してしまえばよい。

@座席は立派

 6時05分の出発時刻になったが、ホーム上を何人かの乗客が慌てて走ってくる。恐らく、後ろ側の編成に乗っていた客たちが車掌か誰かに「これじゃない」と言われて、慌てて移動しているのであろう。
 1分遅れた6時06分に出発。残念ながら、しばらくは真っ暗である。昨日との大きな違いは、車内の自動音声アナウンスがあるという点である。フランス語であるが、途中で降りる身としてはこれがあるとないとでは大違いである。
 7時頃から明るくなり始め、7時10分に工事中の駅に到着した。大規模工事中であるが、これはTGVを迎えるためであろう。

@建設中

 7時半過ぎには、反対側(右側)から朝日が昇り始めた。通路に出て写真を撮ろうとしたが、いかんせん窓が汚すぎて難しかった(これは左側の窓もほぼ同じであるが)。
 7時半過ぎに停車した駅では、私の右側(本来の私の席)に乗客が座った。昨日の様子を含めて考えると、どうやらコンパートメントは指定された所に入るが、個別の座席についてはあまり深く考えずに座る人が多いようである。ということで、私も自席ではないこの窓側に座り続けることにした。
 7時59分、ケニトラに到着した。ホームの向かいには、近距離型の列車が停まっているのが見える。

@それにしても窓が汚い

 しばらくして同駅を出発。昨日のマラケシュ方面とは違って、こちらの沿線風景は地味であり、特に大きく目立つものはないようであった。タンジェ方面に行く分岐が左に逸れ、8時53分にシディ・カセムに到着した。
 先ほど「地味」と書いたばかりであるが、同駅を出発すると急に勾配を上り始めて、景色に変化が出てきた。今日初めてのトンネルも登場である。

@若干渓谷っぽく

 9時40分、メクネスに到着した。ここも有名観光地である、途中下車でもしたいところであるが、フェズ往復でも1日を使い切ってしまうため、省略。
 メクネスを出発してからトイレのためにコンパートメントを出て最後部に向かうと、デッキから外が見渡せることを発見した。客車の窓の状態があまりにもひどいため、ここで1枚押さえておく。

@まだマシ?

 10時22分、フェズ到着はまさかの3分早着であった。この列車はウジダ行であるが、フェズ出発は10時55分であるため、実質は2つの列車に分割されていると言ってもいいであろう。

@フェズ駅舎

 さて、続いては恒例の街歩きである。マラケシュは私と同様に歩いている人がたくさんいたが、こちらは同業者は少ないようであった(ミニタクシーに乗っても大した額ではないからであろう)。
 王宮の写真を撮り、その後は迷路のようなメディナの散策である。

@今日も猫写真で

 散策を終えてからは駅に戻り、窓口で2等切符の確保である。出発の30分ほど前に車内に入り席を確保したが、窓はやはりかなり汚れている。ということで、ティッシュを水で濡らして、ホーム上から窓を拭くことにした(知る人ぞ知る「宮脇俊三スヴェルドロフスク作戦」である)。窓全部を拭くのは難しいため、写真を撮るための10cm×10cm程度だけであるが。
 空調が効いた(=機関車が連結された)ため、先頭へ行く。今日はちょっと古めのものであった。

@今日の機関車

 編成はこれまで乗ってきたものよりも少し短く、ファースト1両セカンド6両の合計7両だけであった。新たな気づき事項としては、「コンパートメントではないファーストクラス」(普通席の横3列・中央に通路)が連結されていたということである。
 13時30分、定刻ぴったりに出発した。しばらくは長閑な景色の中を走り、メクネスを出発してからの景色はやはり壮観であった。窓を拭いたおかげで、写真も奇麗に撮れている。

@その例

 なおこちらでも新線が建設されているようで、所々では「明らかに新しい路盤」と思わせる区間を走ることもあった。その近くには、旧線の路盤もあちこちで見ることができる。

@旧い橋

 残りの景色は、今朝の逆回しである。大きな駅では、もれなく新駅舎を建設中であった。17時30分、カサ・ヴォヤジャーに到着。明るい時間帯に到着したのは初めてであるので、なんだか知らない街に来たような気分であった。

■2018.1.1
 今日の予定であるが、本来はウェッドゼムというところに行く予定であった。その理由は、「1日に3往復しかない=ローカルなイメージ」「日本語で検索しても訪問記が皆無」という点であった。しかし前述の通り、到着時に切符は買うことができなかった。念のため朝7時前に駅に行ってみると、やはり電光掲示には7時00分発のウェッドゼム行は表示されていなかった。
 一旦ホテルに戻り、PCであれこれ検索して、第二案として元から候補にしていたアル・ジャディーダへ行くことにした。こちらは観光地としても、そこそこ名が知れている都市である。
 8時40分出発であるため、8時過ぎ頃に駅に向かった。思えば、初日の出である。

@日の出は駅舎の向こう側

 いつも切符売り場は大行列であるが、朝はあまり多くはない(早朝はガラガラ)。8時でも、待つのは5分程度であった。切符を手にして、指定されたホームへ向かった。
 現駅舎の隣りでは、新駅舎の大規模工事中である。風情のある今の駅舎が取り壊されるともったいないと思うが、建設工事と並行して現駅舎の修繕(壁の手直し)も少しやっているようなので、保存をするのかもしれない。

@完工はいつ?

 出発の3分前に、カサ・ポートからやってきた列車が入線してきた。6両編成の電車である(昨日まで乗ってきたのは、電気機関車が牽引する客車であった)。
 空いていたので席はすぐに確保できたが、その窓の汚さときたら昨日までの比ではないくらいである。「運行を開始して以降全く洗車をしていないのでは」と疑いたくなる有様であった。定刻に出発したが、とにかく写真撮影はほぼ不可能である。

@それを承知でトライ

 空港への路盤が分岐する近くで反対側(西側)に分岐し、長閑な景色の中を走り続けた。意外に高速であり、線路が分かれる部分でも減速をしないため、横揺れが怖いくらいでもある。分岐してからはどこにも止まらず走り続けたが、9時35分に駅に到着した(乗降客はなし)。
 意外であるのは、路盤が複線であることである。おかげで、待ち合わせで長時間待つこともない。
 小さな町が近づき、9時47分に駅に到着した(数人が乗降)。

@窓の上部の汚れが少ない部分から撮影

 その後も快走を続け、10時01分、終点のアル・ジャディーダに到着した(1分早着)。
 事前に調べていたので知ってはいたのだが、この駅の難点は町から数キロも離れており駅付近に何もない、という点である。実際に降りてみると、なんでこんな場所に駅があるのか不思議なくらいである(実は路盤はこの先も伸びており、貨物列車はそちらまで走行しているのである。本来の終着駅であれば、こんな街外れに駅は作らないであろう)。

@何もなし

 タクシーの勧誘を断り、手持ちの地図を頼りに歩き出した。そういう人間は少ないのかと思って振り向くと、意外に多くの人(数えたわけではないが、下車した客の3分の1くらい?)が歩いているようであった。
 もしかしたら同じことをするかもしれない人のために参考情報として記せば、中心部にあるバスターミナルまで約45分、観光地として有名なメディナとスークまでは約65分であった。
 その流れで、メディナなどをゆっくりと観光する。

@観光客多し

 その後は近くにあった市場を散策し、ビーチを経由して、途中でショッピングセンターに寄って買い物をして駅まで戻った。
 出発までまだ40分以上あるが、わざと早く帰ってきたのには理由がある。というのも、モロッコの各駅の処理能力はあまり良くなく、時間帯によっては窓口が大行列になることが多いからである。15分ほど並んで切符を手にして後ろを振り返ると、私が到着した際の3倍以上の大行列になっていた。

@並んで買う

 出発予定時刻は14時22分分であるが、なかなか出発しない。複線なので待ち合わせの必要はないため、恐らくこれはあの大行列の人々が切符を買い終えるのを待っているのであろう。結局、14時32分になってやっと出発した。
 復路について、窓は若干だが奇麗になった(もちろん汚いが)。往路と違って混雑しており、途中からは立つ人もちらほらと現れ始めた。

@アル・ジャディーダ駅

 15時55分にカサ・ヴォヤジャーに到着した。今日はここでは降りず、終点のカサ・ポートまで行くことにしている。地図を見ると一目瞭然であるが、ポート駅までは路盤が大迂回をしているため、ここで降りてトラムに乗った方が旧市街へは早く着くと思われるが、とにかく終点まで乗って行ってみたいのである。
 16時00分にカサ・ヴォヤジャーを出発し、ひたすらポートとは違う方向に走り続け、途中でぐるっと旋回して西へと向かい始めた。右手に海が見え、しばらくするとカサ・ポートに到着した。こちらは駅の改装が一足先に終わっており、近代的な大きな駅舎にスターバックスやマクドナルドが併設され、なんだかモロッコではないような雰囲気である。

@近代的

 中心部をぷらぷらと散歩しながら、カサ・ヴォヤジャー駅近くのホテルに戻った。

■2018.1.2
 さて、今日の昼過ぎの便で経由地のリスボンに飛ぶため、午前中に時間がある。ということで、これまで手を付けずにおいた最後の鐡ネタであるトラムに乗ることにしている。陸側方面は、終着地にこれといって何もなく、また治安もあまり良くないらしい(ネット情報)ため、海側のアイン・ディアブに行くことにした。
 明るくなるのを待ち、駅前のトラム乗り場に行った。まずは切符の購入である。2回分の乗車(6ディルハム×2)と紙代2ディルハムで、トータル14ディルハムである。

@今日は並ばすに買えた(自販機なので)

 トラムは途中で分岐する(系統はどちらも同じ1番)であるため、アイン・ディアブ行を選んで乗らなければならない。別方面のトラムを見過ごし、次に来たアイン・ディアブ行に乗り込んだ。朝8時過ぎということでラッシュアワーのようであり、かなりの混雑具合であった。

@最後の鐡ネタ

 中心部を過ぎると空いてきたので席に座り、ぼんやりと町の様子を眺め続けた。途中、再開発をしている区域では多くのマンションが建設中であり、その区域ではトラム駅はまだ未完成(駅はあるがすべて通過)であった。40分ほど乗車し、終着で下車した。
 さて、見るべきものといっても海くらいであるので、昨日に引き続いての大西洋である。思えば遠くに来たもんだ、と思える景色であった。

@西の果て

 駅に戻ってトラムに乗り、今日も中心部で降りて適当に散策をした。その足で駅前まで戻り、小腹が空いたのでショッピングモールにあるマクドナルドに行って、エジプト以来の「マックアラビーア」を頂くことにした。エジプトとの違いは、スモールサイズであった点である。

@小さいタイプ

 ホテルに戻って荷物を纏めて、あとは空港へ移動するだけである。
 チェックアウトをして「最後の」行列に並んで切符を買い、12時26分発の空港行を指定されたホームで待った。しばらくして電車がやってきたが、どうやらこれはセタト行のようである(電車の色が違うので気づいた)。しかし、ホーム上にある電光掲示にも「Aeroport」と書いてあるので、良く知らない観光客は騙されて乗ってしまうであろう(危ない危ない)。
 紛らわしいその列車が出発したすぐ後になって、空港行の列車が入線してきた。

@こちらが正解

 後は、欧州に脱出(?)して、日本に帰るだけである。アフリカ北部といってもエジプトほどはしつこい客引きもいないようなので、そのうち再訪しようかとも思っている(TGVも走るし)。

 

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